「プルコギ」と聞いて、甘辛い汁だくの鍋を思い浮かべる人と、香ばしい網焼きを想像する人に分かれますよね。実はどちらも正解で、韓国には少なくとも三つの系統のプルコギが存在します。ソウルの下町の食堂で汁ありのプルコギを求めて入った店が、実は炭火焼きの専門店だった——というすれ違いも起こりうる話です。この記事では、ソウル式・彦陽(オニャン)式・光陽(クァンヤン)式という三つの系統の違いを公的な解説をもとに整理したうえで、営業を確認できたソウルの店を紹介します。
プルコギは「一つの料理」ではなく、少なくとも三つの系統に分かれます。ソウル式は甘い醤油だれに漬け込んで鍋のように煮る汁ありスタイル、彦陽式は炭火の網で先に焼き切ってから出すスタイルで、バッサクプルコギもこの系統に近いと紹介されています。光陽式はその場で味つけを調整しながら網焼きにするスタイルです。ソウルの店では、麻浦の駅前会館が公式サイトで「バッサクプルコギ」を看板に掲げていることを確認できました。乙支路の牛来屋はミシュランガイドのビブグルマンに掲載されていて、現在も営業していることがうかがえますが、住所や営業時間は複数の飲食情報サイトの案内にもとづくもので、公式サイトそのものでは照合できていません。訪問前には電話や地図アプリでの確認をおすすめします。
結論から――ソウルの「プルコギ」は一つではない
プルコギという言葉は「火(불)で焼いた肉(고기)」を意味する広い呼び名で、韓国全土に地域ごとの系統が存在します。農民新聞が2026年9月15日に確認した記事によると、韓国で語られる代表的な系統は彦陽(オニャン)式・光陽(クァンヤン)式・ソウル式の三つ。地域名がついているとおり、もともとは彦陽(蔚山)や光陽(全羅南道)という特定の街の名物として広まった料理で、ソウルではそれぞれのスタイルを再現する専門店が営業しています。불고기(プルコギ)という一語でくくられていても、味つけのタイミング・焼き方・使う部位までまるで違うため、「プルコギを食べに行こう」と誘われたときは、どの系統を指しているのか一度確認しておくと店選びで迷わずに済むはずです。
同じ牛肉料理でも、カルビやサムギョプサルとは調理の発想がそもそも違います。カルビは骨つき・骨なしの部位を主役にした焼き肉、サムギョプサルは味つけをしない豚バラを網で焼いてから塩やタレにつける食べ方で、プルコギは基本的に牛肉を薄く切って甘辛いタレで先に味つけしてから焼く、という点で線引きされています。焼き肉全般の頼み方や網の使い方に不安がある人は韓国の焼き肉の食べ方ガイドも参考にしてみてください。この記事では系統ごとの違いと、営業を確認できたソウルの店を中心に整理していきます。
ソウル式(汁ありプルコギ)は”鍋”に近い
ソウル式プルコギの特徴は、あらかじめ甘い醤油だれに肉を漬け込んでおく点です。果物やサイダーを使って肉質を柔らかくする、という下ごしらえの工夫も紹介されています。使う部位は목심(肩ロース)や등심(ロース)を薄切りにしたもので、中央が盛り上がった鉄板の上で焼くか、出汁を張って煮るチョンゴル(鍋)式で提供されることが多いスタイルです。
長ねぎ・えのき・エリンギ・春雨といった具材を一緒に煮詰めるように調理するため、肉だけでなく野菜や春雨にもタレの甘みが染み込みます。ご飯にのせて食べても、麺料理のように春雨をすすっても様になる懐の広さが、家庭料理としても長く親しまれてきた理由のひとつと言えそうです。
彦陽(オニャン)式は”石焼き”のプルコギ
彦陽式は、醤油・砂糖・ごま油だけで薄く下味をつけ、肉本来の味を残すのが身上とされています。調理は炭火の網(석쇠)で、汁を作らずに網の上で完全に焼き切ってから提供するのが特徴。客が自分で焼くソウル式とは違い、焼き上がった状態で卓に運ばれる点も対照的です。
部位は複数の部位を混ぜ合わせ、トッカルビのように薄く広げてまとめた形に成形されます。噛むとじゅわっと肉汁が出るのに、表面は炭火で香ばしく焼き締められている——という食感の対比が、彦陽式が長く支持されてきた理由として紹介されています。ソウルで語られる「バッサクプルコギ」も、汁を作らず焼き切って出すという調理の発想がこの系統に近いと整理されていました。
光陽(クァンヤン)式は”その場で”味つけ
光陽式のいちばんの特徴は、注文を受けてから客の好みに合わせて醤油や砂糖の量を調整する「即興」の味つけ文化だとされています。부채살(テッポウ)や설도(ラウンド)をチャドルバギ並みに薄く切った肉を使い、火鉢の上に網を置いて、血の気が抜ける程度に軽く焼くのが基本の食べ方です。
にんにくと醤油の香りが調和した甘辛い味わいが持ち味で、厚みのある肉を長時間じっくり焼く肉料理とは違い、薄切り肉をさっと炙るような軽やかさが特徴になっています。ソウル式や彦陽式に比べると味つけの工程を客の目の前で見られる、いわば「ライブ感」のある系統と言えそうです。

三つの系統をあらためて並べると、「いつ味をつけるか」「どう焼くか」という2つの軸で違いが整理できます。ソウル式は事前に漬け込んで煮る、彦陽式は下味だけつけて焼き切る、光陽式はその場で味を調整しながら焼く——この違いを覚えておくと、メニュー名だけでは判断しづらい店でも、店員に系統を尋ねる手がかりになるはずです。
麻浦「駅前会館」――バッサクプルコギの老舗(公式サイトで確認)
駅前会館は、公式サイトで「開業以来守り続けてきた伝統の味、バッサクプルコギ」と紹介している麻浦の食堂です。住所はソウル市麻浦区土亭路37キル47(塩里洞173-21)、営業時間は平日11:00〜21:50・週末11:00〜21:20で、平日は15:00〜17:00、週末は15:00〜16:30がブレイクタイムにあたります(いずれも2026年9月15日確認)。定休日は毎週月曜日です。
最寄り駅は麻浦駅(2号線)2番出口から約400m、または孔徳(コンドク)駅1番出口。ブレイクタイムを挟む営業時間なので、午後3時前後に立ち寄る予定なら、事前に電話で開いているか確認しておくのが確実です。1人前から注文できるかどうかは公式ページに記載が無かったため、この記事では断定しません。少人数で訪れる予定がある人は、電話で先に聞いておくと当日の段取りがスムーズになりそうです。
乙支路「牛来屋(ウレオク)」――ミシュランにも載る老舗の一皿
牛来屋は本来、平壌冷麺の名店として知られる乙支路の老舗ですが、プルコギも看板メニューの一つとして各種の飲食情報サイトで紹介されています。ミシュランガイド・コリアの公式サイトにビブグルマン掲載店としての個別ページが存在することを確認できたため、現在も営業していることの裏づけにはなりそうです。
ただし、この記事ではミシュランガイドの公式ページ本体を直接開いて照合することができませんでした(アクセスが拒否される状態でした)。住所・電話番号・営業時間・定休日として複数の飲食情報プラットフォームで共通して案内されている数字はソウル特別市中区昌慶宮路62-29・電話02-2265-0151・毎日11:30〜21:00・毎週月曜定休・乙支路4街駅(2・5号線)徒歩1分ですが、公式サイトそのものでの確認ではないため、訪問前には電話や地図アプリで最終確認をおすすめします。
老舗ならではの落ち着いた店構えで、プルコギ単品だけでなく、冷麺とセットで注文する人も多いと紹介されています。系統としては、事前に味つけを済ませた肉を鍋のように調理するソウル式に近い提供のされ方が一般的なようです。
石村駅そばで光陽式を探すなら
光陽式のプルコギをソウル市内で食べたい場合、韓国観光公社が運営する公式サイト「大韓民国くまなく」に、その名も「光陽プルコギ」という店が掲載されています。地下鉄8・9号線の石村(ソクチョン)駅7番出口を出た石村駅交差点にあると案内されていて、看板メニューは光陽プルコギ(韓牛)とヤンニョムカルビ。炭火を使った焼き方で、座敷とテーブル席の両方、個室、駐車場・バレットサービスまで備えていると紹介されています。
この記事の時点で確認できたのは公式サイトに掲載された店の特徴までで、道路名の住所・電話番号・営業時間・定休日はページ内に明記されていませんでした。「確認できていない店」として扱い、断定は避けます。訪問予定を立てる場合は、公式サイトの予約導線から直接問い合わせるのが確実です。
石村駅は蚕室エリアからも近く、ロッテワールドなどの観光と組み合わせて立ち寄りやすい立地です。光陽式は薄切り肉をその場で味つけしてさっと焼くスタイルなので、じっくり煮込むソウル式とは食べる体感がかなり違うはず。両方を食べ比べてみると、系統の違いが実感しやすいかもしれません。
価格を書かない理由と、確認しておきたいこと
この記事では具体的な価格をほとんど書いていません。理由は単純で、飲食店の価格は改定の頻度が高く、記事を書いた時点の数字がすぐに古くなってしまうためです。今回確認できた店・情報源のいずれからも、公式サイト上での現在価格を直接照合することができませんでした。価格が気になる人は、各店の公式サイトや電話で確認するのが確実です。
価格以外にも、訪問前に確認しておきたい項目はいくつかあります。まず定休日——駅前会館・牛来屋はいずれも毎週月曜が休みと案内されていますが、祝日や旧正月・秋夕の前後は変更される可能性があります。次にブレイクタイムの有無。駅前会館のように、昼と夜の間に休憩時間を挟む店では、中途半端な時間に着くと店の外で待つことになりかねません。最後に、系統によっては炭火焼きの設備を使うため、混雑する時間帯には順番待ちが発生する店もあると考えておくと安心です。
- 行く前に公式サイト・公式SNS・電話で最新の営業時間を確認する
- ブレイクタイムのある店は、開店直後か夕方以降を狙う
- 1人前から注文できるかは店によって違うため、事前に聞いておく
- 祝日・旧正月・秋夕の前後は定休日が変わることがある
カルビ・サムギョプサルとどう違う?選び方の目安
韓国の焼き肉と一口に言っても、プルコギ・カルビ・サムギョプサルでは主役になる部位も食べ方もまるで違います。カルビは骨つき・骨なしのあばら周りの部位を主役にした焼き肉で、味つけ済みのものと塩だけのものが選べる店が多いのが特徴。ソウルでカルビを食べられる店を探しているならソウルのカルビ専門店ガイドにまとめているので、あわせて読んでみてください。
サムギョプサルは、味つけをしない豚バラ肉を厚めに切って網で焼き、焼き上がってから塩やサムジャン、キムチなどをのせて食べるスタイル。焼く工程そのものを楽しむ料理という位置づけで、こちらは韓国サムギョプサルの完全ガイドで頼み方まで詳しく整理しています。それに対してプルコギは、牛肉を薄く切って甘辛いタレで先に味つけしてから調理する点が最大の違いです。辛い調味料をほとんど使わない系統が多いため、辛いものが苦手な人にも選びやすい料理と言えます。辛さの心配がある人は韓国の辛くない料理ガイドも参考になるはずです。
牛肉そのものの質にこだわりたいなら、韓牛(ハンウ)を扱う店を選ぶという手もあります。ソウルで韓牛を食べられる店についてはソウルの韓牛専門店ガイドで紹介しているので、プルコギと合わせて韓牛のステーキ的な部位を楽しみたい人は目を通してみてください。
よくある質問
まとめ――系統で選べば、店選びに迷わない
プルコギは「一つの料理」ではなく、ソウル式・彦陽式・光陽式という少なくとも三つの系統に分かれる料理です。ソウル式は甘い醤油だれに漬け込んで鍋のように煮るスタイル、彦陽式は炭火の網で焼き切ってから出すスタイル、光陽式はその場で味つけを調整しながら網焼きにするスタイルと整理できます。ソウルでは、麻浦の駅前会館が公式サイトでバッサクプルコギを看板に掲げていることを確認でき、乙支路の牛来屋はミシュランガイドのビブグルマン掲載という形で現在の営業がうかがえます。石村駅そばの光陽プルコギは、韓国観光公社の公式サイトに掲載されている情報として紹介しました。
- ソウル式は事前に漬け込んで鍋のように煮る汁ありスタイル
- 彦陽式は炭火の網で焼き切ってから出す、汁なしのスタイル
- 光陽式はその場で味つけを調整しながら焼く、薄切り肉のスタイル
- 駅前会館(麻浦)はバッサクプルコギを掲げる、公式サイトで確認できた店
- 牛来屋(乙支路)はミシュラン掲載を確認、住所・営業時間は複数サイトの案内にもとづく参考情報
価格や細かい営業時間は変わることがあるため、この記事の内容はあくまで目安として捉え、訪問前には各店の公式サイトや電話で最新情報を確認してください。系統ごとの違いを知っておけば、メニュー名だけで判断に迷う場面も減るはずです。
参考・出典
- 農民新聞「[맛대맛] 언양・광양・서울 전국 ‘3대 불고기’…고기는 익혀 먹기 나름이에요!」https://www.nongmin.com/article/20230816500502 (2026年9月15日確認)
- 駅前会館 公式サイト https://www.yukjeon.com/ (2026年9月15日確認)
- ミシュランガイド・コリア 牛来屋(Woo Lae Oak)ページ https://guide.michelin.com/us/en/seoul-capital-area/kr-seoul/restaurant/woo-lae-oak (掲載の存在を2026年9月15日確認。ページ本体は直接開けず、住所等の照合は未了)
- 大韓民国くまなく(韓国観光公社公式)「광양불고기」https://korean.visitkorea.or.kr/detail/ms_detail.do?cotid=1014e592-faf4-4d3e-a4c4-b8c42466d182 (2026年9月15日確認)

