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「韓国の美容皮膚科って、結局いくらかかるの?」——検索してみると、ブログごとに書いてある金額がバラバラで、どれを信じていいか分からなくなった経験はありませんか。個人の体験談は参考にはなりますが、施術内容や時期が違えば金額も違って当然。もっと足場になる情報はないのか、というのがこの記事の出発点です。
韓国には、医療機関が非給付診療費用(保険適用外の費用)を国に報告し、それが公開される制度があります。運営は健康保険審査評価院(HIRA)と国民健康保険公団(NHIS)の2系統。この記事では、特定のクリニックの価格や施術の効果・安全性には触れず、公的な制度を使った「調べ方」だけを整理します。金額を知りたい場合の目安にはなりますが、施術が自分に合うかどうかの判断は、必ず医師の診察でご確認ください。
この記事は費用の「調べ方」と「制度」に絞ったものです。個々の症状・施術の適否についての判断は医師に、渡航や在留に関わる制度の疑問は在韓日本国大使館・領事館などの公的機関にゆだねてください。また、外国人観光客向けの美容医療VAT(付加価値税)還付特例は2025年12月31日で終了しており、2026年8月20日時点で再導入はされていません(審議中の法案はあります)。詳しくは本文の該当見出しで説明します。
費用は「相場」で調べても当たらない。公開されている値を見にいく
「韓国 美容皮膚科 費用 相場」で検索すると、記事ごとに書かれている金額の幅が大きいことに気づきます。施術の種類、部位、麻酔の有無、クリニックの立地やブランド力によって金額は変わるため、単一の「相場」を提示すること自体に無理があるというのが実情です。加えて、日本語で書かれた記事の多くは、特定のクリニックが公開している価格や、体験者の申告にもとづく金額をつなぎ合わせたもので、いつ時点の情報かも分かりにくいものが少なくありません。
そこでこの記事では、「誰かが体験した金額」ではなく、韓国政府が制度として公開している値にアクセスする方法を紹介します。個別のクリニックを推薦したり、価格表を作ったりすることはしません。金額の目安を得るための「調べ方」を知っておけば、どのクリニックに相談する場合でも、自分で確認できる材料が増えます。
韓国には非給付診療費用の公開制度がある
韓国の医療法第45条には、医療機関の開設者は비급여(非給付)診療費用を患者が容易に分かるよう告知しなければならず、告知した金額を超えて徴収してはならない、という原則が定められています。これに加えて、医療法第45条の2にもとづく保健福祉部告示「非給付診療費用等の報告及び公開に関する基準」があり、医療機関は非給付項目・単価・件数などを定期的に報告する義務を負い、その結果が公開される仕組みになっています。
この告示は毎年改正される運用で、直近では保健福祉部告示第2026-38号が確認できました。公開対象の項目数については、報道によって693・753・1,017・1,068・1,251など、数字がまちまちに紹介されているのが実情です。これは告示の別表が年ごとに見直されているためで、「今年は何項目」と一つの数字で断定するより、「毎年、対象項目が見直される公開制度がある」と理解しておくほうが実態に近いといえます。個別クリニックが自院サイトで公開している非給付価格表の例では、ボトックス注射やフィラー、レーザートーニングといった美容皮膚科の代表的な施術も対象に含まれているケースが見られました。
どこで、どうやって見るのか
非給付診療費用を確認できる窓口は、大きく2つあります。ひとつは、健康保険審査評価院(HIRA)が法定制度として運営する「비급여진료비정보」(https://www.hira.or.kr/npay/index.do)。病院名や地域、項目ごとに検索できる、いわば制度の本体にあたるシステムです。もうひとつは、国民健康保険公団(NHIS)が2024年以降、消費者向けに独自に改編・運営している「비급여 정보 포털」(https://www.nhis.or.kr/nbinfo/index.do)で、実損保険の請求を簡素化することと、国民の「知る権利」を保障することを目的にしています。
どちらか一方だけが「唯一の公式窓口」というわけではなく、法定の公開はHIRAが担い、NHISはそれとは別に消費者向けのポータルを運営している、という2階建ての構造だと理解しておくと迷いません。注意点として、HIRAサイトの一部機能は会員ログインや本人認証(簡便認証・公動認証書・モバイル認証など)を必要とする設計になっています。また、非給付費用情報そのものが英語などの外国語に対応しているかどうかは、今回の調査でも確認できませんでした。韓国語での閲覧が基本になる、と見込んでおくのが安全です。
施術メニューの名称は、商標名と一般名が混在していて分かりにくいことがよくあります。この点は韓国の皮膚科メニューはどう読む?で整理しているので、検索の前に目を通しておくと、公開制度で探す際の項目名を見つけやすくなるはずです。

外国人患者に関する制度
「外国人を積極的に受け入れているクリニック」と聞くと、何か特別な登録が必要なように思えるかもしれません。実際、韓国には「医療海外進出及び外国人患者誘致支援に関する法律」があり、外国人患者を積極的に勧誘・仲介しようとする医療機関は、都道(市・道)への登録が必要です。登録には診療科目ごとに専門医1名以上の配置や、医療事故賠償責任保険への加入などの要件があり、有効期間は登録日から3年、更新制になっています。
ここで誤解しやすいのが、「登録がなければ外国人は受診できない」という理解です。登録が必要なのは、あくまで積極的な誘致行為を行う場合であり、すでに韓国に在留している外国人を診療する行為や、来院した旅行者を診療すること自体には登録は不要とされています。未登録のまま誘致行為を行った場合は、1年以下の懲役または1千万ウォン以下の罰金といった刑事罰の対象になり得ますが、これは「誘致する側」への規制であって、受診そのものを制限する制度ではありません。
費用の面でもうひとつ知っておきたいのが、誘致機関・仲介業者が受け取れる「仲介手数料」の上限規制です。保健福祉部長官が告示する手数料率を超えて要求することはできず、上限は医院で30%、病院・総合病院で20%、上級総合病院で15%とされています。これは診療費そのものの上限ではなく、あくまで仲介手数料の上限である点に注意が必要です。「登録あっせん業者を通せば費用が上乗せされない」という保証ではなく、診療費自体は医療法第45条にもとづき、医療機関が事前に告知した金額を超えて徴収してはならないという一般原則が、国籍を問わず適用される、という整理になります。登録医療機関の具体的な調べ方や、渡航前後の段取りについては韓国の美容クリニックと日本人|登録医療機関の調べ方で詳しく扱っています。
付加価値税の還付は、2025年12月31日で終了している
外国人観光客の美容整形・皮膚美容施術に対するVAT(付加価値税)還付特例は、2016年4月に導入されて以来、6回にわたって延長されてきた時限措置でした。しかし企画財政部は2025年7月31日、税制発展審議委員会で「2025年12月31日をもって適用期限を終了する」と決定しました。理由として挙げられたのは、還付規模が3〜4年で4倍に急増したことと、「医療観光活性化という制度目的はすでに達成された」という判断です。
この方針どおり、2025年12月2日の国会本会議で可決された税法改正案13件から、この還付特例の延長案は除外されました。これにより、2025年12月31日をもって特例は予定どおり終了し、2026年1月1日以降、還付制度が存在しない状態が確定しています。
他の記事やSNSの情報で「還付が受けられる」という案内を見かけても、2026年8月20日時点ではこの記事の内容が優先します。ただし動きが止まっているわけではありません。2026年に入り、韓国国会では複数の議員が還付特例の「再導入」法案を提出しています。ある議員案は2029年12月31日までの再適用、別の議員案は2027年12月31日までの延長を求める内容で、後者は2026年7月29日に国会企画財政委員会の小委員会に付託されました。2026年8月20日時点ではいずれも未成立・審議中であり、還付は再開されていません。最新の状況は、企画財政部・国税庁の発表で確認することをおすすめします。
この特例が終了した経緯や再導入法案の動きから分かるのは、税制や還付の仕組みは短期間で変わり得るということです。「日本より安いかどうか」を還付の有無だけで判断するのは早計で、比較する場合は公的機関が公開する最新情報にもとづいて、自分で確認する姿勢が欠かせません。
見積もりでつまずくところ
非給付診療費用の公開制度で目安を確認できたとしても、実際の見積もりの場面でつまずきやすいポイントがいくつかあります。ひとつは、施術メニューの名称がクリニックごとに微妙に違うこと。同じ処置でも呼び方が異なると、公開情報の項目と照合しづらくなります。もうひとつは、麻酔の種類や範囲、術後の通院・アフターケアが見積もりに含まれているかどうかが、案内文だけでは分かりにくい場合があることです。
SNS相談窓口(カカオトークやLINE)で問い合わせる場合は、希望する施術内容や来院希望日などをまとめて送るのが一般的な流れですが、この段階で提示される金額は「概算」であることが多く、実際のカウンセリングで内容が変わることもあります。견적서(見積書)という言葉を覚えておくと、書面での見積もりを依頼する際に役立ちます。予約の経路や、SNS相談で必要になる項目の具体例については韓国の美容クリニック予約はどう取る?経路と通訳の確認方法で整理しています。
体感でいうと、非給付費用の検索フォームに必要事項を入力する作業自体は、コーヒーを1杯飲みながら終えられるボリューム感です。一方で、見積もりの内容を項目ごとに照合し、麻酔や通院回数まで含めた総額を書面で確認する作業は、推しのグッズをまとめて注文するときのように、一度に慌てて進めず、落ち着いて一つずつチェックするくらいの手間をかけたほうが、あとから「聞いていなかった」を減らせます。
費用でトラブルになったときの公的な窓口
費用に関して困ったときの窓口は、目的によって分かれています。ひとつにまとめて考えると、かえって遠回りになることがあるので、ここで整理しておきます。
| 困りごと | 窓口 |
|---|---|
| 非給付診療費が適正だったか確認したい(過大請求の疑い) | 健康保険審査評価院(HIRA)「診療費確認サービス」 |
| 医療事故・医療過失に関するトラブル | 韓国医療紛争調停仲裁院(外国人向け18言語通訳あり/1670-2545) |
| 消費者トラブル全般(医療分野を含む) | 1372消費者相談センター(韓国消費者院運営) |
| 旅行中の急なトラブル全般 | 1330観光通訳案内電話(24時間365日・海外から+82-2-1330) |
HIRAの「診療費確認サービス」は、支払った非給付診療費が適正だったかを確認する権利救済制度で、領収書を添えて申請すると、病院への照会・審査を経て結果が通知される流れです。一方、韓国医療紛争調停仲裁院は保健福祉部所管の公的機関で、費用そのものより医療事故・医療過失に起因する紛争を主に扱っています。単純な費用の疑問なのか、事故や過失に関わる話なのかで、最初に相談する窓口が変わる、という点は覚えておくと迷いません。旅行全体のトラブル対応については韓国旅行のトラブル対処と窓口一覧にもまとめているので、あわせて確認してください。想定外の出費に備える意味では、韓国旅行の海外旅行保険の加入状況も、渡航前に見直しておく価値があります。
よくある質問
渡航の段取りを決めておく
費用の調べ方と制度の輪郭が見えてきたら、次に決めるのは渡航のスケジュールです。通院が1回で終わらない施術を検討している場合は、クリニックのエリアからの移動時間も含めて宿を選んでおくと、当日の負担を減らしやすくなります。
ソウルの宿を場所から探す通院が続く場合は移動時間で選ぶと楽です
費用の支払い方法も、渡航前に決めておきたいポイントのひとつです。現地では現金とクレジットカードのどちらを使うか、両替はどこで行うのが有利かによって、手元に残る金額の感覚も変わってきます。両替のタイミングや場所については両替はどこが得か、クレジットカードが使える場面の見極めについては韓国でクレジットカードはどこまで使えるかで整理しているので、支払い方法を決める前に目を通しておくと安心です。急な体調不良で通常の病院にかかる可能性も考えて、韓国の病院のかかり方と治療費も合わせて確認しておくと、渡航全体の見通しが立てやすくなります。
まとめ
- 韓国の美容医療の費用は「相場」で調べるより、非給付診療費用の公開制度(HIRA・NHIS)で目安を確認するほうが根拠が明確
- 非給付診療費用の公開は医療法第45条の2にもとづく保健福祉部告示が根拠。対象項目は毎年見直される運用
- 外国人患者誘致の登録が必要なのは積極的な誘致行為を行う医療機関のみ。受診自体に登録は不要
- 誘致機関・仲介業者の手数料には上限規制があるが、これは診療費本体の上限ではない
- 外国人向けVAT還付特例は2025年12月31日で終了。再導入法案は審議中だが2026年8月20日時点では未成立
- 費用のトラブルは目的によって窓口が分かれる(過大請求はHIRA、医療事故は医療紛争調停仲裁院、消費者トラブル全般は1372、旅行中の急な相談は1330)
- 施術の効果・安全性や特定クリニックの推薦は、この記事では扱わない。金額と施術の最終判断は医師と公的機関に委ねる
登録医療機関の調べ方や渡航前後の段取りをもう少し詳しく知りたい人は韓国の美容クリニックと日本人|登録医療機関の調べ方、予約の取り方が気になる人は韓国の美容クリニック予約はどう取る?経路と通訳の確認方法もあわせてどうぞ。金額そのものは医療機関ごとに異なり、時期によっても変わります。最終的な判断は、公的な情報にもとづいて、医師や医療機関に直接確認したうえで進めてください。
参考・出典
- 保健福祉部 非給付診療費用等の報告及び公開に関する基準(告示改正案内)https://www.mohw.go.kr/board.es?mid=a10409020000&bid=0026&list_no=1484984&act=view (2026年8月20日確認)
- 健康保険審査評価院(HIRA)非給付診療費情報 https://www.hira.or.kr/npay/index.do (2026年8月20日確認)
- 国民健康保険公団(NHIS)비급여 정보 포털 https://www.nhis.or.kr/nbinfo/index.do (2026年8月20日確認)
- 医療法第45条(非給付費用の告知義務)https://casenote.kr/법령/의료법/제45조 (2026年8月20日確認)
- 仁川広域市 外国人患者誘致登録制度案内 https://www.incheon.go.kr/health/HE010402 (2026年8月20日確認)
- 誘致手数料上限に関する報道(monews)https://www.monews.co.kr/news/articleView.html?idxno=97781 (2026年8月20日確認)
- 企画財政部のVAT還付特例終了決定を報じたニュース(뉴시스)https://www.newsis.com/view/NISX20250731_0003273026 (2026年8月20日確認)
- 国会本会議での延長案除外を報じたニュース(nate)https://news.nate.com/view/20251204n27886 (2026年8月20日確認)
- 還付特例再導入法案の国会付託を報じたニュース(韓国経済)https://www.hankyung.com/article/2026073169026 (2026年8月20日確認)
- 韓国医療紛争調停仲裁院 公式サイト https://www.k-medi.or.kr/web/lay1/S1T8C17/contents.do (2026年8月20日確認)
- HIRA診療費確認サービス案内 https://www.hira.or.kr/rb/npay/index.do?pgmid=HIRAA070003000001 (2026年8月20日確認)
- 1372消費者相談センター(韓国消費者院)https://www.kca.go.kr/odr/pg/ma/cnsutInfo1.do (2026年8月20日確認)

