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「Suicaを持っていけば、韓国の地下鉄もそのまま乗れるんじゃない? 」——毎日使っているICカードだからこそ、そう考えたくなりますよね。財布のICカードをそのままタッチできたら、両替もチャージも要らずに済むのに、と。ですが結論からいうと、その期待は裏切られます。
Suica・PASMO・ICOCAなど日本の交通系ICカードは、韓国の地下鉄改札やバスでは使えません。JR東日本公式サイトの相互利用ネットワークは国内10種類のICカードに限られており、韓国の交通系ICカードとの相互利用についての記載は見当たりませんでした。Apple PayやGoogleウォレットに入れたSuicaも扱いは同じです。韓国側では티머니(T-money)やWOWPASS、기후동행카드(気候同行カード)など、現地専用のカードを別に用意する必要があります。逆に韓国のT-moneyを日本で使うこともできません。この記事では公式サイトで確認できた事実だけを整理し、確認できなかったことははっきりそう書きます。
まず結論——SuicaもPASMOもICOCAも韓国の改札は通らない
「一応持っていけば、いざという時に使えるかも」——そんな気持ちで交通系ICカードを財布に入れたまま渡韓する人は少なくないはずです。ですが実際に地下鉄の改札でタッチしても、反応しないと考えておいたほうが安全です。
JR東日本の公式サイトを確認すると、Suicaと相互利用(共通利用)できる交通系ICカードは、PASMO・Kitaca・TOICA・manaca・ICOCA・PiTaPa・SUGOCA・nimoca・はやかけんという国内10種類に限られています。利用可能エリアについても「各エリア間をまたがってご利用いただくことはできません」と、国内の指定エリア内での利用が前提として案内されており、海外のカードと相互利用しているという記載は公式サイト内のどこにも見当たりませんでした。
これはICOCAやPASMOなど、Suica以外の交通系ICカードにも共通する話です。日本国内では相互に使い合えるこれらのカードも、韓国の改札に対しては同じ立場になります。「日本で使えているカードだから、多少は融通が利くはず」という期待は、公式情報を見る限り成立しないと考えておくのが正解です。
なぜ使えないのか——規格の違いと相互利用の協定
では、なぜタッチしても反応しないのでしょうか。理由をひとことで言うと、Suicaが使っている非接触ICの通信方式と、韓国の交通系ICカードが使っている方式が異なるとされているからです。かざす場所やタッチの仕方は似ていても、カードの中の会話の言葉が違う、とイメージすると分かりやすいかもしれません。
ただし、この技術的な違いについて、日本側・韓国側の公式機関が正面から比較して説明している一次資料までは、今回の調査では見つけられませんでした。断定的な規格名を挙げて「だから使えない」と言い切るのではなく、公式サイトが明言している範囲で慎重に書くと、確実に言えるのは次の2点です。ひとつは、JR東日本の相互利用ネットワークに韓国のカードが含まれていないこと。もうひとつは、逆に韓国側の主要な交通系ICカードのサイトにも、日本のSuicaと相互利用しているという案内が見当たらないことです。
つまり、技術的に読み取れないから使えないのか、単に相互利用の協定を結んでいないだけなのか、公式には明言されていません。どちらにせよ、現時点では「日本のカードでは韓国の改札は開かない」という結果は変わらないので、旅行の準備としては同じ対策になります。
Apple PayやGoogleウォレットに入れたSuicaでも結果は同じ
「カードそのものじゃなくて、スマホのApple PayやGoogleウォレットに入れたSuicaなら、通信の仕組みが違うから使えるんじゃない? 」と考える人もいるかもしれません。ですが、公式の案内を見る限り、こちらも期待しないほうがよさそうです。
JR東日本のモバイルSuicaの案内ページでは、Suicaには「モバイルSuica」「Apple PayのSuica」「カードタイプ」という3つの形があると紹介されていますが、いずれも同じSuicaの仕組みの上に成り立っているサービスとして扱われています。スマホに入れたSuicaだけが海外で特別に使えるという記載や、通常のカードと違う扱いになるという記載は見当たりませんでした。
スマホ決済だから何でも柔軟に対応してくれる、というのは思い込みに近いかもしれません。海外で交通系ICを使いたいなら、日本のSuicaをどう工夫するかではなく、現地専用のスマホ決済に切り替える方向で考えるほうが早道です。実際、iPhoneに韓国の交通系ICカードを入れる方法や、Androidでモバイル版T-moneyを使う方法を別記事でまとめているので、機種にあわせて確認してみてください。
では韓国で何を持てばいいのか——4つの選択肢
日本のカードが使えないと分かったところで、次に気になるのは「じゃあ何を用意すればいいの? 」ですよね。韓国で交通系ICとして使える代表的な選択肢は、大きく分けて4つあります。
ひとつ目は韓国で一番の定番といえる티머니(T-money)。コンビニや空港、地下鉄駅の窓口など、手に入る場所が多いのが強みです。ふたつ目はWOWPASSで、交通カードの機能に加えて、現金の両替やチャージまで一枚で完結できるのが特徴です。3つ目は이즐(イーズル)。旧ブランドの캐시비(Cashbee)が、로카모빌리티(LOCA Mobility)と統合して生まれ変わった名前で、物理カードとモバイル版の両方が案内されています。4つ目は기후동행카드(気候同行カード)で、ソウル市内の移動に絞った定額の乗り放題カードです。
どれも「タッチして乗る」という使い方そのものは共通していますが、それぞれ向く人が違います。次の項目で、選び方の目安を整理します。
WOWPASSは日本にいるうちに先に用意しておくこともできます。現地の発券機でも買えますが、到着初日から使いたいなら日本で受け取っておくほうが空港での手間が減ります。
T-moneyとWOWPASSはどちらを選ぶべきか
4つの選択肢のうち、多くの旅行者が最初に候補にするのはT-moneyとWOWPASSだと思います。判断のポイントは、チャージの手間をどこまで減らしたいかです。
T-moneyはコンビニのレジで現金チャージができ、韓国旅行の定番として長年使われてきたカードです。細かい使い方や、日本でのチャージ方法についてはT-moneyの使い方ガイドで別にまとめています。一方でWOWPASSは、交通カードとしての機能に加えて、現金の引き出しや外貨両替までを1枚のカードでこなせるのが強みです。両替の行列に並ぶ手間を減らしたい人や、現金を必要な分だけこまめに引き出したい人には向いています。両方の違いをもう少し詳しく比べたい場合はWOWPASSとT-moneyの比較記事も参考にしてみてください。
이즐(旧Cashbee)は、コンビニでT-moneyの在庫が切れていたときの代わりとして覚えておくと安心です。ブランド名は変わっても、地下鉄・バスをタッチして乗るという基本の使い方は同じだと案内されています。どのカードを選べばいいか迷ったときは、韓国の交通系ICカードの選び方まとめもあわせて読んでみてください。

短期旅行者向けの기후동행카드という選択肢
ソウル市内だけをまとまった日数で動き回るなら、기후동행카드(気候同行カード)という選択肢もあります。ソウル市公式サイトの案内によると、観光客向けの短期券は1日券5,000ウォン・3日券10,000ウォン・5日券15,000ウォン・7日券20,000ウォン(いずれも2026年8月28日確認)という価格帯で、ソウル市内の地下鉄(一部京畿道内の運行区間を含む)・ソウル市認可のバス・レンタサイクルの따릉이(タルンイ)・漢江バスの範囲内であれば乗り放題になります。1日券の5,000ウォンはだいたいコンビニのコーヒー1杯分、7日券の20,000ウォンはシートマスク5枚分くらいの感覚と考えると、割高か割安かのイメージがつかみやすいはずです。
ただし注意点もあります。ソウル市外の地下鉄区間や新盆唐線、空港バスなどの市外バス、仁川エリアは対象外で、範囲内で乗車しても範囲外で降りることはできないと明記されています。観光の行き先が仁川空港や京畿道の外れまで広がる日には、このカード1枚では完結しません。
公式サイトによると、2025年3月20日から海外発行のクレジットカードでも購入できるようになり、地下鉄駅の券売機やTmoneyアプリ(Android 12以降)から手に入ります。加えて、30日型の기후동행카드は2026年9月1日から新制度「Climate Pass」に切り替わると案内されており、この記事を書いている2026年8月28日は、ちょうど制度が変わる直前にあたります。短期観光券の扱いがどう変わるかは、渡韓直前に公式サイトで確認しておくのが確実です。
逆方向は? ——韓国のT-moneyは日本の鉄道で使えるのか
ここまでとは逆に、「前回の韓国旅行で使ったT-moneyを、日本の電車でそのまま使えないかな」と考える人もいるかもしれません。結論からいうと、こちらも同じ理由で使えないと考えておくのが安全です。
JR東日本が案内している相互利用ネットワークには、韓国のT-moneyや이즐、WOWPASSといったカードは含まれていません。日本の改札機は、あらかじめ提携している国内10種類のICカードだけを読み取る前提で作られているため、韓国のカードをかざしても反応しないはずです。
これはSuicaが韓国で使えない理由の裏返しでもあります。相互利用というのは、片方が対応すれば済む話ではなく、両方の運営者が協定を結んで初めて成立する仕組みだと考えると分かりやすいかもしれません。今のところ、日韓の交通系ICカードのあいだにそうした協定があるという公式な案内は、どちらの国でも見当たりませんでした。日本での移動には、日本のSuicaやPASMOなど、いつも使っているカードをそのまま持っていくのが結局いちばん確実です。
日本のクレジットカードのタッチ決済は韓国の改札で使えるのか
最近は日本でも、Suicaではなくクレジットカードのタッチ決済(コンタクトレス決済)でそのまま改札を通れる駅が増えてきました。「同じ仕組みが韓国にもあれば、カードだけで済むのに」と思う人もいるはずです。
この点については、ソウル市が2025年10月16日に公式発表した資料が参考になります。それによると、外国人観光客の交通決済の不便を解消するために、EMV規格の오픈루프(オープンループ)決済システムを段階的に導入する計画が進んでいます。バスについては2025〜2026年にかけて端末へのEMV認証モジュール設置とバックオフィスの決済サーバー構築を進め、地下鉄については2027年に1〜8号線のEMV端末を交換する計画だと案内されていました。
つまり、この記事を書いている2026年8月28日の時点では、地下鉄の改札やバスで海外発行のクレジットカードを直接タッチして乗車することは、まだできません。経過措置として、新型の券売機であれば海外発行のクレジットカードを使って交通カード自体を購入・チャージできるようにする計画や、iPhoneユーザー向けにApple PayのT-moneyへ海外カードでチャージできる機能を導入する計画も紹介されていました。制度は今後数年で変わっていく途中段階にあるため、渡韓の直前にもう一度、最新状況を確認しておくと安心です。
前回の渡韓で余ったT-moneyの残高はどうなるのか
「前に韓国に行ったときのT-moneyが、まだ引き出しの中に眠っている」という人も多いはずです。有効期限はどうなるのか、次の旅行でそのまま使えるのか、気になるところですよね。
T-moneyの残高そのものは、時間が経過しても目減りするものではないと案内されており、次に韓国へ行ったときにそのままチャージして使い続けられます。手元にカードが残っているなら、新しく買い直す必要はありません。
一方で、旅行の最後に残高を精算しておきたい場合は、환급(払い戻し)という手続きがあります。T-money公式サイトには正常なカードの払い戻し案内ページが用意されており、コンビニや地下鉄駅の顧客センター、ATM、T-money本社などで手続きできると案内されています。ただし、カードの種類(通常のカード・故障したカード・モバイル版のT-money)によって手続きが違い、残高の金額によって払い戻せる場所や条件も変わるとされています。具体的な手数料や上限金額まではこの記事では確認しきれなかったため、断定した数字は書きません。現地の窓口か公式サイトで、渡韓のたびに最新条件を確認しておくのが確実です。
T-moneyの払い戻しにかかる具体的な手数料や上限金額、기후동행카드が空港内で購入できるかどうかについては、今回の調査では公式サイトから確定的な数字を確認できませんでした。出発前に公式サイトか現地の窓口で最新条件を確認してください。
空港に着いてすぐカードを買う手順
最後に、今回まったく交通系ICカードを持っていない人向けに、空港に着いてから最初にやることを整理しておきます。
到着ロビーを出たら、まず地下鉄駅の窓口や自動券売機、あるいは空港内・駅構内のコンビニを探します。T-moneyはコンビニのレジでも購入・チャージができる場合が多く、店員に「티머니 주세요(T-money、ください)」と伝えれば通じやすいはずです。カード自体の購入費用とは別に、チャージ分を追加で渡す流れになるので、最初から使う分だけ多めにチャージしておくと、市内に着いてから両替を探す手間が減ります。
WOWPASSを日本で先に用意していた場合は、現地のWOWPASS機械(ホテル・地下鉄駅・コンビニに設置されているもの)で受け取りやチャージを行う流れになります。日本で受け取っておく方法は日本でT-moneyを買っておく方法まとめでも紹介しているので、あわせて確認してみてください。
どのカードを選ぶにしても、空港に着いた瞬間から交通系ICが手元にあるかどうかで、その日の身軽さがまったく変わってきます。両替の行列やチャージ機の使い方に戸惑う前に、事前にどちらを選ぶか決めておくと、初日の移動がぐっと楽になるはずです。
よくある質問
まとめ
- Suica・PASMO・ICOCAなど日本の交通系ICカードは韓国の地下鉄・バスでは使えない。JR東日本の相互利用網は国内10種類のICカードに限られている
- Apple PayやGoogleウォレットに入れたSuicaも扱いは同じで、海外で特別に使えるという公式案内はない
- 韓国側の選択肢はT-money・WOWPASS・이즐(旧Cashbee)・기후동행카드の4つ。目的で選び分けるのが近道
- 逆に韓国のT-moneyも日本の鉄道では使えない。相互利用は両国の協定があって初めて成立する仕組み
- 日本のクレジットカードのタッチ決済で韓国の地下鉄改札を直接通ることは、2026年8月28日時点ではまだできない。地下鉄への導入目標は2027年
- 기후동행카드は2026年9月1日から新制度「Climate Pass」に切り替わる予定。渡韓直前に公式サイトで最新情報の確認を
「持っていけば何とかなる」が通用しないのが、交通系ICカードの海外事情です。とはいえ、韓国側にも十分に使いやすいカードが揃っているので、事前にどれを選ぶか決めておけば、身構えるほどのことではありません。この記事で「確認できなかった」と書いた部分も、時期によっては公式サイトで新しい情報が出ている可能性があります。
参考・出典
- JR東日本 Suica公式サイト https://www.jreast.co.jp/suica/ (相互利用対象カード・モバイルSuicaの概要を確認、2026年8月28日確認)
- Suica 利用可能エリア https://www.jreast.co.jp/suica/area/ (利用可能エリアの範囲を確認、2026年8月28日確認)
- Suica規約ページ(索引) https://www.jreast.co.jp/suicaall/rule/ (相互利用に関する規約の索引を確認、2026年8月28日確認)
- モバイルSuica https://www.jreast.co.jp/suica/mobile/ (モバイルSuica・Apple PayのSuicaの案内を確認、2026年8月28日確認)
- ソウル市公式サイト報道発表「외국인 교통결제 편의 개선 위해 ‘오픈루프 결제’ 도입 앞장 서」 https://news.seoul.go.kr/traffic/archives/515573 (EMVオープンループ決済の導入計画と現状を確認、発表日2025年10月16日、2026年8月28日確認)
- WOWPASS公式サイト(日本語版) https://wowpass.io/ja (交通カード機能・チャージ方法を確認、2026年8月28日確認)
- ソウル市公式サイト(英語版)Climate Card案内 https://english.seoul.go.kr/policy/transportation/climate-card/ (短期券の価格・対象範囲・購入方法・新制度への移行予定を確認、2026年8月28日確認)
- 이즐(旧Cashbee)公式サイト https://www.cashbee.co.kr (ブランド統合の案内を確認、2026年8月28日確認)
- T-money公式サイト 正常カード払い戻し案内ページ https://www.t-money.co.kr/ncs/pct/ugd/ReadNrmlCardRyGd.dev (払い戻し案内ページの存在を確認、2026年8月28日確認)

