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終電を逃した夜のホンデ。目の前に止まった車に乗り込む直前で、ふと手が止まる——「この距離、いくらになるんだろう」。韓国旅行の移動でいちばん心細いのは、たぶんこの数秒ではないでしょうか。
先に答えを置きます。韓国のタクシー料金でモヤモヤしないために必要なのは、公式の運賃を知っておくことと配車アプリで乗ること。この2つでほとんどの不安は解消できます。相手を見抜く目を養う必要はありません。必要なのは、料金の決まり方という「仕組み」の知識だけ。
前提も置いておきます。ソウルを走るタクシーは、市に届け出た料金体系どおりに営業している事業用車両が大多数。だからこれは誰かを疑うための記事ではなく、制度と手順を先に知っておけば、想定外の金額が出ても落ち着いて確認できる——そのための道具を配る記事です。
やることは2つだけ。①ソウル市公式の基本料金と深夜割増の時間帯を頭に入れておく ②流しで拾わず配車アプリを使う。そのうえで降りたあとに領収書を受け取れば、もし納得できない金額でも公的な窓口に相談できる状態になります。
- 一般(中型)タクシーの基本料金は1.6kmまで4,800ウォン(2026年8月7日確認時点・ソウル特別市公式)
- 深夜は時間帯で割増率が変わる。23時〜翌2時が40%増で、この帯がいちばん高い(2026年8月7日確認時点)
- 黒い車体の模範タクシーは別の料金体系。高く出ても不正ではない
- 納得できないときの窓口はソウル市の120다산콜재단(02-120/365日24時間)(2026年8月7日確認時点)
アプリの登録から配車ボタンを押すまでの操作は、この記事では扱いません。全体像は「カカオタクシーの使い方」へ。ここで扱うのは、乗る前・乗車中・降りた後の3場面で何を見るかです。
ソウル市公式の運賃を、乗る前に知っておく
ソウルのタクシー運賃は、ソウル特別市が公表している料金体系で決まります。以下はすべて一般(中型)タクシーの昼間料金、2026年8月7日確認時点の公表値。
| 項目 | 金額・条件 |
|---|---|
| 基本料金(昼間) | 1.6kmまで 4,800ウォン |
| 距離加算(昼間) | 131mごとに 100ウォン |
| 渋滞などで低速のとき | 30秒ごとに 100ウォンの時間加算に切り替わる |
| 市外(市界外)へ出たとき | 20%割増 |
(出典: ソウル特別市公式 交通分野サイト・2026年8月7日確認時点)
つまり、こういうこと。1.6kmは歩けば20分くらいの距離で、そこまでが4,800ウォン。あとは131m進むごとに100ウォンずつ積み上がります。渋滞で車が進まないときは距離ではなく時間でカウントされる仕組みなので、メーターが止まらないのは故障ではありません。택시=タクシー
深夜割増は「率」ではなく「時間帯」で覚える
いちばん誤解が生まれやすいのが深夜帯。ここは一律ではなく、時間帯で2段階に分かれています。
| 時間帯 | 割増率 | 1.6kmまでの基本料金 |
|---|---|---|
| 4時〜22時(昼間) | なし | 4,800ウォン |
| 22時〜23時 | 20%増 | 5,800ウォン |
| 23時〜翌2時 | 40%増 | 6,700ウォン |
| 2時〜4時 | 20%増 | 5,800ウォン |
(出典: ソウル特別市公式 交通分野サイト・すべて2026年8月7日確認時点)
体感でいうと、いちばん高い23時台〜2時は基本料金が昼間の1.4倍。前後の時間帯は1.2倍です。ここに市外への移動が重なると割増は累積し、最大60%まで積み上がることがあると公表されています(2026年8月7日確認時点)。
黒いタクシーは、そもそも別料金
もうひとつ知っておきたいのが、車種によって料金体系そのものが違うこと。模範(모범)タクシーの基本料金は3kmまで7,000ウォンで、距離加算・時間加算も一般タクシーとは別体系(一般より高額)と公表されています(2026年8月7日確認時点)。初乗り距離が長い代わりに、出発点も高い。「思ったより高い」と感じた瞬間の正解は、疑うことではなく、自分がどのカテゴリの車に乗ったのかを確かめること。
空港などで使われるインターナショナルタクシーも、メーター料金制なら中型・大型・模範と同じ体系。ただし外国人が乗車する場合は20%の割増が可能とされ、区間料金制・貸切料金制も別途運営されています(2026年8月7日確認時点)。定額を提示されることがあるのは、この区間料金制が理由のことも。
【乗る前】正規タクシーかどうかを判定する
正規タクシーとは、管轄庁の許可を受けて有償で人を運べる「事業用車両」のこと。逆にいうと、許可なく自家用車で有償運送をおこなうのは違法です。
見分けのポイントは、乗り込む前の数秒で確認できるものだけに絞りました。上から順に見ていけばOK。
- 車体の色:オレンジは2010年にソウル市がインターナショナルタクシーから導入し、その後一般タクシーへ拡大したもの。黒は模範タクシー(政府広報媒体の説明・2026年8月7日確認時点)
- ナンバープレートの色:黄色ナンバーが事業用(正規許可)車両と案内されています
- プレートのハングル1文字:「아・바・사・자」のいずれかが事業用にあたる、とされています
- 白ナンバーなら自家用:無許可有償運送の疑いがあると案内されています。声をかけられても乗らない
- メーターが車内にあるか:乗り込んでから探すのではなく、ドアが開いた時点で目視
ナンバープレートまわりは、編集部が確認できた範囲では国土交通部の規定を引用した報道が出どころ。法令原文までは直接確認できていないので、判定の最終根拠にはせず「複数の目印のひとつ」として使うのが安全です。

声をかけてくる車に、そのまま乗らない。管轄庁の許可がない自家用車での有償運送は違法で、ソウル市は条例に基づき市民の通報に1件100万ウォンの報奨金を支給し、2025年1月から取り締まりを強化したと発表しています(2026年8月7日確認時点)。報奨金の額そのものが、行政が力を入れている領域だというサイン。
大きなスーツケースを引いて到着ロビーを出た直後や、深夜に人通りの少ない通り。声をかけられると正直ありがたく感じますが、そこがいちばん判断力の落ちるタイミングでもあります。「向こうから来た車には乗らない」と旅の最初に決めておくだけで、迷う場面はほぼ消えます。
【乗車中】メーターと料金の決まり方を確認する
乗ってからやることは、実はひとつだけ。「この乗車の料金は、何で決まるのか」を最初の10秒で確定させることです。
配車アプリのカカオTは、呼び出しの種類によって料金の決まり方が違います。ここを知らないまま乗ると混乱しがち。カカオモビリティ公式の案内をもとに整理しました。
| 呼出の種類 | 料金の決まり方 | 事前確定 | 見るところ |
|---|---|---|---|
| 一般呼出 | メーター料金(各自治体に届け出た料金体系にしたがう) | なし | 降車時のメーター表示が最終額 |
| スマート呼出 | メーター料金+変動制の利用料 | なし | メーター額に利用料が上乗せされる |
| 模範呼出 | メーター料金+変動制の利用料 | なし | 模範タクシーは料金体系そのものが別 |
| 予約呼出(ベンティ等の片道予約) | 事前に確定した料金を案内 | あり | 目的地を変更すると追加料金が発生 |
(出典: カカオモビリティ公式 有料サービス詳細・利用約款/2026年8月7日確認時点)
整理すると、こう。アプリで呼んでも、多くの場合は料金が事前確定しているわけではなくメーターで決まる。事前確定なのは予約呼出のほうです。だから「アプリで呼んだのに表示より高かった」の多くは、そもそも確定料金ではない呼び方だった、というだけのこと。
- 乗った直後:メーターが基本料金の表示から動き出しているかを見る。深夜帯なら、割増後の金額が出発点になります
- 走行中:市外へ出る予定があるか頭に入れておく。市界を越えると20%の割増が乗るため(2026年8月7日確認時点)、金額の伸び方が変わります
- 降りる前:メーターの数字を自分の目で確認してから支払う。アプリ決済でも、画面の内訳をそのまま閉じない
ちなみに、地図アプリでルートを表示したまま乗るのも有効。言い争うための準備ではなく、会話しなくても済むようにするための準備です。미터기=メーター
【降りた後】納得できないときの公的な申告先
降りたあとに使えるのは、感情ではなく記録です。まず영수증(領収書)を受け取ること。アプリ決済なら履歴が、現金なら領収書が、そのまま相談の材料になります。영수증=領収書
| 窓口 | 連絡先・対応 | どんなときに | 確認状況 |
|---|---|---|---|
| 서울특별시 120다산콜재단 | 02-120/365日24時間 | 運賃や対応に納得できないとき全般。ソウル市の物価情報ページでも問い合わせ先として案内 | ソウル市公式で確認(2026年8月7日確認時点) |
| ソウル市への通報制度 | 「旅客自動車運輸事業法違反行為申告褒賞金支給条例」に基づく | 外国人への不当な料金請求。区に委任していた処分権限をソウル市に回収し、通報の褒賞金は1件50万ウォン | ソウル市発表を引用した報道(2026年8月7日確認時点) |
| 無許可有償運送の通報 | 通報の報奨金は1件100万ウォン | 白ナンバーの自家用車による有償運送など | ソウル市発表を引用した報道(2026年8月7日確認時点) |
| 서울관광경찰대 | ソウル警察庁所属。明洞・南大門・弘大・梨泰院・仁寺洞・東大門を管轄と案内されています | 観光地エリアで、その場での対応が必要なとき | 原文未確認・伝聞(2026年8月7日確認時点) |
| 1330 | 韓国観光公社が運営する観光通訳案内電話とされています | 言葉が通じず、どこに相談すべきか分からないとき | 原文未確認・伝聞(2026年8月7日確認時点) |
観光警察の管轄エリアと1330の位置づけは、編集部が公式ページの原文まで直接確認できていません。現地では最新の案内でご確認ください。
相談する側として大事なのは、その場で完結させようとしないこと。降りてから連絡しても遅くはありません。
- 領収書、またはアプリの決済履歴のスクリーンショットを確保する
- 乗車した日時・乗った場所・降りた場所をメモに残す(車体色やナンバーが分かればなお良し)
- 宿に戻ってから120(02-120)へ。24時間対応なので、翌朝でも夜中でも構いません
これは自分で対処しないほうがいいケース
ここまでは「確認する」話でしたが、確認してはいけない場面もあります。線引きをはっきりさせておきます。
相手の口調が強い、車から降ろしてもらえない、身の危険を感じる——このときは金額を一切争わないでください。支払って降りる、あるいは人通りのある場所・店内へ移動する。金額の正しさを証明するより、その場を離れるほうが常に優先です。金銭の話は、離れたあとで120や観光警察に引き継げます。
金額の差はあとから制度に乗せて取り戻せる可能性がありますが、その場での対立は取り返しがつきません。「争わずに離れて、記録を持って公的窓口へ」が正解。言葉が通じず迷うときは、無理に説明せず観光通訳案内の窓口を頼るのが早いはず。
よくある質問
まとめ:今日やることは1つだけ
渡韓前に、カカオTをスマホに入れて支払い方法まで登録しておく。今日やるのはこれだけで十分です。流しで拾う必要がなくなった時点で、この記事の心配ごとの大半は消えます。
そして現地では、3ステップだけ思い出してください。
- 乗る前:黄色ナンバーとハングル1文字(아・바・사・자)を見る。声をかけてきた車には乗らない
- 乗車中:メーターが基本料金から動き出したかを見る。深夜帯・市外なら金額の出発点が変わる
- 降りた後:영수증を受け取る。納得できなければ02-120へ、24時間いつでも
料金の仕組みを知っていれば、韓国のタクシーはただの便利な移動手段。地下鉄が止まっている時間に荷物ごとホテルまで運んでくれる存在です。制度を味方につけて、気持ちよく。
タクシー以外の場面も含めて困ったときの窓口を把握しておきたいなら、「韓国旅行のトラブル対処」もあわせてどうぞ。
参考・出典
- ソウル特別市公式 交通分野サイト(タクシー運賃/最終修正2026-04-03・交通企画官タクシー政策課)https://news.seoul.go.kr/traffic/archives/1659(2026年8月7日確認)
- ソウル特別市公式 物価情報(タクシー・120다산콜재단の案内)https://sftc.seoul.go.kr/seoul/mulga/main/contents.do?menuNo=200023(2026年8月7日確認)
- 政策ブリーフィング(文化体育観光部運営の政府広報媒体/タクシー車体色)https://www.korea.kr/news/policyNewsView.do?newsId=148909092(2026年8月7日確認)
- カカオモビリティ公式 有料サービス詳細・利用約款https://policy.kakaomobility.com/ko/terms_210708/paid_service.html(2026年8月7日確認)
- ニュートマト(ソウル市発表を引用した報道/無許可有償運送の取り締まり・通報褒賞金)https://www.newstomato.com/ReadNews.aspx?no=692910(2026年8月7日確認)
- 国土交通部規定を引用した報道(事業用車両のナンバープレート区分/法令原文は未確認)https://topictree.co.kr/automobiles/news/korea-taxi-safety-guide-license-plate-check/(2026年8月7日確認)
- ソウル観光警察隊の案内ページ(原文の直接確認はできていません)https://www.police.go.kr/www/agency/orginfo/tourPol/intrcnTP03.jsp(2026年8月7日確認)
※運賃・制度は改定されることがあります。渡韓前にソウル市公式サイトで最新の内容をご確認ください。

