カフェの前で一服しようとしたら、店員さんに「ここは禁煙です」と止められた経験はありませんか。韓国は日本以上に禁煙のルールが厳しいうえに、屋外の禁煙区域や過料の金額は自治体ごとに違うという、地図を見ないと分からない仕組みになっています。知らずに吸って過料を取られるのは避けたい展開ですよね。この記事では、屋内の禁煙範囲、区ごとに違う屋外の禁煙区域と過料の実例、加熱式・電子タバコの扱い、たばこの持ち込み本数まで、公的機関の情報をもとに整理しました。喫煙以外の旅先トラブルの避け方は韓国旅行のトラブル回避ガイドにもまとめているので、あわせて確認しておくと安心です。なお、喫煙の健康影響についての判断はこの記事では行いません。禁煙そのものに関心がある人は、保健当局や금연길라잡이(禁煙ガイド)の案内を参照してください。
韓国は国民健康増進法により、飲食店・カフェ・PC房・宿泊施設など人が集まる屋内施設は、原則として建物全体が禁煙区域です。屋外は話が別で、どこを禁煙区域にするか、過料をいくらにするかは自治体(区)の条例で決まります。同じソウル市内でも、中区はソウル駅広場一帯で過料10万ウォン、江南区はテヘラン路沿いで最大10万ウォンというように、額そのものを条例ごとに確認する必要があります。加熱式・液状式の電子タバコも、現在は紙巻きたばことほぼ同じ扱いで規制の対象になっています。
韓国の禁煙ルールはどう決まっているか——国民健康増進法と自治体条例の二階建て
韓国の禁煙ルールを理解するコツは、「国の法律」と「自治体の条例」の二階建てだと知ることです。土台になっているのは금연구역(クムヨングヨク・禁煙区域)を定める国民健康増進法で、飲食店やPC房などの屋内施設を全国一律で禁煙区域に指定し、違反した場合の過料の上限を定めています。この法律が決めているのは、あくまで「屋内施設は禁煙」という土台部分と「過料は10万ウォン以下」という上限です。
その上に乗るのが、各自治体が自分の管轄区域内で個別に定める条例です。どの通り・どの広場・どの公園を屋外の禁煙区域にするか、そして上限の範囲内で過料を実際にいくらにするかは、市や区が自分たちで決めています。つまり「屋内は全国共通、屋外は自治体まかせ」という構造だと考えると、なぜ区によって過料や指定区域が違うのかが腑に落ちるはずです。旅行中に「ここは禁煙区域なのか」と迷ったら、法律ではなく、その場所を管轄する自治体の案内を見るのが正解になります。
屋内は原則すべて禁煙——飲食店・カフェ・PC房・宿泊施設まで
国民健康増進法の対象になる屋内施設は、想像以上に広い範囲をカバーしています。確認できた範囲では、休憩飲食店・一般飲食店・製菓店を含むすべての飲食店、PC방(PCバン・PC房)、ゲーム施設、漫画喫茶、宿泊業、公衆浴場、延べ面積1,000平方メートル以上の学院、学校、保育施設、医療機関、社会福祉施設、300席以上の公演場、屋内体育館などが、施設全体を禁煙区域に指定する義務を負っています。カフェの店内はもちろん、個室のように見える空間でも屋内である限り対象です。
施設の側は任意で喫煙室を設置できますが、それはあくまで「例外的に許される場所」であって、施設全体が禁煙というルールが変わるわけではありません。禁煙区域内で喫煙した人には10万ウォン以下の過料が科され、逆に施設の管理者が禁煙区域の指定・表示を怠った場合は500万ウォン以下の過料が科されます。日本のPC房ガイドを別記事でまとめていますが、長時間の利用が前提になる施設だからこそ、喫煙できる場所とできない場所の線引きを最初に確認しておくと落ち着いて過ごせます。詳しくは韓国PC房の使い方ガイドを参照してください。

屋外の禁煙区域は区ごとに違う——ソウル市が指定する場所
屋外に出たからといって、どこでも自由に吸えるわけではありません。ソウル市公式サイトが挙げている市内の主な禁煙区域には、ソウル広場・清渓広場・光化門広場の3大広場、すべての地下鉄出入口から半径10メートル以内、主要バス停の半径10メートル以内、南山公園・ソウルの森・汝矣島公園を含む市立公園24カ所、そして学校の敷地境界から半径50メートル(絶対保護区域)が含まれています。地下鉄の出口を出てすぐの場所で一服、という行動は避けたほうがよさそうです。
公園については、汝矣島公園のように市が直接管理する市立公園が禁煙区域に含まれている一方、漢江沿いの公園には区が独自にルールを追加している場所もあります。漢江公園を訪れる予定があるなら、園内の案内表示を確認しておくと安心です。散策や休憩でよく使われるエリアの情報は漢江公園の楽しみ方ガイドにまとめています。ソウル市公式サイトも「自治区が指定する禁煙区域は随時追加されるため、自治区のホームページや案内表示を確認してほしい」と明記しており、区ごとに指定区域が上乗せされていく仕組みだと分かります。
過料はいくらか——中区・江南区の実例で見る金額
🚨 ここが今回いちばん誤解されやすいポイントです。屋外の禁煙区域での過料は「韓国全国で一律いくら」という決め方ではなく、自治体の条例ごとに個別に決まっています。実例を2つ見てみましょう。中区(중구)は「中区禁煙環境造成及び間接喫煙被害防止条例」(2022年11月23日全部改正)にもとづき、ソウル駅広場一帯とその周辺道路の約5万6千平方メートルを禁煙区域に指定しており、違反した場合の過料は10万ウォンです(2026年9月7日確認)。
もう一つの実例が江南区(강남구)です。江南区庁公式サイトの発表(2026年4月21日付)によると、テヘラン路沿いの東側歩道(宣陵駅2番出口〜ポスコ사거리の700メートル)と西側歩道(ケンブリッジビル〜駅三駅2番出口の685メートル)を新たに禁煙街に指定し、2026年4月23日から集中的な取り締まりを始めています。過料は最大10万ウォンで、2026年4月24日からは改正たばこ事業法の施行にともない、これまで取り締まりの対象外だった合成ニコチンの液状電子タバコも対象に加わりました(2026年9月7日確認)。同じ「最大10万ウォン」でも、対象区域も施行日も条例ごとに違うことが分かります。
過料の額と対象区域は自治体の条例で決まるため、この記事で紹介した中区・江南区の例をほかの区にそのまま当てはめないでください。訪問先の区の過料額と禁煙区域は、その区の公式サイトや現地の案内表示で必ず確認しましょう。
喫煙所(흡연구역・흡연부스)の探し方と見分け方
禁煙区域が広がっている一方で、指定された흡연구역(フビョングヨク・喫煙区域)や흡연부스(フビョンブス・喫煙ブース)も各地に設けられています。屋内施設の場合は、任意で設置された喫煙室が店内の奥や別室にあることが多く、入店時にスタッフへひと声かければ場所を教えてもらえます。屋外の場合は、禁煙区域の看板が立っている場所の外側や、駅・繁華街の一角に囲いのある喫煙ブースが置かれていることがあり、見た目にも「ここだけは吸える」ことが分かる作りになっているケースが目立ちます。
確実なのは、こうした表示そのものを現地で確認する方法です。最新の喫煙所の位置や新設・撤去の情報は各自治体・各施設が随時更新しているため、この記事内の情報だけを頼りにせず、訪問先の区公式サイトや施設の案内で最新状況を確認してください。なお、空港のように独自ルールを持つ施設もあります。入国後すぐに一服したい人は、到着エリアの喫煙区域を別記事仁川国際空港の喫煙所ガイドにまとめているので、そちらもあわせて見ておくと出入国の動線がイメージしやすくなります。
加熱式・電子タバコは同じ扱いか
「紙巻きたばこはダメでも、加熱式や電子タバコなら大丈夫では」と考える人もいるかもしれませんが、確認できた範囲ではそうはなっていません。담배사업법(たばこ事業法)は電子タバコを「ニコチンを含む溶液または葉たばこの固形物を電子装置で吸入し、喫煙と同様の効果を出せるようにしたもの」と定義しており、葉たばこスティックを高温加熱する궐련형(加熱式)と、ニコチン液を電気で加熱する액상형(液状式)の両方がこの定義に含まれます。
さらに2025年12月2日の国会本会議で改正담배사업법が可決され、合成ニコチンを使った液状電子タバコも法律上の「たばこ」に編入されました。この改正を受けて、江南区では2026年4月24日から、それまで取り締まりの対象外だった合成ニコチン電子タバコも禁煙区域での喫煙取り締まりの対象に加わっています(前章参照)。つまり紙巻き・加熱式・液状式のいずれも、原則として同じ禁煙区域規制の対象と考えておくのが安全です。細かい適用時期は自治体や施設によって差が出る可能性があるため、最新の扱いは訪問先の公式案内で確認してください。
たばこを韓国に持ち込める本数——入国時の免税範囲
韓国入国時に免税で持ち込めるたばこの数量は、関税庁(관세청)の公式サイトで確認できます。確認できた範囲では、フィルター付きたばこ(紙巻きたばこ)は200本、電子タバコのニコチン溶液はニコチン濃度1%未満のもので20ミリリットルまでが免税範囲です(2026年9月7日確認)。葉巻や加熱式たばこ個装分などの細かい数量については、今回確認できた公式ページの記載からは数字を特定できなかったため、渡航前に関税庁公式サイト(customs.go.kr)で最新の数量を確認することをおすすめします。
もう一つ重要なのが年齢の条件です。関税庁の公式サイトは「満19歳未満(出生年基準)の未成年者は、酒類・たばこの免税範囲が一切ない」と明記しています。これは免税の話であって、未成年者の喫煙そのものが韓国でも法律で禁止されていることとは別の話です。未成年の喫煙は日本と同じく禁止されている行為なので、年齢にかかわらず持ち込みや喫煙のルールを事前に確認しておくことが前提になります。
日本へ持ち帰るときの数量——帰国時の税関ルール
韓国で買ったたばこを日本へ持ち帰る場合は、日本の税関(財務省)のルールが適用されます。公式サイトのカスタムスアンサーによると、免税の範囲は紙巻たばこ200本、葉巻たばこ50本、加熱式たばこ個装等10個、その他のたばこ250グラムのいずれか1種類のみを持ち帰る場合の数量です(2026年9月7日確認)。複数の種類を組み合わせて持ち帰る場合は、それぞれの種類ごとの割合に応じて按分計算される仕組みになっています。
年齢の条件も日本側の基準で見る必要があります。税関公式サイトは「20歳未満の場合はたばこ・酒類の免税対象にならない」としており、韓国側の「満19歳未満」という基準とは年齢の区切りが1歳違います。つまり韓国では免税対象になった年齢でも、日本の税関では対象にならない年代が生まれる可能性があるということです。韓国での買い物と日本での持ち込みは別々のルールで動いていると考え、どちらの基準にも当てはまっているかを出発前に確認しておくと安心です。
よくある質問
まとめ
- 国民健康増進法により、飲食店・カフェ・PC房・宿泊施設など屋内施設は原則として建物全体が禁煙区域
- 屋外の禁煙区域と過料の額は、上限10万ウォンの範囲内で自治体(区)の条例が個別に決める
- ソウル市は3大広場・地下鉄出入口10m・バス停10m・市立公園24カ所・学校周辺50mなどを市レベルで指定
- 中区はソウル駅広場一帯で過料10万ウォン、江南区はテヘラン路沿いで最大10万ウォンという実例がある(2026年9月7日確認)
- 加熱式・液状式の電子タバコも、紙巻きたばことほぼ同じ禁煙区域規制の対象
- 韓国入国時の免税は紙巻きたばこ200本・電子タバコ液20ミリリットルまで(満19歳未満は免税対象外)
- 日本帰国時の免税は紙巻たばこ200本・葉巻50本・加熱式個装等10個・その他250gのいずれか1種類分(20歳未満は対象外)
韓国のたばこルールは、「屋内はほぼ全面禁煙」という一点さえ押さえておけば大枠は迷いません。厄介なのはその先の屋外部分で、禁煙区域の場所も過料の額も自治体まかせになっているという構造そのものです。この記事で紹介した中区・江南区の実例はあくまで一例で、訪問先が変われば数字も区域も変わり得ます。旅先で判断に迷ったときは、目の前の案内表示と、その自治体の公式サイトを最後の拠り所にしてください。喫煙以外の持ち物・トラブル対策は韓国旅行の安全ガイドに、屋台やお酒の場での過ごし方はソウルのポジャンマチャ(屋台)ガイドとソウルで一人飲みするガイドにまとめているので、渡航前にあわせて目を通しておくと安心です。
参考・出典
- 찾기쉬운 생활법령정보(easylaw.go.kr) 금연구역 https://easylaw.go.kr/CSP/CnpClsMain.laf?popMenu=ov&csmSeq=908&ccfNo=4&cciNo=1&cnpClsNo=1 (2026年9月7日確認)
- ソウル特別市公式サイト「間接喫煙被害予防(禁煙区域)」 https://news.seoul.go.kr/welfare/archives/243465 (2026年9月7日確認)
- 国家法令情報センター 自治法規(中区 禁煙環境造成及び間接喫煙被害防止条例) https://www.law.go.kr/LSW/ordinInfoP.do?ordinSeq=1751861 (2026年9月7日確認)
- 江南区庁公式サイト テヘラン路禁煙街に関する公示 https://www.gangnam.go.kr/board/B_000031/1075099/view.do?mid=ID01_0313 (2026年9月7日確認)
- 関税庁(관세청)公式サイト 여행자 휴대품 통관 https://customs.go.kr/kcs/cm/cntnts/cntntsView.do?mi=2837&cntntsId=829 (2026年9月7日確認)
- 税関(財務省)公式サイト カスタムスアンサー7105 海外旅行者の携帯品の免税範囲 https://www.customs.go.jp/tetsuzuki/c-answer/keitaibetsuso/7105_jr.htm (2026年9月7日確認)

