リジュランの韓国での許可と日本の扱い|研究とリスク

窓辺の木の机を描いた水彩イラスト。表紙に何も書かれていない本が3冊重ねられ、白紙のページを開いたノートの上に柄つきの虫めがねが置かれ、隣に湯のみと、花の咲いた枝を挿した白い花器がある。窓の外は夕方のソウルの街並みで、緑の丘とその上の塔が見える。人物や医療機器は描かれていない。左上に「許可の中身」の手書き文字

韓国の美容皮膚科のメニューにある리쥬란(リジュラン)は、韓国のメーカーが作る注入材です。韓国の許可書類を開くと、そこに書いてある使用目的は「成人の顔面部のしわを一時的に改善するために使用」の一行でした。この記事は、韓国・日本・米国の当局の書類と、公開されている論文に何が書かれているかだけを並べます。

本記事は公的情報・公式情報をもとにした情報提供であり、特定の施術や医療機関を勧めるものではありません。医療上の判断は必ず医師にご相談ください。研究の結果は、それぞれの研究の条件のもとで報告されたもので、すべての人に同じ結果が出るとは限りません。この記事には、クリニックや施術への誘導リンク・アフィリエイトリンクを置いていません。

結論から

①リジュランを作っているのは韓国の(주)파마리서치(ファーマリサーチ・PharmaResearch)で、公開されている原材料はポリヌクレオチドナトリウム(PN)と注射用水です。②韓国の食品医薬品安全処(食薬処)では「組織修復用生体材料」の4等級の医療機器として許可されていて、本体(제허 14-825 호・2014年4月9日許可)の使用目的は「成人の顔面部のしわを一時的に改善するために使用」。許可書類に登録されている「性能」は、pHや粘度といった物性の規格で、臨床的な効果ではありません。③日本は、PMDAの添付文書検索でもKEGG MEDICUSの医薬品検索でも、リジュランやポリヌクレオチドの承認品を確認できませんでした(どちらも既知の品目が出る自己テストを通したうえでの0件)。④米国もFDAの510(k)・PMA・登録リストのいずれにも該当がありません。⑤研究では、第III相試験(72人)と2025年の比較試験(218人)の2本が撤回されています。撤回されていないランダム化比較試験(27人)では、見た目の評価指標で比較相手(非架橋ヒアルロン酸)との有意差は出ていません。2026年1月までのRCTを集めたレビュー(7本・183人)は、症例数の少なさと治療プロトコル・評価指標のばらつきを限界に挙げています。⑥当局の書類は、妊娠中・授乳中の人や未成年への使用を禁忌に挙げ、「臨床研究を通じて明らかになった期間以外の、長期間の使用についての安全性・有効性は確認されていない」と書いています。

目次

リジュランは何でできているか

リジュラン(리쥬란・Rejuran)を作っているのは、韓国の(주)파마리서치(ファーマリサーチ・PharmaResearch)です。食薬処の医療機器データベース의료기기안심책방(医療機器安心本棚)で許可の中身を開くと、公開されている原材料は次のとおりでした(2026年9月12日確認)。

  • 注入液 … 폴리뉴클레오티드나트륨(ポリヌクレオチドナトリウム)/주사용수(注射用水)
  • そのほかは注射器(ホウケイ酸ガラス、ポリプロピレンなど)と注射針の材質

分量の欄は「-」で、公開されていません。メーカーは自社の技術をDOT®(DNA Optimizing Technology)と呼び、公式サイトでは「연어 생식세포에서 DNA를 추출하여 이를 재활성물질로 최적화하는 파마리서치의 독자 기술(サケの生殖細胞からDNAを抽出し、再活性物質として最適化する自社技術)」と説明しています。原料がサケ由来だという説明は、メーカー自身の記述です。

1つの許可に複数のモデル名が載るのも、この品目の特徴です。제허 14-825 호には리쥬란(Rejuran)/리쥬란 아이(Rejuran i)/리쥬란 에스(Rejuran s)が並び、原材料の書類には리제스킨(Regeskin)・리제스킨 아이・리제스킨 에스も同じ許可のモデル名として書かれています。「リジェスキン」という名前を別の製品だと思っても、韓国の書類の上では同じ許可の別モデルという扱いです。

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ソウルイン編集部製品名だけを並べていると別々の製品に見えますが、許可の一覧ではなく原材料(公開)の書類に付いているモデル表まで開くと、どの名前が同じ許可番号の中にあるかが分かります。名前で迷ったときは、許可番号のほうを見るのが早道でした。

韓国・日本・米国で「何として」認められているか

韓国: 4等級の「組織修復用生体材料」

韓国での位置づけは、医療機器です。医薬品ではありません(食薬処の医薬品データベースnedrugで「리쥬란」を製品名検索すると0件。同じ検索で同社の「리쥬비넥스」は2件出ます)。医療機器としての許可は、2026年9月12日時点で次の3件でした。

  • 제허 14-825 호(2014年4月9日許可・4等級)… 品目は「조직수복용생체재료(組織修復用生体材料)」。使用目的は「성인의 안면부 주름을 일시적으로 개선하기 위해 사용(成人の顔面部のしわを一時的に改善するために使用)」。備考は「一回用医療機器、人体移植型医療機器、[√]技術文書審査 [ ]臨床資料審査」
  • 제허 21-629 호(2021年7月23日許可・4等級)… 리쥬란HB plus。ヒアルロン酸ナトリウムとポリヌクレオチドナトリウムを皮下に注入し、물리적인 수복(物理的な修復)によって成人の目尻の小じわを一時的に改善する、という使用目的。メーカーの公式サイトでは原材料にリドカイン塩酸塩水和物が挙げられていて、許可情報の備考には「의약품·의료기기 복합·조합품목(医薬品・医療機器の複合・組合せ品目)」とあります
  • 제허 26-180 호(2026年3月6日許可・4等級)… 리쥬란 SBC。備考に「수출용에 한함(輸出用に限る)」とあります。輸出向けの許可なので、韓国国内で使われている製品の根拠にはなりません

この3件は、ファーマリサーチの社名で医療機器の登録を全部(51件)並べて、名前に「리쥬란/Rejuran」が入るものを拾った結果です。同じ会社の同じ「組織修復用生体材料」の区分には、関節腔に注入する콘쥬란(Conjuran・제허 17-814 호)など、使用目的の違う品目も登録されています。

韓国の医療機器は、医療機器法第3条第1項で「사용목적과 사용 시 인체에 미치는 잠재적 위해성 등의 차이에 따라(使用目的と、使用時に人体に及ぼす潜在的な危害性などの差によって)」等級が分けられます。同法施行規則第4条第2項では、3等級・4等級は品目別の「製造許可」、1等級は届出、と手続きが分かれます(2等級は認証が基本ですが、すでに許可・認証・届出を受けた機器と構造・原理・性能・使用目的・使用方法などが本質的に同等でない場合など、許可になるものもあります)。リジュランは、このうち許可が要る側の区分です。

許可書類に登録されている「性能」は、物性の規格

意外だったのが、許可書類の성능(性能)の欄でした。제허 14-825 호に登録されている性能は、次の9項目です(原文の訳。2026年9月12日確認)。

  • 性状(無色透明の容器に充填された透明な液)/pH 6.0〜8.0
  • 確認(260±2nmに吸収極大。260nmと280nmの吸光度比は1.6〜2.0)
  • 浸透圧 270〜330 mos/kg/粘度 20〜220Pa·s(25℃)/実容量は表示量以上
  • 不溶性異物・不溶性微粒子(大韓民国薬典の試験に適合)/注入力 35N以下

つまり、登録されているのは「この液がどういう物性か」という規格で、「肌がどうなるか」という臨床的な効果ではありません。あわせて備考の「[√]技術文書審査 [ ]臨床資料審査」も、この品目が通った審査の種類を示しています。医療機器法施行規則第9条第2項は、すでに許可・認証を受けた機器と本質的に同等な機器については、起源・開発経緯、臨床試験に関する資料、外国での使用現況の資料を提出しなくてよい場合がある(食薬処長が告示で臨床試験資料を必要と定めたものを除く)と定めています。

食薬処の許可書類のどこを見るかを並べた対応表。사용목적(使用目的)はその機器が何のために許可されたかで、リジュランは「しわを一時的に改善」。등급(等級)は使用目的と人体への潜在的な危害性で分かれ、3・4等級は許可が要る。성능(性能)に登録されているのはpH・粘度・注入力などの物性の規格。비고(備考)に「輸出用に限る」とあれば国内で使われている製品の根拠にならない。사용 시 주의사항には禁忌・副作用・一般的な注意があり、医師でない人は使用できないとも書かれる。의료기기안심책방(emedi)で許可番号から開ける、2026年9月12日確認と添えてある

この5つの欄は、リジュランに限らず、韓国の医療機器を許可番号から調べるときに同じように出てきます。

日本: 承認された製品を確認できなかった

日本側は、公開されているデータベースを2つ当たりました。どちらも既知の品目がちゃんと出ることを確かめたうえで検索しています(0件という結果は、検索の仕方が悪いだけということがあるためです)。

  • PMDA 医療機器 添付文書等情報検索(2026年9月12日)… 「リジュラン」「REJURAN」「リジェスキン」「ポリヌクレオチド」「ポリデオキシリボヌクレオチド」はいずれも0件。自己テストでは「レスチレン」4件・「ジュビダーム」8件・使用目的「しわ」4件(いずれもヒアルロン酸使用軟組織注入材)が出ました
  • KEGG MEDICUS 医薬品検索(同日)… 成分名「ポリヌクレオチド」「ポリデオキシリボヌクレオチド(ナトリウム)」は医療用0・一般用0。商品名「リジュラン」「リジェスキン」も0。自己テストでは成分名「ヒアルロン酸ナトリウム」で医療用34・一般用5が出ました

この範囲で言えるのは、今回確認した日本のデータベースでは、リジュランやポリヌクレオチドを使った承認医薬品・承認医療機器を確認できなかった、ということです。

では、日本のクリニックで使われているものは何か

日本で承認された製品を確認できない機器や製剤が、日本の医療機関で使われることがあります。その入口になっているのが、輸入の制度です。厚生労働省の「医薬品等の個人輸入について」は、令和2年9月1日以降、それまでの「薬監証明」に代えて「輸入確認証」を取得することになったと説明しています。同じページには「一般の個人が、医家向けの医療機器の輸入はできません」とも書かれています。

医師が輸入する側の手続きは、「医薬品等輸入確認要領」(令和7年6月30日・医薬監麻発0630第1号。令和7年7月1日適用)にあります。要領は医療従事者個人用という区分を、こう定義しています。

「治療上緊急性があり、国内に代替品が流通していない場合であって、輸入した医療従事者が自己の責任のもと、自己の患者の診断又は治療に供することを目的とするものをいう。医師又は歯科医師が個人輸入する医療機器(内臓機能代用器…を除く。)については3セットを超えるものをいう。」(同要領 第4の1(7))

この区分で輸入するときは、必要理由書(様式9)と医師等の免許証の写しなどを出します。様式9に書くことは2つで、①治療上必要な理由(治療の緊急性、国内で市販されている医薬品等が使用できない理由など)と、②自己の患者に対してのみ使用し、一切の責任を医師が負う旨です。なお、医師・歯科医師が3セット以下の医療機器を自己の患者の診断・治療・予防などに使う目的で輸入する場合は、同じ要領の第7「輸入確認を要しない場合」の9番目に挙げられています。

もうひとつ、厚生労働省の「医薬品等を海外から購入しようとされる方へ」は、個人輸入された医薬品による健康被害は医薬品副作用被害救済制度の救済対象にならないと明記しています(このページの記述は医薬品についてのものです)。医療広告等ガイドライン(令和8年3月30日最終改正)が、医療機関が未承認の医薬品等を用いる自由診療をウェブサイト等で広告する場合の限定解除の要件として、未承認であることの明示・入手経路等の明示・国内の承認医薬品等の有無・諸外国における安全性等の情報とならべて、救済制度の対象にならないことの明示を挙げているのも、ここにつながります。

米国: FDAのデータベースに該当なし

米国はopenFDAのAPIで3つのデータベースを引きました(2026年9月12日)。510(k)、PMA(市販前承認)、施設登録・製品リストのいずれも、「REJURAN」「Regeskin」「polynucleotide」「PharmaResearch」で該当なし(HTTP 404=no matches)。スペースを入れた「Pharma Research」だけは2件返りましたが、どちらもスイスの別会社(APR Applied Pharma Research)の創傷ケア製品でした。こちらも自己テストとして510(k)の「POTENZA」4件・申請者「Jeisys」18件、PMAの「RESTYLANE」192件、登録リストの「POTENZA」11件が返ることを確かめています。

同じ「リジュラン」の名前が、3つの区分にまたがっている

名前が近いので、区分を取り違えやすいところです。파마리서치の公式サイトの製品情報は、区分ごとにページが分かれています。

  • 의료기기(医療機器) … 리쥬란®/리쥬란 HB plus®/리쥬란® I/리쥬란® S(注入材)
  • 화장품(化粧品)리쥬란코스메틱(クレンザー、アンプル、クリーム、トナー、マスクなど)。同社の報道資料(2026年8月24日)は「파마리서치의 특허 성분인 DOT® c-PDRN을 기반으로 한 프리미엄 더마 코스메틱 브랜드(同社の特許成分DOT® c-PDRNをもとにしたプレミアム・ダーマコスメティックブランド)」と説明しています
  • 기타(その他・美容機器) … 리쥬리프

名前が近いだけで、制度上はまったく別のものです。化粧品は化粧品法、注入材は医療機器法で、審査も表示のルールも違います。

同じ「リジュラン」でも韓国では区分が分かれることを並べた対応表。注入材(医療機器)は4等級「組織修復用生体材料」で、使用目的は顔面部のしわを一時的に改善。リジュランコスメティック(化粧品)はメーカーの製品情報では化粧品の区分でアンプル・クリーム・マスクなど。リジュリフ(その他・美容機器)はメーカーの製品情報では「その他(美容機器)」の区分。参考としてPDRNの注射剤(医薬品)はプラセンテックス注などで、効能効果は皮膚移植による創傷の治療と組織修復。名前が近くても審査も表示のルールも別、2026年9月12日確認と添えてある

PDRN(医薬品)とPN(医療機器)は、韓国でも別の区分

もうひとつ紛らわしいのが、PDRNという言葉です。韓国では、ポリデオキシリボヌクレオチドナトリウムを成分とする医薬品が実際に承認されています。

  • 플라센텍스주(プラセンテックス注) … 品目基準コード200809246・2008年9月4日許可・専門医薬品・イタリアからの輸入
  • 리쥬비넥스주(リジュビネックス注) … 201500071・2015年1月7日許可。同社の製品

この2つの効能・効果は「피부이식으로 인한 상처의 치료 및 조직 수복(皮膚移植による創傷の治療および組織修復)」で、用法は1日1アンプルを筋肉内または皮下に注射、です。しわの改善ではありません。つまり韓国では、PDRNは「医薬品」として創傷の治療に、PNは「医療機器」としてしわの一時的な改善にと、登録の区分も認められている目的も分かれています。「サケのDNA由来」という説明でひとまとめにされがちですが、書類の上では別のものとして扱われています。

研究で報告されていること

ここは慎重に読む必要がありました。よく引用される臨床試験のうち2本が、すでに撤回されているからです。

撤回された論文が2本ある

  • 2014年の第III相試験(J Korean Med Sci 2014;29(Suppl 3):S201-9。マウス25匹+患者72人。片側にリジュラン、反対側に別のヒアルロン酸フィラーを2週おきに3回)は、2016年1月に撤回されました(Notice of Retraction. J Korean Med Sci 2016;31(2):330)。撤回の理由は利益相反の開示の不備です。論文は「著者全員に金銭的関与はない」と書き、研究費を大学の地域イノベーションセンター事業と記載していましたが、実際には試験費用はそのフィラーを製造する製薬会社が支援しており、共著者の1人は同社R&Dセンターの研究者でした。学会の出版委員会は「誤った開示と誤った資金提供者の記載による、利益相反が損なわれた出版」と結論しています
  • 2025年の比較試験(J Cosmet Dermatol 2025;24(1):e16576。218人でPCL系フィラーとリジュランを比較)も、2026年に撤回されました(RETRACTION. J Cosmet Dermatol 2026;25(3):e70794)。こちらの理由は、比較に使ったPCL系フィラーの素材の取り違え(ペグ化PCLと記載したが実際は純PCLだった)で、リジュラン側の問題ではありません
  • (周辺の話として)日本語で「スキンブースター」と呼ばれる分類そのものを定義した2024年の総説(Skin Res Technol 2024;30(3):e13627)も、2025年11月に撤回されています(撤回通知 Skin Res Technol 2025;31(11):e70297)。PubMedには撤回の理由が載っていないため、なぜ撤回されたかはこの記事では確認できませんでした

撤回された論文は、結果も結論も引用してはいけない論文です。この記事でも、2本の内容は「どんな試験で、いつ、なぜ撤回されたか」までにとどめ、そこで報告された結果の数値や結論は使っていません。

撤回されていない研究が言っていること

以下は、PubMedで「Rejuran/Regeskin」「polynucleotide+filler/skin/rejuvenation/aesthetic」「polydeoxyribonucleotide+skin/wound/aesthetic」を引いて出てきた171件(2026年9月12日)のうち、顔の注入材としての使い方に関係するものです。網羅ではありません。

  • システマティックレビュー(J Cosmet Dermatol 2025;24(2):e16721)… 2010年1月〜2024年1月の英語文献から9研究・219人を集めたもの。組み入れられた研究の質は「low and moderate(低い〜中程度)」。結論は「有望だが、最適な使い方についての合意は限られている。効果と安全性を確かめるには、厳密で質の高い研究が欠かせない」。なお著者の1人はPN製剤メーカー(Mastelli Srl)のR&D運営委員兼講師、別の著者は他社のKOL(キーオピニオンリーダー)・臨床トレーナーだと開示されています
  • ランダム化比較試験(J Dermatolog Treat 2022;33(1):254-260)… 27人。目もとの片側にPN、反対側に非架橋のヒアルロン酸を2週おきに3回。見た目の評価指標(VASとGAIS)は両群で有意差なし。機器で測った粗さと毛穴体積の改善率はPN群のほうが高く、真皮密度は有意差なしでした
  • ランダム化比較試験(J Cosmet Dermatol 2023。ほうれい線で、片側にPN-HPT®・反対側に生理食塩水を入れたあと、両側に架橋ヒアルロン酸を入れる順番の試験)… 著者は「利益相反なし・研究費の提供なし」と開示しています
  • ランダム化比較試験だけを集めたシステマティックレビュー(Cureus 2026;18(7):e112403)… 2026年1月までのPubMed・Embase・CENTRALから7本のRCT・183人。4本が肌の若返り、1本が術後の瘢痕予防、2本が創傷治癒。対象はPNとPDRN全体で、リジュラン単独のレビューではありません。結論は「再生医療としての可能性は支持されるが、少ない症例数・ばらばらの治療プロトコル・評価指標の不統一という限界がある。最適な適応と治療戦略を決めるには、もっと大きく、十分な検出力のあるRCTが必要」。著者は研究費の提供なしと開示しています
  • 症例報告(Dermatol Ther 2016;29(1):37-40)… 韓国人女性5人に2週おきに4回注入した報告。比較の相手はいません
  • 後ろ向きの症例集積(Aesthetic Plast Surg 2026;50(13):5408-5414)… 美容外科の手術後に傷の治りが遅れた人などに、補助としてリジュランを使った8人の報告。比較の相手はなく、評価は写真と医師の判定です。著者にはメーカー(파마리서치)のCMO(Chief Medical Officer)と、同社のKOL(キーオピニオンリーダー)3人が含まれると開示されています
  • 動物実験(Sci Rep 2026)… ウサギの耳の動脈に誤って注入した場合を想定した実験。Rejuran S・Rejuran HB Plus・同社の関節用のPN製剤(콘쥬란・Conjuran。食薬処の許可は제허 17-814 호で、使用目的は「関節腔に注入し、物理的な修復によって関節部位の機械的な摩擦を減らす」)と、生理食塩水・架橋ヒアルロン酸を比較しました。PNはいずれも一過性の血流障害にとどまり、24時間後に残る塞栓はなく、7日目に壊死や血管炎は見られなかった一方、架橋ヒアルロン酸では持続的な血管内塞栓と広い範囲の組織壊死が起きています。動物実験であり、人でそのまま当てはまるとは限りません
  • このほか、2026年のシステマティックレビューがもう1本あります(Dermatol Surg 2026。PNとPDRNの皮膚科での使用)。PubMedに抄録が載っておらず、中身はこの記事では確認できませんでした
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ソウルイン編集部論文を調べるときは、PubMedの記事種別にRetracted Publication(撤回された論文)が付いていないかを最初に見ています。撤回の理由は「効かなかったから」とは限らず、今回のように利益相反の書き方や比較対象の取り違えのこともあります。研究は結論だけでなく、誰が資金を出したかの開示まで見ないと読めません。

リスク・副作用(当局の書類が挙げていること)

以下は、食薬処の許可書類(제허 14-825 호)に添付された사용 시 주의사항(使用時の注意事項)の内容です(編集部訳)。自分が当てはまるかどうかの判断は、必ず医師に相談してください。

禁忌として挙げられている人・場面

・吸収されないフィラーで治療を受けた部位、最近フィラーの治療を受けた部位には使用しない
・NSAIDs、凝集抑制剤、抗凝固剤、免疫抑制剤などの投与を受けている患者
・アレルギー性疾患、自己免疫疾患、サルコイドーシス性肉芽腫性病理、Osler内膜炎の患者
・血管内には注射しない
・過剰に使用しない
・構成成分(ポリヌクレオチドナトリウム)に過敏症がある人
妊娠中の人、授乳中の人
・成人の顔面のしわを一時的に改善するための製品であり、未成年者への使用は禁止
・炎症や感染など、損傷した皮膚には使用しない

副作用として挙げられているもの

書類は最初に「医師は、この医療機器の使用に関連して患者に現れうる中長期の副作用について、患者に理解させなければならない」と書いたうえで、次を挙げています。

  • 注入部位に圧力が加わると、炎症(発赤・腫れ・紅斑)がかゆみや痛みを伴って現れることがある。この反応は1週間ほど続くことがある
  • 注入部位の結節または硬化、注入部位の変色治療効果の欠如が現れることがある
  • 1週間以上炎症が続く場合や、知られている種類以外の副作用が起きた場合は、できるだけ早く医師の診察を受けるよう患者に理解させる
  • 知られている種類以外の副作用は、製造業者または販売業者に報告しなければならない

この書類では、「治療効果の欠如」も副作用の欄に並んでいます。効果が出ないことも起こりうる、という前提が書類の側にある、と読めます。

一般的な注意として書かれていること

  • 注射後12時間は化粧を避け、2週間は日光・紫外線・寒さ・熱(サウナ、スチームルームなど)への長時間の露出を避ける
  • この製品の施術について十分な訓練を受けた医師が施術すること。施術前に、適応・禁忌・潜在的な副作用を患者に十分説明すること
  • 血管閉塞(それによる組織壊死)が起こる可能性のある血管での使用を避ける
  • 感染や炎症が制御・解決されるまで使用しない
  • 唇の増大術についての安全性・有効性は確立されていない
  • 疱疹性の発疹があった患者への注射は、疱疹が再発することがある
  • ケロイド形成・過色素沈着・肥厚性瘢痕に感受性がある患者についての安全性は確立されていない
  • 「臨床研究を通じて明らかになった期間以外の、長期間の使用についての安全性・有効性は確認されていない」

この12時間・2週間という書き方は、書類の「一般的な注意事項」にある文言で、施術後の経過を保証するものではありません。使用方法の書類のほうにも、「의사가 아닌 사람이 사용해서는 안 됩니다(医師でない人が使用してはいけません)」「施術テクニックが治療の成功に不可欠なので、この施術に習熟した医師が使用するようにします」「1回使用に限り、再使用してはいけません」と書かれています。

韓国と日本で、表示のルールが違う

同じ製品なのに、韓国のサイトと日本のサイトで書かれていることが違う——その背景には、広告のルールの違いがあります。

韓国の医療機器法第24条第2項は、「누구든지(何人も)」として、次のような広告を禁じています。許可・認証を受けていない、または届け出た事項と違う名称・製造方法・性能・効能・効果に関する広告(第5号)、医師などが性能・効能・効果を保証・推薦していると誤解させるおそれのある記事を使った広告(第2号)、性能・効能・効果を暗示する記事・写真・図案を使った広告(第3号)。さらに第25条第1項は、テレビ・ラジオ、新聞・インターネット新聞・雑誌、屋外広告物、電光板、大統領令で定めるインターネット媒体で広告する場合、事前に自律審議機構の審議を受けなければならないとしています(第3項第1号で、許可・認証・届出の内容だけで構成された広告は審議不要)。

日本側のルールは、医療機関の「広告」にかかります。医療機関のウェブサイトなどで、広告できる事項の範囲を超えて書く(限定解除する)場合、医療広告等ガイドラインは、未承認の医薬品等を用いる自由診療について5つの表示を求めています。未承認であることの明示/入手経路等の明示/国内の承認医薬品等の有無/諸外国における安全性等の情報/医薬品副作用被害救済制度などの対象にならないことの明示です。「国内未承認」「医師の個人輸入」「救済制度の対象外」という注記が並んでいるページを見かけたら、この5つに対応した表示だと読めます(施術そのものの条件ではなく、広告の表示の条件です)。

読み手としてできるのは、「その表示が、どの国のどのルールに対応して書かれたものか」を分けて読むことだと思います。韓国の表示は韓国の医療機器法に、日本の表示は日本の医療広告のルールに合わせて書かれていて、同じ製品でも書けることが違います。

この記事で答えられないこと

  • 効果があるかどうか。この記事は当局の書類と論文に書いてあることを並べただけで、編集部としての評価はしていません
  • あなたに合うかどうか。禁忌や注意事項に自分が当てはまるかの判断は医師の仕事です
  • 日本のどのクリニックが何を使っているか。輸入確認の個別の情報は公開されていません
  • 韓国での価格。この記事では扱いません(価格の比較もしません)
  • 食薬処に副作用や回収の報告があるかどうか。今回開いたデータベースの該当欄には表示がありませんでしたが、それは「報告が0件である」という意味ではありません

よくある質問

リジュランは日本で承認されていますか?
2026年9月12日に確認した範囲では、PMDAの医療機器添付文書等情報検索でも、KEGG MEDICUSの医薬品検索でも、リジュランやポリヌクレオチドを使った承認品を確認できませんでした(どちらも既知の品目が出ることを確かめたうえでの0件です)。日本のクリニックで使われている場合は、医師が輸入確認(令和2年9月からは「薬監証明」に代わって「輸入確認証」)の手続きで自ら輸入したもの、という説明が一般的です。
韓国では何として許可されていますか?
医薬品ではなく、医療機器です。食薬処の許可(제허 14-825 호・2014年4月9日)では、品目が「組織修復用生体材料」、等級は4等級、使用目的は「成人の顔面部のしわを一時的に改善するために使用」と登録されています。目尻の小じわ向けの리쥬란HB plus(제허 21-629 호)は、ヒアルロン酸とポリヌクレオチドを皮下に注入し「物理的な修復」によって改善する、という使用目的です。
「サーモン注射」「PDRN」と同じものですか?
呼び名は重なりますが、韓国の制度上は別の区分です。リジュランの公開されている原材料はポリヌクレオチドナトリウム(PN)で、医療機器として許可されています。一方でポリデオキシリボヌクレオチドナトリウム(PDRN)を成分とする注射剤は、韓国では医薬品として承認されていて(プラセンテックス注・リジュビネックス注)、認められた効能・効果は「皮膚移植による創傷の治療および組織修復」です。しわの改善ではありません。
研究ではどんなことが報告されていますか?
よく引用される2本の臨床試験が撤回されています。2014年の第III相試験(72人)は2016年に利益相反の開示の不備で撤回され、2025年の比較試験(218人)は2026年に、比較相手のフィラーの素材の取り違えで撤回されました。撤回されていない研究では、2025年のシステマティックレビューが9研究・219人を集め、研究の質を「低い〜中程度」としたうえで「最適な使い方についての合意は限られている」と結論しています。27人のランダム化比較試験では、見た目の評価指標で非架橋ヒアルロン酸との有意差は出ていません。
オリーブヤングなどで売っている「リジュラン」の化粧品は同じものですか?
別の区分の製品です。파마리서치の公式サイトでは、注入材(医療機器)と「리쥬란코스메틱」(化粧品)はページが分かれています。化粧品は化粧品法、注入材は医療機器法で、審査も表示のルールも違います。見分けるには、パッケージの表示(化粧品なら全成分表示、医療機器なら「의료기기」の表示と番号)を確かめるのが確実です。

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