ソウルの地下鉄を降りた瞬間に「あれ、スマホどこいった」と鞄をまさぐった経験がある人は少なくないはずです。網棚に置いた紙袋、座席の隙間に落ちたイヤホン、混雑した車内でいつの間にか開いていたポケット――地下鉄での忘れ物は珍しいことではありません。ただ厄介なのは、日本の「駅の忘れ物センターに聞けばだいたい何とかなる」という感覚が、そのまま通用しない点です。ソウルの地下鉄は路線によって運営している会社が違い、忘れ物の窓口も受付時間も別々に分かれています。この記事では、地下鉄・バス・タクシーで忘れ物をしたときに、どこへ連絡すれば戻ってくる可能性が高いのかを、路線と時間で整理しました。仁川国際空港のターミナル内や保安検査場での忘れ物は空港固有の窓口の話になるため、仁川空港の遺失物ガイドで扱っています。この記事が対象にするのは、あくまで地下鉄・バス・タクシーの車内やホームで忘れた場合です。
ソウルの地下鉄で忘れ物をしたら、まず「何号線に乗っていたか」を確認します。1〜8号線はソウル交通公社、9号線はソウルメトロ9号線、空港鉄道はAREX、広域電鉄区間はコレイル(KORAIL)と、運営会社が4つに分かれていて、それぞれ遺失物センターの場所と受付時間が別です。どの路線か分からない、複数の路線を乗り継いだという場合は、警察庁が運営する統合検索サイトLOST112で横断的に探す方法もあります。バス・タクシーはまた別の窓口になり、現金・パスポート・カードは大使館やカード会社など公的機関に委ねる場面が出てきます。

ソウルの地下鉄は運営会社が4つ——まず「何号線か」を確認する
日本の感覚だと「地下鉄の忘れ物センター」はひとつのイメージがありますが、ソウルの地下鉄はそうなっていません。1号線から8号線までを運営しているのは서울교통공사(ソウル交通公社)、9号線を運営しているのはソウルメトロ9号線という別会社です。さらに、金浦空港とソウル駅・弘大入口駅などを結ぶ空港鉄道(AREX)は空港鉄道の会社が運営し、京義中央線や京春線などソウル近郊まで足を延ばす区間はコレイル(KORAIL)が運営しています。同じ「地下鉄に乗っていた」でも、乗っていた路線によって連絡すべき窓口も、受付時間も、保管されている場所もまったく別になる――これがこの記事でいちばん伝えたいポイントです。
乗換駅で忘れた場合は少しややこしく、たとえば9号線からソウル交通公社の路線に乗り換えた直後に忘れたなら、忘れた瞬間にどちらの車両・ホームにいたかで問い合わせ先が変わります。迷ったときは、まず交通カードの利用履歴を確認して、何号線のどの区間に乗っていたかを特定するところから始めるのが確実です。何号線かさえ分かれば、次の見出しから該当する窓口にすぐ進めます。
ソウル交通公社(1〜8号線)の遺失物センター——4駅の場所と受付時間
1号線から8号線までの忘れ物は、ソウル交通公社の遺失物センターが窓口になります。公式サイトの案内によると、センターは市庁(シチョン)駅(1・2号線)、忠武路(チュンムロ)駅(3・4号線)、往十里(ワンシムニ)駅(5・8号線)、泰陵入口(テヌンイプグ)駅(6・7号線)の4か所にあり、乗っていた路線によって行くべき駅が変わります。運営時間は平日9:00〜18:00で、土日・祝日は休業です(2026年9月2日確認)。忘れた直後が土日にあたってしまった場合、窓口に行っても対応してもらえない可能性が高く、まずは後述するLOST112での検索や電話での問い合わせから始めることになります。
電話での問い合わせは、忘れ物専用の番号182、またはソウル交通公社の代表電話1577-1234にかける方法があります(2026年9月2日確認)。見つかった忘れ物は各駅の駅員が一時的に保管したのち遺失物センターに集約され、1週間保管された後、貴重品は管轄の警察署へ移管されるという案内でした(2026年9月2日確認)。つまり「忘れてから1週間以内」が、駅の遺失物センターに直接連絡して見つかる確率がいちばん高い期間ということになります。1週間を過ぎてしまった場合は、次の見出しで紹介するLOST112から、移管先の警察署を含めて探すほうが近道です。
9号線は別会社――銅雀(トンジャク)駅と総合運動場(チョンハプウンドンジャン)駅
9号線に乗っていて忘れ物をした場合、ソウル交通公社の4駅に行っても対応してもらえません。9号線は서울시메트로9호선(ソウルメトロ9号線)という別会社が運営していて、遺失物センターも別に設けられています。1段階区間の忘れ物は銅雀(トンジャク)駅の遺失物センター(電話02-2656-0999)、2段階区間の忘れ物は総合運動場(チョンハプウンドンジャン)駅の遺失物センター(電話02-2656-0797)が窓口です。どちらも平日10:00〜19:00の運営で、土日・祝日は休業でした(2026年9月2日確認)。
ソウル交通公社の4駅より受付終了が1時間遅い代わりに、開始も1時間遅いという違いがあります。夕方の帰宅ラッシュ後に忘れ物に気づいた場合、ソウル交通公社側はすでに18時で閉まっていても、9号線側はまだ19時まで受け付けている可能性がある、と覚えておくと動きやすくなるはずです。区間によって窓口駅が違う点はやや紛らわしいので、乗っていたのが1段階(開通済みの中心部区間)か2段階(延伸区間)かをはっきりさせてから電話するのが確実です。どちらの番号にかけても、担当外なら案内してもらえます。
空港鉄道(AREX)とコレイル(KORAIL)広域電鉄——さらに別の連絡先
金浦空港からソウル駅・弘大入口駅方面へ向かう空港鉄道(AREX)と、京義中央線・京春線など首都圏の広域電鉄区間を担当するコレイル(KORAIL)も、それぞれソウル交通公社・9号線とは別の運営会社です。どちらも公式サイトに遺失物の問い合わせ窓口が案内されていますが、駅ごとの受付時間や電話番号は変更されることがあるため、この記事では番号を断定せず、乗車前後に公式サイトで最新の連絡先を確認することをおすすめします(2026年9月2日確認)。
仁川国際空港と金浦空港を結ぶ区間そのものではなく、あくまでソウル市内や近郊を走る一般列車区間での忘れ物が、この記事が扱う範囲です。空港ターミナル内やチェックインカウンター付近での忘れ物は空港会社の管轄になるため、仁川空港の遺失物ガイドのほうを参照してください。乗っていた区間がAREXなのかコレイルなのか自信がない場合は、交通カードの利用履歴に表示される乗車駅名から判断できます。ソウル市内の地下鉄アプリの使い方に不安がある人は、地下鉄アプリの使い方ガイドを先に見ておくと、乗換駅や運営会社の見分けがつきやすくなります。
| 路線・手段 | 運営会社 | 忘れ物の連絡先 |
|---|---|---|
| 1〜8号線 | ソウル交通公社 | 市庁・忠武路・往十里・泰陵入口の各駅の遺失物センター |
| 9号線 | ソウルメトロ9号線 | 銅雀(トンジャク)駅・総合運動場(チョンハプウンドンジャン)駅 |
| 空港鉄道 | AREX | AREX公式サイトの遺失物案内 |
| 広域電鉄区間 | コレイル(KORAIL) | コレイル公式サイトの遺失物案内 |
| バス | 各バス会社(組合窓口経由) | ソウル特別市バス運送事業組合、または乗車履歴の車庫 |
| タクシー | 各タクシー会社・運転手 | カカオTアプリの利用履歴、または領収書の連絡先 |
警察庁の統合検索サイトLOST112——路線をまたいで探せる公式ポータル
どの路線で忘れたか自信がない、複数の路線を乗り継いだ、あるいは1週間を過ぎて警察署に移管されてしまった――そんなときに頼りになるのが、警察庁が運営する遺失物の統合ポータルLOST112(lost112.go.kr)です。全国の警察署・地下鉄・バスなど各機関が受け付けた拾得物をまとめて検索でき、品目や特徴を入力するだけで、誰でも無料で照会できる仕組みでした(2026年9月2日確認)。2026年1月26日以降、遺失物に関する一部の手続きが「경찰민원24(警察民願24)」という別サイトに統合されている案内も確認しており、検索の入り口が今後変わっている可能性がある点は留意してください(2026年9月2日確認)。
日本語・英語での案内が用意されているかどうかは、今回の調査の範囲では確認できませんでした。ただし品目名や特徴をキーワードで検索する形式なので、韓国語が読めなくても翻訳アプリを使えば操作自体は可能なはずです。スマートフォンには「경찰 로스트112」というアプリも用意されています。ソウル生活で使う主要アプリをまとめて知っておきたい人は、韓国の必須アプリまとめも参考になります。オンラインでの届け出も可能とされていますが、一部の品目は窓口への来訪が必要なケースもあるため、詳しい手順は公式サイトで確認してください。
バスで忘れたとき——運送組合とカード利用履歴からたどる
バスの車内に忘れ物をした場合は、地下鉄とは別の窓口になります。ソウル市内バスは会社ごとに運行されていて、ソウル特別市バス運送事業組合の公式サイトには分失物に関する案内メニューがあり、ソウル市の統合遺失物検索ページへのリンクや届け出の手順が案内されていました(2026年9月2日確認)。組合の代表電話は02-415-4101です(2026年9月2日確認)。
バスの忘れ物を探すときにいちばん重要なのが、乗車した時刻・系統番号・乗車区間をできるだけ正確に伝えることです。交通カードで支払った場合は、カードの利用履歴に乗車時刻と系統番号が残っているので、これを控えておくと車庫への問い合わせがスムーズになります。バスは地下鉄と違って車両が同じ場所にとどまり続けるわけではなく、その日の運行を終えて車庫に戻るまで確認できないことも多いため、気づいた時点ですぐ組合や該当バス会社の窓口に連絡するのが基本です。交通カード自体を車内に落とした、なくしたという場合は品物の捜索とは別の対応が必要になるので、交通カードを紛失したときの記事を参照してください。
タクシー・カカオTで忘れたとき——利用履歴から運転手へ連絡する
タクシーの車内に忘れ物をした場合、いちばん確実なのは配車アプリ카카오T(カカオT)の利用履歴から運転手に直接連絡する方法です。アプリ内の「利用記録」から乗車履歴を開き、忘れ物の問い合わせ機能を使うと、運転手への連絡やカカオTのカスタマーセンター(電話1599-9400)への問い合わせにつながります(2026年9月2日確認)。カスタマーセンターへの通話自体はコーヒー1杯分ほどの時間で終わることが多く、まずかけてみるハードルは高くありません。アプリが操作しにくい場合は、知人のスマートフォンに自分のアカウントでログインし、運転手に電話する機能を使って直接連絡する方法もあります。
配車アプリを使わず、通りでつかまえた一般タクシーに乗った場合は状況が少し変わります。領収書をもらっていれば、そこに記載された車両番号や会社名から連絡先をたどれます。領収書がない場合は、乗車したおおよその時刻・区間・タクシーの色(一般か模範か)を控えて、最寄りの警察署かLOST112から探すことになります。運転手が拾得した忘れ物は、一定期間が過ぎると警察署に引き渡される案内でした(2026年9月2日確認)。カカオTのようなアプリを使う場合は、事前に本人確認や決済情報の登録が必要になる場面もあるので、カカオトークの使い方ガイドもあわせて確認しておくと、現地でアプリを使う場面全般で困りにくくなります。
現金・パスポート・カードは別扱い——大使館とカード会社に任せる
忘れ物の中身が現金・パスポート・クレジットカードの場合は、ここまで紹介した遺失物センターだけでは完結しません。現金は遺失物として届け出られれば拾得物として扱われますが、必ず全額そのまま戻ってくると保証されているわけではなく、実際にどう扱われるかはケースによって差があります。過度な期待をせず、まずは届け出を出すことを優先してください。
パスポートを紛失した場合は、遺失物センターを探す前に、まず最寄りの警察署へ紛失届を提出し、そのうえで在大韓民国日本国大使館(または釜山・済州の総領事館)に相談してください。帰国のための渡航書や旅券の再発給には、警察への届け出内容が必要になる場面があります。手続きの詳細や必要書類は、必ず大使館の公式サイトで確認してください。クレジットカード・キャッシュカードをなくした場合も同様に、遺失物センターを探すより先に、まずカード会社の緊急連絡先に電話して利用停止の手続きを取ることが最優先です。
現金・パスポート・カードという3つは、いずれも「戻ってくるかどうか」より先に「悪用されないようにする」ことが優先される場面です。地下鉄やバスの遺失物センターに問い合わせるのは、その次のステップだと考えておくと動きの順番を間違えずに済みます。
韓国語が話せなくても大丈夫——1330と120の使い分け
ここまで紹介した窓口は基本的に韓国語での対応が前提になっています。韓国語に自信がない場合に頼れる窓口が2つあります。ひとつは観光通訳案内電話1330です。国内からは市外局番なしで1330、海外からは+82-2-1330にかけると、宿泊施設・交通・飲食店・買い物など観光に関する通訳サポートや、旅行中のトラブル相談を受け付けている案内でした(2026年9月2日確認)。
もうひとつはソウル市が運営する120다산콜센터(ダサンコールセンター)です。電話番号は02-120で、英語・中国語・日本語・ベトナム語・モンゴル語の5言語で行政相談や生活情報の案内を受けられ、運営時間は平日9:00〜18:00(祝日を除く)という案内でした(2026年9月2日確認)。どちらも遺失物センターそのものではありませんが、電話をかけて「地下鉄で忘れ物をしたので、韓国語で問い合わせるのを手伝ってほしい」と伝えれば、窓口へのつなぎ役として使える可能性があります。韓国語での電話が不安なときの最初の一手として覚えておくと安心です。
- 観光の相談全般なら1330(国内は市外局番なし・海外からは+82-2-1330)
- ソウル市の行政・生活相談なら120ダサンコールセンター(02-120・平日9:00〜18:00)
- どちらも遺失物センターへのつなぎ役として使える
帰国後に見つかったら・忘れないための備え
帰国してから忘れ物センターに連絡が来て、実は見つかっていた、というケースもあります。ただし今回の調査では、日本など海外への郵送を保証する共通の規定は確認できませんでした(2026年9月2日確認)。多くの場合は、見つかった遺失物センターに個別に問い合わせて、国際郵送が可能かどうか、着払いか元払いか、送料がどのくらいかかるかを確認する形になります。国際郵送費用は品物によってはコーヒー数杯分では済まないこともあるので、金額次第では受け取りを見送るという判断も選択肢に入れておくとよさそうです。
忘れ物そのものを減らす工夫としては、網棚に荷物を置いたら降りる駅の一つ前で必ず見る、座席に座ったら隙間にスマホを落としていないか立つ前に確認する、改札を通る前に荷物の数を数える、という3つの癖をつけておくと事故を減らせるはずです。荷物が多くて身軽に動きたい日は、そもそも駅のコインロッカーに預けてしまう方法もあります。ソウル駅周辺のロッカー事情はソウル駅のコインロッカー案内にまとめているので、身軽に移動したい日はあわせてチェックしてみてください。
よくある質問
まとめ
- ソウルの地下鉄は運営会社が4つ。1〜8号線はソウル交通公社、9号線はソウルメトロ9号線、空港鉄道はAREX、広域電鉄区間はコレイルで、遺失物センターも別々
- ソウル交通公社の遺失物センターは市庁・忠武路・往十里・泰陵入口の4駅。平日9:00〜18:00、土日祝は休業(2026年9月2日確認)
- 9号線は銅雀(トンジャク)駅・総合運動場(チョンハプウンドンジャン)駅の2か所。平日10:00〜19:00(2026年9月2日確認)
- 路線が分からない・1週間を過ぎたら、警察庁の統合検索サイトLOST112で横断的に探す
- バスは運送組合や車庫、タクシーはカカオTの利用履歴か領収書の連絡先から追う
- 現金・パスポート・カードは遺失物センターより先に、警察への届け出・大使館・カード会社への連絡を優先する
- 韓国語が不安なら1330(観光通訳案内電話)か120ダサンコールセンターを間に挟む方法もある
ソウルの地下鉄で忘れ物をしたときにいちばん大事なのは、「何号線に乗っていたか」を最初に思い出すことです。運営会社さえ特定できれば、あとは窓口の受付時間に合わせて連絡するだけで、見つかる確率はぐっと上がります。この記事で扱いきれなかった細かい手続きや最新の連絡先は、各公式サイトで確認してください。
参考・出典
- 서울교통공사(ソウル交通公社)公式サイト 유실물센터 이용안내(遺失物センター利用案内・4駅の場所と運営時間) http://www.seoulmetro.co.kr/kr/page.do?menuIdx=730 (2026年9月2日確認)
- 서울시(ソウル市)미디어허브「지하철 유실물」案内記事(忘れ物の保管期間・警察署移管について) https://mediahub.seoul.go.kr/archives/2007075 (2026年9月2日確認)
- 서울시메트로9호선(ソウルメトロ9号線)公式サイト 유실물 센터(遺失物センターの場所・電話・運営時間) https://www.metro9.co.kr/kor/sub01_08.do (2026年9月2日確認)
- 경찰청(警察庁)遺失物統合ポータル LOST112 https://www.lost112.go.kr (2026年9月2日確認)
- 카카오모빌리티(カカオモビリティ)顧客支援ページ(카카오T分失物問い合わせの流れ) https://service.kakaomobility.com/cs/ (2026年9月2日確認)
- 서울특별시버스운송사업조합(ソウル特別市バス運送事業組合)公式サイト(分失物案内・代表電話) https://www.sbus.or.kr/ (2026年9月2日確認)
- 정부24(政府24) 관광통역안내전화 1330 サービス案内 https://www.gov.kr/portal/service/serviceInfo/B55101100019 (2026年9月2日確認)
- 120다산콜재단(120ダサンコール財団)外国語相談案内 https://www.120dasan.or.kr/dsnc/main/contents.do?menuNo=200020 (2026年9月2日確認)
- 在大韓民国日本国大使館 領事部案内ページ https://www.kr.emb-japan.go.jp/itpr_ko/consulate.html (2026年9月2日確認)

