韓国に着いてホテルの部屋で、蛇口の水をそのまま飲んでいいのか一瞬迷ったことはないでしょうか。地元の人が普通に水道の水でうがいをしているのを見ると余計に気になりますよね。結論から言うと、「水道水は基準を満たしていると公表されている」ことと、「実際に韓国の人がそれをそのまま飲んでいるか」は、まったく別の話です。この記事では、ソウルの水道水아리수(アリス)の水質に関する公式の公表内容、コンビニやスーパーで買えるペットボトルの値段、飲食店で無料で出てくる冷水や麦茶、氷やホテルの水、屋外の飲水台まで、2026年9月3日に確認できた範囲の情報を整理しています。
ソウル市上水道事業本部は、水道水아리수(アリス)について「直近の検査結果は国の飲む水の水質基準に適合している」と公式に公表しています。ただし、これは「基準を満たしている」という行政上の説明であり、「誰にとっても安全」「必ずお腹を壊さない」ということまで保証するものではありません。実際、韓国国内でも水道水をそのまま飲む家庭は多くなく、浄水器を設置するか、ペットボトルの水を買う人がかなりの割合を占めています。旅行者は体質や環境の変化への慣れの差があるため、この記事では基本的に「ペットボトルの水を買う」という無難な選び方を軸にして、コンビニでの値段や店の冷水の扱いを説明していきます。

結論——水質基準の話と「実際に飲まれているか」は別の話
ソウル市上水道事業本部が案内する情報によると、水道水아리수(アリス)は原水の取水から家庭の蛇口に届くまでの各段階で水質検査を行っており、直近数年間の検査結果はすべて韓国国内の「먹는물(飲む水)水質基準」に適合していると公表されています。検査項目の数も、世界保健機関(WHO)が推奨する項目数を大きく上回る範囲まで広げていると案内されており、検査結果は毎月ウェブサイトで公開される仕組みになっています。ここまでは行政側の公表内容として、確認できた事実です。
一方で、公表されている水質基準への適合と、旅行者が実際にその場でそのまま飲んで問題が起きないかどうかは、別の軸で考えたほうが安全です。水質基準は主に化学物質や細菌などの項目について国の基準値以下であることを示すものであり、個人の体調・普段の食生活・胃腸の慣れといった要素までカバーするものではありません。🚨韓国国内でも、水道水をそのまま飲用にしている家庭の割合は高くなく、浄水器の設置やペットボトルの購入で代替している家庭が多いという実情があります。「基準は満たしているらしいが、みんな買って飲んでいる」というこの2つの事実を分けて理解しておくことが、この記事全体の前提になります。
旅行者はどうするのが無難か
旅行者にとって一番現実的な考え方は、水道水が「危険かどうか」を白黒つけようとしないことです。国内の水質基準に適合していると公表されていても、ふだん口にしている水や環境が変わることで、胃腸の調子が普段と違う反応を示す人は一定数います。これは韓国に限らず、海外旅行全般でよく言われることでもあります。逆に言えば「飲んではいけない」と決めつける必要もなく、あくまで体質や体調と相談しながら選ぶ、というのが実情に近い距離感です。
編集部の整理としておすすめしたいのは、滞在中の飲み水は基本的にペットボトルか、飲食店で出てくる冷水・お茶を使う組み合わせにしておくことです。歯磨きのときにコップに残ったわずかな水道水まで神経質になる必要はなさそうですが、直接がぶ飲みする用途は、できればペットボトルに寄せておくと気持ちの上でも安心です。荷物を減らしたい人は、現地のコンビニで水を買い足す前提で、大きな水のボトルは日本から持っていかない、という判断もありです。荷造りの優先順位については韓国旅行の持ち物リストの記事でも触れているので、あわせて確認しておくと準備がスムーズです。
実際に1日でどれくらいの費用になるか、場面別に整理すると次のようになります。
| 場面 | 選ぶもの | 費用の目安 |
|---|---|---|
| 観光中にのどが渇いたとき | コンビニの500mlペットボトル | 380〜530ウォン程度 |
| まとめて確保しておきたいとき | スーパーの2Lペットボトル | 960〜1,150ウォン程度 |
| 飲食店で食事中 | 無料の冷水・麦茶 | 0ウォン(無料) |
| ホテルで夜のどが渇いたとき | 部屋の備え付けボトル | 0ウォン(1〜2本まで無料が目安) |
夏場で汗をかきやすい時期は、外を歩き回る日に500mlを2〜3本買い足すことも珍しくありませんが、それでも合計はおおむね1,000〜1,500ウォン前後、日本円にして100〜150円程度に収まる計算です。コーヒー1杯分にも満たない金額で1日分の水分補給がまかなえると考えると、無理に水道水に頼らずペットボトルを基本にする選び方も、費用面ではそれほど負担にならないはずです。
コンビニ・スーパーで買う——値段の目安
韓国では500mlのペットボトル水がコンビニやスーパーの棚に必ずと言っていいほど並んでいます。大手流通のオンライン価格を確認したところ、500mlのミネラルウォーターはブランドによって380〜530ウォン程度、2Lサイズは960〜1,150ウォン程度という価格帯が確認できました(いずれも2026年9月3日確認)。ラベルを外した「무라벨(無ラベル)」タイプの商品も増えており、見た目はシンプルですがブランド自体は聞き覚えのある大手メーカーのものが多い印象です。コンビニ店頭では、この価格帯に加えて数十〜百ウォン程度の上乗せがある場合もあるため、正確な金額はレジ前の値札か会計時に確認するのが確実です。
| 容量 | 価格帯の目安(2026年9月3日確認) |
|---|---|
| 500ml | おおむね380〜530ウォン程度 |
| 2L | おおむね960〜1,150ウォン程度 |
この表はあくまで確認できた範囲の目安であり、店舗の立地(駅前・観光地・住宅街)や時期のセールによって上下します。まとめ買い用のペットボトル水はスーパーや大型マートのほうが割安になりやすい一方、街歩き中にすぐ買えるのはコンビニの強みです。コンビニでの支払い方法や店内の使い方に不慣れな人は、韓国のコンビニの使い方をまとめた記事もあわせて読んでおくと、レジでの動きに戸惑いにくくなります。
飲食店で出てくる水と麦茶・とうもろこし茶
韓国の食堂やレストランでは、着席するとまず無料の冷たい水が出てくることが多く、これは基本的にお店側が用意した냉수(冷水)で、追加料金がかからないのが一般的です。店によってはセルフサービスの給水スペース、いわゆる셀프바(セルフバー)にウォーターサーバーが設置されていて、自分でコップに注ぎに行くスタイルのところもあります。水の代わりに、香ばしい보리차(麦茶)や옥수수수염차(とうもろこし茶)が無料で提供される店も少なくなく、これらは韓国の食堂文化の定番のひとつです。
これらの店内提供水がどんな水源から作られているかは、店舗ごとの設備によって差があり、個々の店の浄水設備まで公表情報として確認するのは現実的ではありません。🚨断定はできませんが、多くの飲食店では業務用の浄水器やウォーターサーバーを通した水を提供しているのが一般的な運用と考えられます。辛い料理を食べたあとに冷たい水やお茶で口の中をリセットしたい人も多いはずですが、辛さの強さそのものが気になる人は辛くない韓国料理をまとめた記事を先に見ておくと、注文の段階で失敗を減らせます。カフェでのドリンクの相場感についてはカフェの値段ガイドの記事でも整理しています。朝の時間帯に冷たい水やコーヒーを求めてカフェに入りたい人は、ソウルの朝早くから開いているカフェの記事もあわせてチェックしておくと、宿を出てすぐの水分補給先に困りません。
氷は大丈夫か——製氷に使う水について
カフェのアイスドリンクや食堂の冷麺などで出てくる氷についても、気になる人は多いはずです。氷を作る際の水がどこから来ているかは、店舗の設備によって異なり、業務用の製氷機を通した水を使っている店が一般的とみられますが、すべての店舗の製氷設備を横断的に確認できたわけではありません。🚨ここは断定を避けます。大型チェーンのカフェや、衛生管理が徹底されている印象の店では過度に神経質になる必要はなさそうですが、胃腸が特に敏感な人や、小さな子ども連れの場合は、氷を少なめにしてもらう、あるいは常温のペットボトル水を頼むという選択肢も持っておくと安心です。
注文時に氷の量を調整したい場合は、「얼음 조금만 주세요(氷を少しだけください)」というフレーズが使えます。逆に、暑い時期はキンキンに冷えた氷入りの飲み物が恋しくなる場面も多いはずなので、体調に不安がない人はあまり気負わず楽しんで問題なさそうです。要は「避けるべき」でも「まったく気にしなくていい」でもなく、自分の体調と相談しながら量を調整する、という向き合い方が現実的です。
気にしなくてよさそうな人と、少し慎重になったほうがよい人を分けるとすれば、普段から海外旅行や辛い食事に慣れていて、環境が変わってもお腹の調子を崩しにくい人は、氷入りの飲み物を普段どおり楽しんでも大きな心配は要らなさそうです。一方で、出発前から胃腸の調子が万全でない人、小さな子どもや高齢の家族と一緒に旅行している人、ふだんから冷たい飲み物でお腹を壊しやすい人は、滞在の最初の数日だけでも氷を少なめにする、常温の飲み物を選ぶといった小さな工夫をしておくと、体調を崩すリスクを減らせます。
ホテルの水——無料ボトル・給水器・電気ケトル
宿泊先のホテルによって、部屋に用意されている水回りの設備には差があります。中級以上のホテルでは、チェックイン時に小さなペットボトルの水が1〜2本、無料で部屋に置かれていることが多いです。ロビーや各階の廊下に給水器(ウォーターサーバー)が設置されているホテルもあり、その場合はカップを使って自由に水やお湯を汲むことができます。部屋に電気ケトルが備え付けられているホテルも一般的で、水道水を沸かしてお茶やコーヒーを淹れる、あるいは持参したカップ麺に使う、といった使い方ができます。
ただし、無料ボトルの本数や給水器の有無、電気ケトルの設置は施設のグレードや客室タイプによって差があるため、「必ずどのホテルにもある」とは考えないほうが安全です。ゲストハウスや簡易宿泊施設では、これらの設備が無い、あるいは共用スペースにのみ設置されているケースもあります。予約前に設備の有無を確認しておきたい人は、宿泊予約サイトの客室設備欄をチェックしておくと、現地で困る場面を減らせます。心配な人は、到着日の分だけコンビニでペットボトルを買い足しておくのが、いちばん確実な備えになります。
ホテルの部屋の水道水を沸かして飲む場合も、その水質そのものが個別に保証されているわけではありません。気になる場合は、電気ケトルはお茶やコーヒーを淹れる用途にとどめ、そのまま飲む水はペットボトルに寄せておくと安心です。
屋外の飲水台——公園・地下鉄のアリス給水台
ソウル市内には、公園や広場、歩行者の多い通りを中心に、아리수(アリス)を直接飲める屋外の飲水台が数多く設置されています。ソウル市上水道事業本部の案内によれば、学校などの教育施設を除いた屋外の公園や広場だけでも、1,700台前後の飲水台が設置されているとされています。設置場所は市の条例に基づいて公園・広場・車の少ない通りなどが対象に選ばれており、専用のウェブサイトや地図アプリで位置を確認できる仕組みも用意されています。
ソウルの森のように、アート作品のような凝ったデザインの飲水台が話題になった例もあり、単なる実用設備ではなく街の景観の一部として整備されている場所もあります。一方で、地下鉄駅や主要な鉄道駅すべてに飲水台があるわけではなく、駅によっては設置されていないという声も見られました。散歩の途中でのどが渇いたときに使う分には便利な存在ですが、旅行中にがぶ飲みするメインの水源としては、やはりペットボトルや飲食店の水と併用する形で考えておくのが現実的です。
多くの飲水台は、ボタンを押すかレバーをひねるとその場で水が出る、公園の水飲み場と似た構造になっています。屋外に設置されている性質上、冬場は凍結防止のために稼働を止めている台がある可能性も考えられるため、寒い時期に韓国を訪れる場合は、屋外の飲水台をあてにしすぎず、ペットボトルを優先しておくほうが確実です。夏場に公園や散策コースを歩く予定がある人は、ペットボトルの残量が少なくなったタイミングで近くの飲水台を探す、という組み合わせで使うと荷物も軽くなります。
旅先の小さな困りごと——お腹の調子とペットボトルのゴミ
環境が変わる旅行では、水が原因かどうかにかかわらず、お腹の調子を崩す人が一定数います。🚨これはどの国を旅行しても起こりうることで、水道水そのものが原因と決めつけることはできません。もしお腹の不調が続く場合は、自己判断で市販薬を使い続けたり我慢したりせず、現地の薬局に相談する、あるいは症状が重ければ医療機関を受診することを基本にしてください。この記事はあくまで一般的な備えの情報であり、体調に関する最終的な判断は医療機関に委ねるべき領域です。
もうひとつの小さな困りごとが、飲んだあとのペットボトルのゴミです。韓国では飲料のペットボトルは基本的に、ラベルを剥がし、キャップを外したうえで、透明・無色のペットボトル専用の回収場所に出すのが分別のルールとされています。滞在先のホテルやゲストハウスでは、共用のゴミ置き場に「페트병(ペットボトル)」用の箱やネットが用意されていることが多く、案内表示に従って捨てれば問題ありません。屋外で捨てる場所が見当たらないときは、無理にその辺のゴミ箱に押し込まず、荷物に入れて宿泊先まで持ち帰るのが無難です。健康志向で水分補給と食事のバランスを意識している人は、韓国のサラダ・ヘルシーフードの記事もあわせて参考にしてみてください。
よくある質問
まとめ
- ソウルの水道水アリスは「国の水質基準に適合している」と公式に公表されているが、実際に韓国人の多くはそのまま飲まず、浄水器やペットボトルを使っている
- 旅行者は「危険」と決めつけず、体質や体調と相談しながらペットボトルの水を基本にするのが無難
- コンビニ・スーパーの水は500mlで380〜530ウォン程度、2Lで960〜1,150ウォン程度が目安(2026年9月3日確認)
- 飲食店の冷水・麦茶・とうもろこし茶はおおむね無料。氷は店舗ごとの設備によって差があり断定はできない
- ホテルの無料ボトル・給水器・電気ケトルの有無は施設によって差がある。心配な人はコンビニで買い足す
- 公園や広場には屋外の飲水台(アリス給水台)が多数設置されている。地下鉄駅すべてにあるわけではない
- お腹の不調が続く場合は自己判断を続けず、薬局や医療機関に相談する。ペットボトルはラベルを外して分別する
水道水の話は、白黒はっきりさせたくなる気持ちが出やすいテーマですが、実際には「基準は満たしている」という公式の説明と、「それでも多くの人が買って飲んでいる」という現実の両方を知っておくのが、いちばん実用的な備え方です。この記事で紹介した値段や設備の情報は確認できた時点のものなので、最新の状況は現地の公式情報や店頭の表示であわせて確認しながら、無理のない範囲で旅先の水分補給を楽しんでください。
参考・出典
- ソウル特別市公式ニュース(news.seoul.go.kr) 水道水アリスの水質検査結果に関する発表 https://news.seoul.go.kr/env/archives/523726 (初出2023年11月2日、2026年9月3日確認)
- ウォータージャーナル 水道水アリスが飲む水の水質基準を満たしているとする記事 https://www.waterjournal.co.kr/news/articleView.html?idxno=55563 (2026年9月3日確認)
- イーマートエブリデイ オンラインストア 500ml・2Lミネラルウォーターの価格情報 https://emile.emarteveryday.co.kr/product/ProductList?lCode=014&mCode=0095 (2026年9月3日確認)
- ソウル特別市上水道事業本部 屋外飲水台の案内ページ https://arisu.seoul.go.kr/home/sub?menukey=7316 (2026年9月3日確認)

