ソウルで自転車を借りようとアプリを検索すると、タルンイ、カカオTバイク、Elecle、Kickgoing、GCOO……と似たような緑や黄色のアイコンがずらりと出てきて、結局どれが安いのか分からないまま閉じてしまった、という人は多いのではないでしょうか。ネットの比較記事を読んでも「1分◯◯ウォン」という数字がサイトごとに微妙に違っていて、余計に混乱することもありますよね。この記事では、公式に確認できた事実と、あくまで参考値にとどまる二次情報を分けたうえで、「結局どれを選べばいいか」を整理していきます。
覚えておくものは4つだけです。①1日ソウルを自転車で回るなら答えはほぼタルンイ1択。1時間券1,000ウォンで、1時間以内に返して借り直すのは何回でも無料だとソウル市公式が明記しています。②気候同行カードを持っているなら、タルンイは追加0ウォン。ティモニGOにカード番号を登録すると、使用期間中ずっとタルンイ2時間券が使えます(ソウル市公式)。③鍵をかけても課金は止まりません。タルンイは公式に「一時ロックは返却ではなく利用中」と明記しており、買い物の間は返すのが正解です。④電動キックボードは旅行者向けではありません。原付免許以上が必要(道路交通法)で、日本の免許+国際免許で乗れるかは公式に確認できませんでした。
まず結論——覚えるのは4つだけ
上のボックスと重なりますが、旅程を組む前提として少し掘り下げておきます。ソウルの自転車系シェアサービスは、大きく「ソウル市が運営する公共サービス(タルンイ)」と「民間企業が運営するサービス(カカオTバイク、Elecle、Kickgoing、GCOOなど)」の2種類に分かれます。公共のタルンイは料金が安く設計されている一方、専用ステーションでしか返却できません。民間はどこでも返せる自由さがある代わりに、60分乗ると9,000〜11,000ウォン台になることもあります(この数字の位置づけは次の見出しで説明します)。
この2種類の性格の違いを先に押さえておくと、「なぜタルンイのほうが安いのか」「なぜ民間はどこでも返せるのに高いのか」が腑に落ちやすくなります。旅の目的が「1日かけて名所を回る」なのか、「1駅分だけ楽に移動したい」なのかによって、選ぶべきサービスは変わってきます。用途別のおすすめは記事の最後にまとめているので、先に答えだけ知りたい人はそちらも参考にしてください。
- 公共サービス(タルンイ)は安いが、返却は専用ステーションのみ
- 民間サービス(カカオT・Elecle・Kickgoing・GCOO)はどこでも返せるが、単価は高め
- 気候同行カード保有者は、タルンイの扱いだけ別枠で得になる
- 電動キックボードは、免許まわりの確認が取れていない前提で考える
大前提:韓国のシェア自転車は「アプリの表示が正」。ネットの料金表は参考値
この記事のいちばん大事な前提から書きます。韓国のシェアモビリティは、どの会社も「アプリに表示される額が正」という立て付けになっています。カカオモビリティ公式は「利用料金は地域と時間によって変わることがあり、カカオTアプリのバイク画面で選んだ車体の下に、現在地・現在時刻基準の料金が表示される」という趣旨を案内しています。Elecleの公式利用約款(第12条)も「利用料金は、アプリと利用ポリシー等を通じて会員に告知する」と定めており、GCOOの公式利用約款(第11条)も同様に「利用料金はアプリを通じて告知する」としています。
つまり、ネットに出回っている「1分◯◯ウォン」という数字は、誰かがある時ある場所でアプリを開いて書き写した値であって、各社が公式に保証している一覧表ではありません。この記事に載せている民間各社の料金も同じ扱いです。参考値として読んでいただき、実際に借りる直前には必ずアプリの表示額を確認してください。
逆に言えば、タルンイの基本料金だけは、ソウル市という公的機関が公式サイトで表として公開しているため、他社より数字の裏づけが強いという特徴があります。次の見出しから、その裏づけの強さの差を意識しながら数字を見ていきます。
タルンイ(따릉이)——桁が違う安さ。ただしステーション型
タルンイはソウル市が運営する公共レンタサイクルです。ソウル市公式(2026年3月10日更新の料金案内)によると、券種は次のとおりです。
| 券種 | 1時間券 | 2時間券 |
|---|---|---|
| 1日券 | 1,000ウォン | 2,000ウォン |
| 7日券 | 3,000ウォン | 4,000ウォン |
| 30日券 | 5,000ウォン | 7,000ウォン |
| 180日券 | 15,000ウォン | 20,000ウォン |
| 365日券 | 30,000ウォン | 40,000ウォン |
感覚としては、1時間券1,000ウォンは、コンビニで飲み物を1本買うより安いくらいの水準です。旅行中に何度も使うものではないからこそ、この安さが効いてきます。ただし表の中で公式ページ上でもとくにはっきり確認できたのは30日券以降で、1日券・7日券の額は広く一致しているものの、公式ページ上での明記までは今回の調査で確認できませんでした。数字自体は信頼度が高いものの、この一点だけは正直に書いておきます。
超過料金は、基準時間を超えて未返却の場合のみ、서울시설공단のFAQによると5分あたり200ウォンです。時間内に返せば、この超過分は発生しません。
タルンイの走行ルートとして人気があるのは、やはり한강(漢江)沿いのサイクリングロードです。ステーションが川沿いに点在しているため、返却の心配をせずに走れる区間が長いのも魅力です。漢江でのサイクリングそのものについては漢江公園のサイクリング記事で別途扱っています。
「1時間券」は1日合計60分ではない(返して借り直すのは無料)
ここが、日本語の記事でいちばん取り違えられているポイントだと感じています。「1時間券」と聞くと、1日のうちに合計60分までしか乗れないと思ってしまいがちですが、そうではありません。ソウル市公式は「1時間券:60分を超えると5分ごとに200ウォンずつ課金する(1時間ごとに返却後の再貸出は無料)」と明記しています。
つまり、1回のレンタルが60分以内であれば、いったんステーションに返して、また借り直すという動作を、何回でも無料で繰り返せます。「1時間券だから1日60分しか乗れない」というのは誤解で、正しくは「1回あたり60分以内」という条件です。移動と観光を組み合わせて1日じゅうタルンイを使い倒すことも、この仕組みのおかげで可能になっています。
この特性は、後述する「買い物の間、鍵をかけたら課金は止まるか」という疑問にも直結してきます。タルンイの場合は一時ロックではなく返却という手段そのものが無料でやり直せるため、他社とはまったく違う解き方になります。詳しくは見出し6で扱いますが、まずは「1時間以内の返却→再貸出は無料」というルールだけ、ここでしっかり覚えておいてください。
なお、家族単位で使える가족권(家族券)という区分も存在しますが、これは1日券のみに適用されるとソウル市公式(mediahub、2025年9月18日付)が案内しています。家族連れの場合はこの点もあわせて確認しておくとよさそうです。
気候同行カード(기후동행카드)があるならタルンイは追加0ウォン
すでに気候同行カードを持っている、あるいはこれから買う予定がある人にとっては、ここがこの記事でいちばん得になる情報かもしれません。ソウル市公式(news.seoul.go.kr「기후동행카드 소개」2026年7月22日更新)は、次のように案内しています。
タルンイ:「ティモニGO」アプリを通じて気候同行カード番号を登録すると、使用期間中ずっとタルンイ2時間利用券を提供
手順としては、①気候同行カードを買う→②カード番号を確認する→③ティモニGOアプリでそのカード番号を登録する→④アプリ上でタルンイの2時間券を発行する、という流れになります。ティモニ公式も「ティモニGOで気候同行カードを登録して、タルンイを気にせず楽しもう」という趣旨で案内しており、この連携自体は公式に裏づけが取れています。ただし実物カードの場合、チャージしてから1時間後でないとティモニGOでの番号連携ができない、という制約もソウル市公式に明記されているので、到着日に慌てて使おうとすると連携が間に合わない可能性がある点は注意しておきたいところです。
気候同行カードには旅行者向けの短期券もあり、ティモニ公式によると2日券8,000ウォン、3日券10,000ウォンという設定があります(他の日数の券種もあるようですが、今回の調査で全額を確認しきれていません)。3日券10,000ウォンは、カフェでアイスコーヒーを1杯買うのと同じくらいの感覚で捉えると分かりやすいかもしれません。券種の詳細な違いや買い方は気候同行カードの記事にまとめているので、そちらもあわせて確認してみてください。
ここまでタルンイと気候同行カードの安さを見てきましたが、民間サービスも含めて「60分乗ったらいくらか」を並べると、次のような目安になります。
| サービス | 60分乗った場合の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| タルンイ(1時間券) | 1,000ウォン | ソウル市公式の料金 |
| タルンイ(気候同行カード登録済み) | 0ウォン | 使用期間中は追加費用なし(ソウル市公式) |
| カカオTバイク | 約9,700ウォン前後 | 報道時点の解除料+分単価から編集部が試算 |
| Elecle・Kickgoing・GCOO(電動自転車) | おおむね9,000〜11,000ウォン台 | 地域・時間帯で変動 |
民間3社・カカオの額はすべて二次情報にもとづく試算であり、公式が保証した表ではありません。この点は繰り返しになりますが、金額を鵜呑みにせず、実際に借りる前にアプリで最終確認をしてください。

買い物の間、鍵をかけたら課金は止まる?→ 止まらない
オリーブヤングや百貨店にちょっと立ち寄りたいとき、「鍵だけかけて、また戻ってきたときに続きから乗れないか」と考える人は多いはずです。結論から言うと、多くのサービスで一時ロック中も課金は止まりません。
タルンイは서울시설공단のFAQに「一時ロックは返却ではなく、利用中の状態である。一時ロック状態のまま未返却であれば、時間超過による追加料金が発生することがある」と明記されています。Kickgoingも公式の電動キックボード賃貸約款(第10条2項)に「返却および予約取消をしていない場合は、サービスを利用していなくても全体のサービス料金が課される」とあります。Elecleは約款上「利用終了」を返却ボタンを押してサーバーと通信が成立した状態と定義しており、一時ロックはこの「利用終了」に当たらないため課金が続く構造です。二次情報(나무위키)でも「一時ロック中も料金は課金され続ける」と明記されています。
カカオTバイクについては、公式の明文は確認できませんでした。利用者の記録では「返却するまで課金が続く」という声が一致しているため、本文では返すまで課金が続く前提で動くのが安全だとお伝えしておきます。GCOOにいたっては、公式約款・公式ヘルプ・二次情報のいずれにも一時停止中の課金についての記載が見当たりませんでした。ここは正直に「確認できなかった」とするしかありません。

では実際どう動くのが得なのでしょうか。タルンイなら迷わず返すのが正解です。60分以内であれば返却してもまた無料で借り直せるので、買い物の間の追加課金は完全にゼロになります。民間の電動サービスは「解除料÷分単価」が損益分岐の目安になります。たとえば解除料600ウォン・分単価150ウォンのサービスなら、600÷150=4分。つまり4〜5分以上その場に留まるなら、一度返却して借り直したほうが安く済む計算です。
カカオTバイク(카카오 T 바이크)——どこでも返せる代わりに高い
カカオモビリティ公式によると、カカオTバイクは「電気自転車、一般自転車、電動キックボードを利用するサービス」と説明されており、複数の車種をひとつのアプリでカバーしています。最大の強みは返却の自由度で、公式は「サービス地域内であれば、好きな場所どこでも自由に返却できる」と案内しています。タルンイのようにステーションを探す必要がない点は、土地勘のない旅行者にとって心強いポイントです。ただし一般自転車は「一部地域でのみ」提供されているとも明記されているため、どこでも一般自転車が見つかるわけではありません。
料金の実勢について、中部日報(2026年7月2日付)は「電気自転車であるカカオTバイクは、ロック解除料500ウォンと分あたり160ウォン」と報じています。この数字をもとに60分乗った場合を計算すると、500+160×60=9,700ウォンです。서울경제(2023年5月9日付、定期券導入時の記事)では「1回あたり500〜900ウォン台のロック解除料と、100〜160ウォン水準の分あたり料金」という幅のある紹介もされています。これらはあくまで報道・二次情報であり、公式が保証した料金表ではない点を、あらためて添えておきます。
また、提携キックボードについても、公式は「同じ地図画面上で、ひとつのカカオTアカウントで、利用開始から返却・決済まで」できると案内しています。ただし、どのブランドのキックボードが具体的に提携しているのかまでは、公式ページからは特定できませんでした。カカオTタクシーの登録方法や基本的なアプリの使い方はカカオTの登録手順をまとめた記事で扱っているので、アプリ自体の使い方から確認したい人はそちらもあわせてどうぞ。
外国人の利用可否についても、公式の記述は確認できませんでした。この点は断定を避けます。
カカオの「バイクパス」——毎日なのか合計なのかが公式で確認できない
カカオTバイクには「바이크 패스(バイクパス)」というサブスクリプション型の定期券が存在します。定期券の導入自体は서울경제(2023年5月9日付)が報じており、サービスとして実在することは確かです。二次情報(나무위키、2026年8月19日時点)では、30日30分パス4,900ウォン、30日60分パス8,900ウォン、30日4回パス5,900ウォンといった価格例が挙げられています。
ここで正直に書いておきたいことがあります。この「30日30分パス」が毎日30分なのか、30日間の合計で30分なのかを、編集部は公式の文書で確認できませんでした。ネイバー知識iN(2026年7月7日付の回答)には「30日間で合計30分。毎日30分ではない」という説明が投稿されていますが、これは誰でも回答できるQ&Aサイトの投稿1件であり、カカオの公式見解ではありません。X(旧Twitter)にも「カカオTバイクパスほど曖昧で紛らわしいサブスク料金制度は初めて見た」という声があり、韓国のユーザーの間でも読み取りづらい制度だということは言えそうです。
ひとつだけ、手がかりになる状況証拠があります。他社は「毎日◯分」という商品名を使っています。たとえば쏘카일레클(Elecle)には「매일 30분 패스(毎日30分パス)」、지쿠(GCOO)には「매일 10분 구독 패스」という名前の商品があります。一方でカカオのパスは「30일 30분」「30일 60분」「30일 4회」「30일 30회」という命名です。毎日型なら他社と同じく「매일」と名乗りそうなものが、そうなっていない。さらに二次情報にある価格例では30日4回パスが5,900ウォンなのに対し30日30分パスは4,900ウォンで、もし毎日30分が回数無制限で使えるなら、4回パスより安いのは辻褄が合いません。
これらは編集部が名前と価格から組み立てた推測であって、カカオが説明していることではありません。確実に言えるのは「毎日なのか合計なのかで価値がまったく違う」「その答えはアプリの中にしかない」という2点だけです。契約する前に、アプリのパス購入画面の説明文を最後まで読んでください。
さらに厄介なのは、価格や条件そのものがカカオ公式のウェブサイト上では確認できず、アプリ内でしか表示されないという点です。本文でも「実在する」「合計なのか毎日なのかをアプリ上で必ず確認する」というところまでにとどめ、金額そのものを断定しては書きません。もし短期滞在でカカオTバイクを何度も使う予定があるなら、契約前にアプリ内の説明文を隅々まで読んでおくことを強くおすすめします。
民間の電動自転車3社(Elecle/Kickgoing/GCOO)
ここからは、カカオT以外の民間電動自転車3社を見ていきます。쏘카일레클(Elecle)は電動自転車専業のサービスです。かつて電動キックボードも試験導入していましたが終了しており、世宗市に残っていた機体も2025年4月に全回収されました。ソウル22区以上で運営しており、撤退どころか拡大基調にあります(例として中区は2025年4月4日、鍾路区は2025年4月8日に再追加)。ただし公式サイトに英語表示は見当たりませんでした。
킥고잉(Kickgoing)は電動自転車と電動キックボードの両方を扱っています。運営会社は2024年に씽씽の運営会社と合併しましたが、両ブランドとも維持されたまま営業を続けています。ソウル12区(江南・江東・冠岳・広津・九老・麻浦・西大門・瑞草・城東・松坡・永登浦・恩平)で運営中です。公式サイトには「킥보드는 면허증 필요!자전거는 없어도 괜찮아요(キックボードは免許証が必要、自転車は不要)」とはっきり書かれており、2023年8月10日には英語UIも導入されています。3社の中では、外国人が使いやすい部類に入りそうです。
지쿠(GCOO)は電動自転車と電動キックボードに加え、アメリカ・タイ・ベトナム・ガーナでも展開している会社です。ソウル14区で運営しており、城北区のキックボードのみ2024年7月1日に終了しています(自転車は継続)。他社にはない特徴として、距離優先料金制があり、「0.1kmあたり80ウォン+1分あたり30ウォン」という選び方ができます。保険料(지쿠케어)は別建てで、ライト600ウォン、スタンダード800ウォン、プレミアム1,200ウォンという設定です(深夜は上がります)。公式サイトには韓・英・タイ・ベトナム語の切り替えがあり、会員登録時には運転免許証の登録が必要という記述もあります(二次情報)。
3社の料金は地域ごとに細かく分かれていて全部は載せきれないため、代表的な例と、必ず「地域名」を添えて紹介します。「ソウルの相場」とひとまとめにできるものではありません。
| 会社・地域 | ロック解除料(主間) | 分あたり料金 | パス(例) |
|---|---|---|---|
| Elecle(江南) | 600ウォン | 150ウォン | 毎日30分サブスク49,000ウォン |
| Elecle(松坡) | 500ウォン | 180ウォン | 60分+解除無料パス7,900ウォン |
| Kickgoing(江南・瑞草/キックボード) | 1,000ウォン | 170ウォン | 1時間パス4,900ウォン |
| Kickgoing(ソウル一般/自転車) | 500ウォン | 160ウォン | ひと月パス10回15,000ウォン |
| GCOO(キックボード・全国共通) | 保険600〜1,200ウォン別建て | 180ウォン | 毎日10分サブスク26,900ウォン |
この表の金額はすべて二次情報(나무위키など)にもとづくものです。公式は「料金はアプリを通じて告知する」という立場を取っているため、正確な数字は必ずアプリの実際の表示で確認してください。
ティモニGO(티머니GO)——1つのアプリでタルンイ+民間5ブランド
「結局アプリを何個入れればいいの」という悩みに、いまいちばん現実的な答えを出してくれそうなのがティモニGOです。ティモニ公式(tmoney.co.kr)は次のように案内しています。
キックゴーイング、지쿠、씽씽、쏘카일레클、빔まで、さまざまなブランドの電動自転車/電動キックボードを、個別アプリのインストールなしにティモニGOひとつで利用可能。気候同行カードのタルンイはもちろん、既存利用中のタルンイ利用券もそのままティモニGOで使用可能
つまりティモニGOひとつに、タルンイと民間5ブランドの利用がまとまっている形です。加えて「GO패스」という、電動自転車とキックボードを横断できる統合定期券も存在します。ティモニ公式のYouTubeでも「ティモニGOのGO패스(電動自転車&キックボード統合定期券)を利用すれば、지쿠、쏘카일레클、씽씽、킥고잉、빔全部使える」と紹介されています。
ただし、GO패스の具体的な価格や条件、そして日本語対応や外国人の登録可否については、今回の調査で確認できませんでした。「存在する」「アプリ内で確認できる」というところまでにとどめておきます。アプリを何個も入れたくない人にとっては魅力的な選択肢ですが、実際に登録できるかどうかは渡韓前にアプリストアで一度確認しておくと安心です。基本的な韓国の旅行アプリの揃え方は韓国旅行で使うアプリまとめでも紹介しているので、あわせて参考にしてください。
なお、ティモニGOという名前からも分かるとおり、この統合の土台にあるのはT-moneyというICカードの仕組みです。T-moneyそのものの基本的な使い方やチャージ方法についてはT-moneyの基本ガイド記事にまとめているので、交通カード自体に不安がある人はそちらから読んでみるのもおすすめです。
電動キックボードは旅行者向けではない(免許・ヘルメット・法令と、ソウルでの減少)
ここまで自転車系のサービスを見てきましたが、電動キックボードについては別枠で考える必要があります。韓国の電動キックボードは「개인형 이동장치(PM)」という区分に分類されており、道路交通法上、次のようなルールが定められています。
| 項目 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 免許 | 原付免許以上が必須 | 道路交通法第80条 |
| 年齢 | 16歳以上(免許取得年齢) | 道路交通法第82条第1項第1号 |
| ヘルメット | 義務。運転者未着用は反則金2万ウォン。同乗者に着けさせなかった場合も運転者に過怠料2万ウォン | 道路交通法第50条第4項 |
| 歩道走行 | 原則禁止。反則金3万ウォン | 道路交通法第13条 |
| 2人乗り | 禁止。反則金4万ウォン | 道路交通法第50条第10項 |
2025年12月18日、憲法裁判所は「PM運転者に原付免許以上を求める規定」と「ヘルメット着用義務」について、裁判官全員一致で合憲と判断しています。つまりこれらのルールは、現時点でも有効な規定として運用されています。

ここで整理しておきたいのが、電動自転車と電動キックボードは法的に別物だという点です。ペダルをこいで補助を受けるPAS方式の電動自転車は「自転車」として扱われ、免許は不要です。一方、ペダルをこがずに進むスロットル方式はPM扱いとなり、免許が必要になります。シェアされている電動自転車の多くはペダル補助方式なので、免許が要らないケースが基本ですが、キックボードだけは別の乗り物として扱われている、という理解でよさそうです。
日本の免許+国際免許でキックボードに乗れるのかについては、公式に確認できませんでした。韓国はジュネーブ条約の加盟国で、加盟国発行の国際運転免許証があれば入国日から1年間運転できるという原則はあります。ただし、運転できる車種は免許証に記載された種類に限られると道路交通法施行規則第96条に定められており、外国人観光客が国際免許のA・A1区分でPMを運転できると明示した警察庁・道路交通公団の公式案内は見つかりませんでした。原則はあるが、PMがその対象に含まれるかどうかは公式に明記されていない、というのが正直なところです。「乗れる」とは断定できません。
そしてもうひとつ知っておきたいのが、ソウルで電動キックボードそのものが減っているという事実です。朝鮮日報(2026年6月27日付)によると、ソウル市内の共有電動キックボードは2023年の約43,000台から2025年末には約18,000台へと、2年間で57.3%減少しています。即時撤去の対象区域が6か所指定され、1件あたりの撤去費用は4万ウォンにのぼるとのことです。同記事では、業界2位とされる지쿠터(ジクーター)がソウルからの撤退を始め、業界1位で全国8万台を運用する더스윙(ザ・スウィング)もソウルでのサービスを全面停止したと報じられています。ここは紛らわしいので補足しておくと、지쿠터は、ひとつ前の見出しで紹介した지쿠(GCOO)の旧ブランド名で、運営会社はどちらも지바이크(GBike)です(매일경제・2023年2月22日付で「지쿠터→지쿠(GCOO)」へのブランド改編が報じられています)。つまりGCOOはソウルからキックボードを引き上げつつ、電動自転車のほうは継続している、という読み方になります。台数そのものが減っている以上、旅行中に「見つからない」という可能性も踏まえておいたほうがよさそうです。
用途別のおすすめ/この記事が当てはまらないケース・確認できなかったこと
最後に、目的別の選び方を整理します。
| やりたいこと | おすすめ |
|---|---|
| 1日ソウルを自転車で回りたい | タルンイ。返して借り直せば1,000ウォンのまま使い続けられる |
| 気候同行カードを買う予定がある | タルンイ。追加0ウォンになる |
| 何軒も店に寄って回りたい | タルンイ。60分以内なら返却してもまた無料で借りられるのが効く |
| 坂道が多く10〜15分だけ楽をしたい | 民間の電動自転車。楽さにお金を払う場面と割り切る |
| タルンイのステーションが近くにない | 民間の電動自転車(カカオT/Elecle/Kickgoing/GCOO) |
| アプリを増やしたくない | ティモニGO。ただし外国人の登録可否は未確認 |
| 電動キックボードを使いたい | 旅行者にはすすめにくい。免許まわりの確認が取れていないため |
この記事は「料金と課金の仕組みを比べたい」という目的に絞って書いているため、当てはまらないケースもあります。たとえば、タルンイの具体的な登録手順やアプリでの借り方のステップは扱っていません。そちらはタルンイの借り方の記事に譲ります。また、地下鉄やバスを含めたソウル全体の移動手段の比較はソウルの地下鉄ガイド、交通カードそのものの選び方は交通カードの比較記事で扱っているので、自転車以外の移動手段も含めて検討したい人はそちらもチェックしてみてください。
最後に、確認できなかったことを正直にまとめておきます。①タルンイの1日券・7日券の額の公式ページ上での確認、②気候同行カード短期券の全券種と金額、③GO패스の価格・条件、④カカオ「バイクパス」の現行価格・条件、および一時停止中の課金についての公式の明文、⑤GCOOの一時停止中の課金(公式・二次情報のどちらにも記載なし)、⑥各社の海外発行カードの可否・海外SIMでの電話番号認証の可否・日本語対応、⑦外国人が国際免許で電動キックボードに乗れるか、⑧民間各社の分単価はすべて二次情報である点。これらは今回の調査の範囲では確定できなかったため、断定せずに書いています。渡韓が近づいたタイミングで、必ず各社の公式アプリで最新の表示を確認してください。
参考・出典
- ソウル市公式 따릉이 料金案内(2026年3月10日更新)
- 서울시설공단 FAQ(超過料金・一時ロックの扱い)
- ソウル市公式 news.seoul.go.kr「기후동행카드 소개」(2026年7月22日更新)
- ティモニ公式サイト tmoney.co.kr(気候同行カード連携・ティモニGO案内)
- カカオモビリティ公式 kakaomobility.com(カカオTバイクサービスページ)
- Elecle公式利用約款 https://elecle.bike/legal/terms-of-service/(施行日2026年6月24日、閲覧2026年8月27日)
- Kickgoing公式サイト https://kickgoing.io/ および電動キックボード賃貸約款(閲覧2026年8月27日)
- GCOO公式利用約款 https://gbike.io/policy/service.html(閲覧2026年8月27日)
- 易しい生活法令情報(easylaw.go.kr)道路交通法関連ページ(閲覧2026年8月27日)
- 중부일보(2026年7月2日付)、서울경제(2023年5月9日付)
- 朝鮮日報(2026年6月27日付、ソウル市内の電動キックボード台数推移)
- 아주경제・YTN(2025年12月22日付、憲法裁判所の合憲決定報道)
- 나무위키(Elecle・Kickgoing・GCOOの料金・パス情報。二次情報として参考値の位置づけ)

