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「韓国は交通費の還付制度があるらしい」と聞いて、旅行の下調べ中に케이패스(Kパス)の名前にたどり着いた人、多いのではないでしょうか。会員登録の画面を開いてみたら「住民登録番号」の欄しかなくて、そこで手が止まった経験がある人もいるはずです。実はそれ、あなたの調べ方が悪いのではなく、制度の設計そのものが理由です。
Kパスは短期旅行者にとって対象外になりやすい制度です。理由は「外国人お断り」という直接の規定ではなく、会員登録に必要な外国人登録番号を、90日以内の短期滞在者はそもそも取得できないためです。短期旅行なら、登録不要でその場で使える気候同行カードとT-moneyの組み合わせが現実的な代わりになります。
結論:旅行者にKパスは使えるのか
先に答えを言ってしまうと、数日〜数週間の観光旅行でKパスを使うのはかなり難しいというのが実情です。Kパスの会員登録は、韓国人なら住民登録番号、外国人なら外国人登録番号のどちらかを入力する仕組みになっています。この外国人登録番号、実は誰にでも発行されるものではありません。
後の章で詳しく触れますが、外国人登録番号がもらえるのは「入国日から90日を超えて韓国に滞在する外国人」だけ、というのが出入国管理法の建てつけです。観光ビザで数日〜2週間ほど滞在する旅行者は、この時点でKパスの入口に立てないことになります。
ただし全員が完全に無関係というわけでもありません。留学やワーキングホリデーで90日を超えて滞在し、外国人登録証を持っている人であれば、条件次第で利用できる可能性が残ります。この違いは記事の後半で整理します。
Kパスはそもそも何の制度か
Kパス(케이패스)は、韓国の国土交通部が主導する「大衆交通費還付支援事業」です。2023年8月29日に発表され、2024年5月から実際の運用が始まりました。仕組みはシンプルで、対象の交通系カードでバスや地下鉄などの公共交通を利用し、月に15回以上乗車すると、翌月に利用額の一部が還付されるというものです。
カード自体は提携するカード会社27社のいずれかで発行してもらい、Kパスのアプリまたは公式サイトに会員登録・カード登録をすることで還付の対象になります。日本の交通系ICカードのポイント還元に近いイメージですが、あくまで「事後に一定割合が戻ってくる」制度であって、乗車のたびに割引が適用されるものではありません。
🚨 制度は変わります。2026年に入ってから還付の仕組みが拡張され、名称の使われ方も揺れています。次の章で触れますが、本文を読んだ後は必ず公式サイトで最新の状態を確認してください。
还付の対象になるには、まず「参加している自治体に住んでいること」が前提でした。導入当初は一部の自治体が対象外でしたが、段階的に参加地域が広がり、2026年2月4日付で全国すべての基礎自治体が対象になっています。旅行者にとっては「地域は関係なくなった」という点だけ覚えておけば十分です。問題は地域ではなく、次章の会員登録の入口にあります。
申込みの条件を公式で読む
会員登録の条件を整理すると、次の4つがそろって初めてスタートラインに立てます。ひとつでも欠けると、そもそもカードを登録できません。
- 満19歳以上であること
- 本人名義の韓国国内の携帯電話番号を持っていること
- 参加している地域(現在は全国)に住んでいること
- 住民登録番号、または外国人登録番号のどちらかで本人確認できること
ここで旅行者が引っかかるのは、3つ目の「住んでいること」と4つ目の「登録番号」の両方です。Kパスは短期滞在の観光客を想定した設計になっておらず、還付の計算も「月15回以上、継続的に公共交通を使う生活者」を前提にしています。数日の旅行日程で15回の乗車条件を満たすこと自体も、正直なところ現実的ではありません。
2026年からは、従来の「利用額の一定割合を還付する定率型」に加えて、「月の基準額を超えた分を100%還付する定額型」も選べるようになり、毎月どちらか有利なほうが自動で適用される仕組みに変わりました。呼び名として「모두의카드(モドゥイカード、直訳すると“みんなのカード”)」という言葉も使われ始めています。制度が拡張された分、条件の細部は今後も変わる可能性が高いので、最新の還付率や基準額は公式サイトで確認するのが安全です。
外国人が引っかかるのはどこか
外国人にとっての壁は、実はKパスの規約そのものではなく、その手前にある出入国管理のルールです。外国人登録番号(외국인등록번호)は、出入国管理法第31条にもとづいて、入国日から90日を超えて韓国に滞在する外国人が、入国後90日以内に滞在地を管轄する出入国・外国人官署で登録した場合にだけ交付されます。
言い換えると、外国人登録証をもらえるのは留学生や駐在員、ワーキングホリデーの参加者など、はじめから90日を超える滞在を予定している人たちです。観光ビザで韓国に入り、1〜2週間で帰国する旅行者は、この登録の対象そのものになりません。だからKパスの会員登録画面を開いても、入力できる番号を持っていない、という状態になります。
もうひとつ見落としがちなのが、還付の計算方法です。定率型・定額型のどちらも「月単位」で集計され、月15回以上の乗車が最低ラインになっています。仮に外国人登録番号を持つ長期滞在者であっても、来韓してすぐの月や、帰国が近い月は乗車回数が足りず還付を受けられないことがあります。旅行日程の短さは、登録の可否だけでなく還付の実利にも直結する、と考えておくとよいでしょう。
還付の仕組みと戻る額
Kパスの還付には、性質の異なる2つの方式が併存しています。ひとつは従来からある定率型で、月の交通費利用額のうち一定割合が翌月に還付される仕組みです。還付率は年齢層や所得区分によって幅があり、一般的な会員より青年層や低所得層のほうが優遇される設計だと案内されています。もうひとつが2026年に加わった定額型で、月の基準額を超えて使った交通費について、超過分の100%が還付されます。
毎月、この2つの方式のうち利用者にとって有利なほうが自動で適用されるという説明がされていますが、基準額そのものは世帯区分(一般・青年や高齢者・2人以上の子がいる世帯・低所得層など)によって細かく分かれており、時限的な引き下げ措置が実施された時期もあります。金額の細部は改定が続いているため、本文では踏み込んだ数字の断定を避けます。還付率・基準額の最新値は、公式サイト(korea-pass.kr)のマイページや案内ページで確認してください。
還付金の反映タイミングにも段階があります。乗車の利用実績自体は営業日ベースで数日〜2週間ほどで確認できるようになりますが、実際の還付金は利用した月の翌月に処理され、カード会社への支給要請を経て入金されるため、手元に届くまでにはさらに日数がかかります。日々の交通費をその場で安くする制度ではなく、「あとから戻ってくる」制度だという前提を持っておくと、旅行の予算感覚とのズレが小さくなります。
気候同行カードとの違い
Kパスと並んでよく比較されるのが、ソウル市が発行する気候同行カード(기후동행카드)です。この2つは似ているようで、性格がまったく異なります。Kパスは「会員登録をして、月ごとに利用額の一部が事後に還付される」制度なのに対し、気候同行カードは「先にお金を払ってチャージし、期間内は乗り放題になる」企画乗車券です。会員登録も国籍による条件もなく、その場でチャージすればすぐに使えます。
ソウル市の公式案内では、外国人観光客やソウル訪問者向けに日数別の短期券が用意されていることが明記されています。1日券5,000ウォン、2日券8,000ウォン、3日券10,000ウォン、5日券15,000ウォン、7日券20,000ウォン(2026年9月9日確認)で、いずれもチャージした日から利用期間がスタートします。ただし따릉이(公共自転車)や漢江バスの利用分は含まれていない点は覚えておきたいところです。
さらに2026年3月17日からは、地下鉄1〜8号線の新型券売機で、海外発行のクレジットカード・デビットカードを使って気候同行カードの購入や短期券のチャージ、単発の乗車券購入までできるようになりました。海外カードでの決済には平均3.7%のサービス利用料がかかりますが、現金やT-moneyの残高がなくても券売機の前でその場で対応できるようになったのは、短期旅行者にとって実用的な変化です(30日券は2026年9月時点でこの対応の対象外)。
短期旅行者が実際に使う手段
短期旅行なら、交通費そのものを切り詰めるより、宿の立地で歩く距離と乗り換えの回数を減らすほうが、体感としては効果が大きいことも少なくありません。移動の手間を減らしたいなら、まず宿泊先の位置から見直してみるのも一つの手です。
そのうえで交通手段を組むなら、現実的な組み合わせは気候同行カードとT-moneyの二本立てです。滞在の大半をソウル市内で過ごすなら気候同行カードの短期券でまとめて乗り放題にし、市外への移動や短時間だけ使いたい場合はT-moneyをチャージして都度払いにする、という使い分けが分かりやすいでしょう。T-moneyはコンビニで購入でき、会員登録も国籍の確認も不要です。
どちらのカードを軸にするか迷う場合は、交通系カードの選び方を比較した記事や、コンビニでの発行・チャージ機の使い方をまとめたWOWPASSとT-moneyの記事もあわせて読んでおくと、現地での迷いが減ります。ソウル以外の都市も回る予定なら、ソウル以外での交通系カード事情も確認しておくと安心です。「Korea Tour Card」という交通と観光施設の割引を兼ねたカードの案内を見かけることもありますが、発行窓口や条件は変わりやすく、この記事の調査時点では公式の詳細を確認しきれませんでした。気になる場合は現地の観光案内所や韓国観光公社の窓口で最新の取り扱いを確認してください。
長期滞在(留学・ワーホリ)なら使えるか
90日を超えて韓国に滞在し、出入国・外国人官署で外国人登録を済ませて外国人登録証を受け取っている人であれば、状況は変わります。外国人登録番号を使ってKパスの会員登録ができる可能性があり、あとは満19歳以上であること、本人名義の韓国国内の携帯電話番号を持っていること、参加地域に住んでいることといった条件を満たせば、登録自体は進められると案内されています。
留学生やワーキングホリデー参加者にとって現実的なハードルになりやすいのは、条件をクリアできるかどうかより「月15回以上の乗車」という還付の最低ラインです。学期の始まりや長期休暇で帰国している月、韓国に到着したばかりで生活リズムが定まっていない月は、この回数に届かないことがあります。登録できることと、実際に還付を受け取れることは、別の話だと考えておくと拍子抜けせずに済みます。
また、2026年の制度拡張で還付方式が定率型・定額型の2本立てになったことで、長期滞在者にとっては還付額が増える可能性がある一方、基準額や還付率の詳細は変更が続いています。留学やワーホリで実際にKパスを使う予定がある人は、来韓後に外国人登録を済ませたタイミングで、公式サイトかカード発行会社の窓口で最新の条件を確認するのがもっとも確実です。
なお、外国人登録証の取得手続きそのものは韓国の出入国管理の話であり、Kパスとは別の窓口・別の手続きになります。滞在ビザの種類や在留期間の見込みによって必要書類が変わるため、この記事では踏み込みません。ビザ関連の手続きは、出入国・外国人政策本部やハイコリア(hikorea.go.kr)など公的な窓口の案内に沿って進めることをおすすめします。
よくある質問
まとめ
Kパス(케이패스)は、韓国の公共交通の利用額を事後に還付してくれる、生活者向けの制度です。「外国人だから使えない」という単純な話ではなく、会員登録に必要な外国人登録番号が、90日を超えて滞在する人にしか交付されないという出入国管理のルールが、短期旅行者にとっての実質的な壁になっています。制度自体は2026年に定額型が加わるなど拡張が続いているので、条件や還付率の細部は今後も変わっていくはずです。
- 短期旅行者は外国人登録番号を持てないため、Kパスの会員登録自体が難しい
- 90日超の長期滞在で外国人登録証があれば、条件次第で利用できる可能性がある
- 短期旅行なら、登録不要でその場で使える気候同行カードとT-moneyの組み合わせが現実的
- 気候同行カードは2026年3月から海外発行カードでの購入・チャージにも対応
- 還付率・基準額など制度の細部は変わりやすいので、利用前に公式サイトで最新確認を
次に韓国へ行く予定が決まっているなら、まず滞在中の交通費の目安をまとめた記事で大まかな予算感をつかみ、そのうえで観光施設の割引がセットになったパスや乗り換え時の割引の仕組みもあわせてチェックしておくと、現地で慌てずに済むはずです。
参考・出典(確認日: 2026年9月9日)
- 法務部 出入国・外国人政策本部「外国人登録証」案内 https://www.immigration.go.kr/bbs/moj/93/559234/artclView.do
- 法制処 生活法令情報ポータル(外国人登録・滞在資格の案内) https://www.easylaw.go.kr/CSP/CnpClsMain.laf?csmSeq=47&ccfNo=2&cciNo=1&cnpClsNo=1
- ソウル市政策アーカイブ「気候同行カード」 https://www.seoul.go.kr/policy/view.do?id=1016
- ソウル市 ニュースページ「気候同行カード」紹介 https://news.seoul.go.kr/traffic/archives/510651
- 京郷新聞(2026年3月16日)気候同行カードの海外カード決済対応記事 https://www.khan.co.kr/article/202603161115001
- Kパス公式サイト(会員登録案内) https://korea-pass.kr/join/join.do


