厚岩洞の歩き方|龍山と南山の間の静かな街

厚岩洞の坂道に立ち、階段の先に南山タワーが見える住宅街の情景

本記事にはプロモーションを含みます。

「景福宮も北村も回ったし、次はもう少し生活の匂いが残る街に行きたい」——そんな気分になったら、厚岩洞(후암동)はちょうどいい行き先かもしれません。

結論から

厚岩洞は、龍山と南山の間に広がる坂の多い住宅街。地下鉄の出口からは少し歩きますが、そのぶん観光地化のスピードがゆるく、日本統治期の住宅の名残や小さな市場、坂道沿いのカフェが同居しています。南山への徒歩ルートの起点でもあり、ソウル駅・南営駅周辺に泊まって半日〜1日で歩くのに向く街です。

目次

結論から:厚岩洞はどんな街か

厚岩洞は、ソウル駅と龍山の中間、南山の南麓に位置する住宅街です。北村や益善洞のように「観光地」として整備された街ではなく、あくまで人が暮らす住宅地の中に、坂道沿いのカフェや小さな市場が点在している、というのが実際の姿に近いです。

地下鉄でいうと4号線の淑大入口(숙대입구)駅・南営(남영)駅、そしてソウル駅が徒歩圏に入ります。駅の出口から観光名所へ直結する街ではなく、坂を上りながら少しずつ景色が変わっていくタイプの街だと考えておくと、着いてからのギャップが少なくて済みます。

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ソウルイン編集部正直に言うと、地図だけ見ていると「ソウル駅の近くだしすぐ着くだろう」と思いがちです。でも実際は坂と路地の連続なので、時間にはコーヒー1杯分くらいの余裕を持っておくのがおすすめです。

付岩洞(付岩洞の歩き方)が北岳山の麓の住宅街だとすれば、厚岩洞は南山の麓の住宅街。どちらも地下鉄の駅から少し距離があり、観光地化のスピードがゆるいという共通点があります。ソウルのエリアごとの回遊のしかたはソウルのエリア別ガイドでも整理しているので、厚岩洞をどこに組み込むか迷ったら参考にしてみてください。

アクセス:ソウル駅・南営駅・淑大入口駅からの歩き方

厚岩洞への行き方はシンプルです。地下鉄1・4号線・京義中央線・空港鉄道が乗り入れるソウル駅、または4号線の南営駅・淑大入口駅のいずれかで降り、そこから徒歩で坂を上っていく形になります。南営駅と淑大入口駅は徒歩5分ほどの距離で、どちらから歩いても厚岩洞の入り口にたどり着けます。

ソウル市の公式サイトが紹介している徒歩ルートの一例では、淑大入口駅2番出口を出て南営洞住民センターの方向へ直進し、龍山高校を通り過ぎてロータリーに到達したあと、厚岩洞108階段へ進む、という道順になっています(2026年9月10日確認)。案内看板が豊富な街ではないので、地図アプリで現在地を確認しながら歩くのが安心です。

坂の街ではありますが、駅からのアクセスそのものは難しくありません。서울역(ソウル駅)から向かう場合は、駅の南側・南山方面の出口を使うと厚岩洞の入り口までの距離がいちばん短くなります。荷物が多い日や雨の日は、タクシーに切り替えても料金の負担は大きくありません。

  • 最寄りは地下鉄4号線・淑大入口駅または南営駅
  • ソウル駅からも徒歩圏(南側出口が近道)
  • 駅からは坂道が続くので歩きやすい靴がおすすめ

街の成り立ち:日本統治期の住宅地の名残

厚岩洞を歩いていると、ところどころに古い一戸建てが混じっていることに気づきます。これは偶然ではなく、この一帯が日本統治期に日本式の住宅地として開発された歴史と関係があります。解説記事によると、日本陸軍の駐屯地があった龍山区の元暁路・龍門洞・新龍山、そして厚岩洞一帯には、いわゆる「積産家屋(적산가옥)」——日本人が建てて光復後に韓国側に引き継がれた住宅——が集中して残っているとされています。

隣接する解放村(해방촌)一帯も、日本統治期には日本軍の基地・射撃場・護国神社として使われた土地でした。光復後は米軍政の管轄地となり、旧日本軍施設をそのまま龍山米軍基地が引き継いだことで、この一帯には北からの避難民や引き揚げ者、朝鮮戦争の避難民が定着し、現在の解放村・厚岩洞のもとになったといわれています。

後で紹介する厚岩洞108階段も、もとをたどれば日本が1939年に計画し1943年に完成させた神社「京城護国神社」への参道が起源とされています。日本の敗戦により慰霊祭は一度も行われなかったという経緯も伝わっています。今の厚岩洞は、こうした複雑な近現代史の上に、リノベーションされたカフェや市場が乗っている街だと捉えると、坂道の風景の見え方が少し変わるかもしれません。

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ソウルイン編集部看板一つない古い家の前で足を止めてしまうことがあります。観光地として説明されているわけではないぶん、自分で少し歴史を知ってから歩くと、同じ坂道でも見え方がまったく違ってきます。

南山への登り口としての立ち位置

厚岩洞のもう一つの顔が、「南山への徒歩ルートの入り口」という役割です。中心にあるのが厚岩洞108階段。急な坂を階段で一気に上るルートで、周辺住民の負担を減らすために階段の中央には傾斜型エレベーターが設置されています(2018年設置・無料で利用可、2026年9月10日確認)。坂道に自信がない人は、このエレベーターを使う手もあります。

108階段を過ぎると、「本格的な上り坂」が始まると複数の紹介記事が共通して伝えています。ソウル市公式サイトが案内する道順では、108階段を抜けたあと路地を通ってソウォン庭園(소월정원)を経由し、南山公園の入り口に到着する流れになっています(2026年9月10日確認)。傾斜がかなりある区間なので、休み休み進むくらいの気持ちでちょうどいいと思います。

近年、108階段の両側にはタイルの壁画やフォトスポットが設けられ、路地には個性的な小さな店も増えてきました。神社の参道という重い歴史を持つ場所が、今はアートと生活が同居するエリアに変わっている——このギャップも、厚岩洞から南山を目指す価値の一つだと思います。

厚岩洞108階段の急坂を、階段組と併設エレベーター利用組の2択で示す図

108階段周辺は坂の傾斜がかなり急です。ベビーカーや大きなスーツケースがある場合は、無理をせず併設のエレベーターを使うか、タクシーで南山ルートの手前まで移動することをおすすめします。

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カフェとベーカリーの集まり方

厚岩洞の坂道沿いには、近年カフェやベーカリーが増えてきています。このエリアは「용리단길(ヨンリダンギル)」という通称で呼ばれることがあり、「龍山」と、近年韓国で流行した「〜リダンギル」という地名パターンを組み合わせた呼び名です。街全体はコンパクトなので、地図アプリを見ながらのんびり回るのに向いています。

個人経営の小さな店が中心のエリアという性格上、この記事では特定の店を主役にはしません。ただ、街の雰囲気が伝わる型の例として、いくつかの店名がグルメ情報サイトに現行の情報として掲載されているのは確認できました。南山の景色が窓から見えるカフェ、洞窟のような内装が特徴のカフェ、本とパンをテーマにしたベーカリーカフェなど、こぢんまりとした店ながら個性はさまざまです。

ただし、こうした個人店は改装・移転・定休日の変更が珍しくありません。編集部で公式サイトや公式SNSの直近の投稿までは確認しきれなかったため、この記事では店名を挙げての紹介はあえて控えます。訪れる前に、地図アプリの営業情報や店のSNSで「今日開いているか」を一度チェックしてから向かうのが確実です。

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ソウルイン編集部坂の途中に急に洒落たカフェが現れると、ちょっと得した気分になります。ただ、シートマスク1枚分くらいの気軽さで「気になったら入る」くらいの構えで歩くほうが、この街には合っている気がします。

城北洞の歩き方も、坂の多い住宅街にカフェが点在するという意味で厚岩洞と近い性格のエリアです。街歩き好きなら、両方を比べてみるのも面白いはずです。


厚岩市場を歩く

厚岩洞の生活を支えているのが、厚岩(在来)市場(후암시장)です。ソウル駅から徒歩8〜10分ほど、龍山区漢江大路104キル77に位置する伝統市場で、公表情報では約60年の歴史があり、約50〜53店舗が営業する小規模な市場だとされています(2026年9月10日確認)。2015年にはアーケードの設置や照明の改善、看板整備、床の舗装し直しといった近代化工事が行われました。

扱っているのは農水産物や果物、惣菜、餅など、観光客向けというより地元の人の日常の買い物のための品ぞろえです。派手さはありませんが、坂道を歩いたあとにこういう生活感のある場所を通ると、この街が「作られた観光地」ではないことが実感として伝わってきます。

市場の一角には、韓国国内でも珍しい「伝統市場の中のジャズクラブ」があります。名前は「サウンドドッグ(사운드독)」。60代のオーナーが営む店で、公表情報では月〜土曜20:00〜22:00(日曜は19:00〜)に生演奏、営業時間は18:00〜23:00、席数は約30席とされています。予約はInstagram(@sounddog_jazz)へのメッセージで受け付けており、予約料は1人2万ウォン(2026年9月10日確認)。2025年2月の報道でも紹介されており、現時点で営業していることが複数の情報源で確認できています。

厚岩市場は観光客向けの市場ですか?
どちらかというと地元の人向けの生活市場です。農水産物や惣菜など日常の買い物が中心で、広川市場や広蔵市場のような「食べ歩き」目的の観光客向けの品ぞろえとは性格が違います。市場の雰囲気とジャズクラブのギャップを楽しむ場所、というイメージが近いと思います。

坂の多さと歩きやすさ

厚岩洞を歩くうえで、いちばん体力に響くのが坂の多さです。ソウル駅や地下鉄駅から厚岩洞の中心部に入るだけでも上り坂が続き、さらに南山方面を目指すなら108階段とその先の急な坂を上ることになります。平地の街を想像して歩くと、想定より息が上がるはずです。

坂道の多さは裏を返せば、高台からの眺めのよさにもつながっています。カフェの窓や路地の途中から、南山の緑とソウル都心のビル群が同時に視界に入る場面が何度もあります。北村や西村のような路地裏の情緒とはまた違う、少し引いた視点のよさがここにはあります。

体力に自信がない人は、厚岩市場周辺の平坦な部分だけを歩いて折り返す、という組み方でも十分にこの街の空気は感じられます。108階段のエレベーターを使えば、南山方面への移動もかなり楽になります。全部を踏破しようとしなくても、この街は十分楽しめる作りになっています。

  • 駅から厚岩洞の中心部まで、すでに上り坂が続く
  • 南山を目指すなら108階段+その先の急坂がある
  • 坂が不安なら108階段のエレベーターやタクシーに切り替えてよい

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混みぐあい(観光地化の度合い)

厚岩洞は、北村や益善洞、延南洞のように「観光地化が進みすぎて地元の人が離れた」というタイプの街ではありません。今回の調査で見つかった複数の紹介記事も、厚岩洞やその周辺の南山ルートについて「人が多くなく、のんびりしている」といった表現で描写しているものが目立ちました。

とはいえ、これは「今後も混まない」という保証ではありません。ヨンリダンギルという通称がついている時点で、すでにある程度は知られたエリアになっているとも言えます。カフェやベーカリーが増えてきているという情報もあり、数年単位で見れば街の雰囲気は変わっていく可能性があります。

今の時点での体感としては、週末の午後でも写真を撮るために順番待ちをするような場面には出会いにくい街、というのが公表されている情報から読み取れる範囲です。静かな街歩きを求める人には、この「まだそこまで混んでいない」段階が一番の魅力かもしれません。

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ソウルイン編集部北村で人混みに疲れたあと、厚岩洞のような住宅街に来ると呼吸が楽になる感じがあります。ただ、この空気感がいつまでも続くとは限らないので、興味があるなら早めに歩いておくのが正解かもしれません。

どんな人に向くか・向かないか

厚岩洞は、ソウル2回目・3回目以降で「定番から少し外れた街を歩きたい」人に向きます。歴史的な背景に興味がある人、坂道の眺めやカフェ巡りが好きな人、市場のような生活感のある場所が好きな人には、滞在時間に対する満足度が高いエリアだと思います。

逆に、初めてのソウル旅行で時間が限られている人や、坂道・階段が体力的にきつい人には、優先順位を上げなくてもいい街です。効率だけを考えるなら、地下鉄駅から直結する景福宮や明洞を回るほうが時間を有効に使えます。

城北洞(城北洞の歩き方)と同様、厚岩洞も「何かを消費するための街」というより「歩くこと自体が目的になる街」です。推しのグッズを1個買うような明確な目的地がなくても楽しめるタイプの街だと考えると、向き不向きが判断しやすいはずです。

子ども連れやベビーカーでも歩けますか?
厚岩市場周辺など平坦な部分は問題ありませんが、108階段の先や南山方面は急な坂が続くため、ベビーカーでの移動は負担が大きくなります。エレベーターの併設区間を活用するか、南山方面は無理をせず市場周辺の散策にとどめる組み方が現実的です。

泊まるならどこか

厚岩洞そのものは住宅街としての性格が強く、宿泊施設が集積しているエリアではありません。今回の調査では、厚岩洞のメイン通りである후암로(フアムロ)沿いに「ケイポップゲストハウス ソウル駅店」(후암로57길3-9)が実名・住所付きで宿泊予約サイトに掲載されているのを確認できました(2026年9月10日確認)。ただし選択肢は多くないため、隣接するソウル駅・南営駅・淑大入口駅周辺のホテルとあわせて探すのが現実的です。現実的な組み方としては、厚岩洞に隣接するソウル駅・南営駅・淑大入口駅周辺のホテルに泊まり、そこから歩いて厚岩洞・南山へ向かうスタイルになります。

ソウル駅周辺はKTXや空港鉄道(AREX)の起点でもあるため、地方都市への移動や仁川空港との行き来がある旅程とも相性がよいエリアです。龍山エリアのホテルガイドもあわせて読むと、厚岩洞への歩きやすさとあわせてホテル選びの参考になるはずです。

ホテルのエリアで悩んだら、まずは主要な候補をまとめて比較してみるのが早道です。日程と一緒に検索すると、厚岩洞・南山への距離感も含めて選びやすくなります。

ソウルのホテルを比較するソウル駅・龍山エリアが動きやすい


よくある質問

厚岩洞には地下鉄の駅がありますか?
はい。地下鉄4号線の淑大入口駅・南営駅が徒歩圏で、ソウル駅からも歩いて向かえます。ただし駅の出口から観光名所へ直結する街ではなく、坂を上りながら少しずつ景色が変わっていくエリアです。
厚岩洞から南山タワーまで歩いて行けますか?
厚岩洞108階段を経由するルートがあり、公式サイトが案内する道順では路地とソウォン庭園を通って南山公園の入り口に到着します。傾斜がかなり急な区間があるため、体力に自信がなければ108階段に併設された無料の傾斜型エレベーターを使う方法もあります。
厚岩洞は観光地として混んでいますか?
今回確認できた紹介記事の範囲では、北村や益善洞ほど混雑しているという情報は見当たりませんでした。「人が多くなく、のんびりしている」という描写が目立つエリアですが、カフェ街として知られ始めているため、今後は雰囲気が変わっていく可能性もあります。
厚岩洞に泊まることはできますか?
厚岩洞のメイン通り沿いに「ケイポップゲストハウス ソウル駅店」(후암로57길3-9)などが実名で確認できます(2026年9月10日確認)。ただし選択肢は多くないため、隣接するソウル駅・南営駅・淑大入口駅周辺のホテルに泊まり、そこから歩いて厚岩洞・南山へ向かう方法も現実的です。現実的には、隣接するソウル駅・南営駅・淑大入口駅周辺のホテルに泊まり、そこから歩いて厚岩洞・南山へ向かうスタイルが動きやすいはずです。

まとめ

  • 厚岩洞は龍山と南山の間、坂の多い住宅街
  • 最寄りは地下鉄4号線・淑大入口駅/南営駅、ソウル駅からも徒歩圏
  • 日本統治期の住宅の名残が残り、108階段はもと神社参道という歴史がある
  • 南山へは108階段経由のルートがあり、急坂には無料の傾斜型エレベーターを併設
  • ヨンリダンギルと呼ばれるカフェ街や厚岩市場(ジャズクラブ「サウンドドッグ」あり)がある
  • 北村や益善洞ほど混んでいないという紹介が目立つが、今後は変わる可能性もある
  • 宿泊はソウル駅・南営駅・淑大入口駅周辺で確保するのが現実的

厚岩洞は、効率よく名所を回るタイプの街ではありません。坂道を上る手間、市場の生活感、古い住宅の名残——そうした要素を面倒に感じるか、逆に面白がれるかで、この街の評価は大きく変わるはずです。ソウルを何度か訪れて、次は少し違う角度から街を見てみたいと思ったら、まずは淑大入口駅から歩き始めてみてください。

ソウルのエリア別ガイドもあわせて読みながら、厚岩洞を旅程のどこに組み込むか考えてみてください。


参考・出典

  • 龍山区公式サイト 観光コース紹介 http://market.yongsan.go.kr/portal/main/contents.do?menuNo=200338(2026年9月10日確認)
  • ソウル市公式サイト(sports.seoul.go.kr)厚岩洞から南山公園までの道 https://sports.seoul.go.kr/main/board/10/3990/board_view.do(2026年9月10日確認)
  • ソウル市公式メディアハブ 厚岩市場・サウンドドッグ紹介 https://mediahub.seoul.go.kr/archives/2006764(2026年9月10日確認)
  • 国民日報 厚岩市場のジャズクラブに関する記事(2025年2月) https://www.kmib.co.kr/article/view.asp?arcid=0027787751(2026年9月10日確認)
  • オピニオンニュース 厚岩洞の日本式住宅に関する記事 https://www.opinionnews.co.kr/news/articleView.html?idxno=88218(2026年9月10日確認)
  • ソウルランド 解放村108階段の歴史に関する記事 https://www.seouland.com/arti/culture/culture_general/923.html(2026年9月10日確認)
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