韓国の「肌管理」を調べていると、同じ言葉が2つの違う場所を指していることに気づきます。片方は病院、もう片方はエステ。日本語の記事では両方まとめて「韓国の肌管理」と呼ばれることが多いのですが、韓国の制度の上では、この2つは別々の法律で、できることの範囲まで決められた別のものです。
本記事は公的情報・公式情報をもとにした情報提供であり、特定の施術や医療機関を勧めるものではありません。医療上の判断は必ず医師にご相談ください。
韓国で肌管理を受けられる場所は、医療法にもとづく医療機関と、公衆衛生管理法にもとづく皮膚美容業(피부관리실・エステ)の2系統。エステの業務範囲は法律で「医療機器や医薬品を使わない、皮膚状態分析・皮膚管理・脱毛・眉の手入れ」の4つに限定されています。見分ける手がかりは看板と店内の掲示物で、「◯◯피부과의원」と名乗れるのは開設者が皮膚科専門医のときだけ、専門医でない場合は「진료과목(診療科目)」の文字が付き、その文字は医院名の2分の1以内という決まりがあります。エステ側は美容師免許証と最終支払料金表の店内掲示が義務です。価格については落とし穴があって、韓国の健康保険に入っていない外国人患者の診療費は、医療機関の価格掲示・公開の対象から外されています。掲示や公開データを見ても、自分に適用される金額とは限りません。さらに2026年7月、公正取引委員会が前払い型パッケージの約款を是正し「使った分だけ払い、残額は返金」という原則を示しました。この記事は制度の地図で、施術の内容や効果は扱いません。
「肌管理」という言葉が指している2つの場所
韓国語の피부관리(ピブグァルリ、皮膚管理)は、日本語だと「肌管理」と訳されて広まりました。ところが韓国の現地では、この言葉は病院のメニュー名としても、エステの業種名としても使われています。街を歩けば「◯◯피부관리실」という看板と「◯◯피부과의원」という看板が同じ通りに並んでいて、日本から来た人にはどちらも「肌管理のお店」に見えます。
制度の側から見ると、この2つはまったく違う法律の上に立っています。医療機関は医療法(의료법)、エステは公衆衛生管理法(공중위생관리법)。監督する役所も、必要な資格も、価格の見せ方のルールも別です。そして重要なのは、どちらが上でどちらが下という話ではなく、そもそも扱える範囲が違うということ。この線引きを知らないまま「安いほうにしよう」と選ぶと、期待していたものと違うサービスにたどり着くことがあります。
エステ(피부관리실)ができることは、法律で4つに決まっている
公衆衛生管理法は、美容業をいくつかの種類に分けています。そのうち皮膚美容業(피부미용업)の定義が、法律の条文にそのまま書かれています。
공중위생관리법 제2조제1항제5호 나목
나. 피부미용업: 의료기기나 의약품을 사용하지 아니하는 피부상태분석ㆍ피부관리ㆍ제모(除毛)ㆍ눈썹손질을 하는 영업
(皮膚美容業:医療機器や医薬品を使わない、皮膚状態分析・皮膚管理・脱毛・眉の手入れを行う営業)
同じ内容が、美容師(皮膚)の業務範囲としても施行規則に書かれています。공중위생관리법 시행규칙 제14조제2항제4호は、美容師(皮膚)の免許を受けた人の業務範囲を「의료기기나 의약품을 사용하지 아니하는 피부상태분석ㆍ피부관리ㆍ제모ㆍ눈썹손질」と定めています。法律と施行規則の両方で、同じ4項目に限定されているわけです。
さらに営業者の遵守事項として、こう決められています。
공중위생관리법 제4조제4항
1. 의료기구와 의약품을 사용하지 아니하는 순수한 화장 또는 피부미용을 할 것
3. 미용사면허증을 영업소안에 게시할 것
(1.医療器具と医薬品を使わない、純粋な化粧または皮膚美容を行うこと/3.美容師免許証を営業所内に掲示すること)
つまり医療機器や医薬品を使う施術は、エステの業務範囲には入っていないということです。「医療機器」「医薬品」が何を指すかも、施行規則の別表4がはっきり書いています。
공중위생관리법 시행규칙 별표4「4. 미용업자」(개정 2025. 2. 28.)
가. 점빼기·귓볼뚫기·쌍꺼풀수술·문신·박피술 그 밖에 이와 유사한 의료행위를 하여서는 아니된다.
나. 피부미용을 위하여 「약사법」에 따른 의약품 또는 「의료기기법」에 따른 의료기기를 사용하여서는 아니 된다.
(ホクロ・シミ取り、耳たぶの穴あけ、二重手術、文身、皮膚剥削術その他これに類する医療行為をしてはならない/皮膚美容のために薬事法上の医薬品または医療機器法上の医療機器を使用してはならない)
ここが実用的なところで、禁じられているのは「医療機器法上の医療機器」「薬事法上の医薬品」を使うことだと、根拠法まで指定して書かれています。「レーザーだから」「高周波だから」という機器の呼び名で決まるのではなく、その機器が医療機器法上の医療機器に当たるかどうかで決まるという建て付けです。だからカウンセリングで機器の名前を聞いても答えは出ません。エステでホクロ・シミ取りや皮膚剥削(ピーリング)のメニューを勧められたら、それは名指しで挙げられている行為だ、という覚え方のほうが確実です。
なお、この一覧には文身も入っています。ただし別表4のこの部分は2025年2月28日改正のままの文言で、後の節で扱う2026年5月の判例変更より前のものです。文身については、この記事の後半で改めて整理します。
医療人でない人が医療行為をすることは医療法第27条第1項で禁じられていて、罰則は5年以下の懲役または5千万ウォン以下の罰金(同法第87条の2第2項)。人を傷害に至らせた場合は7年以下の懲役または1千万ウォン以上7千万ウォン以下の罰金と、さらに重い定めがあります(同条第1項)。これは施術する側に課される罰則の話ですが、受ける側から見れば「制度が想定していない場所で受けると、後から頼れる枠組みが薄くなる」という意味を持ちます。
なお、美容師(皮膚)という資格そのものは国家技術資格法にもとづく国家技術資格(技能士)で、その資格などを持つ人が市長・郡守・区庁長の免許を受ける、という二段構えになっています(공중위생관리법 제6조제1항)。「民間の講習を受けただけ」という制度ではありません。

店に入ったら見る掲示物——エステ側の確認ポイント
エステかどうか、そして届出をしている店かどうかは、店内の掲示で確かめられる仕組みになっています。同じ別表4の続きが、次の掲示を求めています。
- 美容業届出証と開設者の免許証の原本を営業所内に掲示
- 最終支払料金表(최종지급요금표)を営業所内に掲示または貼付
- 届け出た営業場の面積が66平方メートル以上の場合は、営業所の外の客が見やすい場所にも料金表を掲示。この場合は一部項目(5個以上)だけの表示でよい
- 3種類以上の美容サービスを提供する場合は、個別の最終支払価格と全体の総額を書いた明細書を、あらかじめ利用者に渡す。事業者はその写しを1か月間保管する
最後の1行は、旅行者にとってかなり実用的です。カウンセリングで「これとこれとこれを組み合わせましょう」と3つ以上を提案されたなら、合計額まで書いた明細を先にもらうことが制度上想定されているということ。しかも店側は写しを1か月保管するので、記録は相手の手元にも残ります。言葉が通じにくい場面でも、「明細書をください」と伝えるだけで金額の食い違いはかなり減ります。
ひとつ補足しておくと、別表4のこの部分は「美容業者」全体に向けた衛生管理基準です。皮膚美容業はその一類型なので当てはまりますが、エステ専用に作られた規定ではありません。ヘアサロンやネイルサロンにも同じ掲示義務がかかっています。
病院の看板は「피부과의원」と「진료과목 피부과」で意味が違う
医療機関のほうにも、看板の書き方のルールがあります。これは日本ではあまり知られていませんが、韓国の看板は「開設者が専門医かどうか」を文字の形で示すように制度化されているのです。
根拠は医療法施行規則です。第40条第4号は、医院などの開設者が専門医である場合に、固有名称の前に専門科目と専門医を併記するか、固有名称と医療機関の種類名称の間に専門科目を挟んで表示できると定めています。「◯◯피부과의원」という並びは、この後者の形にあたります。
一方、専門医ではない医師が皮膚科の診療を掲げる場合は、診療科目の表示という別のルールになります。第41条第4項は「진료과목」という文字と診療科目の名称を表示しなければならないと定め、第42条は医院名の表示板に診療科目を併記するときその文字の大きさを医院名の2分の1以内にしなければならないと定めています。
看板の読み分け(医療法施行規則第40条・第41条・第42条)
- ◯◯피부과의원 … 開設者が皮膚科専門医のときに名乗れる形
- ◯◯의원 진료과목: 피부과 … 皮膚科の専門医ではない医師が皮膚科診療を掲げている形。「진료과목」の4文字が付き、その文字は医院名より小さく表示される
ここは誤解されやすいところなので、はっきり書いておきます。これは「専門医の資格を持っているかどうか」を示す表示のルールであって、腕前や結果を保証するものではありません。専門医でない医師の診療が制度上できないという話でもありません。看板から読み取れるのは「どの科の専門医資格を持つ人が開設した医院か」という事実だけです。
専門医かどうかは、大韓皮膚科医師会(대한피부과의사회)が運営する検索でも確認できます。医師名や地域から検索する仕組みで、同会は入口の認証マークや院内の資格証を合わせて見ることを案内しています。ただしこれは職能団体の名簿なので、ここに載っていないことが即座に何かを意味するわけではない点は押さえておいてください。
メニュー表に並ぶ施術名そのものの読み方は、この記事では扱いません。商標名と一般名の見分け方は韓国の皮膚科メニューの読み方を整理した記事にまとめてあります。

公開されている価格は、そのまま自分の金額ではない
価格の見え方は、2つの系統でまったく違います。そしてここには、日本から行く人にとって見落としやすい落とし穴があります。
医療機関には、価格を見せる法律上の義務があります。医療法第45条第1項は、健康保険の給付対象から外れる費用(非給付診療費用)を患者や保護者が簡単に分かるように告知しなければならないと定めています。施行規則第42条の2はさらに具体的で、項目と価格を書いた冊子などを受付窓口など患者が見やすい場所に備えておくこと、そして保健福祉部長官が告示する対象については診療の前に項目と価格を直接説明することを求めています。加えて、健康保険審査評価院(HIRA)が医療機関ごとの非給付価格を公開する制度もあります。
ここまで読むと「掲示や公開データを見れば、自分が払う金額が分かる」と思えます。ところが、その掲示の中身を定めた保健福祉部の告示に、こういう一文があります。
비급여 진료비용 등의 고지 지침 제2조제2항
② 제1항에도 불구하고 건강보험 가입자 또는 의료급여 수급자가 아닌 외국인환자 등의 진료비용은 비급여 진료비용 등의 고지 대상으로 하지 아니한다.
(第1項にかかわらず、健康保険加入者または医療給付受給者でない外国人患者等の診療費用は、非給付診療費用等の告知対象としない)
日本から旅行で行く人は、まさにここでいう「健康保険加入者でない外国人患者」にあたります。つまり店頭やウェブサイトに掲示・公開されている価格は、制度上、外国人患者の診療費用を対象にしたものではありません。同じ施術名でも自分に提示される金額が違うことがあり、それ自体は制度の建て付けどおりということになります。公開データは相場の見当をつけるための材料であって、自分の金額は個別に見積もりとして出してもらう——この順番で考えるのが確実です。なお、医療法第45条第3項は「告知・掲示した金額を超えて徴収してはならない」と定めていて、この縛り自体に国籍の区別はありません。だからこそ、自分に向けて出された見積もりを書面かデータで受け取っておくことに意味があります。
公開データの実際の検索手順は費用の調べ方をまとめた記事で扱っているので、見当をつける段階ではそちらを開いてください。
一方、エステの価格には公開制度がありません。あるのは前の節で見た「最終支払料金表を店内に掲示する」という義務だけです。つまり行く前にネットで横並び比較する仕組みがあるのは医療機関のほうだけで、エステは店に行くまで正式な価格が分からない構造になっています。日本語のまとめサイトに載っているエステの価格は、店側の公式表示ではないことが多く、そのまま持っていくと食い違います。
この記事では具体的な金額を書きません。理由は2つあって、エステには公的に確認できる相場が存在しないこと、そして医療機関の公開価格が外国人患者の診療費用を対象にしていないことです。数字を出すなら、その店に自分の条件で見積もりを出してもらうしかない、というのが正直なところです。金額はウォン表記のまま控えて、日本円への換算はカードの明細で確認する——という進め方をおすすめします。
パッケージ(선납진료)を買う前に——2026年7月に何が変わったか
韓国の美容系の医院では、複数回分をまとめて先に払う선납진료(ソンナプチルリョ、前払い診療)という売り方が広がっています。「イベント価格」「特価構成」といった割引が付くので選ぶ人が多いのですが、途中でやめたいときの扱いが問題になってきました。
公正取引委員会は2026年7月(報道資料の登録は7月16日、配布は7月20日朝刊)、この分野の約款を審査した結果を公表しています。対象になったのは、2023年から2024年の2年間で韓国消費者院への被害救済申請が多かった上位15の医院。そこで見つかった不公正な約款は6類型にのぼりました。
是正された6類型(公正取引委員会・2026年7月)
- 契約の解除・解約を制限する条項(13社)
- 過度な損害賠償額の予定条項(2社)
- 事業者の法律上の責任を排除する条項(7社)
- 訴訟提起を禁止する条項(10社)
- 前払い診療権の譲渡を制限する条項(10社)
- 給付の内容を事業者が一方的に決定・変更する条項(1社)
実際に使われていた文言として、報道資料には「施術結果の主観的な不満足や不快感は返金事由になりません」「契約日から2か月が過ぎると返金できません」「有効期間が過ぎた後の施術および返金は不可能です」といった例が挙げられています。これらは韓国の約款規制法(약관법)第9条に照らして無効と判断されました。
また、解約時に決済額の20〜30%の違約金を課す条項は同法第8条により無効とされ、すでに受けた施術の費用と、消費者紛争解決基準による違約金10%を精算したうえで残額を返金するという形に是正されています。公正取引委員会が見出しに掲げた言葉は「使った分だけ費用を払い、残額は返金可能」でした。
ここは書き方に注意が必要です。是正の対象になったのは、この15の医院です。韓国のすべての医院の約款が自動的に書き換わったわけではありませんし、「どこでも10%で解約できる」という制度ができたわけでもありません。読み取るべきは「返金を全面的に禁じる条項は、韓国の法律上は無効と判断されうる」という考え方が公的に示されたという点です。公正取引委員会は今後この内容を反映した標準約款の制定も検討するとしています。
エステ側の回数券や会員権は、また別の枠組みで扱われます。訪問販売等に関する法律は、1か月以上にわたって継続的または不定期に提供される契約で、中途解約時の返金制限や違約金の定めがあるものを継続取引と定義し(第2条第10号)、消費者は契約期間中いつでも解約できると定めています(第31条)。ただしこの条文には「他の法律に別の定めがある場合や、取引の安全などのために大統領令で定める場合はこの限りでない」という但し書きが付いているので、無条件の権利ではなく「原則として」と読んでください。事業者は解約で生じる損失を著しく超える違約金を請求してはならず、実際に提供した分を超えて受け取った代金の返金を不当に拒んではならない、とも書かれています(第32条第1項)。
買う前にできることは、結局これに尽きます。契約書か明細を紙かデータでもらい、解約と返金の条件がどう書いてあるかを見る。その一手間だけで、後から交渉の土台が変わります。
眉のアートメイクは、いま制度が入れ替わっている途中
肌まわりの話題でよく一緒に検索されるのが、眉やアイラインのアートメイク(半永久化粧)です。ここは2025年から2027年にかけて制度が大きく動いている最中なので、断片的な情報が混在しています。時点を分けて整理します。
2026年5月21日、大法院(最高裁)の全員合議体が判例を変更しました。事件番号は2021도15611、罪名は医療法違反です。争点は「非医療人が行った通常の美容文身行為が、旧医療法第27条第1項の禁じる無免許医療行為にあたるか」で、結論はあたらない。1992年5月22日の判決(91도3219)以来34年続いた判例が、この判決で変更されました。判決の説明資料では、文身行為を「芸術表現などを目的とする書画文身行為」と「美容を目的として眉やアイライン、毛髪などを施す美容文身行為」に分けたうえで、当該事案(頭皮への文身)は美容文身にあたると整理されています。
そして文身師法(문신사법)が2025年10月28日に制定されました。ただし施行は2027年10月29日です。この法律は、文身師になろうとする人に国家試験の合格と保健福祉部長官の免許を求め(第4条)、眉やアイラインを施す行為を「美容文身行為」として定義に含めています(第2条第1号ロ)。文身の除去行為は文身師が行ってはならない、とも明記されています(第8条第3項)。
2026年8月時点の状態
- 通常の美容文身行為は、大法院の判例変更により無免許医療行為として処罰される対象からは外れた
- ただし文身師法はまだ施行されていない(2027年10月29日から)。国家免許も、同法にもとづく衛生・安全の基準も、まだ動いていない
- つまり「刑事処罰の対象から外れた」ことと「免許と基準ができた」ことは、まだ同じではない
- 前半で見た公衆衛生管理法施行規則の別表4には、美容業者がしてはならない行為として文身が挙げられたまま残っている(この部分の最終改正は2025年2月28日で、判例変更より前)。判決が扱ったのは医療法の話で、こちらは別の法律の話
この判例変更を「安全になった」という意味に読み替えないでください。大法院が判断したのは通常の美容文身行為が医療法違反にあたるかどうかという一点であって、施術の医学的な評価をしたわけではありません。エステの業務範囲が広がったという話でもありません。制度がいまどの段階にあるかを知ったうえで、施術の是非は医師に相談する——という順番は変わらないと考えています。
もうひとつ。ここまではすべて韓国の制度の話です。同じ施術が日本国内でどう扱われるかは日本の法制度の問題なので、韓国で制度が動いたことをそのまま日本に持ち帰らないでください。
リスクをどう考えるか——制度が守る範囲と、その外側
この記事は施術の内容を扱わないので、副作用やダウンタイムの医学的な説明はしません。代わりに、公的機関が制度を説明するときにリスクをどう表現しているかを、そのまま引いておきます。
公正取引委員会は前述の報道資料のなかで、訴訟提起禁止条項を無効と判断した理由をこう書いています。「皮膚・美容の医療施術は、医療陣の過失や不注意による副作用発生の危険が常に存在するため、医療陣は相当な注意義務を尽くして医療サービスを提供しなければならず、故意・過失による消費者被害については責任を負わなければならない」。公的機関が、この分野に副作用の可能性が常にあることを前提に制度を組んでいるという事実は、そのまま受け止めておく価値があります。
大法院も、無免許医療行為を禁じる規定の趣旨について「医療行為が高度の専門的知識と経験を必要とすると同時に、人の生命・身体または一般公衆衛生と密接かつ重大な関係にある点を考慮して」と説明しています。だからこそ資格の線引きが法律で引かれている、という順序です。
そのうえで、制度が実際に守ってくれる範囲を確認しておきます。
- 医療機関で受けるなら … 診療前に価格を説明する仕組みがあり、費用の記録が残る。外国人患者の受け入れに関する登録制度もある(詳しくは登録医療機関の調べ方の記事)。ただし前述のとおり、掲示・公開の対象は外国人患者の診療費用を含まない
- エステで受けるなら … 営業の届出と美容師免許を出すのは市長・郡守・区庁長。衛生検査などの権限は特別市長・広域市長・道知事と市長・郡守・区庁長にまたがる。届出証と免許証、料金表の掲示が制度上の手がかりになる
- 契約でもめたら(韓国側) … 韓国消費者院の被害救済という枠組みがあり、公正取引委員会が前述の15医院を選んだ基準もここへの申請件数だった。ただし韓国に住んでいない外国人旅行者が直接申請できるかどうかは、公式情報で確認できませんでした。使えるかどうかは1330か韓国消費者院に直接確かめてください
- 契約でもめたら(日本側) … 国民生活センターの越境消費者センター(CCJ)が、海外事業者とのトラブルの相談窓口を日本語で運営しています。公式説明では「海外での現地取引(旅行先の商品購入、サービス利用等)」も対象。原則メールで解決方法を助言し、必要に応じて海外の連携機関を通じて相手方に対応を促す仕組みで、解決を保証する機関ではありません
- 言葉が通じないときは … 韓国観光公社の観光通訳案内電話1330。電話とテキストチャットで運営され、チャットはLINE・KakaoTalk・Facebookからも使えます。旅行中の苦情申告の窓口も兼ねています。受付時間は公式ページで確認してください(韓国国内は市外局番なしの1330、海外からは+82-2-1330)
逆にいえば、制度の外側で起きたことは、制度では拾いにくいということでもあります。掲示も契約書も明細も無いまま進んだ取引は、後から証拠を組み立てるのが難しくなります。写真、明細、やり取りの画面——残せるものを残しておく、という一般的な備えがここでも効きます。
この先に進むときに開く記事
この記事は「どこで受けるか」を決めるところまでを扱いました。そこから先は、目的ごとに分かれます。
- 渡航全体の順番を知りたい … 韓国の美容医療、確認する順番と登録の中身
- 日程と滞在日数を組みたい … 美容医療の渡韓、日程はどう組む?
- メニュー表の施術名を読み解きたい … 韓国の皮膚科メニューはどう読む?
- 費用を自分で調べたい … 韓国の美容医療の費用はどう調べる?
- 予約の経路と通訳を決めたい … 韓国の美容クリニック予約はどう取る?
- 帰国後のホームケアを整えたい … 韓国スキンケア10ステップの順番
よくある質問
まとめ
- 韓国の「肌管理」は、医療法にもとづく医療機関と、公衆衛生管理法にもとづく皮膚美容業(エステ)という別々の制度の上にある
- エステの業務範囲は法律で「医療機器や医薬品を使わない、皮膚状態分析・皮膚管理・脱毛・眉の手入れ」に限定されている
- 施行規則の別表4は、美容業者がしてはならない行為としてホクロ・シミ取り、耳たぶの穴あけ、二重手術、文身、皮膚剥削術を名指しし、薬事法上の医薬品と医療機器法上の医療機器の使用を禁じている
- エステ側の手がかりは店内の掲示物。届出証・免許証の原本・最終支払料金表、そして3種類以上なら事前の明細書(店側は写しを1か月保管)
- 医療機関の看板は「◯◯피부과의원」と「◯◯의원 진료과목: 피부과」で意味が違う。ただしこれは資格の表示ルールであり、質の保証ではない
- 掲示・公開されている非給付価格は、制度上、健康保険加入者でない外国人患者の診療費用を対象にしていない。自分の金額は個別に見積もりで取る
- 前払いパッケージは2026年7月に公正取引委員会が約款を是正。ただし対象は15医院で、全国一律の制度ができたわけではない
- 眉のアートメイクは判例変更(2026年5月)と文身師法(2027年10月施行)の間の移行期にある
制度の地図が頭に入っていれば、現地で看板を見た瞬間に「これはどちら側の店か」が分かります。そこから先の判断は、医師や店に直接確認するのがいちばん確かです。
この記事の情報源と確認日
- 国家法令情報センター「공중위생관리법」[시행 2025. 7. 31.] 법률 제20171호 https://www.law.go.kr/법령/공중위생관리법 (2026年8月26日確認)
- 国家法令情報センター「공중위생관리법 시행규칙」[시행 2026. 7. 14.] 보건복지부령 제1186호 https://www.law.go.kr/법령/공중위생관리법시행규칙 (2026年8月26日確認)
- 国家法令情報センター「공중위생관리법 시행규칙 [별표 4] 공중위생영업자가 준수하여야 하는 위생관리기준 등(제7조관련)」<개정 2025. 2. 28.> https://www.law.go.kr/LSW/flDownload.do?bylClsCd=110201&flSeq=149745677 (2026年8月26日確認)
- 保健福祉部告示「비급여 진료비용 등의 고지 지침」[시행 2023. 10. 25.] 보건복지부고시 제2023-192호 https://www.law.go.kr/LSW/admRulLsInfoP.do?admRulSeq=2100000230772 (2026年8月26日確認)
- 国家法令情報センター「의료법」[시행 2026. 4. 7.] 법률 제21524호 https://www.law.go.kr/법령/의료법 (2026年8月26日確認)
- 国家法令情報センター「의료법 시행규칙」[시행 2026. 6. 12.] 보건복지부령 제1177호 https://www.law.go.kr/법령/의료법시행규칙 (2026年8月26日確認)
- 国家法令情報センター「방문판매 등에 관한 법률」[시행 2025. 1. 21.] 법률 제20712호 https://www.law.go.kr/법령/방문판매등에관한법률 (2026年8月26日確認)
- 国家法令情報センター「문신사법」[시행 2027. 10. 29.] 법률 제21070호, 2025. 10. 28. 제정 https://www.law.go.kr/법령/문신사법 (2026年8月26日確認)
- 国家法令情報センター「소비자분쟁해결기준」[시행 2025. 12. 18.] 공정거래위원회고시 제2025-14호 https://www.law.go.kr/행정규칙/소비자분쟁해결기준 (2026年8月26日確認)
- 公正取引委員会 報道資料「15개 의원의 선납진료 이용약관 상 불공정 약관 시정」(약관특수거래과・2026年7月) https://www.ftc.go.kr/www/selectBbsNttView.do?key=12&bordCd=3&nttSn=47748 (2026年8月26日確認)
- 大法院 判例速報「비의료인인 피고인이 통상적인 미용문신행위를 하여 의료법위반죄로 기소 된 사안」2021도15611(2026. 5. 21. 全員合議体判決) https://www.scourt.go.kr/portal/news/NewsViewAction.work?seqnum=11115&gubun=4 (2026年8月26日確認)
- 法制処「찾기쉬운 생활법령정보」피부관리실 창업ㆍ운영 > 미용사(피부) 면허 취득 https://www.easylaw.go.kr/CSP/CnpClsMainBtr.laf?popMenu=ov&csmSeq=1012&ccfNo=1&cciNo=2&cnpClsNo=1 (2026年8月26日確認)
- 法制処「찾기쉬운 생활법령정보」피부관리실 운영 > 위생관리 https://easylaw.go.kr/CSP/CnpClsMain.laf?popMenu=ov&csmSeq=1012&ccfNo=3&cciNo=1&cnpClsNo=2 (2026年8月26日確認)
- Q-net 国家資格種目別詳細情報「미용사(피부)」 https://www.q-net.or.kr/crf005.do?id=crf00503&jmCd=7947 (2026年8月26日確認)
- 大韓皮膚科医師会「전문의 구별법」 https://akd.or.kr/dermatologist/verify (2026年8月26日確認)
- 大韓皮膚科医師会「우리동네 피부과 전문의」 https://akd.or.kr/dermatologist/local (2026年8月26日確認)
- 健康保険審査評価院「비급여 진료비용 정보」 https://www.hira.or.kr/npay/index.do (2026年8月26日確認)
- 韓国消費者院「소비자 피해구제・분쟁조정」 https://www.kca.go.kr/odr/ (2026年8月26日確認)
- 韓国観光公社 VISITKOREA(日本語)「1330観光通訳案内」 https://japanese.visitkorea.or.kr/svc/contents/contentsView.do?vcontsId=140643&menuSn=454 (2026年8月26日確認)
- 政府24「관광통역안내전화 1330」(所管:韓国観光公社・最終修正2026年7月27日) https://www.gov.kr/portal/service/serviceInfo/B55101100019 (2026年8月26日確認)
- 国民生活センター 越境消費者センター(CCJ)「CCJについて」 https://www.ccj.kokusen.go.jp/ccj_syki (2026年8月26日確認)

