韓国のコンビニやカフェの行列に混じって、透明な器に山盛りの野菜と麺を持ったソウルっ子をよく見かけるようになりました。それが마라탕(マラタン)です。数年前までは大林(テリム)洞や建大(コンデ)といった一部のエリアの専門店だけの食べ物でしたが、いまではチェーン店がソウル中に広がり、韓国の若者にとってはコンビニ弁当やチキンと並ぶ「今日の一食」の選択肢になっています。とはいえ初めて店に入ると、セルフのトングと大量の具材ケースを前に、何をどう頼めばいいのか戸惑う人が多いのも事実です。この記事では、注文の流れ、辛さとスープの有無の選び方、100gあたりの料金のしくみ、そしてソウルで食べられるエリアを、韓国語の一次情報をもとに整理しました。注文時のフレーズ全般は韓国語での注文の仕方の記事もあわせて参考にしてください。
マラタンは自分で具を選んで、重さで会計する料理です。①空の器にトングで好きな具材を入れる→②重さを量ってもらう→③辛さ(맵기)とスープの有無を伝える→④会計、という順番が基本の流れ。スープありは마라탕(マラタン)、スープなしで炒めるのは마라샹궈(マラシャングオ)と呼び名が変わります。料金は具材の重さで決まるため、値段そのものより「何をどれだけ取るか」が会計額を左右します。ソウルでは大林(テリム)洞と建大(コンデ)周辺に専門店が集まる傾向があり、チェーン店は初めてでも注文しやすいのが特徴です。
結論——注文の流れと料金のしくみを先に
マラタンの店に入ると、まず目に入るのが大きなガラスケースに並んだ野菜・麺・練り物・豆腐類の数々です。ここから自分でトングを使って具を選び、最後にスープの有無と辛さを伝えて会計する——この「セルフで具を選ぶ」というスタイル自体が、日本の定食屋やラーメン店とは大きく違う点です。何をどれだけ入れるかで会計額が変わるため、値段表を見て単品を選ぶような感覚とは少し違います。
会計方式は店によって多少の違いはあるものの、具材の総重量(g)に応じて金額が決まる方式が主流です。麺や肉を含めた具材をトレーに盛った時点で重さを量り、そこにスープ代や麺の追加料金が乗るという店が一般的とされています。チェーン店では会計時に自動で重さを量る機械を導入しているところも多く、初めてでも「言われるままに進めば会計まで辿り着ける」仕組みになっています。次の見出しから、この流れをステップごとに詳しく見ていきます。

具はトングで自分で選ぶ——注文の最初のステップ
店に入るとまず、空のトレーまたはボウルを受け取ります。店内の壁際やカウンターに沿って野菜・きのこ・練り物・団子・豆腐製品・麺類が種類ごとにケースに並んでおり、備え付けのトングでそれぞれ好きな量を自分の器に入れていくのが最初のステップです。ビュッフェやサラダバーに慣れている人なら、動き自体はすぐに理解できるはずです。
種類は店によって差がありますが、배추(白菜)、もやし、練り物、団子、두부(豆腐)、분모자(緑豆春雨)、コーン麺、じゃがいも、きくらげなどが定番として並ぶことが多いとされています。この段階では辛さや味付けはまだ決まっていないので、迷ったら少なめに取って、足りなければ次回増やすくらいの感覚で問題ありません。セルフで具を選ぶスタイルは、韓国のフードコートの注文にも通じるところがあるため、韓国のフードコートの注文方法の記事で慣れておくと落ち着いて動けます。
- トレーやボウルはケースの近くに積んである→まず1つ取る
- トングは具材ごとに分かれていることが多い→使い回さない
- 迷ったら少なめに取り、会計前に確認できる店では店員に量を相談する
具を選び終えたら、次はレジまたは重量計に向かいます。ここで初めて「重さ」と「会計」が結びつくため、次の見出しで料金のしくみを詳しく説明します。
辛さ(辣度)はどう選ぶ?段階の意味と店ごとの差
具を選び終えたあと、または会計時に必ず聞かれるのが맵기(マッキ・辛さ)の希望です。多くの店では0段階から3〜4段階程度の辛さレベルを設けており、0段階は辛くない白湯(辛味のないスープ)、そこから段階が上がるごとに唐辛子と花椒の効いたスープに近づいていきます。目安として「2段階は辛口インスタントラーメン程度」と紹介されることもありますが、辛さの基準は店ごとに差があるとされているため、同じ「2段階」でも店によって体感が変わる点は覚えておきたいところです。
辛いものが苦手な人は、遠慮せずに0段階(辛くないスープ)を選んで問題ありません。韓国では「白湯(辛くない)でお願いします」と伝えるだけで対応してもらえるのが一般的です。辛さを抑えた韓国料理をもっと知りたい人は辛くない韓国料理の記事も参考にしてください。逆に辛さに慣れている人でも、花椒のしびれる感覚は唐辛子の辛さとは別物なので、初めての店では中間の段階から試すのが無難という声もよく見られます。
スープあり/なしで名前が変わる——マラタンとマラシャングオの違い
具を選んだあと、店員から「スープは入れますか」と聞かれることがあります。ここで마라탕(マラタン)と마라샹궈(マラシャングオ)の分かれ道になります。スープを入れて煮込むのがマラタンで、山椒と唐辛子の効いた汁物として1食分の満足感がある食べ方です。一方でスープを入れず、油で炒めて仕上げるのがマラシャングオで、汁がない分マラ(痺れる辛さ)の香りがより強く感じられ、ご飯のおかずやお酒のつまみとして食べられる位置づけとされています。
初めての人にはスープありのマラタンが分かりやすくおすすめです。汁ごと食べられるため辛さの強さも調整しやすく、単品でも満腹感を得やすいのが理由です。慣れてきたら、次はマラシャングオを試して、香りの強さや炒め物としての食感の違いを比べてみるのも楽しみ方の一つです。どちらを選ぶか迷ったときの目安を、次の図にまとめました。
100gあたりの料金のしくみ——高くなりやすい具材と抑え方
マラタンの会計は、多くの店で具材の総重量100gあたりいくらという単価をベースに計算されます。麺や肉を追加すると別料金になる場合もあり、最終的な金額は「何を」「どれだけ」入れたかで大きく変わります。同じ量に見えても、水分を含みやすい具材は重さが増えやすく、結果として会計額が上がりやすいという特徴があります。
特に注意したいのがきくらげです。見た目のかさの割に水を吸って重くなりやすく、たくさん入れると会計時に想像より重量が増えていることがあります。反対に、コーン麺やもやしなど軽い具材を中心に組み立てると、同じボリューム感でも会計を抑えやすいとされています。また、汁物であるマラタンよりも、炒め物であるマラシャングオのほうが100gあたりの単価が高めに設定されている店が多い傾向も見られます。旅行中は現地通貨での金額感覚がつかみにくいものですが、最終的な支払額は具材の重さ次第という前提を知っておくだけでも、会計時の驚きは減らせるはずです。
| 意識すること | 会計への影響 |
|---|---|
| きくらげなど水分を含む具材 | 重くなりやすく、会計が上がりやすい |
| コーン麺・もやしなど軽い具材 | ボリュームの割に会計を抑えやすい |
| スープあり(マラタン) | 汁物として単価が抑えめの店が多い傾向 |
| スープなし(マラシャングオ) | 炒め物として単価が高めの店が多い傾向 |
具体的な金額は店・時期によって変わるため、この記事では断定していません。会計前に重量を確認できる店では、迷ったらその場で店員に聞いてしまうのが一番確実です。
初めてなら何をどれくらい取ればいい?
右も左もわからないまま具材ケースの前に立つと、つい目についたものを次々とトングで取ってしまいがちです。初めての場合は、まず主食になる麺類を1種類、野菜を2〜3種類、豆腐や練り物などのタンパク質を1〜2種類という組み合わせから始めると、量も味のバランスも取りやすいとされています。欲張ってすべての種類を少しずつ入れると、かえって重量がかさんで会計額が想像以上になることもあるため注意が必要です。
麺は中国式の春雨(当面)やコーン麺が定番で、コシのある食感を楽しみたい人にはコーン麺、あっさりまとめたい人には春雨が向いているという紹介をよく見かけます。野菜は白菜やもやしのように汁を吸って全体をまろやかにするものを中心に、きくらげや練り物は少量だけアクセントとして加えるくらいがちょうどよいバランスです。日本で見かけるマラタン串(マラ串)のような一品ずつ選ぶスタイルに慣れている人ほど、韓国の「重さで会計」という方式には最初戸惑うかもしれません。串スタイルとの違いはマラタン串の記事でも触れているので、あわせて読むと感覚がつかみやすくなります。
- 初めては麺1種+野菜2〜3種+タンパク質1〜2種が組み立てやすい
- 全種類を少しずつより、好きなものを絞って入れるほうが会計が読みやすい
- 迷ったらスープあり(マラタン)・辛さは中間から試す
チェーン店と個人店、注文のしやすさはどう違う?
ソウルのマラタンは大きく分けて、全国に展開するチェーン店と、大林洞のような中華圏出身者が多いエリアに根付いた個人店の2種類があります。チェーン店は具材の種類や辛さの段階が写真付きのメニュー表で示されていることが多く、会計方法も統一されているため、韓国語に不安がある旅行者でも比較的注文しやすいのが特徴です。公正取引委員会向けの情報公開資料をもとにしたnews2dayの2023年12月13日付の報道(2026年9月4日確認)によると、店舗数と売上高で1位とされるのが탕화쿵푸마라탕(タンファクンプマラタン)で、2022年時点で326店舗、2位の소림마라(ソリムマラ)が158店舗、3位の마라하오(マラハオ)が40店舗という規模でした。坪あたりの売上高ではマラハオが1位、開業時の初期費用が最も低いのもマラハオとされています。
一方の個人店は、大林洞のように中国東北部や延辺出身のオーナーが営む店が多く、味付けが本場に近いとされる紹介がある半面、メニュー表が韓国語のみだったり、辛さの段階が明確に区切られていなかったりする店もあります。とはいえ「スープの有無」と「辛さの希望」さえ伝われば、身振りやスマートフォンの翻訳アプリでも十分に注文は成立するとされています。チェーンで一度流れに慣れてから、個人店に挑戦するという順番も一つの方法です。
大林(テリム)洞——韓国でマラタンが定着したとされるエリア
ソウル南西部、永登浦(ヨンドゥンポ)区の大林(テリム)洞は、中国からの移住者が多く暮らすエリアとして知られ、複数の紹介記事で韓国におけるマラタン流行の発祥地として紹介されています。地下鉄2・7号線の大林駅12番出口から徒歩数分の路地に広がる大林中央市場には、中国式の点心や延辺式のソーセージなど中華圏の食文化が色濃く残り、映画のロケ地としても知られています。市場自体の住所と営業時間は、ソウル市の公式観光情報サイトで次のとおり確認できました(2026年9月4日確認)。
大林中央市場:住所 ソウル特別市永登浦区道林川路11キル26-1(大林洞)/営業時間 9:00〜20:00/休業日 毎月第2火曜日。確認できたのはここまでです。市場周辺には個人経営のマラタン専門店が複数あるとされていますが、個別の店名・現在の営業状況を今回の調査では公式情報で裏付けることができませんでした(2026年9月4日調査)。訪問前に地図アプリで最新の口コミや営業時間を確認することをおすすめします。
NAVER地図でルートを確認したい場合は大林中央市場のNAVER地図検索を参照してください(2026年9月4日確認)。市場全体は食べ歩きの雰囲気を楽しむ場所として、韓国の粉食(ポンシク)文化にも通じるところがあります。屋台的な軽食全般に興味がある人は韓国の粉食ガイドの記事もあわせてどうぞ。
建大(コンデ)——学生街に集まる専門店エリア
もう一つ、マラタンの店が集まるエリアとしてよく紹介されるのが建大(コンデ)入口駅の周辺です。建国大学の学生街として知られるこのエリアには、羊肉の串焼き店が連なる通りや、紫陽(チャヤン)洞の中華料理街があり、マラタン・火鍋(フォグォ)を扱う店が密集しているという紹介が食のまとめサイトで複数見られます。ハングルの看板が少なく、通り全体が異国のような雰囲気になっているという声もあり、大林洞とはまた違った形で中華圏の食文化が根付いたエリアといえそうです。
確認できたのはここまでです。建大エリアで個別に名前の挙がる店はいくつかありましたが、今回の調査では現在の営業状況・住所・営業時間を公式情報で裏付けることができなかったため、この記事では特定の店名を挙げていません(2026年9月4日調査)。学生街ということもあり店の入れ替わりが起きやすいエリアでもあるため、訪問前に地図アプリの最新の口コミと営業時間を確認することを強くおすすめします。カフェ巡りもあわせて楽しみたい人は、学生街つながりで弘大(ホンデ)のカフェガイドの記事も参考になるはずです。
この記事で紹介したエリアは、あくまで「専門店が集まる傾向がある」という紹介にとどまります。個別の店舗名・住所・現在の営業時間は訪問前に必ず地図アプリまたは電話で確認してください。
韓国の中華料理店の麻辣湯とは何が違う?
韓国には昔から중화요리(中華料理)を出す町の中国料理店があり、そこでもマラタンやマラシャングオに近いメニューを見かけることがあります。ただし多くの場合、これらの店ではジャージャー麺やタンスユク(酢豚)のような定番メニューの延長として一皿盛りで提供されることが多く、大林洞や建大の専門店のように自分で具を選んでトングで盛る形式ではありません。あらかじめ決まった具材の組み合わせで提供されるため、辛さの調整幅も専門店ほど細かくない店が多いとされています。
また、専門店では四川由来の花椒と唐辛子油をベースにしたスープを使う店が多いのに対し、町の中国料理店では韓国風にアレンジされ、辛さよりもコクを優先した味付けになっている場合もあるという紹介も見られます。どちらが好みに合うかは味の好み次第ですが、「自分で具を選んで重さで会計する」体験そのものを楽しみたいなら、この記事で紹介した専門店スタイルの店を選ぶのがおすすめです。日本と韓国のマラタン事情の違いをもっと詳しく知りたい人は日本と韓国のマラタンの違いの記事も参考にしてください。
よくある質問
まとめ
- 注文は①トングで具を選ぶ→②重さを量る→③辛さとスープの有無を伝える→④会計、の順番
- スープありは마라탕(マラタン)、スープなしで炒めるのは마라샹궈(マラシャングオ)
- 会計は具材の総重量が基準。きくらげなど水を含む具材は重くなりやすい
- 初めては麺1種+野菜2〜3種+タンパク質1〜2種、辛さは中間から試すのが無難
- チェーン店は初めてでも注文しやすく、個人店は本場に近い味付けとされる
- 大林洞・建大は専門店が集まるとされるエリア。個別店舗の営業状況は訪問前に地図アプリで確認を
- 町の中国料理店のマラタンは一皿盛りが多く、専門店とは注文方式そのものが異なる
マラタンは、値段や店選びよりも先に「重さで会計する」という仕組みそのものを知っているかどうかで、当日の満足度が大きく変わる食べ物です。最初はトングの扱いにも会計のタイミングにも戸惑うかもしれませんが、一度流れを覚えてしまえば、次からは自分の好きな具材とスープの有無を自在に組み合わせられるようになります。大林洞や建大まで足を延ばすかどうかは好み次第ですが、まずは近くのチェーン店で一度体験してみるのが、いちばん気軽な始め方かもしれません。
参考・出典
- 서울관광재단(ソウル観光財団) 公式観光情報サイト「大林中央市場」案内ページ https://korean.visitseoul.net/etc-area/%EB%8C%80%EB%A6%BC%EC%A4%91%EC%95%99%EC%8B%9C%EC%9E%A5_/28251 (2026年9月4日確認)
- news2day「[프랜차이즈 창업비교 (27)] 마라탕 TOP3 …매장수와 매출액 1위는 탕화쿵푸마라탕」2023年12月13日付 https://www.news2day.co.kr/article/20231213500168 (2026年9月4日確認)
- 더쎈뉴스(The CEN News)「요즘 핫한 ‘마라’…마라탕, 마라샹궈, 마라롱샤의 차이는?」 https://www.mhns.co.kr/news/articleView.html?idxno=220746 (2026年9月4日確認)
- 탕화쿵푸(タンファクンプ) 公式サイト メニュー紹介ページ https://tanghuokungfu.co.kr/default/brand/menu/menu.php (2026年9月4日確認)

