旅行中に急に頭が痛くなったり、お腹の調子が悪くなったりすること、ありますよね。「薬はどこで買えるんだろう」「病院に行ったほうがいいのかな」と、慣れない土地だと余計に不安になるものです。
韓国では、24時間営業のコンビニなどで買える薬と、薬局でしか買えない薬が制度上はっきり分かれています。軽い症状ならコンビニ、幅広い薬や薬剤師の説明が欲しいときは薬局が基本の使い分けです。休日・夜間でも、応急医療ポータル「E-GEN」などの公式な仕組みを使えば開いている薬局を探せます。ただし症状が重い場合や持病がある場合、市販薬を使ってよいか迷う場合は、自己判断せず薬局の薬剤師や医療機関に相談してください。この記事の情報は2026年8月20日時点のものです。
韓国で体調を崩したとき、最初に決めるのは「薬局か、病院か」
韓国旅行中に体調を崩したとき、最初に決めることは意外とシンプルです。「今すぐ病院で診てもらう必要があるか」、それとも「薬局やコンビニで様子を見られる範囲か」。この二択から考え始めるのが近道になります。
韓国の薬局(약국)は、日本の調剤薬局とドラッグストアを合わせたような存在です。処方薬はもちろん、幅広い一般用医薬品を薬剤師の説明つきで購入できます。一方、コンビニのような24時間営業店で買えるのは、後ほど説明する「安全常備医薬品」という制度で指定された、ごく一部のカテゴリに限られます。
初めての韓国旅行だと、この違い自体が分かりにくいポイントです。旅行前の基本的な準備については韓国旅行 初めてガイドでも取り上げているので、出発前に目を通しておくと心構えができるはずです。体調不良に限らず、紛失・盗難などトラブル全般への備え方は韓国旅行のトラブル対処法まとめで整理しています。この記事では、薬局とコンビニの違い、休日・夜間の探し方、症状を伝える韓国語、薬の持ち込み・持ち帰りの制限、病院に行ったほうがよい場合の順に案内していきます。
薬局(약국)の営業時間と、日曜・祝日はどうなる?
韓国の薬局は個店ごとに営業時間の差が大きく、一律ではありません。それを前提としたうえで、一般的な傾向としては、平日は午前9時ごろから午後8〜9時ごろまで、土曜は午前9時から午後1〜5時ごろまでという店が多いとされています。日曜・祝日は休みの薬局が目立つので、「日曜だから当然開いているはず」と思い込まないほうが安全です。
| 曜日 | 目安の営業時間 |
|---|---|
| 平日 | 午前9時ごろ〜午後8〜9時ごろ |
| 土曜 | 午前9時〜午後1〜5時ごろ |
| 日曜・祝日 | 休みの薬局が多い(個店差が大きい) |
(業界紙・薬局検索サイトの記述を横断して確認、2026年8月20日時点。一律の統計値ではなく傾向として掲載)
業界紙の報道によれば、ソウル市内の薬局の平日平均営業時間は10時間49分だと報じられています(2026年8月20日時点)。数字だけ見ると長く感じますが、実際には早朝から開く店、夜遅くまで開く店とばらつきがあるということでもあります。약국(ヤックク・薬局)という単語は看板にもそのまま使われているので、覚えておくと街中で見つけやすいはずです。
休日・夜間に開いている薬局を探す公式の仕組み
「日曜なのに具合が悪い」「夜遅くに薬が切れた」というときのために、韓国には国が運営する公式の探し方があります。まず知っておきたいのが、保健福祉部所管の国立中央医療院・中央応急医療センターが運営する応急医療ポータル「E-GEN」(www.e-gen.or.kr、スマートフォンアプリもあり)です。国が公式に認める唯一の応急医療情報チャンネルで、現在地から開いている病院・薬局を検索できます。
E-GENでは病院・薬局検索のほかに、AED(自動体外式除細動器)の設置場所検索や、夜間・休日に診てもらえる小児科の案内も同じアプリ内で確認できます。ネットが使いにくい状況なら、保健福祉部コールセンター129、または市道コールセンター120に電話をかけても、近くの開いている病院・薬局を案内してもらえます(いずれも韓国語対応が基本です)。
これに加えて実務で機能しているのが、大韓薬師会と自治体が連携して運営する当番制度です。日曜や旧正月・お盆などの祝日にも開く「休日守り薬局(휴일지킴이약국)」、午後10時以降も営業する「公共深夜薬局(공공심야약국)」の2つがあり、自治体の保健所サイトや薬局検索サイトで確認できます。まずE-GENで探し、見つからなければこの2つの制度名で検索してみる、という順番が現実的です。
コンビニでも買える薬がある——「安全常備医薬品」という制度
韓国には「安全常備医薬品」という制度があります。薬事法改正により2012年11月15日から、一般医薬品のうち軽い症状に緊急で使い、患者が自分で判断して使用できるものに限って、薬局以外の24時間・年中無休の小売店舗(コンビニなど)でも販売できるようになりました。対象は解熱鎮痛剤・消化剤・かぜ薬・湿布の4カテゴリです。
法律上、保健福祉部長官が指定できる上限は20品目以内と定められていますが、2026年8月20日時点で実際に指定されているのは13品目です。このうち2品目はメーカー側の事情で生産が止まっており、実際にコンビニの棚に並んでいるのは実質11品目にとどまります。「20品目まで拡大する」という報道もありますが、保健福祉部は2026年内(12月目標)の告示改正を目指している段階で、2026年8月20日時点ではまだ施行されていません。薬剤師会側からは拡大に反対する声明も出ており、決定事項ではなく検討中の政策として扱うのが正確です。
販売条件としては、24時間・年中無休で営業する小売店舗であること、購入者が12歳未満の子どもでないこと、1回の購入数量は品目ごとに1包装単位までと決まっています。韓国のコンビニそのものの特徴や活用法については韓国のコンビニ活用ガイドで詳しく紹介しているので、あわせて読んでおくと現地での動きがイメージしやすくなるはずです。

薬局で症状を伝える韓国語フレーズ
薬局で症状をうまく伝えられるか不安、という声はよく聞きます。片言でも、いくつかフレーズを覚えておくだけでやり取りはぐっとスムーズになります。
| 日本語 | ハングル | 読み方の目安 |
|---|---|---|
| 頭が痛いです | 머리가 아파요 | モリガ アパヨ |
| お腹が痛いです | 배가 아파요 | ペガ アパヨ |
| 熱があります | 열이 나요 | ヨリ ナヨ |
| のどが痛いです | 목이 아파요 | モギ アパヨ |
| 下痢をしています | 설사를 해요 | ソルサルル ヘヨ |
| この薬にアレルギーがあります | 이 약에 알레르기가 있어요 | イ ヤゲ アルレルギガ イッソヨ |
| 処方箋なしで買えますか? | 처방전 없이 살 수 있어요? | チョバンジョン オプシ サル ス イッソヨ? |
| 妊娠しています | 임신 중이에요 | イムシン ジュンイエヨ |
スマホの翻訳アプリを使うのも手ですが、症状の単語だけでも自分の口で言えると、薬剤師とのやり取りが早く進みます。ひとり旅だと「うまく伝わらなかったらどうしよう」という不安が余計に大きくなりがちですが、女性の一人旅ならではの安全面の備え方は女性の一人旅 安全ガイドでまとめているので、体調管理とあわせて出発前にチェックしておくと安心材料になります。
日本から薬を持ち込むときの制限
ふだん飲み慣れている常備薬を日本から持っていきたい、という人も多いはずです。仁川本部税関の公式説明によると、自己使用目的の医薬品は「6本、または用法上3か月分の服用量以内」であれば免税通関の対象とされています。3か月分というと、ふだん飲み慣れている薬をひと通り持っていける分量感覚です。
注意したいのは麻薬類成分を含む医薬品です。市販の日本製かぜ薬・鎮痛剤でも成分によっては該当しうるため、食品医薬品安全処長の事前承認がないまま持ち込むと、麻薬類管理法により処罰の対象になり得るとされています。心配な処方薬がある場合は、英文の処方箋や診断書を携帯しておくと安心です。
参考として、睡眠薬・向精神薬(ゾルピデムなど)については、2024年12月27日以降、食品医薬品安全処のオンライン事前承認を得れば最大90日分まで持ち込みが可能になったとされています。ただし対象になるかどうかは薬の成分次第で、この記事では個別の薬効判断はしません。常用薬は元の容器のまま、必要日数分だけ持っていくのが基本です。旅行の持ち物全体を見直したい人は韓国旅行の持ち物リストもあわせて確認しておくと、薬以外の準備漏れも防ぎやすくなります。
日本から持っていくと安心なもの(制度の話として)
「現地で薬局を探せばいい」と思っていても、着いた初日の夜に体調を崩すと、探しに出る気力すら出ないこともあります。だからこそ、出発前の持ち物として意識しておきたいのが「ふだんから使い慣れているもの」です。
前の章で触れたとおり、日本から韓国への持ち込みは、自己使用目的であれば6本または用法上3か月分の服用量以内が免税通関の目安とされています。この範囲内で、ふだん体質に合わせて使っている薬を、いつもと同じ容器のまま持っていく、という考え方が現実的な備えになります。現地で似たようなものを探すより、勝手が分かっているものを手元に置いておくほうが、旅先での安心感につながるはずです。
これはあくまで持ち物の準備の話であり、症状に対してどの薬を選ぶべきかという判断とは別問題です。持病があって処方薬を携帯する場合は、英文で内容が分かる書類を合わせて用意しておくと、税関でのやり取りがスムーズになります。旅行の持ち物全体の優先順位については韓国旅行の持ち物リストで改めて整理しているので、パッキングの段階で見直してみてください。
韓国で買った薬を日本に持ち帰るときの制限
逆に、韓国の薬局で買った薬を日本に持ち帰る場合にも数量の目安があります。東京税関の公式説明では、毒薬・劇薬・処方箋医薬品は1か月分以内、それ以外の一般用医薬品・医薬部外品は2か月分以内が、自己使用として認められる目安とされています。化粧品は1品目24個以内という目安も示されています。
| 持ち帰る薬の種類 | 目安の数量 |
|---|---|
| 毒薬・劇薬・処方箋医薬品 | 1か月分以内 |
| 一般用医薬品・医薬部外品 | 2か月分以内 |
| 化粧品 | 1品目24個以内 |
(東京税関公式ページ、厚生労働省Q&A、2026年8月20日時点)
厚生労働省のQ&Aでも、個人輸入(携帯を含む)はあくまで自己使用が前提であり、自己判断での使用が重大な健康被害につながりうる医薬品は、数量にかかわらず医師の処方確認なしには輸入が認められないと説明されています。韓国の薬局で処方薬を出してもらった場合は、英文で内容が分かる書類(処方箋の写しや薬の説明書)を保管しておくと、日本の税関での確認がスムーズになるはずです。
薬局から病院に切り替える判断と、費用の考え方
薬局やコンビニでの対応は、あくまで軽い症状向けの応急的な選択肢です。「薬局で相談したら処方箋が必要だと言われた」「市販薬を試しても症状が改善しない、あるいは悪化している」——こうしたサインが出たタイミングが、病院に切り替える目安になります。
前の章で紹介した「처방전 없이 살 수 있어요?(処方箋なしで買えますか?)」というフレーズは、まさにこの切り替えの場面で役立ちます。薬剤師から「必要です」という趣旨の返答があれば、それは薬局で対応できる範囲を超えているサインとして受け取ってよいでしょう。
症状の重さや、病院に行くべきかどうかの最終的な判断は、この記事ではできません。持病がある場合や症状が長引く場合は、自己判断を続けずに、早めに病院を受診するか、薬剤師や医療機関に相談してください。
気になるのは治療費の負担ですが、韓国の病院のかかり方や実際の費用感については韓国の病院のかかり方と治療費ガイドで別途詳しく整理しています。海外旅行保険やクレジットカード付帯保険でどこまでカバーできるかも、事前に知っておくと当日慌てずに済むはずです。
病院に行ったほうがよい場合と、公的な相談窓口
薬局やコンビニでの対応で様子を見られる範囲を超える、つまり症状が重い、長引く、持病がある、市販薬を使ってよいか判断に迷うといった場合は、自己判断せず病院を受診するか、薬剤師や医療機関に相談することが基本です。この判断はこの記事では代わりにできません。必ず専門家に委ねてください。
言葉の面で不安がある場合の窓口も、公式に用意されています。韓国観光公社が運営する1330(観光通訳案内電話、7時〜24時、8言語対応)は、観光案内や通訳支援に加えて、体調不良時の病院・薬局案内も行っており、旅行者にとって実質的な最初の連絡先になります。始発が動き出す朝7時から終電が近づく24時まで、長い時間つながっているのも心強いポイントです。対応言語をさらに広げたいなら1345(外国人総合案内センター、9時〜22時、20言語対応)も選択肢になります。なお、疾病管理庁の相談窓口1339は韓国語ベースで外国人が直接電話することはできず、1330または1345を通じた三者通話でのみ利用できる点は覚えておく価値があります。命に関わる緊急時は119(消防・救急)または112(警察)が優先です。
通院や入院が必要になった場合の費用感や病院のかかり方は韓国の病院のかかり方と治療費ガイドで詳しく整理しています。海外旅行保険でどこまでカバーできるかは韓国旅行の海外旅行保険ガイド、クレジットカード付帯保険だけで足りるかどうかはクレジットカード付帯保険で足りるかで比較しているので、出発前に契約内容を確認しておくと、いざというとき慌てずに済むはずです。
よくある質問
まとめ
- コンビニで買えるのは「安全常備医薬品」の4カテゴリのみ。2026年8月20日時点で13品目(実質11品目)指定
- 幅広い薬や薬剤師の説明が欲しいときは薬局(약국)へ。ただし個店ごとに営業時間の差が大きい
- 休日・夜間は応急医療ポータル「E-GEN」、または休日守り薬局・公共深夜薬局の制度で探せる
- 日本からの持ち込みは自己使用目的で6本または3か月分の服用量以内が免税通関の目安
- 韓国からの持ち帰りは一般用医薬品で2か月分以内、毒薬・劇薬・処方箋医薬品は1か月分以内が目安
- 症状が重い、判断に迷う場合は自己判断せず、薬剤師や医療機関、1330などの公的窓口に相談を
体調を崩したときほど、選択肢を先に知っておくことが安心につながります。薬局か病院か、コンビニで足りるかどうか——この記事が判断の入り口になれば何よりです。制度や運用は変わることがあるため、渡航前には必ず公式サイトで最新情報を確認してください。
参考・出典
- 保健福祉部「安全常備医薬品 薬局外販売制度」 https://www.mohw.go.kr/menu.es?mid=a10702040200 (2026年8月20日確認)
- 保健福祉部 報道資料「急に体調が悪くなったらE-GENで」 https://www.mohw.go.kr/board.es?mid=a10503010100&bid=0027&act=view&list_no=1484434 (2026年8月20日確認)
- 大韓民国政策ブリーフィング「深夜に救急室に行くならE-GENで確認」 https://www.korea.kr/news/reporterView.do?newsId=148931407 (2026年8月20日確認)
- ソウル市民健康ポータル「休日守り薬局検索」 https://health.seoulmc.or.kr/hospitalClinicInfo/dutyPharmacyInfo.do (2026年8月20日確認)
- 疾病管理庁「1339コールセンター」 https://www.kdca.go.kr/kdca/2777/subview.do (2026年8月20日確認)
- 政府24「観光通訳案内電話1330」 https://www.gov.kr/portal/service/serviceInfo/B55101100019 (2026年8月20日確認)
- 仁川本部税関「旅行者携帯品通関」 https://www.customs.go.kr/incheon/cm/cntnts/cntntsView.do?mi=10784&cntntsId=5480 (2026年8月20日確認)
- 東京税関「医薬品・化粧品等の個人輸入について」 https://www.customs.go.jp/tokyo/zei/i_sodan1_15.htm (2026年8月20日確認)
- 厚生労働省「医薬品等の個人輸入に関するQ&A」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/bukyoku/iyaku/kojinyunyu/faq.html (2026年8月20日確認)

