「百貨店って、正直どこも同じに見える」——ソウル旅行の予定を立てていて、そう感じたことはありませんか。新世界(신세계)・ロッテ(롯데)・現代(현대)、名前は知っていても、何が違うのか、どこへ行けば自分の目的に合うのか、意外と説明できないという声をよく聞きます。実は3社は建物の成り立ちも、免税店との関係も、外国人旅行者向けのサービスもかなり違います。今回は各社の公式サイトと最近の報道をもとに、旅行者にとっての使い分けを整理しました。
免税店と一緒に回りたいなら新世界本店(明洞・会賢駅直結)かロッテ本店(乙支路入口駅直結)。どちらも免税店が同じ建物に同居しています。世界的な売上規模とラグジュアリーブランドの充実を見たいなら新世界江南店。トレンド発信地として話題性を求めるなら現代の「ザ・現代ソウル」(別記事で詳細)。地元の富裕層エリアの落ち着いた空気を見たいなら現代の狎鴎亭(アプグジョン)本店——ただしこちらは免税店が同居していません。現代グループの免税店は東大門店が2025年7月末で閉店しており、現在は貿易センター店のみが縮小営業という状況です(2026年8月27日確認)。休業日は店舗ごと・月ごとに変わるため、訪問前に公式サイトのカレンダーを見るのが確実です。
まず結論:目的別にどこへ行くか
ソウルの百貨店選びで迷ったら、まず「何を優先したいか」から逆算するのがいちばん早い方法です。免税手続きの手間を減らしたいなら、免税店が同じ建物に入っている新世界本店かロッテ本店を選ぶのが合理的。逆に、免税店の有無より「今のソウルの空気」を感じたいなら、話題性の高いエリアに立つ店舗のほうが満足度は高いはずです。値段の安さで選ぶという発想は、実はあまり向きません。百貨店は基本的に정가판매(定価販売)が前提の業態で、公式に「どこが安い」と比較できるデータは今回の調査では見つかりませんでした。安さより「何が揃っているか」「どんなサービスが受けられるか」で選ぶ場所、と捉えるほうが実情に近いと思います。

この記事では、旅行者が実際に検討することの多い3社の代表店舗——新世界の本店と江南店、ロッテの本店、現代のザ・現代ソウルと狎鴎亭本店——を軸に、性格の違いとサービス面の差を見ていきます。ザ・現代ソウルの詳しいフロア構成は別記事のザ・現代ソウルガイドにまとめているので、この記事では館内の細かい案内よりも「どの店を選ぶか」の判断材料に絞って書いていきます。
新世界百貨店(신세계)の性格 — 本店と江南店、性格の違う2館
新世界(シンセゲ)百貨店には、旅行者が押さえておくべき店舗が大きく2つあります。ひとつは明洞に近い本店(住所:ソウル特別市中区小公路63、地下鉄4号線・会賢〈フェヒョン〉駅7番出口直結)。1930年代からの歴史を持つ建物で、隣接する新館の8〜12階には신세계免税店 明洞店が同居しています(2016年5月開店)。営業時間は通常10:30〜20:00、延長営業時は10:30〜20:30、食堂街は11:00〜21:30です(2026年8月27日確認)。
もうひとつが江南店です。こちらは昨年(2025年)の売上高が3兆6,700億ウォンに達し、国内の単一百貨店として最高額を記録、今年も累計売上3兆ウォンを突破し3年連続の達成となりました。売上高は世界の百貨店の中でもトップクラスと報じられています。ラグジュアリー品の売上が全体の約4割を占め、エルメス・ルイヴィトン・シャネルなどが男女ブティック・ジュエリー売場まで細分化して入店。デザート専門館「스위트파크」、プレミアムフードホール「하우스 오브 신세계」に加え、2026年2月には「신세계마켓」が再開店し、約2万平方メートルという国内最大級の食品館が完成しました。
新世界百貨店 本店の地図(2026年8月27日確認の住所で表示)。NAVER地図で施設名検索する場合はこちらから。
ロッテ百貨店(롯데)の性格 — 免税店同居とツーリスト特典
ロッテ百貨店 本店は住所ソウル特別市中区南大門路81(小公洞)、地下鉄2号線・乙支路入口駅に直結しています。1979年12月に「ロッテショッピングセンター」として開業した、ロッテ百貨店の1号店にあたる場所です。食堂街の営業時間は10:30〜21:00と確認できましたが、百貨店本体の細かい開店・閉店時刻は今回、公式ページへの接続がうまくいかず直接の確認までは至りませんでした。訪問前に公式サイトで最新の時間を見ておくと安心です。
この本店にも、1階と9〜12階にロッテ免税店 明洞本店が同居しています。さらに注目したいのが、2025年12月から始まった外国人客専用の「롯데 투어리스트 멤버십 카드(ロッテ・ツーリスト・メンバーシップカード)」です。発売から約2カ月で発行件数が2万5,000件を突破したと報じられており、ロッテ百貨店5%割引、ロッテ免税店・セブンイレブン10%割引、ロッテマート7%割引に加え、交通カード機能も兼ねるといいます。本店基準で約400台規模の即時還付機も備え、決済後にその場で還付を受けられる導線を強めているとのことです。
ロッテ百貨店 本店の地図(2026年8月27日確認の住所で表示)。NAVER地図で施設名検索する場合はこちらから。明洞エリアの歩き方は明洞エリアガイドもあわせてどうぞ。
現代百貨店(현대)の性格 — トレンドの現代ソウルと伝統の狎鴎亭
現代百貨店は、新世界・ロッテと違って「トレンド重視」と「地元重視」の2つの顔を持つ会社という捉え方がしっくりきます。トレンド側の代表がヨイド(여의도)にあるザ・現代ソウルで、フロア構成や見どころは別記事に譲りますが、若い世代の来店が多く、SNSで話題になりやすい店舗として知られています。一方、地元重視の代表が狎鴎亭(アプグジョン)本店(住所:ソウル江南区狎鴎亭路165)です。狎鴎亭現代アパートに隣接する立地で、地域住民の来店が多いとされる、江南の伝統的な富裕層エリアらしい店舗です。1990年代からルイヴィトン・エルメスが、2003年にはシャネルが入店するなど早くからラグジュアリーブランドを揃え、現在は「3大ラグジュアリー・4大ジュエリー・5大時計」と呼ばれる主要12ラインナップのうち9つを保有しているとされます。
現代グループには、今は百貨店直結の免税店がありません。かつて東大門にあった現代免税店 東大門店は、中国人団体観光客の減少や高ウォン高による業況悪化を理由に2025年7月31日で閉店しました。2020年2月の開業からわずか5年での撤退です。閉店にともない、貿易センター店(코엑스隣接)も8〜10階の3フロアから8〜9階の2フロアへ縮小運営に切り替わっています。免税店とセットで回りたい人には、現代よりも新世界・ロッテのほうが動線が組みやすいのが実情です。
狎鴎亭・清潭洞エリアをもう少し広く歩きたい人は狎鴎亭・清潭洞エリアガイドも参考になります。
現代百貨店 狎鴎亭本店の地図(2026年8月27日確認の住所で表示)。NAVER地図で施設名検索する場合はこちらから。
旅行者向けサービスの差 — ラウンジ・クーポン・即時還付
3社を比べると、外国人旅行者向けの力の入れ方にも差が見えてきます。新世界は本店・江南店ともにタックスリフンドデスク内の無人キオスクを増やし、AIによる多言語同時通訳サービスを導入。さらにK-フードのクッキングクラスや民画(韓国の伝統絵画)体験、K-ビューティー関連のプログラムといった体験型コンテンツにも力を入れています。主要店舗を中心に外国人専用ラウンジの新設も段階的に検討しているとのことですが、2026年4月時点の報道では「検討中」であり、すでに稼働しているかどうかまでは今回確認できませんでした。
ロッテは前述の投어리스트メンバーシップカードと約400台の即時還付機が柱です。現代は乗り継ぎ外国人向けの「환승투어」、旅行プラットフォームと連携した「투어패스」、レストラン予約や通訳、モバイル還付をまとめた「H포인트 글로벌」というメンバーシップを提供しています。K-ビューティー中心の外国人専用ポップアップ「라이브 서울」も計画されていましたが、その後の実際の開業状況は今回の調査範囲では確認できませんでした。
デパ地下(食品館)の違い — 規模とキャラクターの差
旅行者にとって、実は百貨店選びの決め手になりやすいのが地下の食品館、いわゆる데파치카(デパ地下)です。新世界江南店は、デザート専門館「스위트파크」とプレミアムフードホール「하우스 오브 신세계」、2026年2月に再開店した「신세계마켓」を合わせ、約2万平方メートルという国内最大級の食品館を完成させたと報じられています。ワンフロアで完結するというより、複数のコンセプトが組み合わさった巨大な食品ゾーンという理解が近いかもしれません。
ロッテ本店の食堂街は10:30〜21:00の営業で、比較的遅くまで開いているのが特徴のひとつです。過去には大規模なリニューアルでデザート専門の売場へと生まれ変わった経緯もあり、焼きたて・作りたてを見せる形の店舗が増えてきた流れがあります。ただしブランドの入れ替わりは時期によって変わるものなので、今回のファクト一覧に無い具体的な店名は本文では断定していません。目当ての店がある場合は、訪問前に各社の公式サイトで最新の入店ブランドを確認するのがおすすめです。
営業時間と定休日、確認のしかた
営業時間の目安は、新世界本店が通常10:30〜20:00(延長時20:30まで)、ロッテ本店の食堂街が10:30〜21:00、現代の各店もおおむね近い時間帯で動いています。ただし定休日(휴店日)は要注意です。韓国の百貨店業界には、売上が低い月曜日を定休日にする慣行が古くからありますが、月ごとの行事に合わせて休む日を調整するうえ、同じグループ内でも店舗ごとに休業日をずらすのが一般的な運用とされています。つまり「毎月第◯月曜が休み」と単純に固定できるものではなく、月によって変わる可能性があるということです。
今回の調査では、3社共通で「今月・来月の具体的な休業日」までは特定できませんでした。新世界の本店・江南店・センタムシティ店で휴店日の週が異なるという報道もあり、店舗ごとに公式サイトの휴店日カレンダーを見るのが唯一確実な方法です。訪問日が決まったら、出発前にもう一度、行きたい店舗の公式サイトで営業日を確認することを強くおすすめします。
免税店との関係 — 同居する店、別の店
免税店との関係は、実は3社を選ぶうえでいちばん分かりやすい違いかもしれません。新世界は本店の新館8〜12階に신세계免税店 明洞店が同居し、ロッテは本店の1階と9〜12階にロッテ免税店 明洞本店が同居しています。つまりどちらも、百貨店で買い物をしたその足で免税店にも寄れる、という動線が組みやすい立地です。一方、現代グループは前述の通り東大門店を閉店し、残る貿易センター店も百貨店の建物とは別の場所にあります。ザ・現代ソウルにも狎鴎亭本店にも、免税店は同居していません。
免税とタックスリファンドの仕組みそのもの——受け取り場所や還付条件の違いなど——については、当サイトの韓国の免税店とタックスリファンドの違いガイドで詳しく扱っています。この記事では「どの百貨店を選ぶと免税店に行きやすいか」までにとどめ、還付の手続き自体はそちらに譲ります。
混雑する時間帯と回り方
百貨店業界では、金曜から日曜にかけて売上が最も高くなる傾向があると説明されています。裏を返せば、平日の午前中から昼過ぎにかけては比較的落ち着いていることが多いはずです。旅行日程に余裕があるなら、平日の開店直後から午前中に主要フロアを回り、混みやすい週末の午後は移動時間や休憩に充てる、という組み方が現実的かもしれません。特に免税店が同居する新世界本店・ロッテ本店は、週末になると免税店目的の客と百貨店の客が重なりやすい立地でもあります。
逆に、江南店のように売上規模が大きい店舗は、フロアが広い分、多少人が多くても目的の売場にはたどり着きやすいという側面もあります。狭い通路が続く商店街とは違い、百貨店はエスカレーターとエレベーターの動線がはっきりしているので、混雑していても迷いにくいのは共通の利点と言えそうです。
ショッピングモール・地下商店街との使い分け、この記事が当てはまらないケース
百貨店は定価販売が基本で、ブランド品やデパ地下の食品を落ち着いて見たい人向けの場所です。一方、価格の幅を楽しみたい人や、モール型の施設をゆっくり歩きたい人には、別の選択肢のほうが合うこともあります。たとえばCOEXモールや龍山アイパークモールのような複合商業施設、郊外ならスターフィールド河南(ハナム)のような大型モールは、百貨店とは違うテナント構成と価格帯を持っています。香水やニッチな専門店を目的に歩きたいなら香水店エリアガイドのような、業態を絞った記事のほうが参考になるはずです。
この記事が当てはまりにくいのは、「とにかく安く買いたい」人、「短時間で1カ所だけ回りたい」人、「免税店の手続き自体を詳しく知りたい」人です。最後のケースは前述の免税店ガイドへ、価格重視の人は地下商店街や市場を扱った別記事のほうが向いていると思います。百貨店3社の違いを理解したうえで、自分の旅の目的に合う場所を選ぶ材料として、この記事を役立ててもらえたらうれしいです。
よくある質問
まとめ
- 新世界は明洞に近い本店(免税店同居)と、世界的な売上規模を誇る江南店の2館体制
- ロッテ本店は免税店同居に加え、外国人専用のツーリストメンバーシップカードと約400台の即時還付機が強み
- 現代はトレンドのザ・現代ソウルと地元重視の狎鴎亭本店の2つの顔を持つが、免税店は同居していない
- 現代グループの東大門免税店は2025年7月末で閉店。現存は貿易センター店のみ
- 定休日は店舗ごと・月ごとに変わる。訪問前に必ず公式サイトのカレンダーで確認する
- 「どこが安いか」は断定できない。百貨店は定価販売が基本で、選ぶ基準は価格より性格・サービスの違い
3社の違いが分かってしまえば、あとは自分の旅の目的に当てはめるだけです。免税店との近さを取るか、規模とブランドの厚みを取るか、地元の空気を感じたいか——正解はひとつではないので、次のソウル旅行の予定に合わせて選んでみてください。エリア全体の歩き方をもう少し広げたい人は、明洞や狎鴎亭・清潭洞のガイドもあわせてチェックしてみてください。
参考・出典
- 신세계백화점 公式店舗ページ(本店:住所・営業時間・最寄り駅) https://www.shinsegae.com/store/main.do?storeCd=SC00001 (2026年8月27日確認)
- 뉴스웨이「강남점이 끌고 터미널이 밀고···신세계、백화점 시총 1위」(江南店の売上・世界的な位置づけ) 2026年6月11日付 https://newsway.co.kr/news/view?ud=2026061116054277489 (2026年8月27日確認)
- 머니투데이「신세계백화점 강남점 매출 벌써 3조…내년 4조 보인다」 2025年11月27日付 https://www.mt.co.kr/living/2025/11/27/2025112610463990795 (2026年8月27日確認)
- 머니투데이「새단장하니 외국인 고객 우르르…신세계백화점 본점、K컬쳐 랜드마크로」(本店の外国人客動向・リニューアル) 2026年6月11日付 https://www.mt.co.kr/living/2026/06/11/2026061017402479176 (2026年8月27日確認)
- 이투데이「외국인들、K-백화점서 지갑 활짝 열었다…백화점、고환율 특수 ‘톡톡’」(3社の外国人向けサービス比較) 2026年4月28日付 https://www.etoday.co.kr/news/view/2579544 (2026年8月27日確認)
- zdnet「롯데백화점 본점、외국인 전용 ‘투어리스트 멤버십 카드’ 인기」 2026年2月3日付 https://zdnet.co.kr/view/?no=20260203093850 (2026年8月27日確認)
- EBN「현대면세점 동대문점 5년 만에 문 닫는다」 2025年4月付 https://www.ebn.co.kr/news/articleView.html?idxno=1657565 (2026年8月27日確認)
- 머니투데이「현대면세점 동대문점 5년만에 문 닫는다…”사업 효율성 제고”」 2025年4月1日付 https://www.mt.co.kr/living/2025/04/01/2025040114184464710 (2026年8月27日確認)
- 아주경제「[몰랐던 유통이야기 리테일디테일(67)] 백화점 휴무、왜 월요일일까」(業界の定休日慣行) 2018年12月21日付 https://www.ajunews.com/view/20181220103049713 (2026年8月27日確認)
- 롯데백화점 本店に関する店舗案内サイト集約(住所・食堂街営業時間) https://www.lotteshopping.com/store/main?cstrCd=0394 (2026年8月27日確認、検索結果経由)

