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SNSで見かける「センイルカフェ」の写真。テーブルいっぱいのカップホルダーやフォトゾーンを見て「行ってみたい」「自分でも開けるのかな」と思ったものの、参加の作法も、主催の始め方もよく分からないまま検索窓を閉じた——という人、多いはずです。
センイルカフェ(생일카페(センイルカフェ)、略して생카)は、ファンが推しの誕生日や記念日を祝うために、期間限定でカフェを借りて開くイベントです。参加する側はドリンクを注文してカップホルダーなどの特典を受け取るだけで、特別な手続きは要りません。自分で主催する場合は、カフェの手配から特典の完成まで発注から約1ヶ月が目安。日本には店舗手配や特典制作を代行してくれるサービスもあります。ここでは参加と主催、両方の流れと、特典づくりで気をつけたい著作権の話まで整理しました。
センイルカフェ(생카)とは何か——目的は「儲け」ではない
生일카페は、韓国のファン文化から生まれた韓国語です。直訳すると「誕生日カフェ」。アイドルやキャラクターの誕生日・記念日に合わせて、ファンがカフェの一角、あるいは店舗ごとを一時的に借り、装飾やカップホルダーなどの特典で祝うイベントを指します。常設の専門店があるわけではなく、そのつど主催者がカフェと交渉して開く、期間限定の企画だという点がまず押さえておきたいところです。
公開されている解説によると、生카の原則は「収益化のための手段ではない」こと。つまり、主催者が利益を出すことを目的にした活動ではなく、あくまでファンコミュニティの活動として位置づけられています。特典の売上や参加費から出た収益は、地下鉄広告の出稿費用や寄付、本人へのプレゼント代などに充てられることが一般的とされています。「グッズを売って儲ける場」ではなく「みんなでお金を出し合って推しを祝う場」というのが、生카という文化の土台にある考え方です。
規模も様々です。個人のファンが1人で小さなカフェの一角を借りて開く小規模なものから、複数のファンが資金と労力を出し合って店舗をまるごと借り切る大がかりなものまで幅があります。共通しているのは「カフェという場所を借りて」「期間限定で」「推しを祝う」という3つの条件だけで、規模の大小そのものはルールで決まっているわけではありません。
参加する側の流れ——ドリンク購入から特典受け取りまで
参加のハードルは、想像しているより低いものです。基本的な流れは次のとおり。
- 会場のカフェに行く。告知されている開催期間・時間帯の中で訪れます。
- ドリンクなどを注文する。会場のカフェの通常メニューを、通常どおり注文するのが基本です。
- カップホルダーなどの特典を受け取る。注文したドリンクにカップホルダーを付けてもらったり、レシートと引き換えにステッカーやポトカ(フォトカード)を受け取ったりする形が一般的です。
- フォトゾーンで撮影する。装飾されたパネルやスタンドの前で写真を撮る時間も、センイルカフェの楽しみの一つです。
特別な予約や会員登録が必要な催しではなく、「そのカフェに客として行き、ついでにお祝いに参加する」という感覚に近いイベントだと捉えておくと分かりやすいと思います。フォトゾーンでの撮影を目当てに訪れる人も少なくないようで、日本国内でも推し活の記念写真を撮る文化そのものは、証明写真機(人生4カット)で写真を撮る文化と近い感覚で楽しまれている印象があります。
公式にルールが定められているわけではありませんが、限られた特典を大勢で分け合う場である以上、長時間の滞在で他の参加者の分がなくなってしまわないよう配慮する、写真を撮るときは後ろで待っている人がいないか確認する、といった基本的な譲り合いは前提になります。特典の数には限りがあるので、「早めの時間に行く」というのが、確実に受け取るための一番シンプルな工夫です。
開催日時・会場は主催者ごとの告知が唯一の正確な情報源です。同じ推しの誕生日でも、開くかどうか・どこで開くかは主催者次第。「毎年ここで開催される」といった思い込みで訪問先を決めないほうが安全です。
もらえる特典の中身——カップホルダー・ポトカ・ラッキードロー
センイルカフェで配られる特典は、主催者の企画によって幅があります。よく見られるものを整理すると、次のような種類があります。
- カップホルダー(컵홀더):ドリンクカップに巻く紙製のホルダー。センイルカフェの特典として、いちばん代表的なアイテムです
- ステッカー:シール状のグッズ。カップホルダーと一緒に渡されることも多いです
- ポトカ(포토카드/フォトカード):名刺サイズの写真カード。デザインの凝り具合が主催者ごとの見せ所になります
- ラッキードロー:抽選で追加のグッズや特典が当たる企画
- オークション:数量限定のグッズを競り形式で頒布する企画
こうした特典は、いわゆる公式のK-POPグッズとは別物です。あくまでファンが企画・制作したオリジナルアイテムであり、事務所が販売している公式グッズとは仕入れ元も性質も違います。公式グッズを日本国内で探している場合は、K-POPグッズを日本で買える店のほうを合わせて見ておくと、混同せずに済みます。
韓国語で見る生카の3つのタイプ
韓国語の解説をたどると、生카は開催の形によっておおむね3つのタイプに分けて説明されています。
커피차형は、カップホルダーの配布が中心になるタイプ。カフェ店舗そのものを大きく装飾するというより、ドリンクを買うとカップホルダーが付いてくる、というシンプルな形です。
갤러리형は、カフェを貸し切って写真展のように装飾し、グッズ販売も合わせて行うタイプ。会場そのものが「見に行く」目的になる、規模の大きな企画です。
교류전형は、複数のファン・クリエイターが合作で特典を作り、持ち寄って配布するタイプ。1人の主催者だけでなく、複数のファンが協力して企画するのが特徴です。
これから初めて主催する人にとっては、費用も手間もいちばん軽い커피차형から挑戦するのが現実的な選択肢になりそうです。갤러리형や교류전형は、装飾や合作の分だけ準備の工程が増えるため、まずはカップホルダーの配布だけに絞った小規模な形で経験を積み、慣れてから規模を広げていくというのも一つの進め方です。

いずれのタイプでも共通しているのは、「収益化が目的ではない」という原則です。規模の大小はあっても、企画の根っこにある考え方は変わりません。
自分で主催したい人へ——準備の基本ステップ
「自分も推しのためにセンイルカフェを開いてみたい」という人向けに、基本的な準備の流れを整理します。一般的には、次のようなステップで進めることになります。
- 日程を決める。推しの誕生日・記念日を軸に、開催する日を決めます
- カフェを手配する。会場になってくれるカフェと交渉し、貸し切りや装飾の可否を確認します
- 特典を準備する。カップホルダーやステッカー、ポトカなどのデザインを決め、発注します
- 装飾する。当日までにパネルやフォトゾーンの飾り付けを用意します
- SNSで告知する。開催日・会場・特典の内容をファン向けに発信します
日本国内では、こうした手配をまるごと請け負ってくれる代行サービスも登場しています。公表されている一例として、福岡の株式会社World X-ingが運営する「oshito」では、カフェ手配の代行(1店舗あたり15,000円+税(2026年8月17日確認))と、カップホルダーなどの特典制作(3種類のプランを用意)をセットで提供していると案内されています。15,000円という金額は、推しのグッズをまとめて3〜4個買うくらいの感覚に近いかもしれません。カフェとの交渉に不安がある人は、こうした代行サービスの存在を知っておくと選択肢が広がります。
会場探しの段階で「韓国系のカフェでやりたい」と考える人もいると思います。日本に上陸している韓国発カフェチェーンの日本店舗の情報も、会場候補を考えるときの参考になるはずです。
紹介した代行サービスの料金・プラン内容は、記事作成時点(2026年8月17日)で公開されていた情報です。変更されている可能性があるため、依頼する前に必ず公式サイトで最新の内容を確認してください。
準備はいつから始めればいい?——発注から特典完成まで1ヶ月が目安
「思い立ってすぐ開ける」ものではない、というのがセンイルカフェの主催で意外と見落とされやすいポイントです。前述の代行サービスの案内では、発注から特典完成までにはおよそ1ヶ月かかるため、余裕を持った準備が必要だとされています。
1ヶ月という期間は、コンサートのチケットが先行抽選から発売までにかかる期間と、だいたい同じくらいの感覚です。「誕生日の1週間前に思い立つ」タイミングでは、特典のデザイン・発注・納品のすべてを間に合わせるのは難しいということ。開きたい日が決まったら、できるだけ早い段階でカフェの手配と特典の発注に動き始めるのが安全です。
開催期間の目安——通常3日間
日程決定のステップについての案内では、開催期間は「通常3日間」が一般的だとされています。誕生日当日の1日だけではなく、前後を含めた数日間にわたって開催するのが標準的な形、ということです。
参加する側からすると、「誕生日の当日に行けなくても、前後の日程で訪れられる可能性がある」ということでもあります。ただし会場の空き状況や主催者の都合で日数が変わることもあるため、実際の開催日は必ず個別の告知で確認してください。
カップホルダーに公式のグッズ写真をそのまま使っていい?——著作権と肖像権のリスク
特典を自作するときに、いちばん気をつけたいのがここです。「公式に発表された写真だから」といって、無許可でカップホルダーやステッカーに印刷してよいわけではありません。
韓国の知的財産処は、2026年3月5日、세종・경기(시흥・부천)・경남(김해)の非公式グッズ業者4社に対し、不正競争防止法に基づく是正命令を発令したと報じられています。この法律は2024年8月の改正でパブリシティ権(肖像・氏名等を無断で商業利用されない権利)の侵害規定が新設されたばかりのもので、今回の措置はパブリシティ権侵害を理由にした初めての是正命令とされています。対象になったのは、SEVENTEEN・aespa・IVEなど6グループ41人の肖像を無断で使用したフォトカード・学生証型カード・ステッカーなど。違反時には最大2,000万ウォンの過料が科されるとされています(2026年8月17日確認)。
事務所側のコメントも厳しいものです。HYBEは、非公式グッズについて「知的財産権、肖像権などアーティストや会社の権利を侵害したり、その他違法に行われる場合は積極的な法的対応を続けていく」とコメントしたとメディアが報じています(2021年6月時点の報道、2026年8月17日確認)。ポケットドールスタジオも同様に、「音楽著作物、肖像権、氏名権の無断・違法使用について法的対応も辞さない」とコメントしています。
JYPエンターテインメントは、2026年5月20日付の公式通知で、Naver・YouTube・Instagram・TikTok・Xなどの悪質コンテンツをリアルタイムで監視しており、「いかなる合意や温情もなく刑事告訴・民事請求などの強力な法的措置を継続している」と明記しています。通報窓口としてfan@jype.comも案内されています。
ここまでの動きを見ると、「個人が趣味で作った特典だから見逃してもらえる」という考え方は成立しにくくなってきていると言えそうです。パブリシティ権侵害を理由にした是正命令が実際に出た以上、規模の大小にかかわらず、無許可の写真使用は法的なリスクを伴う行為として扱われる方向に向かっていると捉えておくのが安全です。
今回の是正命令の対象は、フォトカード・学生証型カード・ステッカーであり、カップホルダーが名指しで挙げられているわけではありません。「カップホルダーは事務所に名指しで禁止されている」と断定することはできませんが、法律事務所の一般的な解説では、公式が公開した写真であっても著作権が放棄されたわけではなく、本人または所属事務所の明示的な同意なしに「業として」利用すれば、著作権・肖像権・パブリシティ権の侵害に該当する可能性が高いとされています。カップホルダーも同じ写真・イラストを無断で使う以上、同種のリスクがあると考えておくのが安全です。個別の利用が問題になるかどうかの判断は、必要に応じて弁護士など専門家や関係省庁の案内に委ねてください。
公式の告知や注意喚起を原文で追いたい人は、韓国語のSNS表現に慣れておくと理解が早くなります。韓国語のSNSスラングもあわせてチェックしてみてください。
主催する側になると、カップホルダーやステッカーのほかに当日の装飾やラッピング材も必要になります。国内の店で揃えると割高になりやすいので、韓国のパーティー用品をまとめて扱う通販を先に見ておくと、予算の見通しが立てやすくなります。
よくある質問
まとめ
- センイルカフェ(생카)は、ファンが推しの誕生日・記念日を祝うために一時的に開くイベント。収益化が目的ではないのが原則
- 参加はドリンクを注文して特典を受け取るだけ。特別な予約は不要
- 特典はカップホルダー・ステッカー・ポトカ・ラッキードロー・オークションなどが一般的
- タイプは커피차형・갤러리형・교류전형の3つ
- 主催は日程決定→カフェ手配→特典準備→装飾→SNS告知の流れ。発注から特典完成まで約1ヶ月、開催期間は通常3日間が目安
- 日本には店舗手配・特典制作を代行するサービスもある(料金は依頼前に公式で要確認)
- 公式写真を無断でカップホルダー等に使うのはリスクがある。韓国政府が是正命令を出した実例もあり、事務所も法的対応を明言している
センイルカフェを入り口に韓国旅行そのものに興味が出てきた人は、はじめての韓国旅行の準備から読み進めてみてください。現地で開催されるセンイルカフェを訪ねる日が来るかもしれません。
参考・出典
出典を見る(7件)
- postype「生일카페」解説記事 https://www.postype.com/@envent-tip/post/15988020 (2026年8月17日確認)
- oshito(株式会社World X-ing)ニュース記事 https://oshito.online/news/11803.html (2026年8月17日確認)
- oshito 公式サイト https://oshito.online/ (2026年8月17日確認)
- JYPエンターテインメント 公式通知 https://www.jype.com/ko/Board/Detail?jbst_sq=6996&gubun=notice (2026年8月17日確認)
- WIPNEWS「非公式グッズに関する事務所コメント」 https://www.wip-news.com/news/articleView.html?idxno=7346 (2026年8月17日確認)
- 知的財産処の是正命令に関する報道 https://v.daum.net/v/KeXJtCqFyd?f=p (2026年8月17日確認)
- 法律事務所の解説記事 https://www.hwaumlaw.com/post/연예인-사진으로-굿즈-만들면-안-되나요 (2026年8月17日確認)

