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日本ではSuicaをiPhoneに入れて、改札にタップするだけで電車もバスも乗れますよね。その感覚のまま韓国に行って、「じゃあT-moneyも同じようにiPhoneに入れよう」と思う人、けっこう多いはずです。結論から言うと、これは去年までは「ほぼ無理」でした。ただし2026年に入ってから状況が動いていて、今は条件つきで「できる」と言えるところまで来ています。ここが今回いちばん伝えたいポイントです。
日本で買ったiPhoneのまま韓国の交通系ICカードを使うには、Mastercardのデビットまたはクレジットカードを持っているかどうかが最初の分かれ道になります。Mastercardを持っているなら、公式に提供が始まった「MobileTmoney」アプリ経由でApple Walletに残高をチャージし、iPhone・Apple Watchをタップして地下鉄・バス・タクシーに乗れる状態です(2026年8月21日時点)。持っていない場合、現状は確認できる公式な経路が無く、実物のT-moneyカードやWOWPASSに頼るほうが確実です。
日本のiPhoneのままソウルの地下鉄に乗れるのか
まず前提を整理しておきます。iPhoneのApple Walletに韓国の交通系カード「T-money(티머니)」が追加できるようになったのは、2025年7月21日のことです。티머니(ティモニ=T-money)は韓国でいちばん広く使われている交通系ICカードで、地下鉄・バス・タクシーだけでなくコンビニでも使えます。対応機種はiPhone XS以降でiOS 17.2以降、Apple WatchならSeries 6以降でwatchOS 10.2以降が必要です。
「じゃあSuicaと同じようにApple Walletに追加すればいいのでは」と思うところですが、ここに落とし穴があります。韓国の人がApple Walletで普通にT-moneyカードを作るとき、カードの新規作成と最初のチャージには韓国国内で発行されたクレジットカードかデビットカードが必要、というのがApple公式サポートページの案内です。つまり日本のクレジットカードしか持っていない人は、この通常ルートの入口で止まってしまう、という状態がしばらく続いていました。
Apple WalletにT-moneyを追加しようとすると何が起きるか
実際に試すとどうなるか、公式の案内をもとに流れを説明します。Apple Walletの右上の「+」から「交通カード」を選び、T-moneyを選択すると、カードの新規発行と同時に最初のチャージを求められます。ここで登録できるクレジットカードが、韓国発行のものに限られている、というのがつまずきポイントです。日本のクレジットカードを登録しようとしても弾かれてしまい、その先に進めません。
これは意地悪な制限というより、韓国国内のカード決済インフラの都合が大きいようです。ソウル市とT-money側は、海外発行カードでもApple Walletの交通カードに直接チャージできる仕組みを目指していたものの、Appleとの協議が難航して当初の計画通りには実現しなかった、という報道が2026年3月にありました。つまり「いずれ日本のカードでも普通にできるようになる」という話ではなく、現時点では別の経路を使う必要がある、というのが正確な理解になります。
Apple Walletの通常の「交通カードを追加」フローで韓国発行カードを求められた場合、そこで日本のカードを何度試しても通らない可能性が高いです。無理に進めようとせず、次に紹介するMobileTmoneyアプリ経由の方法を試すか、実物のカードに切り替えるほうが早いはずです。
交通カードの前に、スマホの回線だけ先に決めておく
ここまで読んで分かるとおり、iPhoneだけで交通カードが完結するかどうかは、正直まだ人によって条件が分かれる状態です。となると、地下鉄の乗り換えも、バスの現在地確認も、結局はスマホの地図アプリやナビアプリに頼ることになります。환승(ファンスン=乗り換え)のルートをその場で調べ直す場面は思ったより多く、通信が途切れるとこれが地味にストレスになります。
交通カードをスマホに入れられなくても、地図と乗換案内はスマホ頼りになるので、回線だけは先に決めておくと現地で困りません。KKdayの韓国eSIMなら、出発前にオンラインで申し込んでおいて、現地に着いたらすぐデータ通信を使い始められます。
韓国eSIMを出発前に用意する500MB〜50GBまでプランを選べます
回線まわりの準備は、交通カードの話とは別に済ませておきたい項目です。スマホ設定全体を出発前にチェックしたい人は韓国旅行のスマホ設定は出発前にでまとめてチェックリスト化しているので、あわせて見ておくと当日バタつきません。
Mastercardがあれば使える経路がある
ここからが今回の記事でいちばん大事な部分です。2026年3月18日から、MobileTmoneyアプリ自体で海外発行カードによるチャージができるようになりました。対応しているのはMastercard・American Express・UnionPayで、韓国の本人確認や現地ログインが無くても使える「外国人向け」の導線が用意されているようです。
そして2026年4月には、Mastercardが公式に「韓国を訪れる旅行者向けの交通系タップ決済」を発表しました。手順はシンプルで、iPhone側はApple App StoreからMobileTmoneyアプリをダウンロードして登録し、Apple Walletに登録済みのMastercardで残高をチャージ、そのままiPhoneやApple Watchを地下鉄・バス・タクシーの端末にタップする、という流れです。Apple Walletの通常フロー(韓国発行カード必須)を経由せず、MobileTmoneyアプリ側から入るのがポイントになります。
Visaや日本発行のカードだけの人はどうなるか
正直に書きます。ここは今回いちばん「未確認」が多いところです。検索できる範囲の情報では、MobileTmoneyアプリの海外カードチャージはMastercard・Amex・UnionPayが対象で、Visaは対応していないという記述が複数見られました。ただし、これがT-money側の公式発表そのものに基づく情報なのか、まとめサイトの独自解釈なのかまでは、公式サイト(t-money.co.kr)に直接アクセスできず裏取りしきれませんでした。
そのため、この記事では「Visaで同じことができる」とは書きません。Visaや日本発行のカードしか持っていない人は、渡航直前にMobileTmoneyアプリの案内画面で対応カードブランドを確認するのが確実です。アプリの案内は変わる可能性があるので、出発前にアプリストアの説明文とアプリ内の表示の両方をチェックしておくと安心です。
「Mastercardなら確実、Visaは分からない」というのが、2026年8月21日時点でこちらが確認できた範囲の正直な情報です。Amexユーザーは対応の可能性がありますが、これも渡航前にアプリ側の最新表示で確認してください。
日本で買ったAndroidなら何が違うのか
比較としてAndroidの場合も見ておきます。韓国のモバイル交通カードは、大きく分けて「USIM方式(SIM SE)」と「HCE方式」の2つの技術で動いています。USIM方式は韓国の通信キャリアが発行するUSIMカードの中に交通カードの情報を書き込む方式で、これは韓国の携帯回線を契約していないと基本的に使えません。日本で買ったAndroidに韓国のSIMを挿していない状態では、この方式は成立しないということです。
もう一方のHCE方式は、アプリ側でカード情報を管理する方式で、eSIMや他社回線でも動く設計になっています。ただしこれも対応機種が限られていて、どの端末でも使えるわけではありません。そしてiPhone同様、外国人旅行者向けには「KOREA TOUR CARD」というAndroid向けアプリがGoogle Playで提供されていて、こちらもMastercardでのチャージに対応しているという案内があります。つまりAndroidだからといって特に有利というわけでもなく、条件はiPhoneとかなり近い、というのが実際のところです。

SuicaやPASMOをそのまま持って行っても使えるか
ここは念のためはっきりさせておきたいところです。Suicaやパスモは日本国内専用の交通系ICカードで、韓国の地下鉄やバスの改札では使えません。同じNFCのタッチ決済に見えても、裏側で動いている決済の仕組みそのものが日本と韓国で別物だからです。교통카드(キョトンカドゥ=交通カード)という単語自体、日本のSuicaと韓国のT-moneyでは指しているシステムがまったく別ということになります。
Apple Walletの中でも、SuicaはSuica、T-moneyはT-moneyとして、それぞれ別の交通カードとして扱われています。「日本のiPhoneに入っているSuicaのタップ感覚のまま、韓国でも同じアイコンで乗れる」といったことは起きません。韓国で乗るためには、T-moneyなり実物のカードなり、韓国側の仕組みを別途用意する必要がある、という点は誤解しやすいので覚えておいてください。
確実に乗りたいなら実物カードという選択肢
ここまで読んで「条件が多くて不安」と感じた人には、実物のカードに頼る選択肢も現実的です。コンビニなどで買える実物のT-moneyカードは、スマホの機種やカードブランドに関係なく使えるので、いちばんトラブルが少ない方法だと言えます。T-moneyカードの買い方やチャージの方法はT-moneyカードの基本ガイドで詳しく紹介しています。
外国人観光客向けに作られた「WOWPASS」というプリペイドカードも選択肢のひとつです。両替機能と交通カード機能がひとつにまとまっていて、現金派の人にも使いやすい設計になっています。WOWPASSとT-moneyのどちらを選ぶか迷っている人はWOWPASSの使い方ガイドを、クレジットカードでの交通機関の支払い自体を検討したい人は韓国でのクレジットカード活用ガイドを見ておくと選びやすくなります。
1回だけ乗るならもっと単純な方法もある
滞在中に地下鉄やバスに乗る回数が少ない人、たとえば空港からホテルまでの1往復程度しか使わない人なら、カードを作ること自体を省略する手もあります。地下鉄の駅には1回分の乗車券を購入できる券売機があり、こちらは保証金つきの使い切りチケットとして案内されています。行き先だけ決まっていれば、交通カードの入手方法を悩む前に移動を終えられるのが利点です。
ただし1回用の乗車券は、乗り換えのたびに買い直す手間がかかったり、バスとの乗り継ぎ割引が使えなかったりと、複数回乗る人には不向きな面もあります。券売機の使い方や保証金の払い戻しについては1回用乗車券の買い方ガイドにまとめているので、滞在中の移動回数と照らし合わせて、交通カードを作るべきか判断する材料にしてください。地下鉄路線全体の把握にはソウルの地下鉄路線ガイドもあわせてどうぞ。
よくある質問
まとめ
- 日本で買ったiPhoneのまま韓国の交通カードを使えるかは「Mastercardを持っているか」で条件が分かれる(2026年8月21日時点)
- Apple Walletの通常の追加フローは韓国発行カードが必須で、日本のカードだけでは進めない
- Mastercardを持っているなら、MobileTmoneyアプリ経由でApple Walletに接続してタップ乗車できる経路がある
- Visaなど他ブランドの対応状況は確認しきれていないため、渡航前にアプリの案内で確認する
- Android版の同等の仕組みは「KOREA TOUR CARD」アプリで、こちらもMastercard対応
- SuicaやPASMOは韓国では使えない。確実に乗りたいなら実物のT-moneyカードやWOWPASSが安全
条件が細かく、正直「絶対こうすればいい」とは言い切れないテーマですが、今の自分が持っているカードブランドを確認するところから始めれば、迷う時間はぐっと減らせるはずです。渡航直前にはMobileTmoneyアプリの表示で最新の対応状況を確認し、不安なら実物カードも選べるように準備しておくと安心です。交通カードのチャージ方法や払い戻しについては交通系ICカードの払い戻しガイドもあわせてチェックしておくと、帰国前まで迷わず動けます。
参考・出典
- Apple公式サポート「Add a transit card to Apple Wallet」(韓国T-moneyのチャージ要件) https://support.apple.com/en-us/105079 (2026年8月21日確認)
- MacRumors「Apple Wallet App Now Supports Tmoney Card in South Korea」(2025年7月21日付) https://www.macrumors.com/2025/07/21/apple-wallet-tmoney-card-south-korea/ (2026年8月21日確認)
- The Paypers「Mastercard enables contactless transit payments for international visitors in South Korea」 https://thepaypers.com/payments/news/mastercard-enables-contactless-transit-payments-for-international-visitors-in-south-korea (2026年8月21日確認)
- ecommercenews.asia「Mastercard brings Apple Wallet transit payments to Korea」 https://ecommercenews.asia/story/mastercard-brings-apple-wallet-transit-payments-to-korea (2026年8月21日確認)
- KORIT「[単独]ソウル市、Apple Payの海外クレカ連動難航…外国人はApple Payの交通利用ができない」(原記事:電子新聞、2026年3月17日付) https://www.korit.jp/news/trend/etnews-tmoney-applepay-iphone-mobility-260317/ (2026年8月21日確認)

