韓国旅行の計画を立てていて「そろそろカニの季節?」と検索したら、いきなり「禁漁期」の文字が出てきてびっくりした人、いませんか。テゲ(대게)・ホンゲ(홍게)・キングクラブ(킹크랩)と名前が似ていて、どれがいつ獲れるものなのか、韓国語の情報を読んでも正直混乱しがちです。この記事では、まず「今この時期に食べられるのか」を先に答えたうえで、旬と禁漁期、盈徳(ヨンドク)・蔚珍(ウルジン)・束草(ソクチョ)といった産地の違い、ソウルで食べるなら鷺梁津(ノリャンジン)水産市場をどう使うか、という順番で整理します。
2026年9月14日時点では、テゲ(대게)は禁漁期にあたります。韓国海洋水産部の発表によると、オスのテゲは6月1日から11月30日までの6か月間が捕獲禁止で、メスは通年で捕獲が禁止されています。つまり9月は解禁までまだ間がある時期です。ただし、これは「獲ること」を規制する制度であって、冷凍在庫やホンゲ、輸入もののキングクラブの提供まで一律に禁じているわけではないと考えられます。今すぐ食べたいなら、テゲ以外の選択肢を視野に入れるか、解禁後の12月以降に旅程を合わせるか、どちらかの判断が必要になります。
結論から――テゲはいま(9月)食べられるか
先に触れたとおり、韓国海洋水産部の発表(大韓民国政策ブリーフィングに転載されたもの)では、オスのテゲは6月1日から11月30日まで、メスは通年で捕獲が禁止されています。海洋水産部の資料には、2026年についても同じ枠組みの基準を案内する文書が存在することを確認できました。制度の骨格自体は毎年変わるものではなく、産卵期の資源保護を目的に長く続いている規制です。違反した場合、漁業者は2千万ウォン以下の罰金または2年以下の懲役、釣り人など非漁業者でも80万ウォンの過怠料の対象になると案内されています。
ここで大事なのは、禁漁期が禁じているのはあくまで「獲る行為」だという点です。飲食店や市場に並ぶテゲが、解禁期間中に獲って冷凍・保存されていた在庫なのか、それとも別の種類のカニなのかは、今回の調査だけでは店ごとに判別できませんでした。9月に「テゲあります」と看板を出す店を見かけたら、冷凍在庫なのか、実はホンゲなのかを一言尋ねてみるのが確実です。旅の予定が動かせるなら、解禁直後の12月から旬の最盛期とされる1〜2月ごろに合わせるのが、いちばん揉め事のない選び方と言えます。
テゲ(대게)とは?ズワイガニの正体と特徴
テゲは韓国語で대게と書き、日本語のズワイガニにあたるカニです。体の表面は比較的なめらかで、脚は10本。脚をぴんと広げると全長でおよそ50センチほどになると紹介されています。手のひらに乗せるというより、ノートパソコン1台分くらいの広がりをイメージすると近いかもしれません。殻は薄めで、手で割れる程度のかたさとされ、身をほじる作業自体はそれほど力がいらないと言われています。
韓国語の표기そのままだと日本語話者には読みにくいので、この記事では「テゲ」というカタカナ表記で統一します。漢字の「大蟹」に由来する呼び名だとする説明もありますが、生物としての正式な分類名までは今回のリサーチでは踏み込みません。見た目でテゲを覚えるなら、「脚が長くて細め」「殻の色は黄褐色からオレンジがかった色」というあたりが目印になります。次の見出しで、よく混同されるホンゲ・キングクラブとの違いを整理します。
テゲ・ホンゲ・キングクラブは何が違う?見分け方
まずキングクラブ(킹크랩)から。体は五角形に近く、表面には短くとがった突起状のトゲがあります。殻はテゲよりかなり厚くて硬く、素手で割るのは難しいため、専用のはさみが必須と紹介されています。脚は8本で、広げると最大で2メートルにもなるとされ、布団1枚分に近いスケール感です。生息域は北太平洋や北大西洋の冷たい海とされており、テゲが韓国・日本・中国など東アジア沿岸に生息するのとは分布そのものが異なります。この生息域の違いから考えると、韓国国内で流通しているキングクラブの多くは、韓国近海のものではなく他の海域から運ばれてきたものである可能性が高いと言えそうです。ただし具体的な輸入比率までは今回確認できていません。
ホンゲ(홍게)は、テゲよりも鮮やかな赤色をしているのが見た目の一番の違いです。産直業者の紹介では、テゲより価格が手ごろで、うま味はむしろ濃いと説明されています。テゲと近い仲間のカニですが、海洋水産部は、ホンゲとも呼ばれる붉은대게について、雌は大きさを問わず通年、雄は原則として7月10日から8月25日までを禁漁期と案内しています。ただし、江原道の沿岸刺し網漁は6月1日から7月10日までで、2026年には総許容漁獲量制度に参加する沖合かご漁業者を対象とする別途適用も公告されているため、漁法や参加制度によって扱いが異なります(2026年9月14日確認)。気になる人は、注文する前に店の人に「これはテゲですか、ホンゲですか」と一言確認してみるのがいちばん早い方法です。茹でたりゆがいたりせず、生のまま醤油だれに漬けて食べる간장게장(カンジャンケジャン)という食べ方に興味がある人は、カンジャンケジャンの専門店を扱った記事も参考になります。
禁漁期はいつ?海洋水産部の規定を確認する
あらためて整理すると、テゲの禁漁期はオスが6月1日から11月30日まで、メスは通年です。この規定は韓国の水産資源管理に関する法令にもとづくもので、海洋水産部が繰り返し案内している内容です。産卵から成体になるまでに時間がかかる生き物ほど、資源保護のための規制が長くなる傾向があり、テゲについても資源保護を目的とした期間として案内されています。
法令ではこのほかに、獲ってよいサイズの下限(いわゆるサイズ制限)も別途定められているとされていますが、今回のリサーチでは具体的なセンチ数を一次情報のページから確認することができませんでした。この記事ではその数値には触れず、気になる人は韓国海洋水産部や国家法令情報センターの最新の告示を確認することをおすすめします。禁漁期に違反した場合の罰則は、漁業者であれば2千万ウォン以下の罰金または2年以下の懲役、釣り人など非漁業者でも80万ウォンの過怠料が科されると案内されています。旅行者が直接この規制の対象になる場面は多くないと思われますが、市場や食堂で見かけるテゲが、この規制のもとで扱われているものだと知っておくと、値段や在庫の説明にも納得しやすくなるはずです。
禁漁期の期間や罰則は法令にもとづくものなので、この記事の数字は目安として捉え、正確な最新情報は韓国海洋水産部や国家法令情報センターの公式発表で確認してください。
旬はいつ?禁漁明けから最盛期まで
テゲの旬は、禁漁が明ける12月から翌年の5月ごろまでとされ、なかでも1月から2月が最盛期にあたると産直業者のサイトでは紹介されています。ちょうど禁漁明けの解禁直後にあたる時期で、身入りが良くなってくるタイミングと重なるという説明です。渡韓のタイミングをテゲに合わせたいなら、年末年始から2月ごろまでの旅程が、いちばん本命の時期に近いと言えそうです。
逆に言えば、9月から11月にかけては、法令上まだ禁漁期のただ中です。この時期に韓国を訪れる予定がある人は、テゲそのものにこだわるより、先ほど紹介したホンゲや、輸入ものが中心とみられるキングクラブといった選択肢で満足できるお店を探すほうが、現実的な過ごし方になるはずです。もちろん、冷凍在庫として提供しているテゲ専門店がある可能性はありますが、その在庫がいつ獲られたものかまでは、今回のリサーチでは店ごとの確認はできていません。気になる場合は、注文時に「凍らせていたものか、今の時期に獲れたものか」を尋ねてみてください。秋が旬とされる別の魚介を先に押さえておきたい人は、秋に旬を迎える韓国の魚介についての記事もあわせて参考にしてみてください。
産地はどこ?盈徳(ヨンドク)と蔚珍(ウルジン)
韓国でテゲの二大産地として名前が挙がるのが、慶尚北道の盈徳(영덕)と蔚珍(울진)です。どちらも韓国東海岸に面した地域で、盈徳の江口(강구)港と蔚珍の竹辺(죽변)港は、数百年にわたる操業の歴史を持つ最大級の産地と紹介されています。「蔚珍で獲れたら蔚珍テゲ、盈徳で獲れたら盈徳テゲ」というくらい、地域名がそのままブランド名として使われている点も特徴です。
産直業者の整理によれば、蔚珍は水深が深く冷たい海域が発達しているため身が締まりやすく甘みが強いと紹介され、盈徳は潮の動きが活発で漁場が広いぶんうま味が豊かだと説明されています。とはいえ同じ資料の中でも、産地そのものの違いより「新鮮かどうか」「身がしっかり入っているかどうか」のほうがずっと重要だと注記されています。どちらの産地の名前がついていても、同じ日に水揚げされた個体であれば大きな差はない、と捉えておくのが実感に近そうです。テゲの解禁期に盈徳や蔚珍を訪れる人は、現地で水揚げの様子を見られる可能性もありますが、9月の禁漁期にはその賑わい自体が控えめになっていると考えられます。
ソウルで食べるなら――鷺梁津水産市場の仕組み
盈徳や蔚珍まで足を伸ばせない人にとって、ソウル市内でテゲを扱う代表的な場所が鷺梁津(노량진)水産市場です。所在地はソウル特別市銅雀区(동작구)鷺渡路674で、電話番号は02-2254-8000〜1と公式サイトに案内されています。地下鉄1号線の鷺梁津駅から近い立地で、卸売と小売の両方の機能を持つ市場として知られています。
営業時間は区画によって異なり、公式サイトによると一般の小売区画はおおむね13時30分から22時まで、冷凍品を扱う区画は3時30分から22時までとされ、一部のプレミアム区画は24時間対応と案内されています。競売(卸売)自体は日曜、元日、旧正月の連休(3日間)、秋夕の連休(3日間)が休みですが、小売の販売は年中無休で行われているとされています。市場では魚介類を購入したあと、近くの食堂で調理してもらう利用の仕方が一般的だと広く知られていますが、その際の調理代がいくらかかるかという具体的な金額は、公式サイトからは確認できませんでした。現地で購入する際は、会計の前に調理費用がいくらかかるかをその場で確認しておくと安心です。食堂によっては2人前からの注文が基本になっている場合もあるので、韓国の飲食店に共通するこの慣習については別記事でも整理しています。市場全体の回り方や買い方をより詳しく知りたい人は、鷺梁津水産市場そのものを扱った記事もあわせてどうぞ。
束草(ソクチョ)で食べるという選択肢
東海岸の観光地として知られる束草(속초)も、テゲを扱う市場や食堂があることで知られています。江原道側の産地として名前が挙がることが多いエリアですが、今回のリサーチでは束草の具体的な店舗名や市場の営業時間までは深掘りできていません。束草観光そのものについては、束草の街の歩き方をまとめた別記事があるので、そちらもあわせて参考にしてみてください。
ソウルから束草へ向かうなら、盈徳・蔚珍のある慶尚北道側よりもアクセスがまとまっていると言われることが多いエリアです。テゲの旬にあたる冬場は、雪景色とセットで東海岸のカニを楽しむプランを組む人も多いようです。ただし9月の禁漁期に束草を訪れても、テゲそのものの賑わいは控えめだと考えておいたほうが無難でしょう。その時期に訪れるなら、テゲ以外の海産物やホンゲを目当てにするほうが、当日の満足度は高くなりそうです。
原産地表示は確認できる?食堂での見分け方
韓国では、飲食店が調理して提供する活きた水産物について、原産地表示が義務づけられています。国産と輸入品が同じ種類で混在する場合は、水槽などの保管設備を区画したうえで、札や表示板で国産か輸入かを分かるようにする必要があると、韓国の生活法令情報サイトで案内されています。虚偽表示や混同を招く表示をした場合は処罰の対象になるとされ、所管の窓口は国立水産物品質管理院です。
つまりテゲやキングクラブを食堂で注文するとき、水槽のそばに原産地を示す表示があるかどうかを見れば、それが国産か輸入品かの手がかりになります。禁漁期にあたる9月であればなおさら、テゲと表示された個体が本当に韓国産で今の時期に合法的に流通しているものなのか、ホンゲなのか、確認する意味があります。店員に直接「原産地はどこですか」と尋ねるのも有効ですし、看板や水槽の表示を写真に撮っておけば、あとで確認したいときにも役立ちます。

色や味だけでなく、禁漁期の有無という制度面の違いも意識しておくと、9月のような時期に「なぜこの店にはカニがあるのか」を自分なりに判断できるようになります。次の見出しでは、記事全体のよくある質問をまとめます。
よくある質問
まとめ――今食べるならどうするか
2026年9月時点では、テゲはオスもメスも法令上の禁漁期にあたり、新しく獲られた個体が出回っている可能性は低いと考えられます。旬とされるのは禁漁が明ける12月から翌年5月ごろ、なかでも1〜2月が最盛期です。渡韓のタイミングをテゲに合わせたいなら、年末以降の旅程を検討するのが確実です。一方で、9月に渡韓する予定が決まっている人は、ホンゲや輸入もののキングクラブといった選択肢、あるいは冷凍在庫を扱う店を探すという方向で計画を立てるのが現実的です。
- テゲの禁漁期はオスが6月1日〜11月30日、メスは通年。9月は禁漁期のただ中
- 旬は12月〜5月、最盛期は1〜2月ごろとされる
- テゲ・ホンゲ・キングクラブは見た目も生息域も別物。ホンゲの禁漁期は今回確認できず
- 産地は盈徳・蔚珍が代表格だが、産地名より鮮度と身入りのほうが重要という指摘がある
- 飲食店の水槽には原産地表示があるはず。不安なら店員に直接確認する
禁漁期や産地の情報は法令や公式発表にもとづいていますが、細かな運用や店ごとの在庫状況は変わることがあります。この記事の内容はあくまで目安として捉え、渡韓前には韓国海洋水産部や現地の市場・食堂の最新情報を確認してください。
参考・出典
- 大韓民国政策ブリーフィング(海洋水産部報道資料転載)「대게・낙지・꽃게 등 6월부터 금어기 시작」https://m.korea.kr/briefing/pressReleaseView.do?newsId=156572461 (2026年9月14日確認)
- 鷺梁津水産市場公式サイト「시장소개」https://www.susansijang.co.kr/nsis/miw/intro (2026年9月14日確認)
- 찾기쉬운 생활법령정보(法制処運営)「농수산물 및 가공품의 원산지 표시」https://easylaw.go.kr/CSP/CnpClsMain.laf?popMenu=ov&csmSeq=840&ccfNo=2&cciNo=2&cnpClsNo=1 (2026年9月14日確認)
- ズワイガニ産地直送業者のサイト「동해 대게란?」https://www.daege.net/detail1.php (2026年9月14日確認・産直業者の整理につき準公式情報として扱った)

