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弘大(ホンデ)のクラブ通りも、延南洞(ヨンナムドン)の京義線(キョンウィソン)숲길(スッキル/森の道)沿いのカフェも、もう一通り歩いた——2回目、3回目の韓国旅行になると、そんな感覚を持つ人は少なくないはずです。次はもう少し静かな路地を、地元の人の生活リズムの中で歩いてみたい。そんな人にすすめたいのが、西大門区(ソデムング)にある延禧洞(ヨニドン/연희동)です。延南洞のすぐ北側にありながら、街の主役は観光客ではなく住民という、少し変わった立ち位置の街です。ソウルのエリア選びに迷ったときの全体像はソウルのエリアガイド一覧にまとめているので、あわせて確認してみてください。この記事では、延禧洞という街の輪郭から行き方、住宅街ならではのマナーまで、公式に確認できた範囲で整理しました。
延禧洞は、朝鮮時代の離宮「延禧宮」に名の由来を持つ住宅地で、庭付きの単独住宅が多く、高層マンションが少ない落ち着いた街です。街の目印は老舗スーパー「사러가쇼핑센터(サロガショッピングセンター)」。地下鉄駅は延禧洞内になく、最寄りの弘大入口駅・新村駅からはバスか徒歩で向かうことになります。観光客で賑わう延南洞とは、道一本隔てただけで空気が変わる——それが延禧洞のいちばんの特徴です(2026年9月6日確認)。
結論——延禧洞はどんな街で、何が目印か
先に全体像を整理します。延禧洞は「観光地」として整備された街ではありません。西大門区庁の公式ページによれば、1970年代初頭から住宅地としての開発が進み、庭付きの単独住宅が多く、梨花女子大・延世大が近いこともあって教授や外国人、政治家なども住む落ち着いた住宅街として知られてきました(2026年9月6日確認)。派手な観光施設があるわけではなく、路地そのものを歩いて、老舗の店や住宅の佇まいを眺めながら回るタイプの街です。
街歩きの起点になりやすいのが、延禧洞の中心部にある「사러가쇼핑센터(サロガショッピングセンター)」です。詳しくは後述しますが、住民の生活に根づいた老舗スーパーで、周辺にはベーカリーや中華料理店が点在しています。所要時間の目安は、サロガ周辺の路地をひと回りするだけなら1時間ほど、老舗のパン屋に寄って延南洞方面まで足を伸ばすなら2〜3時間ほど見ておくと余裕を持てます。カフェ1杯分の時間で切り上げるより、半日枠でゆったり組み込むイメージが合う街です。
延禧洞(ヨニドン)とは——延禧宮の名を継ぐ住宅街
「延禧(연희)」という地名は、朝鮮時代の王が週末に滞在したと伝わる離宮연희궁(延禧宮)に由来すると案内されています。朝鮮時代には「亭子洞」「塩洞」「宮洞」などと呼ばれた時期もあり、日本統治期に一時京畿道へ編入されたのち京城府に戻って「延禧町」となり、1946年に現在の「延禧洞」という名称になりました(2026年9月6日確認)。西大門区庁・西大門保健所・ソウル特別市教育庁西大門図書館といった区の主要施設もこの延禧洞に置かれています。
街としての性格がはっきりしてきたのは1970年代初頭からです。高層マンションではなく、庭付きの単独住宅を中心に開発が進んだため、今も似たような戸建てが並ぶ落ち着いた街並みが残っています。梨花女子大・延世大が徒歩圏に近いこともあり、教授や外国人、政治家などの居住も多いとされる住宅街——それが延禧洞という街の下地です。
延南洞(ヨンナムドン)との違い——静かな路地と観光客の通り
延禧洞に行くと決めた人が、いちばん気になるのはここのはずです。「延南洞と何が違うの?」——結論から言うと、延南洞は延南洞(ヨンナムドン)ガイドで扱っている通り、京義線スッキル沿いにカフェ・飲食店・ブランドのポップアップが集中し、外国人観光客が急増しているエリアです。ソウル市公式の公園ページによれば、京義線スッキルは孝昌公園駅前から加佐駅まで約6.3kmの緑道で、加佐駅そばの延南交差点から弘大入口駅までの延南洞区間は「延トゥロルパーク」とも呼ばれ、賑わいの中心になっています(2026年9月6日確認)。
一方の延禧洞は、住宅としては庭付きの単独住宅が中心で、延南洞に多い老朽化した連立・多世帯住宅とは成り立ちが異なります。複数の報道によれば、延南洞が今の商業エリアになった背景には、延禧洞・弘大に比べて地理的に孤立し交通が不便だった分、家賃が安く若い事業者や芸術家が入りやすかったという経緯があるとされています。つまり延禧洞は「観光地化する前提が最初からなかった」住宅街、延南洞は「不便だったからこそ変化が起きた」商業エリアという、対照的な成り立ちを持っているわけです。

両者は隣接しているため、歩いていて明確な境界線を感じにくいのも正直なところです。「気づいたら延南洞のカフェ通りに入っていた」ということも起こり得ます。地図アプリで사러가쇼핑센터の位置と京義線スッキルの位置を先に確認しておくと、自分が今どちら側にいるかが分かりやすくなります。
行き方——地下鉄駅から直接は行けない街
延禧洞のいちばんの特徴とも言えるのが、街の中に地下鉄駅がないことです。最寄りは地下鉄2号線の弘大入口駅(홍대입구역)か新村駅(신촌역)で、そこからバスか徒歩で向かうことになります。乗換案内サービスの試算では、弘大入口駅から延禧洞の主民センター付近まで徒歩で30分弱かかるともされ、荷物が多い日や暑い時期はバスを使うほうが現実的です。
バスで向かう場合、新村駅の3番・4番出口の目の前にマウルバス(地域バス)「서대문03」の停留所があり、西大門区庁・延禧初等学校を経由して延禧洞方面へ向かう路線として案内されています。弘大側からは、7612番・7734番・7739番といった系統が延禧洞の一部エリアを経由するとされていますが、いずれも延禧洞全域をくまなくカバーするわけではありません。마을버스(マウルバス/地域バス)は路線・停留所が変わることもあるため、系統番号は出発前にソウル市の公式交通情報(TOPIS)や地図アプリで最新の状況を確認してください。新村・梨大エリアガイドを拠点にする人にとっても、延禧洞は歩ける距離感にあります。
地下鉄の出口から「歩いてすぐ」という街ではありません。時間に余裕のない旅程では、他の予定と欲張らず、延禧洞だけで1コマ確保しておくと安心です。
街の目印「사러가쇼핑센터(サロガショッピングセンター)」
延禧洞を歩くときの基準点になるのが、街の中心部にある「사러가쇼핑센터(サロガショッピングセンター)」です。公式サイトによれば、住所は「서울특별시 서대문구 연희맛로 23」で、延禧店の電話番号も掲載されています(2026年9月6日確認)。もとは新吉洞にあった伝統市場「新豊市場」を母体とする老舗で、延禧洞の中心部で地域の生活必需品を扱うスーパーとして長く営業してきたと紹介されています。
ここで一つ注意点があります。公式サイトに掲載されている営業時間は「平日10:00〜17:00(昼休み12:00〜13:00)、土日休み」という案内ですが、これはオンライン通販の顧客センターの応対時間で、延禧店の実店舗の営業時間を明記した独立ページは今回確認できませんでした。複数の地図・レビュー系サイトは実店舗を「毎日10:00〜22:00」と案内していますが、これは二次情報にとどまります。公式に確認できたのは「2026年9月6日時点で閉店・移転の告知が出ていない」という点までで、当日の営業時間は現地または地図アプリで確認するのが安全です。
老舗のベーカリーと中華料理店——確認できた店・確認できていない店
사러가쇼핑센터の周辺には、高級中華料理店や韓定食店が古くから形成されており、近年は若い世代向けの飲食店も増えていると、ソウル市公式マガジンが紹介しています(2026年9月6日確認)。なかでも西大門区庁の公式ブログが取り上げているのが、1978年開業のベーカリー「피터팬(ピーターパン)1978」です。開業当初は自転車の荷台にパンを積んで家々に配達していたという逸話つきで紹介されており、街に根づいた老舗として区が公式に認知していることが分かります。
もう一軒、区の公式ブログが紹介しているのが「독일빵집(ドイツパン屋)」です。戦後間もない時期に創業し、現在は4代目が継いでいる老舗で、天然発酵種を使った食パンが名物とされています。この2軒は西大門区庁の公式ブログという裏づけがあるため「確認できた店」として扱いますが、それぞれの詳しい定休日・当日の営業時間までは公式に明記されたページを見つけられませんでした。ソウルのベーカリー巡り全般のコツはソウルのベーカリーガイドにまとめているので、あわせて読むと当日の回り方をイメージしやすくなります。カフェ巡りの組み立て方はソウルのカフェ巡りコースも参考にしてみてください。
住宅街を歩くときのマナー——夜の声・路上駐車・私有地の撮影
ここが、この記事でいちばん伝えたいことです。延禧洞は美術館や商業施設ではなく、今も人が暮らしている住宅の中を、旅行者が通らせてもらっている場所です。庭付きの一戸建てが並ぶ路地では、大声での会話や夜遅くの写真撮影は、住民にとって想像以上に響きます。友達とのおしゃべりが盛り上がる気持ちは分かりますが、路地に入ったら少し声のトーンを落とす——それだけで印象は大きく変わるはずです。
路上駐車も要注意ポイントです。住宅街の道は狭く、住民の生活動線そのものになっているため、地図アプリの案内だけを頼りに車を停めるのは避けたほうが無難です。そして何より、私有地である住宅の門構えや庭を、無断で敷地内に入って撮影するのはやめましょう。おしゃれな外壁や植栽に目を奪われがちですが、そこは誰かの暮らしの場です。道路から眺める、遠景で撮る、という距離感を守るだけで、住民との無用なトラブルは避けられます。
延禧洞には観光客向けの案内看板がほとんどありません。「マナーを気にしなくていい場所」ではなく、「案内がないからこそ、自分でマナーを判断する場所」だと考えて歩くのが安全です。
泊まるならどのあたりか——弘大・新村側が現実的
延禧洞そのものは住宅街のため、旅行者向けの宿泊施設はほとんどありません。延禧洞には宿が少なく、実際に泊まるなら地下鉄駅もあり選択肢の多い弘大・新村側に泊まって、日中に延禧洞まで足を伸ばすのが現実的な組み方です。宿泊エリアの選び方は弘大エリアのホテルガイドにまとめているので、初めて延禧洞まで足を伸ばす人はあわせて確認してみてください。
弘大・新村側を拠点にすれば、地下鉄でのアクセスも良く、飲食店やコンビニに困ることもありません。延禧洞だけを目的にホテルを探すより、弘大・新村を軸にしたほうが、他の予定とも組み合わせやすいはずです。荷物を宿に置いてから、身軽な格好で延禧洞の路地を歩く——このくらいの距離感がちょうどよく回れます。
半日の回り方——延南洞・弘大とセットで歩く
延禧洞だけで丸一日を使う必要はありません。むしろ、弘大や延南洞の予定に組み込む「ついで」の距離感がちょうどいい街です。おすすめの流れは、まず弘大入口駅周辺で買い物や食事を済ませ、バスか徒歩で延禧洞に入って사러가쇼핑센터周辺の路地を歩き、老舗のベーカリーに寄ってから、隣接する延南洞の京義線スッキル方面へ抜けて弘大方面へ戻る、という順番です。逆に、延禧洞から先に歩き始めて、賑やかな延南洞のカフェで一息つくという組み方も合っています。
ポイントは、延禧洞を「単独の目的地」にせず、前後どちらかに休憩できる街を挟むことです。路地は日陰の少ない区間もあり、住宅街ならではの静けさが続く環境でもあるため、長時間歩き続けると単調に感じる人もいるはずです。半日という時間の使い方で言えば、延禧洞に1〜1.5時間、残りを弘大か延南洞に振り分けるくらいの配分が、体力的にも無理がないでしょう。シートマスク3枚分ほどの予算でも、老舗のパンとコーヒーで小休止できるのがこのエリアの魅力です。
よくある質問
まとめ
延禧洞は、観光地として整備された場所ではなく、朝鮮時代の離宮の名を継ぎながら、今も住民の暮らしが続く住宅街です。だからこそ、弘大や延南洞をひと通り歩いた人にとっては、新鮮な発見が多い場所でもあります。最後に、この記事で確認できたことをチェックリストにまとめます。
- 延禧洞(연희동)はソウル西大門区にある住宅街。地名は離宮「延禧宮」に由来する
- 庭付きの単独住宅が中心で、高層マンションが少ない。街の目印は사러가쇼핑센터
- 延南洞は京義線スッキル沿いの商業・観光エリア、延禧洞は静かな住宅街という対比がある
- 地下鉄駅は延禧洞内になく、弘大入口駅・新村駅からバスか徒歩で向かう
- 사러가쇼핑센터は2026年9月6日時点で営業継続を確認。実店舗の営業時間は要現地確認
- 피터팬1978・독일빵집は西大門区庁公式ブログで確認できた老舗ベーカリー
- 住宅街のマナー(夜の声・路上駐車・私有地の撮影)への配慮が必須
- 宿泊は延禧洞内ではなく、弘大・新村側を拠点にするのが現実的
「観光地化しきっていない街」は、それだけ確認しきれないことも多いのが正直なところです。それでも、老舗のパンの香りと住宅街の静けさが同居する路地は、他のエリアではなかなか味わえません。住民の暮らしへの配慮だけ心に留めて、あとは地図を片手に、気になる路地へ足を向けてみてください。
延禧洞の位置関係は、サロガショッピングセンターを中心に下の地図でも確認できます。
韓国国内の徒歩・車ルートの検索はGoogleマップが弱いため、より詳しく調べたい場合はNAVER地図で「연희동」を検索してください。NAVER地図で延禧洞を検索する
参考・出典
- 西大門区庁公式ブログ「[서대문구 역사알아보기] 연희동의 옛 이야기」 https://tongblog.sdm.go.kr/1322 (2026年9月6日確認)
- 西大門区庁公式 文化観光ページ https://www.sdm.go.kr/culture (2026年9月6日確認)
- ソウル市公式マガジン「서울사랑」延禧洞の骨道紹介記事 https://love.seoul.go.kr/articles/9352 (2026年9月6日確認)
- 西大門区庁公式ブログ「[연희동맛집]피터팬1978」 https://tongblog.sdm.go.kr/3512 (2026年9月6日確認)
- 西大門区庁公式ブログ「서대문 빵지순례, 연희동 독일빵집」 https://tongblog.sdm.go.kr/4820 (2026年9月6日確認)
- 사러가쇼핑센터 公式サイト https://www.saruga.com/ (2026年9月6日確認)
- ソウル特別市公式「서울의 공원」京義線スッキルページ https://parks.seoul.go.kr/parks/detailView.do?pIdx=1383 (2026年9月6日確認)
- 서울 버스 서대문03 路線情報(나무위키) https://namu.wiki/w/서울%20버스%20서대문03 (2026年9月6日確認)

