急な雨で予定が崩れた午後、あるいはチェックインまでまだ時間がある夜。「どこか屋根の下で、静かに時間を潰したい」と思ったことはありませんか。カフェは長居しづらいし、映画館は時間が合わない。そんなときに韓国で選択肢になるのが만화카페(マンファカペ)です。靴を脱いで個室風の席に座り、漫画や雑誌に囲まれてごろごろできる場所、というイメージは持っていても、料金の仕組みや日本語の本の有無、一人でも浮かないかどうかは、行く前に気になるところだと思います。この記事では、韓国語の公式情報と法令をもとに、確認できたことと確認できなかったことをはっきり分けて整理しました。
만화카페は時間制の空間利用料が基本で、飲食は別注文になる店が多いという構造まで確認できました。具体的な金額は店舗ごとの変動が大きく統一された公式価格を確認できなかったため、この記事では書いていません。日本語の漫画原書が置いてあるかどうかは、公式に確認できた情報はなく、実際に「日本語の原書があるか」と探している利用者の声もあるほどです。一人での利用は、個室風の座席と静かな音楽の作りから浮きにくいと考えられます。一方で、個室の構造によっては未成年者の入店が制限され得るという法令上の論点があることも今回の調査で分かりました。
만화카페(マンファカペ)とは——日本の漫画喫茶との違い
만화카페は、日本語でいう「漫画喫茶(まんがきっさ)」に近い業態です。マットや簡易ベッドを備えた個人スペースで漫画を読みながら休み、簡単な食事もとれる場所、という基本の作りは共通しています。ただし中身は結構違います。日本の漫画喫茶は料金が時間制で、書籍の外部持ち出しができない店がほとんどという整理が一般的です。一方、韓国の만화카페は2000年代以降に姿を変えた業態で、以前の「만화방(漫画房)」「도서대여점(貸本屋)」が薄暗く、未成年の喫煙や成人向け漫画の不適切な貸出などで敬遠されていた反省から、2010年代にかけて清潔で明るいフランチャイズ主導の店に置き換わってきました。
一般的なカフェと違う点は、ある程度仕切られた個人空間があること、ラーメンやチャーハンのような軽食を注文できること、ボードゲームも一緒に楽しめること、そして音楽も比較的静かなことです。漫画を読む場所というより、個人の休憩スペースとして使う人が多いという説明もうなずけます。蔵書は廃業した貸本屋や書店の在庫をまとめて仕入れる店が多く、漫画だけでなくファンタジー小説や恋愛小説、武侠小説のようなライトノベル系まで並んでいることも珍しくありません。
料金はいくら?時間制が基本の仕組み
気になる料金ですが、公式に確認できた範囲では、만화카페は時間制の空間利用料を主な収益源とし、ドリンクやフード、デザートの販売が別売りになっているという構造です。「カフェの回転率の問題を補うため、時間制の料金で店舗を運営している」という説明がフランチャイズ側の発信にも見られました。つまり、入店してまず座席の時間を買い、飲み物や食事は気に入ったものを別注文する、という流れが基本になっているようです。
ただし具体的な金額については、この記事では書きません。個人の訪問記録では「1時間ごとの時間料金」「1時間+ドリンクのセット」「終日パス」のような料金体系が紹介されていましたが、フランチャイズの公式サイトで現在の統一料金表を確認できたチェーンはありませんでした。加盟店ごとに価格を決めている構造とみられ、同じブランドでも店舗によって差が出るのが実情のようです。行く前に、店頭やSNSで最新の料金を確認しておくのが確実です。
座席の種類によって追加料金が発生するかどうかも、公式サイトでは統一的な記載を確認できませんでした。個室風の席のほうが高い、というのはよく聞く話ですが、断定できる材料は今回そろいませんでした。コーヒー1杯分の予算で1時間過ごせるのか、映画1本分の予算になるのかは、正直なところ店舗次第という着地になります。
座席の種類で変わること——소굴방(ソグルバン)・다다미방(タタミバン)
만화카페の魅力のひとつが、座席の作り込みです。公式サイトで確認できた範囲では、소굴방(洞窟部屋のような個室風の席)、다다미방(畳敷きの部屋)、소파석(ソファ席)、좌식 테이블석(座卓のテーブル席)、대테이블(大きめのテーブル)、빈백존(ビーズクッションのゾーン)といった座席が用意されています。フランチャイズによっては「허니박스」というOTT視聴専用の個室もあり、こちらは追加の利用料なしで使えると案内されていました。
다다미방や좌식 테이블석という名前から分かるとおり、靴を脱いで上がる座席がある業態だと考えてよさそうです。ただし、店舗全体で入店時に必ず靴を脱ぐという共通ルールを明記した公式文言までは、今回確認できませんでした。フロアの作りは店舗ごとに違うため、入口の案内や店員の指示にしたがうのが安心です。
個室風の座席は居心地がよい反面、次に説明する未成年者の利用制限の論点とも関わってきます。カーテンや鍵の有無で扱いが変わる可能性があるため、家族連れの場合はとくに注意してください。
座席の予約可否や、混雑時にどの席から埋まるかについても、公式サイトに統一的な案内は見当たりませんでした。人気の高い個室席は待ち時間が発生しやすいという実務情報もあるので、こだわりの席がある場合は早めの時間帯を狙うのが無難そうです。
日本語の本は読めるか——確認できたことだけ書きます
これがいちばん気になる人も多いはずです。結論から言うと、日本語の漫画原書が置いてあると明記した公式情報は、今回見つけられませんでした。むしろ、韓国のオンライン掲示板では「ソウル・京畿・仁川で日本語の原書がある漫画房・漫画カフェはあるか」と、日本語話者らしき利用者が探している投稿があり、これは裏を返せば「原書があるのは一般的ではない」ことの傍証にもなります。
業態の説明では、店に並ぶ漫画は日本の漫画と韓国の漫画がもっとも多いとされていますが、日本側は主に単行本(出版された本)、韓国側はウェブトゥーンを書籍化したものが中心という、対照的な構成になっているという記述もありました。ここから推測できるのは、日本の漫画の多くは韓国語に翻訳された単行本として並んでいる可能性が高いということです。原語のまま置いてある店が皆無とは言い切れませんが、「行けば必ず日本語の原書に出会える」と期待するのは避けたほうがよさそうです。
日本の作品を日本語のまま読みたいという人は、そもそも現地で紙の本を探すより、日本にいながらウェブトゥーンを楽しむ方法を知っておくほうが確実かもしれません。逆方向の話にはなりますが、日本からウェブトゥーンを読む方法の記事もあわせて読んでおくと、漫画・ウェブトゥーンとの付き合い方の選択肢が広がるはずです。
一人でも浮かない場所か
一人旅の合間に立ち寄れるかどうかも気になるところです。業態の説明を見るかぎり、만화카페は個人の休憩スペースとして使われることが前提になっている場所で、ある程度仕切られた座席と、比較的静かな音楽という作りが、一人客にとって居心地のよさにつながっているようです。カップルや友人グループの利用も多い一方で、静かに漫画を読みたいだけの一人客が特別浮くような雰囲気ではなさそうです。
むしろ、周りの目を気にせず横になれる個室風の座席がある分、カフェで長居するより気楽だという声もうなずけます。読みたい漫画が見つからなくても、ボードゲームやOTT視聴のできる個室があるチェーンなら、時間の使い方に幅が持てるのも一人利用の強みです。
ただし、一人でじっくり静かな空間で本と向き合いたい、という人には少し賑やかに感じられるかもしれません。落ち着いた雰囲気で本を選びたい人には、韓国の街に増えている個性的な独立系書店という選択肢もあります。品揃えの方向性はまったく違いますが、ソウルの独立書店を紹介した記事も候補として頭の片隅に置いておくと、その日の気分で行き先を選べます。
入店の実務——靴・持ち物・飲食のルール
実際に入店してから戸惑わないために、確認できた範囲の実務をまとめます。座席の名前から、다다미방や좌식 테이블석のような席では靴を脱いで上がる形式だと考えられますが、店舗全体での共通ルールを明記した公式文言までは確認できませんでした。入口に案内があるはずなので、まずはそれにしたがうのが確実です。
私物の置き場については、ロッカーの有無を明記した公式情報を今回確認できませんでした。荷物が多い日は、貴重品だけでも身につけておくと安心です。飲食については、各チェーンとも自社のフードメニューを大きく打ち出しており、店内での飲食物購入を前提にした運営になっているとみられます。外部の飲食物の持ち込みを禁止する明文の規定までは確認できていないため、心配な場合は入店時に一言確認しておくのが無難でしょう。
宿泊目的で長時間滞在する場合は、24時間営業かどうかも事前に確認しておきたいポイントです。すべての店舗が終夜営業しているわけではなく、金曜・土曜だけ24時間対応にする店もあるという整理でした。夜遅くに訪ねて閉まっていた、という事態を避けるためにも、営業時間はSNSや地図アプリの最新情報で当日確認しておくと安心です。
未成年者の利用に注意——청소년출입금지업소の指定
今回の調査でいちばん重要だったのがこの論点です。韓国の国家法令情報センターが公開する行政規則「청소년 출입·고용금지업소 결정 고시」では、密室や密閉された空間、仕切りなどで区画された施設が、青少年の出入り・雇用を禁止する業所の対象になり得ると定められています。ただし、場所貸し目的の営業のうち、壁面や出入口が透明で、施錠装置や目隠し(カーテンなど)が無いという条件をすべて満たす場合は対象から除外される、という例外も設けられています。

この論点は、まさに만화카페の名物である소굴방のような個室風の座席と関わってきます。2026年1月には、性平等家族部が「漫画カフェやボードゲームカフェなどが内部を確認できない密閉構造で運営される場合、青少年有害業所に該当し得る」ことを業主に案内し、地方自治体や警察と合同で取り締まりを進める方針だと報じられました。同じ年の8月には、密閉型のルームカフェが青少年出入禁止業所に該当するかどうかが争われた事案が最高裁まで進んだという報道もあります。
すべての만화카페が未成年者の利用を制限されるわけではありません。壁や出入口が透明で鍵・目隠しが無い作りであれば対象外になり得ますが、店舗の構造次第で判断が分かれるため、この記事で「この店は大丈夫」と一律に書くことはできません。未成年者を連れて行く予定がある場合は、訪問前に店舗へ利用可否を確認してください。
大人だけの利用であればこの論点は直接関係しませんが、家族旅行で子どもを連れている場合や、未成年を含むグループで訪ねる場合は、事前に一本確認を入れておくほうが、当日入口で困るよりずっとスマートです。
確認できたチェーン——놀숲(ノルスプ)・벌툰(ポルトゥン)のソウル店舗
「本当に営業しているのか」「ソウルに店舗はあるのか」を、公式サイトを実際に開いて確認しました。まず놀숲(ノルスプ)は、公式サイトに「만화카페 대표 창업 브랜드」と掲げるフランチャイズで、店舗検索ページでソウル特別市内の화양점(광진구)、이태원점(용산구)、한양대점(성동구)、강남역점(강남구)などが実際に表示されました。本社は강원도 춘천시にあります。
もうひとつ、벌툰(ポルトゥン)は「만화카페 프랜차이즈 창업 1위」を掲げるフランチャイズで、本社はソウル特別市구로구にあります。公式サイトの店舗検索では全国163件がヒットし、ソウル特別市内の店舗として선릉점、영등포역점、신논현점、상봉역점、신사점などが実際に表示されました。どちらのチェーンも、소굴방のような個室風の座席や、OTT視聴・ニンテンドー専用の設備を看板にしている点は共通しています。
| 比較項目 | 놀숲(ノルスプ) | 벌툰(ポルトゥン) |
|---|---|---|
| 公式サイトの掲げる立ち位置 | 만화카페 대표 창업 브랜드 | 만화카페 프랜차이즈 창업 1위 |
| 本社 | 강원도 춘천시 | 서울특별시 구로구 |
| 確認できたソウルの店舗例 | 화양점・이태원점・한양대점・강남역점 | 선릉점・영등포역점・신논현점・신사점 |
| 特徴的な設備 | 굴방・다다미방・빈백존など | 소굴방・허니박스(OTT)・닌텐도존 |
いずれも2026年9月6日時点で公式サイトが稼働し、店舗検索に実店舗が表示されていることを確認しています。この2つ以外にも全国展開しているブランドはあると見られますが、今回の調査で運営状況の確認まで至らなかったチェーンについては、この記事では名前を挙げていません。
雨の日・夜の時間つぶしとしての向き不向き
ここまでの整理を踏まえると、만화카페が向いているのは、屋根の下で数時間まとまった時間を過ごしたい人です。急な雨で屋外の予定が流れてしまった日、チェックインやチェックアウトまで中途半端に時間が余った夜など、カフェ1杯分の滞在時間では足りない場面にちょうどよい選択肢になります。韓国旅行中の雨の日の過ごし方をまとめた雨の日プランの記事でも、屋内で長く過ごせる場所のひとつとして選択肢に入れておく価値がありそうです。
一方で、深夜まで起きていられない人や、静かな個室でひたすら集中したい人には、必ずしもベストな選択肢ではないかもしれません。同じ「時間つぶし」の系統でも、ゲームや作業を目的にするならPC房(PCバン)の記事のほうが目的に合うこともあります。荷物を持ってひたすら歩き回った日の夜、足を休めながら漫画を眺める、というくらいの気楽な使い方が、体感としてはいちばんしっくりくるようです。
他の「時間つぶし」業態との違い——북카페・스터디카페との住み分け
韓国には、만화카페以外にも屋内で長時間過ごせる業態がいくつかあります。混同されやすいのが북카페(ブックカフェ)とスタディカフェです。以前まとめたソウルのブックカフェの記事で扱ったとおり、북카페は落ち着いた内装で本を読みながらゆっくりコーヒーを飲む場所という性格が強く、漫画中心の만화카페とは蔵書の方向性も客層の雰囲気もかなり違います。
集中して作業や勉強をしたい人向けには、スタディカフェを紹介した記事のような静音重視の空間のほうが向いています。만화카페は会話やボードゲームがある分、集中作業には不向きです。逆に、友人や恋人とわいわい過ごしたいなら、ボードゲームカフェの記事で紹介しているような専門店という選択肢もあります。만화카페にもボードゲームを備える店はありますが、品揃えの豊富さで選ぶなら専門店のほうに分がありそうです。
結局のところ、「静かに集中したいか」「漫画やOTTを眺めてごろごろしたいか」「友人とゲームで盛り上がりたいか」で、選ぶべき業態は変わってきます。自分がその日どんな時間を過ごしたいかを先に決めてから、行き先を選ぶのが失敗しない近道と言えそうです。
よくある質問
まとめ
- 만화카페は時間制の空間利用料が基本。飲食は別注文になる店が多い
- 統一された公式料金表は確認できず、金額は店舗ごとに差がある
- 소굴방・다다미방など個室風の座席がある一方、追加料金の統一ルールは未確認
- 日本語の漫画原書があると明記した公式情報はなく、韓国語翻訳版が中心とみられる
- 個室が密閉構造の場合、未成年者の入店が制限され得る法令上の論点がある(2026年時点)
- 놀숲(ノルスプ)・벌툰(ポルトゥン)はいずれもソウル市内の店舗を公式サイトで確認できた
- 靴を脱ぐ座席・私物の置き場・飲食持ち込みは、店舗ごとの案内にしたがうのが確実
- 雨の日や夜の時間つぶしには向くが、集中作業や静かな読書には別の業態が向くこともある
만화카페は、料金や日本語の本のように公式に確認しきれない部分がある一方で、未成年者の利用制限のように調べて初めて分かる論点もある業態でした。行く前にすべてを断定するより、気になる点だけ店舗に確認してから足を運ぶほうが、当日困らずに済みそうです。旅程に少し余裕があるなら、選択肢のひとつとして頭の片隅に置いておいてください。
参考・出典
- ナムウィキ「만화 카페」 https://namu.wiki/w/만화%20카페 (2026年9月6日確認)
- ナムウィキ「만화카페 벌툰」 https://namu.wiki/w/만화카페%20벌툰 (2026年9月6日確認)
- 놀숲(Nolsoop)公式サイト http://nolsoop.kr (2026年9月6日確認)
- 놀숲 공식 店舗検索ページ http://nolsoop.kr/store (2026年9月6日確認)
- 벌툰(Beoltoon)公式サイト https://beoltoon.co.kr (2026年9月6日確認)
- 国家法令情報センター 行政規則「청소년 출입·고용금지업소 결정 고시」(성평등가족부고시 제2025-8호、施行2025年12月1日、検索結果を通じて条文を確認、2026年9月6日確認)
- JTBC「만화카페 밀폐 구조면 청소년 유해업소…변종 룸카페 집중 단속」(2026年1月26日付、検索結果の見出し・本文で確認、2026年9月6日確認)
- Chosunbiz「대법 “룸카페, 청소년 출입 금지 업소에 해당”」(2026年8月31日付、検索結果の見出しで確認、2026年9月6日確認)
- 国民日報 만화카페 관련 기사(2017年6月23日付、検索結果本文で確認、2026年9月6日確認)
- Ruliweb掲示板の投稿「일본어 원서가 있는 만화카페가 있을까요」(2022年11月7日付、検索結果本文で確認、2026年9月6日確認)

