「韓国で中古のブランド品を買うって、実際どうなの?」——友人にそう聞かれるたび、まず伝えているのは「名品(ミョンプム)」という言葉の意味からです。韓国語で명품(ミョンプム・名品=ブランド品)は、有名な作品という意味ではなく、シャネルやエルメスのような高級ブランド品そのものを指す言葉として使われています。そこに중고(チュンゴ・中古)が付いて중고명품(チュンゴミョンプム・中古名品)になると、ブランド品の中古品というジャンルを指すようになります。この記事では、その中古名品をソウルのどこで、どんな業態で買えるのか、そして何より「本物かどうか」をどう確認すればいいのかを、公式に営業を確認できた範囲だけで整理します。
2026年8月24日確認の情報で整理すると、中古名品の実店舗は江南(カンナム)エリア、なかでも狎鴎亭洞(アックジョンドン)・清潭洞(チョンダムドン)周辺に集まる傾向があります。業態は大きく3つに分かれ、①中古名品専門の実店舗(Gugus・Kangkas百貨店など)、②百貨店内の中古売り場、③オンラインプラットフォームがあります。そして本文でいちばん時間を割くのは「本物かどうかの確認」です。鑑定書は国の公的な証明ではなく、各店・各社が独自に行う私的な鑑定である点は、必ず知っておいてください。エリア観光の一般論は狎鴎亭・清潭エリアガイドに、古着(구제)の話はソウルの古着屋ガイドに譲ります。
まず言葉の整理——명품・중고명품・구제はどう違うのか
日本語では「名品」というと、優れた作品や逸品というニュアンスで使うことが多いですが、韓国語の명품はもっと日常的な言葉です。テレビのニュースでも「명품 매출(ブランド品売上)」のように普通に使われ、要はシャネル・エルメス・ルイ・ヴィトンのような高級ブランド品全般を指します。だから「명품샵(ミョンプムシャプ)」といえばブランド品店、「중고명품」といえばブランド品の中古品、という理解でまず問題ありません。
ここで混同しやすいのが구제(クジェ・古着)です。구제は主にヴィンテージ衣料・古着を指す言葉で、業界的にも「중고명품」とは別のジャンルとして扱われています。実際に検索してみても、「구제샵」で出てくるのはヴィンテージのアウターやデニムを扱う店で、「중고명품」で出てくるのはシャネルのバッグやロレックスの時計を扱う店と、驚くほどきれいに分かれます。この記事は後者、ブランド品の中古を扱う店・仕組みだけを対象にします。古着そのものの選び方は、ソウルの古着屋ガイドで詳しく扱っているので、そちらを見てください。
【傾向】中古名品はどこに集まる?——江南・狎鴎亭洞・清潭洞のいま
今回、公式サイトで営業を確認できた中古名品の実店舗は、いずれも江南(カンナム)エリアに集中していました。代表的なのが、清潭洞・狎鴎亭洞に本店・支店を持つ「Gugus(구구스)」と、江南区奉恩寺路(COEX近く)に単独ビルを構える「Kangkas百貨店(캉카스백화점)」です。両社とも、公式サイトで店舗一覧・住所を直接確認できました。
体感でいうと、狎鴎亭・清潭エリアはもともと正規ブランドのフラッグシップ店が集まる街でもあるので、「新品を見た帰りに中古も覗く」という回り方がしやすいのが特徴です。狎鴎亭・清潭エリア全体の観光情報は狎鴎亭・清潭エリアガイドにまとめているので、あわせて計画を立てるとルートが組みやすくなります。
| エリア | 確認できた傾向 |
|---|---|
| 狎鴎亭洞・清潭洞 | Gugusの複数店舗が集中。正規ブランド店も多いエリア |
| 江南区奉恩寺路周辺(COEX近く) | Kangkas百貨店が単独ビルで営業 |
| 弘大・東大門 | 今回の調査では中古名品の集積地としての情報は確認できず(詳細は後述) |

「そもそも実店舗に行く時間があるかどうか」で、選ぶべき業態が変わってきます。半日でも時間が取れるなら江南エリアの実店舗を回るのがいちばん確実で、時間が取れないなら鑑定済みの在庫を家で選べるオンラインプラットフォームが向いています。次の章から、それぞれの業態を具体的に見ていきます。
業態①実店舗——Gugus(구구스)の11店舗
Gugus(구구스)は、韓国の中古名品業界でも古参にあたるプラットフォームで、買取・委託販売・鑑定を一体で行う実店舗網を持っています。2026年8月24日に公式サイトで確認した時点で、ソウル・京畿圏に11店舗を展開していました。清潭ブラック店と狎鴎亭店は、いずれも江南区内で徒歩圏に近い立地です。
| 店名 | 住所(韓国語) | エリア |
|---|---|---|
| 清潭ブラック店 | 서울 강남구 압구정로71길 16 | 清潭洞 |
| 狎鴎亭店 | 서울 강남구 선릉로 846 | 狎鴎亭洞 |
| 漢南店 | 서울 용산구 한남대로 76 | 漢南洞 |
| 盤浦新世界店 | 서울 서초구 반포대로 287 | 盤浦洞 |
| 明洞店 | 서울 중구 남대문로7길 11 | 明洞 |
(公式サイト gugus.co.kr/shopInfo/viewShopList、2026年8月24日確認。上記5店以外に大峙店・宣陵店・永登浦新世界店・蚕室石村湖水店・ファンショップ2店も同時に確認できました)
持ち込んだブランド品を鑑定士がその場で鑑定し、買取または委託販売に回すサービスが軸になっているのが特徴です。訪れて「見るだけ」もできる店として作られているので、初めての中古名品店として立ち寄りやすいと思います。清潭ブラック店の場所は、下の地図から確認できます。
NAVER地図が開きます(外部サイト)。
Gugus清潭ブラック店をNAVER地図で見る2026年8月24日確認の店舗名で検索
業態①実店舗——Kangkas百貨店(캉카스백화점)
もう1つ、公式サイトで営業を確認できたのがKangkas百貨店(캉카스백화점)です。江南区奉恩寺路455、地下2階から地上12階という単独ビルで営業しており、「アジア最大級」を謳う中古名品専門の商業施設です。営業時間は10:30〜21:00の案内があり、公式サイトの直近更新情報や2026年1月付の来店レビューも確認できました。
フロアごとにブランドや商材が分かれており、バッグ・時計・ジュエリーなど幅広いカテゴリーを扱っています。江南エリアの中でも奉恩寺路周辺はCOEXにも近く、買い物以外の予定と組み合わせやすい立地です。地図は下から確認できます。
NAVER地図が開きます(外部サイト)。
Kangkas百貨店をNAVER地図で見る2026年8月24日確認の店舗名で検索
Gugus・Kangkasとも、公式サイトが直近まで更新されている点と、複数の来店レビューが確認できる点から、2026年8月24日時点での営業を確認できたと判断しています。それでも訪問前には、必ず各社の公式サイトで最新の営業時間を確認してください。
業態②百貨店の中古売り場——現代百貨店「セカンドブティック」ほか
実店舗のもう1つの形が、百貨店の中に作られた中古売り場です。現代百貨店・新村店では、ユプレックス(U-PLEX)館4階、約244坪の全フロアを「セカンドブティック(세컨드 부티크)」としてリニューアルし、中古名品プラットフォームなどをテナントとして迎えています。住所はソウル特別市西大門区新村路83です。若い世代の来店が多いフロアとして紹介されており、百貨店という「安心感のある箱」の中で中古品を選べるのが特徴です。
百貨店に出店しているからといって、鑑定そのものを百貨店が保証しているわけではありません。鑑定と品質の責任は、あくまでテナントとして入居している中古名品事業者にあります。個別テナントの営業時間・取扱ブランドは今回の調査で確認できていないため、訪問前に各テナントの情報を確認してください。
新世界百貨店やロッテ百貨店も、中古品のポップアップイベントを行ったり、中古プラットフォームへの出資・買収を進めたりと、中古市場への参入が報じられています。ただし、常設の売り場としての具体的な店舗名・住所レベルの情報は、今回の調査では確認できませんでした。百貨店の中古売り場は、今後さらに増えていく可能性が高い業態と捉えておくのが実感に近いと思います。
業態③オンラインプラットフォーム——필웨이・트렌비ほか
実店舗に行く時間がない人向けに、オンラインで完結する中古名品プラットフォームも複数あります。代表的なのが2002年開設の필웨이(Feelway・フィルウェイ)で、国内最大級の中古名品取引サイトとして紹介されており、希望価格を提示する交渉機能やオークション形式の販売も持っています。もう1つの大手が트렌비(Trenbe・トレンビ)で、提携する鑑定機関の検収を経て出品される仕組みを採用しています。
| プラットフォーム | 特徴 |
|---|---|
| 필웨이(Feelway) | 2002年開設の1世代サイト。価格交渉・オークション機能あり |
| 트렌비(Trenbe) | 提携鑑定機関の検収を経て出品。全国に買取・委託の持ち込み拠点あり |
| Gugus(オンライン版) | 実店舗と同じ在庫をオンラインでも購入可能 |
ここで1つ体感として伝えたいのは、オンライン中古名品市場は会社によって勢いの差が大きいということです。2024年の報道では、Gugusの年商が前年から大きく伸びた一方、別の大手企業は消費の落ち込みで年商が半減したと伝えられています。つまり「大手だから安泰」とは言えない、動きの速い業界だということです。値段の相場そのものは個体差・状態・為替で変わるため、この記事では具体的な金額の比較はしません。「日本の相場より安い」と断定できる情報も、今回は確認できませんでした。
弘大・東大門はどう違う?——古着の街と卸売市場、中古名品の集積地ではない
「弘大にも中古のブランド品店があるのでは?」という疑問を持つ人もいると思いますが、今回の調査でわかったのは、弘大(ホンデ)で見つかるのは主に구제(クジェ・古着)の店だということです。麻浦区・弘益路や西橋洞に集まる店は、いずれもヴィンテージのアウターやデニムを扱う古着店として紹介されており、ブランド品の中古を専門に扱う店として名指しできる情報源は見つかりませんでした。弘大エリアの古着屋巡りはソウルの古着屋ガイドと弘大エリアガイドに譲ります。
東大門(トンデムン)も同様です。東大門は卸売・小売のファッション市場としては世界的に知られていますが、中古のブランド品が集積しているという情報は、今回の調査範囲では確認できませんでした。東大門エリアの買い物全般については東大門エリアガイドにまとめているので、そちらを参考にしてください。
本物かどうかの確認——鑑定書の正体と正規店との違い
この記事でいちばん伝えたいのがこの章です。中古名品店やプラットフォームが発行する「鑑定書(감정서)」は、国が発行する公的な証明書ではありません。あくまで各店舗・各社が自社の鑑定士の判断で発行する、私的な鑑定結果です。「〜鑑定院」「〜鑑定センター」という名称に「韓国」が付いていても、それが韓国政府の機関という意味ではなく、民間企業であるケースが実際にあります。名前だけで公的機関だと思い込まないことが、まず大事な注意点です。
正規ブランド店(新品を扱う直営店)との違いも押さえておきましょう。正規店は新品を正規ルートで仕入れて販売するため、真贋のリスクそのものが基本的に発生しません。一方、中古名品は個人や業者から買い取った1点物を扱うため、鑑定という工程が必ず挟まります。「鑑定士がその場にいる実店舗」か「鑑定済みと明記された在庫」を選ぶことが、失敗を減らす現実的な方法だと思います。逆に、鑑定の仕組みが見えない個人間の取引(フリマアプリでの直接やり取りなど)は、今回のテーマからは外し、この記事では扱いません。
返品・免税——韓国の消費者保護制度とタックスリファンドの実際
買った後に「思っていたのと違った」となったとき、返品・返金はできるのでしょうか。韓国の電子商取引法では、事業者から商品を買った消費者は、原則として7日以内に청약철회(チョンヤクチョルフェ・請約撤回=クーリングオフ)ができます。ただし、消費者の責任による損傷や、時間経過で再販売が難しくなった場合などは、事業者側がこの権利を制限できる例外規定もあります。中古名品はこの例外に該当し得ると解説する法律相談サイトもありますが、「中古名品は一律に返品不可」と法令が明記しているわけではありません。個人間の取引(出品者も個人のフリマ取引など)には、この請約撤回の制度自体がそもそも及ばない点も覚えておいてください。
免税・タックスリファンドについては、店舗ごとの登録状況によって変わります。사후면세점(サフミョンセジョム・事後免税店)に登録された店であれば、短期滞在の外国人観光客は購入時に免税手続きができますが、今回確認できたのはGugus明洞店が韓国観光公社(KTO)の公式サイトにTax Refund Shopとして掲載されている1例のみでした。すべての中古名品店が事後免税店に登録されているわけではないので、免税を前提に買い物をしたい場合は、レジ前に「Tax Free」の表示があるかを必ず確認してください。免税制度そのものの仕組みは韓国の免税制度ガイドで詳しく扱っています。
日本に持ち帰るとき——偽ブランド品と税関、価格の考え方
最後に、いちばん法律に関わる話をします。偽ブランド品(模倣品)を日本に持ち込むと、税関で没収され、法的責任を問われる可能性があります。2022年10月1日に施行された商標法・意匠法の改正により、それまでは「個人使用目的」であれば税関の取り締まり対象にならなかった模倣品の輸入が、個人使用目的であっても没収の対象に含まれるようになりました。改正の背景には、インターネット通販を通じて海外の事業者が個人に直接、小口の模倣品を送るケースが急増していたことがあります。
この改正は主に、海外事業者から模倣品が郵送などで送られてきたケースを想定した制度です。渡航者が現地で購入し、携帯品として持ち帰る場合の扱いの細部までは、今回の調査で確認しきれていません。少しでも真贋に不安がある商品は持ち帰らない、判断に迷う場合は日本の税関(税関相談官)に事前に問い合わせる、という対応が安全です。
だからこそ、この記事で繰り返し伝えている「鑑定士がいる店を選ぶ」「鑑定済みと明記された在庫を選ぶ」という基本が、日本に帰ってからのリスクを減らすことにも直結します。最後に価格の話です。中古名品の値段は、状態・付属品の有無・為替レートによって大きく変わるため、「日本の中古相場と比べて安い」「高い」と断定できる材料は、今回の調査では見つかりませんでした。体感でいうと、中古名品1点の価格は、旅行中の航空券1区間分くらいの幅で変動することも珍しくないので、その場の相場は必ず現地の店・サイトで確認してください。特定の店を「ここなら安全」「ここは危険」と決めつけず、鑑定の仕組みと返品条件を自分の目で確認してから選ぶのが、いちばん確実な進め方です。
よくある質問
まとめ
- 명품は韓国語でブランド品全般を指す言葉。중고명품はその中古品、구제は古着で別ジャンル
- 実店舗が確認できたのは江南エリア。狎鴎亭洞・清潭洞にGugus、奉恩寺路周辺にKangkas百貨店
- 業態は実店舗・百貨店の中古売り場・オンラインプラットフォームの3つ。時間があるかどうかで選ぶ
- 弘大は古着(구제)の街、東大門は卸売市場。中古名品の集積地としては確認できなかった
- 鑑定書は私的な鑑定結果であり、国の公的な証明ではない。鑑定士がいる店や鑑定済みの在庫を選ぶ
- 免税は店舗の登録状況次第。偽ブランド品の持ち込みは日本の税関で没収され得るので、真贋に不安があるものは持ち帰らない
中古名品は、正規店にはない一点物と出会える面白さがある一方、鑑定という工程を必ず挟むぶん、正規店での買い物より一段階、確認の手間がかかるジャンルです。今回「確認できなかった」とした店舗や制度の細部は、必ず訪問前・購入前に公式サイトや現地の窓口で確認してから動いてください。
参考・出典
- Gugus公式 店舗一覧 https://www.gugus.co.kr/shopInfo/viewShopList(2026年8月24日確認)
- Gugus公式 中古名品売却案内 https://www.gugus.co.kr/mysellnoti(2026年8月24日確認)
- 韓国経済新聞(中古名品プラットフォームの市場動向、2024年4月23日付) https://www.hankyung.com/article/2024042312211
- Kangkas百貨店公式 https://www.kangkas.com/(2026年8月24日確認)
- ニューシス(Kangkas百貨店の現地取材記事、2023年4月7日付) https://www.newsis.com/view/NISX20230407_0002258262
- ザ・現代ブログ(現代百貨店新村店セカンドブティック紹介) https://thehyundaiblog.com/entry/Second-Boutique
- バイラインネットワーク(トレンビの買取・委託センター展開、2024年5月7日付) https://byline.network/2024/05/07_098771/
- ネイトニュース(中古名品プラットフォームの鑑定をめぐる報道、2024年4月26日付) https://m.news.nate.com/view/20240426n27269
- 法務法人ドモ 法律ガイド(電子商取引法の請約撤回権) https://domolaw.co.kr/legal-guide/6622c9b9-6c6e-47a9-985e-48ccff82bf35
- 韓国観光公社(Visit Korea)Gugus明洞店ページ(Tax Refund Shop表記) https://english.visitkorea.or.kr/svc/contents/contentsView.do?vcontsId=142349(2026年8月24日確認)
- 国民生活センター(模倣品の水際取締り強化について、2022年10月12日発表) https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20221012_1.html
- TMI総合法律事務所(商標法・意匠法改正の解説) https://www.tmi.gr.jp/eyes/blog/2022/13794.html
- 日本経済新聞(模倣品輸入規制の改正報道) https://www.nikkei.com/article/DGXMZO65893690V01C20A1EE8000/

