ペクスクはどこで食べる?サムゲタンとの違いと選び方

湯気の立つ土鍋で丸ごと煮えた鶏を、食卓で家族が取り分けているソウルの食堂の一コマ

韓国の鶏料理といえばサムゲタンを思い浮かべる人がほとんどだと思うんですが、実はもう一つ、鶏をまるごと煮た料理があります。それが백숙(ペクスク)

結論から

ペクスク(백숙)は、味付けをせずに鶏を丸ごと水で煮た韓国料理。サムゲタンとの違いは「高麗人参を入れるかどうか」と「鶏の大きさ」で、ペクスクのほうが大きめの鶏を使う分、複数人でシェアしやすいのが特徴です。タッカンマリ(닭한마리)とは、鶏を丸ごと煮るか・ぶつ切りにして野菜と煮るかが分かれ目になります。

目次

ペクスク(백숙)ってどんな料理?まず結論から

ペクスクは漢字で書くと「白熟」。味付けをしないという意味の「白」と、煮て火を通すという意味の「熟」を合わせた言葉です。韓国の公的機関である国家遺産庁のコラムでも、「ペクスクは味付けをせず鶏を煮たもので、一般的には水にニンニクを入れる程度」と説明されています。調味料をほとんど使わない、いちばんシンプルな鶏料理と考えると分かりやすいはずです。

同じコラムには、朝鮮時代にはすでに「연계백숙(若鶏のペクスク)」が伏日(복날)の栄養食として食べられていたという記録も紹介されています。当時の料理書には「人参を食べる人は参を入れる」という一文が残っていて、これがペクスクにニンニクの代わりに高麗人参を入れた料理、つまりサムゲタンにつながったという説の根拠になっているんですね。

つまり歴史の順番でいうと、ペクスクが先にあって、そこから枝分かれしたのがサムゲタン。サムゲタンだけを知っていた人からすると「ペクスクってサムゲタンの薄味版?」と思うかもしれませんが、正しくは逆で、ペクスクのほうが原型に近い料理なんです。

韓国語で鶏料理を表す単語には「닭(タク=鶏)」が付くものが多く、삼계탕・닭한마리・닭갈비など似た響きの名前が並びます。その中でペクスクだけは「白熟」という漢字表現からも分かるとおり、味付けよりも調理法そのものを名前にした料理。だからこそ、鶏肉を鶏肉のまま楽しみたい日にまっすぐ選びやすいメニューだと言えます。

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ソウルイン編集部正直、「参鶏湯は知ってるけどペクスクは初耳」という人、かなり多いと思います。でも順番で言えばペクスクが先輩格。知っておくと韓国の食堂で迷わなくなります。

ペクスク(백숙)とサムゲタン(삼계탕)の違い――記事の核心

ここがいちばん気になるところだと思うので、はっきり整理します。両者の違いは大きく2つ。1つ目は「加える材料」。ペクスクは基本的に味付けをせず、ニンニク程度しか入れません。一方サムゲタンは高麗人参・栗・ナツメ・もち米など、複数の副材料を鶏のお腹に詰めて煮込みます。名前の分かれ目になっているのが「参(高麗人参)」で、これを入れるかどうかがそのまま呼び名の違いになっていると考えるとすっきりします。

2つ目は「鶏のサイズ」。ペクスクは10週齢以上・体重2kg前後の大きめの鶏「토종닭(トジョンダク=土鶏)」を使うことが多いのに対し、サムゲタンは生後28〜30日・体重800g前後の若鶏「영계(ヨンゲ)」を使うのが一般的とされています。鶏が大きい分だけ煮込みに時間がかかり、価格もサムゲタンより高めになりやすいという解説が複数見られました。ここは店ごとに差があるので、あくまで傾向として覚えておいてください。

この2つの違いから自然に生まれるのが「食べ方の違い」です。サムゲタンは若鶏1羽が1人前として定食のように出てくる店が多いのに対し、ペクスクは鶏が大きいぶん、最初から複数人でシェアする前提のメニューとして案内されることが多いんです。友達や家族との食事で「同じ鍋を囲んで食べたい」ときに向いているのがペクスク、というイメージを持っておくとよさそうです。

もっと参鶏湯そのものを詳しく知りたい人は、専門記事の ソウルの参鶏湯ガイド も参考にしてみてください。ペクスクとの違いが分かると、どちらを選ぶか決めやすくなるはずです。

比較の観点 ペクスク(백숙) サムゲタン(삼계탕)
味付け 基本はニンニク程度 高麗人参・栗・ナツメなど
鶏の大きさ 大きめ(土鶏) 若鶏
想定人数 複数人でシェア向き 1人1羽が基本
価格の傾向 高めになりやすい 定食化されており抑えめ
ペクスクとサムゲタンの違いを、材料・鶏の大きさ・想定人数・価格の傾向で対比した図

ペクスク(백숙)とタッカンマリ(닭한마리)の違い

もう一つ混同しやすいのが、鶏をぶつ切りにして煮る「닭한마리(タッカンマリ)」。名前に「닭(鶏)」が入っている点は同じですが、調理法も食べ方もかなり違います。ペクスクは鶏を丸ごと煮るのに対し、タッカンマリは鶏をぶつ切りにして、じゃがいも・にんじん・玉ねぎ・にらといった野菜と一緒に煮る、鍋料理に近いスタイルです。

つけだれにも違いがあります。ペクスクは塩、またはごま油入りの塩だれで食べるのが基本。対してタッカンマリは、しょうゆをベースにした薬味だれ「タデギ」につけて食べます。仕上げにカルグクス(韓国風の平打ちうどん)の麺を入れることが多いのもタッカンマリの特徴で、この点はペクスクの締め方(後ほど紹介します)と少し似ています。

ざっくり言うと、ペクスクは「鶏そのものの味を、丸ごと・シンプルに楽しむ料理」、タッカンマリは「鶏と野菜を煮込んだ、しょうゆだれで食べる鍋料理」というイメージです。どちらも複数人で囲む料理という点は共通しているので、グループでの食事にはどちらも候補に入れられます。

選ぶ基準としては、あっさり派か・野菜もしっかり摂りたいかで考えるのがおすすめです。出汁の味そのものを楽しみたい、締めまでシンプルに味わいたいという日はペクスク向き。野菜もたっぷり食べたい、しょうゆだれのパンチが欲しいという日はタッカンマリ向き、と気分で使い分けている人が多い印象です。

タッカンマリについてさらに詳しく知りたい人は、タッカンマリの専門記事 にエリアや食べ方をまとめてあります。ペクスクと食べ比べてみるのも面白いかもしれません。

「닭」という字が入る料理は他にもタッカルビ・タッポックムタンなどたくさんあります。似た名前で頼む料理を間違えないよう、店では鶏を丸ごと煮た料理か・ぶつ切りかを確認してから注文すると安心です。

何人前から?予約は必要?

ペクスクを検討するとき、いちばん実務的に気になるのが「何人前から頼めるか」だと思います。韓国語のレシピサイトを横断すると、土鶏1羽(1.2kgほど)でおおむね2〜3人前という目安が多く見られました。店舗のコースでは3〜4人前として案内される例もあり、大きさや副菜の量によって幅があります。

韓国の食堂には、そもそも「2人前から」という最低注文数のルールがある料理が少なくありません。ペクスクもそのタイプに近く、1人で気軽に、というよりは複数人での食事を前提にしたメニューだと考えておくと、現地でとまどわずに済みます。

鶏を丸ごと下処理して長時間煮込む料理という性質上、当日ふらっと入っても提供に時間がかかる、または対応してもらえないことがあります。来店前に電話やオンライン予約で「何人前から出せるか」「待ち時間はどれくらいか」を確認しておくのが安全です。

1人でも注文できますか?
店によります。ペクスクは複数人でのシェアを前提にしたメニューであることが多いため、1人前の設定があるかどうかは訪問前に店へ直接確認するのが確実です。
当日予約なしでも入れますか?
調理に時間がかかる料理のため、予約なしだと提供までかなり待つ、あるいは対応してもらえない場合があります。事前予約か電話確認をおすすめします。

「2人前から」という注文の仕組みについては、韓国の食堂の最低注文ルールを解説した記事 でくわしく取り上げています。ペクスク以外の料理でもよく出てくるルールなので、あわせて読んでおくと現地で困りにくくなります。

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食べ進め方:肉→スープ→締めのおかゆやカルグクス

ペクスクには決まった食べ進め方があります。まず最初は鶏肉。塩、またはごま油入りの塩だれにつけて食べるのが基本の形です。骨から身をほぐしながら食べるスタイルなので、コース料理のように順番を気にしすぎず、家族でわいわい取り分けながら食べる料理と考えると気が楽です。

肉をあらかた食べたあとは、澄んだスープをそのまま飲みます。味付けが薄い分、鶏そのものの出汁の味がしっかり感じられるのがペクスクのスープの特徴。ここで「意外とあっさりしてる」と感じる人も多いようです。濃い味のスープを想像していくと、ちょっと拍子抜けするかもしれません。

そして仕上げが、残ったスープを使った締め。ご飯を入れて即席の鶏がゆ(닭죽)にする、またはカルグクス(麺)を入れて煮込む、という2パターンが主流です。締めまで含めて1つの料理として設計されているので、「お腹に少し余裕を残しておく」のがペクスクを味わい尽くすコツと言えそうです。

  • 1杯目:鶏肉を塩・ごま油だれにつけて食べる
  • 2杯目:澄んだスープをそのまま飲む
  • 締め:ご飯を入れて鶏がゆ、またはカルグクスの麺を入れる

体感でいうと、締めの鶏がゆ1杯はだいたいコンビニのおにぎり1個分くらいのボリューム感。締めまで頼むかどうかで満足度がだいぶ変わるので、お腹の余裕は計算しておくのがおすすめです。

骨付きのまま出てくることが多いので、手を使って身をほぐす場面もあります。店によってはビニール手袋を用意しているところもあるようですが、必ずあるとは限りません。清潔さが気になる人は、ウェットティッシュを持参しておくと食べやすさがぐっと変わります。子ども連れの場合は、小骨が残っていないか大人が確認してから取り分けるようにすると安心です。

派生メニュー:オリペクスク・能耳茸ペクスクなど

ペクスクには何種類かの派生メニューがあります。代表的なのが鶏の代わりに鴨を使う「오리백숙(オリペクスク)」。鴨は鶏より脂のうまみが強く、こってりした味を好む人に選ばれている印象があります。メニューに鶏白熟と鴨白熟が並んでいる店も見つかりました。

もう一つよく見かけるのが「능이버섯백숙(能耳茸ペクスク)」。天然きのこの一種である能耳茸(ヌンイタケ)を加えるタイプで、きのこの香りが加わることで、シンプルなペクスクとはまた違った風味になります。締めにおこげを使う「누룽지백숙(おこげペクスク)」を用意している店もあります。

ナツメや栗など漢方系の副材料を加える「한방백숙(漢方ペクスク)」というメニューも存在しますが、これは高麗人参を入れないためサムゲタンとは呼ばれない、という整理になっています。つまり「漢方系の材料が入っているかどうか」ではなく、あくまで「高麗人参が入っているかどうか」が、ペクスクとサムゲタンを分ける境目だと覚えておくと迷いません。

派生メニューを選ぶときの目安をまとめると、鶏そのものの味を確かめたいなら素のペクスク、こってりした満足感が欲しいならオリペクスク、香りに変化をつけたいなら能耳茸ペクスク、というふうに整理できます。初めて食べる人は、まず素のペクスクで基準の味を知ってから、次回に派生メニューへ広げていくと違いが分かりやすいはずです。

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ソウルイン編集部個人的には、鶏そのものの味を楽しみたい日は素のペクスク、きのこの香りも楽しみたい日は能耳茸ペクスク、と気分で選び分けるのがちょうどいい気がしています。

派生メニューの名前は店によって表記が揺れることもあるので、注文時に「どんな材料が入っているか」を一言確認しておくと安心です。韓国語での注文フレーズは 韓国の食堂での注文の仕方をまとめた記事 も参考にしてみてください。

ソウルで食べられるエリア

ここは正直に書きます。ソウルの土鶏ペクスク専門店を調べると、서대문구 홍은동(ホンウンドン)や영등포구 문래동(ムンネドン)、은평구(ウンピョング)といったエリアに専門店が集まっている傾向は複数のグルメサイトで確認できました。ただし、これらはあくまでグルメ情報サイト側が掲載している情報で、2026年9月8日時点で実際に営業しているかどうかを、店舗の公式サイトやSNSの最新投稿で編集部が直接確認することはできませんでした。

飲食店の営業状況は変わりやすく、二次サイトに載っている営業時間だけでは「今も営業中」の証拠にはなりません。この記事では個別店舗の住所・営業時間を断定せず、エリアの傾向だけを紹介します。訪問前には必ず地図アプリや店舗の公式ページ、電話で最新の営業状況を確認してください。

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エリアで選ぶときのポイントは、山や渓谷の近くにペクスク・タッカンマリ系の専門店が多いこと。もともと登山や行楽帰りに立ち寄って栄養補給する料理として親しまれてきた背景があるためで、都心の繁華街よりも郊外寄りの落ち着いたエリアに店が多い印象です。旅程を組むときは、繁華街観光とセットではなく、少し足を延ばす日として計画しておくとスムーズです。

地下鉄駅から少し歩く立地の店も少なくないので、移動手段は事前に確認しておくと安心です。地図アプリで店名を検索したときに、営業時間や定休日の表示が更新されているかどうかも合わせてチェックしておくと、現地で「閉まっていた」というがっかりを避けやすくなります。

ペクスクのように複数人でシェアする韓国料理をもっと知りたい人は、韓国の定食(한정식)ガイド もあわせてチェックしてみてください。大人数での食事を探しているときの選択肢が広がります。

値段の目安・辛さ・食べる季節――知っておきたい3つ

まず値段について。ペクスクは大きめの鶏を使い、煮込みにも時間がかかることから、サムゲタンより高めになりやすい傾向がある、という解説が複数見られました。ただし具体的な金額は店舗や仕入れ状況で大きく変わるため、この記事では断定的な数字は書きません。訪問前に店の公式メニューで最新の価格を確認するのが確実です。

次に辛さについて。ペクスクは塩、またはごま油入りの塩だれで食べるのが基本で、唐辛子系の調味料はほぼ使いません。韓国料理というと辛いイメージを持つ人もいると思いますが、ペクスクに関してはむしろ正反対。辛いものが苦手な人や、小さな子ども連れの家族にも選びやすい料理だと言えそうです。

最後に季節について。国家遺産庁のコラムによると、朝鮮時代には伏日(복날)に鶏のペクスクを食べる習慣があったとされています。伏日は夏の暑い時期にあたるため、ペクスクは夏に食べる料理というイメージを持つ人もいるかもしれません。ただし現在は通年メニューとして出している店が多く見られ、季節を問わず食べられる料理になっている、というのが実情に近いようです。

体感で言うと、寒い時期に温かい鍋を1つ囲む満足感は、シートマスクを3枚使ったあとのようなじんわりした満足感に近いかもしれません。夏だけの料理と決めつけず、旅行のタイミングに合わせて気軽に選択肢へ入れてよさそうです。

ポイント 傾向
値段 サムゲタンより高めになりやすい(店により幅あり)
辛さ 基本は塩味。唐辛子系の調味料はほぼ使わない
季節 伏日に食べる習慣が起源。現在は通年提供する店が多い

辛いものが苦手な人向けの韓国料理は、ペクスク以外にもいろいろあります。辛くない韓国料理をまとめた記事 もあわせて見ておくと、旅程の選択肢がぐっと広がるはずです。

よくある質問

ペクスクとサムゲタン、結局どちらを選べばいいですか?
1人でさっと食べたいならサムゲタン、複数人でシェアしながらゆっくり食べたいならペクスクが向いています。高麗人参の香りが好きかどうかも選ぶ基準になります。
子どもと一緒でも食べられますか?
味付けが基本的に塩のみで辛味の調味料をほぼ使わないため、辛いものが苦手な子どもでも食べやすい料理とされています。骨があるので取り分ける際は注意してください。
タッカンマリと同じ店で両方頼めますか?
店によります。鶏を丸ごと煮る専門店と、ぶつ切りで煮るタッカンマリ専門店は別ジャンルとして営業していることが多いため、メニュー表で確認してから入店すると安心です。
ベジタリアンやハラール対応はありますか?
鶏を丸ごと使う料理のため、ベジタリアン対応は基本的に難しいと考えられます。ハラール対応の有無は店ごとに異なるため、事前に店へ直接問い合わせることをおすすめします。
持ち帰りはできますか?
スープごと持ち帰るのは容器の関係で対応していない店もあります。対応の有無や容器の持ち込みが可能かどうかは、来店前に店へ確認しておくと確実です。

まとめ

ペクスクは、サムゲタンより先にあった「味付けなしで鶏を丸ごと煮る」料理。高麗人参を入れるかどうか、鶏の大きさ、そして何人でシェアするかを軸に整理すると、サムゲタンやタッカンマリとの違いがすっきり見えてきます。

  • ペクスクは味付けほぼなし・大きめの鶏・複数人向け
  • サムゲタンは高麗人参入り・若鶏・1人1羽が基本
  • タッカンマリは鶏をぶつ切りにして野菜と煮る鍋料理
  • 何人前から頼めるかは店ごとに違うため事前確認が安心
  • 辛味の調味料をほぼ使わないので子どもや辛いもの苦手な人にも向く

訪れるお店を決めたら、まずは公式サイトや電話で営業状況と何人前から注文できるかを確認するところから始めてみてください。

参考・出典

  • 韓国・国家遺産庁 公式コラム「복날과 삼계탕」(2026年9月8日確認)
  • 韓国語グルメ情報サイト各種(다이닝코드・식신ほか、エリア傾向の参考として使用・2026年9月8日確認)
  • 韓国語レシピサイト各種(食べ進め方・人数目安の参考として使用・2026年9月8日確認)
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