韓国旅行の荷造りをしていて、「いつも飲んでいる薬、そのままスーツケースに入れて大丈夫かな」「英語の証明書とか要るのかな」と手が止まったことはありませんか。食べ物の持ち込みルールは調べたことがあっても、薬については何を確認すればいいのか分かりにくいテーマです。この記事では、韓国側と日本側、それぞれの公式な案内をもとに、常備薬と処方薬を持ち込むときに知っておきたいポイントを整理しました。
普通の風邪薬や胃腸薬のような市販の常備薬であれば、必要な準備はシンプルです。①薬は元の容器・パッケージのまま持っていく、②処方薬は英文の処方箋か診断書のコピーを一緒に携帯する、③自分の薬が麻薬・向精神薬に該当するかどうかだけは事前に処方元(病院・薬局)と当局に確認しておく、この3つです。韓国のルールは韓国の関税庁(관세청)と食品医薬品安全処(식약처)、そして日本の厚生労働省地方厚生局という複数の窓口にまたがっているため、「なんとなく大丈夫そう」で済ませず、該当しそうな人だけ事前確認の一手間をかけるのがいちばんの近道です(2026年9月7日確認)。
結論から言うと、韓国側のルールは3つの窓口でできている
韓国に薬を持ち込むときにまず知っておきたいのは、ルールが1つの法律だけで完結していないということです。韓国関税庁(관세청)の公式サイトでは、旅行者の携帯品全般について、課税価格の合計が米貨800ドル以下であれば原則として免税になるという一般的な範囲が案内されています。ただし、この一般ページには医薬品だけに絞った個数や品目数の基準は明記されていません(2026年9月7日確認)。この800ドルという免税枠自体の考え方は韓国の関税・免税範囲まとめで詳しく整理しているので、薬以外の持ち物と合わせて確認しておくと安心です。食品の持ち込みについては別のルールが管轄しており、その違いは韓国への食品の持ち込みルールの記事で整理していますが、薬はまったく別の窓口だと考えておくと混乱しにくくなります。
薬に関して実際に強い制約がかかるのは、麻薬・向精神薬に該当する成分を含む医薬品です。関税庁の公式ページには「麻薬成分を含有する医薬品の携帯に関する注意事項」がまとめられており、承認を受けずに持ち込むと処罰の対象になり得ることが明記されています(2026年9月7日確認)。一方で、自家治療目的であれば食品医薬品安全処(식약처)の承認を受けたうえで携帯出入国することが可能な仕組みも用意されています。つまり「一律禁止」ではなく「該当するなら手続きが要る」という構造だと理解しておくのが実態に近いはずです。
市販薬(風邪薬・胃腸薬・鎮痛剤)の扱い
逆に、韓国の薬局で買って日本へ持ち帰る側は別の枠の話になります。よく買われるニキビ用の外用薬3本の成分と、持ち帰りの扱いは韓国の薬局のニキビ薬の記事にあります。
普段から常備している風邪薬・胃腸薬・鎮痛剤のような一般的な市販薬については、麻薬・向精神薬に該当しない限り、旅行に必要な範囲の少量を持参すること自体が大きな問題になるケースは想定しにくいというのが、公式サイトを確認したうえでの整理です。関税庁の携帯品ページが示す免税の考え方も、あくまで「自己使用の範囲」を前提にしたものであり、業務用・転売目的のような大量の持ち込みとは前提が異なります(2026年9月7日確認)。
ただし、韓国税関の一般ページには、医薬品について「品目ごとに何個まで」といった具体的な数量表は見当たりませんでした。数量の目安を公式に明記したページには今回の調査ラウンドでは到達できなかったため、断定的な個数を書くことは避けます。実務的には、①元の容器・パッケージのまま持っていく、②旅行日数分プラス数日の余裕程度にとどめる、③大量の同一薬を持ち込まない、という常識的な範囲で準備しておくのが安全です。数量の基準は年によって変わり得るため、不安な場合は関税庁(customs.go.kr)の窓口や医薬品安全ナラ(nedrug.mfds.go.kr)で最新情報を確認してください。
処方薬はどこまで持っていける?
高血圧・糖尿病・アレルギーなど、麻薬・向精神薬に該当しない一般的な処方薬については、治療目的であることを示す書類を携帯しておくことが実務上の対策として広く案内されています。具体的には、英文の処方箋(Prescription)、または医師による英文の所見書・診断書のコピーを持参し、旅行期間に必要な量に数日分の余裕を足した程度を目安に準備する、という進め方です(2026年9月7日確認)。この方法は韓国入国時の法的な義務として一次情報に明記されているわけではありませんが、空港や現地の薬局で薬について説明を求められた場面を想定すると、備えておいて損はありません。
錠剤・カプセルのような固形の処方薬は、他の容器に移し替えず、薬局で受け取ったときの元のパッケージや薬剤情報が分かるシートのまま持っていくことも大切なポイントです。成分名や用法用量が書かれた状態を保っておけば、万が一質問されたときにもすぐに説明できます。持病があって長期の処方薬を服用している人は、韓国の病院を受診するときのガイドもあわせて確認しておくと、現地で薬が足りなくなったときの動き方がイメージしやすくなります。

証明書・英文処方箋が要るのはどんなとき?
ここがいちばん慎重に扱いたいポイントです。韓国関税庁の公式ページには、麻薬成分を含有する医薬品(睡眠薬や精神安定剤として処方される薬の一部が該当することがあります)について、事前の承認なしに持ち込むと処罰の対象になり得ることが明記されています。自家治療目的であれば、食品医薬品安全処(식약처)の承認を受けたうえで携帯出入国することが可能で、申請は「의약품안전나라(医薬品安全ナラ)」というオンラインの電子民願システムから行う仕組みが用意されています(2026年9月7日確認)。
🚨 大切なのは、記事の中で「この成分は持ち込める・持ち込めない」と断定しないことです。同じ薬でも処方量や剤形によって扱いが変わる可能性があり、判断できるのは処方元の医師・薬剤師と、韓国・日本それぞれの当局だけです。自分の薬が該当するかどうか少しでも気になる場合は、必ず処方してもらった病院・薬局に相談したうえで、韓国側は식약처(食品医薬品安全処)、日本側は出発地を管轄する厚生労働省地方厚生局に確認してください。厚生局側にも役割があり、医療用の麻薬を海外に携帯する場合は、出国時の持ち出しと帰国時の持ち込みのそれぞれについて、事前に地方厚生局麻薬取締部への申請と許可取得が必要だと案内されています。向精神薬についても、1か月分を超える分量や注射剤の場合は、処方せんの写しなど必要書類の携行が求められます(2026年9月7日確認)。
向精神薬・麻薬に該当するかどうかの最終的な判断は、この記事では行いません。持病の薬を服用している人は、渡航前に必ず処方元の医師・薬剤師に相談し、韓国側は식약처・의약품안전나라、日本側は地方厚生局麻薬取締部の公式サイトで最新の手続きを確認してください。
機内持ち込みと預け荷物、どう分ける?
薬をスーツケースに入れる(預け荷物)か、手荷物として機内に持ち込むかは、地味だけれど見落とされがちなポイントです。旅行関連の一般的な案内では、常備薬や毎日飲む処方薬については、預け荷物が遅延したり紛失したりした場合に備えて、機内に手荷物として携帯しておくことがすすめられています。飛行機の到着が遅れても、薬さえ手元にあれば治療が途切れる心配はぐっと減ります。
荷物の重さや個数の一般的なルールについては韓国旅行の荷物ルールまとめにまとめているので、薬以外の持ち物と合わせて確認しておくと出発前の準備がスムーズです。なお、必要な日数分を大きく超える量の薬をまとめて持っていく場合は、機内に入りきらない分だけ預け荷物に回すという判断も選択肢になります。その場合も、元のパッケージのまま入れておくことと、預け荷物だけに全部を入れきってしまわないことの2点は意識しておきたいところです。
液体・シロップ・点眼薬の扱い
錠剤やカプセルとは別に注意したいのが、シロップ剤や点眼薬、注射剤のような液体の薬です。国際線の機内持ち込みでは、液体・ジェル・エアゾール類は100ml以下の容器に入れるという保安検査の基本ルールがあります。医療用に必要と認められる液体の薬については、100mlを超える容器でも持ち込みが認められる場合があるという案内が航空会社側にありますが、その場合は保安検査時に申告が必要になり、英文の処方箋や診断書の提示を求められることもあります(2026年9月7日確認)。
ここで大切なのは、この扱いが搭乗する航空会社や空港の保安検査の運用によって変わり得るということです。この記事で一般的な考え方は整理できても、当日の細かい運用まで断定することはできません。液体の薬を持っていく予定がある人は、搭乗する航空会社の公式サイトで機内持ち込みの液体ルールを出発前に必ず確認してください。液体化粧品など薬以外の液体物との合わせ技になりやすい人は機内持ち込み液体・コスメのルール記事もあわせて見ておくと、パッキングの段取りが立てやすくなります。100mlを超える分の液体薬は、機内で使う分だけを手荷物に残し、残りは預け荷物に入れるという分け方が現実的な落としどころです。
韓国で薬を買うという選択肢
「そもそも持っていかずに、現地の薬局で買えばいいのでは」という考え方もあります。韓国の薬局(약국)では、処方箋がなくても買える鎮痛剤・風邪薬・胃腸薬のような一般用医薬品が一部あることが分かっています。ただし、薬局で処方箋なしに買える薬の具体的な品目リストや割合を示す公的な統計までは、今回の調査では確認しきれませんでした。薬局での買い方や英語が通じるかどうかといった実務的なポイントは韓国の薬局の使い方ガイドに詳しくまとめています。
逆に、韓国で薬を買って日本に持ち帰るケースも考えられます。この場合は日本側の携帯輸入のルールが関わってきます。厚生労働省の案内によると、一般用医薬品(市販薬)は用法用量から見て2か月分以内、処方箋薬・毒薬・劇薬は1か月分以内、向精神薬は1か月分までが携帯輸入の目安とされ、これを超える向精神薬や注射剤は事前に輸入確認書の取得が必要です。麻薬・覚醒剤原料は、医師から処方を受けた本人が携帯して入国する場合を除いて輸入が禁止されています(2026年9月7日確認)。韓国のお土産感覚でまとめ買いした薬を大量に持ち帰るのは、この基準に触れる可能性があるため避けたほうが無難です。
出発前にやっておく3つの準備
ここまでの内容を、出発前にやることベースで整理し直します。まず1つ目は、処方薬を服用している人が最初にやるべき「処方元への相談」です。かかりつけの病院・薬局で、自分が服用している薬について英文の処方箋または英文の所見書(診断書)を発行してもらえるか相談してください。麻薬・向精神薬に該当する可能性がある薬(睡眠薬や精神安定剤の一部など)を服用している人は、この段階で必ず該当の有無まで確認しておくと、後になって慌てずに済みます。
2つ目は、該当する場合の「当局への事前確認・申請」です。韓国側は食品医薬品安全処・의약품안전나라(医薬品安全ナラ)、日本側は出発地を管轄する地方厚生局麻薬取締部が窓口になります。申請から許可が下りるまでには一定の日数がかかることが案内されているため、出発日ぎりぎりに動き出すのではなく、余裕を持ったスケジュールで進めることが欠かせません。3つ目は、「荷物の分け方を決めておく」ことです。機内持ち込みと預け荷物のどちらに何を入れるか、液体薬の容器サイズは大丈夫かを、パッキングの前に一度チェックリストにしておくと当日の忘れ物が減ります。
- 処方元(病院・薬局)に相談し、英文処方箋・英文所見書の発行可否を確認する
- 麻薬・向精神薬に該当する可能性があるかを処方元と当局(韓国は식약처、日本は地方厚生局)に確認する
- 機内持ち込み分と預け荷物分を出発前に振り分けておく
よくある質問
まとめ
- 韓国の医薬品持ち込みルールは、韓国関税庁・食品医薬品安全処、日本の地方厚生局という複数の窓口にまたがる
- 麻薬・向精神薬に該当しない一般的な市販薬・処方薬は、元のパッケージのまま必要な量だけ持参するのが基本
- 麻薬・向精神薬に該当するかどうかは、必ず処方元(病院・薬局)と当局に確認し、この記事では断定しない
- 該当する場合は、韓国側は식약처・의약품안전나라、日本側は地方厚生局麻薬取締部への事前の申請・許可取得が必要になることがある
- 液体の薬は機内持ち込み100mlルールが基本。超える分は保安検査での申告か預け荷物への振り分けを検討する
- 毎日飲む薬は、預け荷物の遅延・紛失に備えて機内に手荷物として携帯しておくと安心
- 韓国で薬を買って日本に持ち帰る場合は、日本側の携帯輸入の分量目安(市販薬2か月分・処方箋薬1か月分など)にも注意する
薬の持ち込みは、食べ物の持ち込みルールと違って情報がまとまりにくいテーマです。今回整理したのは、あくまで公式サイトで確認できた範囲の一般的な考え方であり、最終的な可否は処方元の医師・薬剤師と、韓国・日本それぞれの当局の判断に委ねられます。持病がある人ほど、出発前の一手間を惜しまずに準備しておくと、現地で慌てずに旅を楽しめるはずです。現地で体調を崩したときの受診の流れは、記事の中で紹介した病院・保険まわりのガイドとあわせて、渡航前にひと通り目を通しておくことをおすすめします。
参考・出典
- 관세청(韓国関税庁) 公式サイト 여행자 휴대품 통관 https://customs.go.kr/kcs/cm/cntnts/cntntsView.do?mi=2837&cntntsId=829(2026年9月7日確認)
- 관세청 公式サイト 마약성분 함유 의약품 주의사항 https://www.customs.go.kr/kcs/cm/cntnts/cntntsView.do?mi=13807&cntntsId=7640(2026年9月7日確認)
- 식품의약품안전처(食品医薬品安全処) 공지 자가치료용 마약류 휴대반입 절차 안내 https://www.mfds.go.kr/brd/m_74/view.do?seq=43906(2026年9月7日確認)
- 의약품안전나라 자가치료용 마약류 휴대 반입 민원 신청 https://nedrug.mfds.go.kr/CCAAI01/minwonList(2026年9月7日確認)
- 厚生労働省 医薬品等の個人輸入について https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/kojinyunyu/topics/tp010401-1.html(2026年9月7日確認)
- 厚生労働省 医薬品等の携帯輸入について https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/yakubuturanyou/index_00005.html(2026年9月7日確認)
- 関東信越厚生局 麻薬取締部 よくある質問 https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kantoshinetsu/faq/matori_a.html(2026年9月7日確認)
- ANA公式サイト 液体の持ち込み|国際線 https://www.ana.co.jp/ja/us/travel-information/baggage-information/carrying-on-liquids/(2026年9月7日確認)

