韓国旅行で「せっかくならクラフトビールを試したい」と思っても、意外と情報が散らかっていて迷いませんか。「梨泰院(イテウォン)が有名らしいけど、実際どこに行けばいいの」「タップルームとブルーパブって何が違うの」「1人でふらっと入れるものなの」——調べ始めると疑問がどんどん増えていくジャンルだと思います。この記事では、韓国のクラフトビール=수제맥주(スジェメクチュ)を4つの系統に整理し、実際に営業を確認できた店とできなかった店を分けたうえで、エリアごとの傾向・値段の相場・注文の実務までまとめます。
ソウルのクラフトビールは、①店内に醸造設備を持つブルーパブ、②ブランド直営のタップルーム、③輸入クラフトビール中心のバー、④コンビニで買える韓国産クラフト缶、の4系統で整理すると迷いにくくなります。今回の調査で営業を確認できたのは、乙支路(ウルチロ)のブルーパブ맥파이 을지로점(2026年8月30日確認)。梨泰院はこの文化が生まれた街ですが、老舗の一部は形を変えている可能性があり、店名を挙げての「いま行ける」保証はできませんでした。手軽さで選ぶなら、CU・セブンイレブンで買える대동강페일에일のようなコンビニ缶という選択肢もあります。
수제맥주(スジェメクチュ)って何?まず全体像をつかむ
수제맥주(スジェメクチュ)は直訳すると「手作りビール」で、日本語の「クラフトビール」にほぼ対応する言葉です。大手メーカーの量産ビールに対して、小規模な醸造所が個性のあるレシピで作るビール全般を指します。韓国では2010年代に入ってから梨泰院を中心にこの文化が広がり、今ではソウル各地に専門店が点在するジャンルに育ちました。ビールそのものの種類はIPA・ペールエール・ヴァイツェン・スタウトなど日本のクラフトビールシーンとほぼ共通していて、初めてでも銘柄名から味の傾向を想像しやすいのが救いです。
ただし、同じ「クラフトビールの店」でも業態はかなり幅があります。醸造タンクが店内に見える本格的なブルーパブもあれば、ブランドの直営店として決まった銘柄だけを提供するタップルーム、世界各国の瓶ビールを取り揃えた輸入バー、さらにはコンビニの棚に並ぶ缶ビールまで、「クラフト」を名乗るものの中身はさまざまです。次の章で、この違いを4系統に整理します。
ソウルのクラフトビール、4系統で覚えると迷わない
1つ目はブルーパブ(醸造所併設)。店内、または同じ建物内に醸造設備があり、その場で作られたビールをそのまま提供するタイプです。作り手の顔が見えやすく、季節限定の1回きりのレシピに出会えることも多いのが魅力とされています。2つ目はタップルーム。醸造自体は別の場所で行い、ブランド直営の飲食スペースとして自社ビールを生で飲ませる業態です。ブルーパブほど設備は大掛かりではありませんが、その分カジュアルに入りやすい店が多い傾向です。
3つ目は輸入クラフトビール中心のバー。自社醸造はせず、世界各国の瓶・缶クラフトビールを何十種類も揃えることを売りにするタイプです。梨泰院のように外国人居住者が多いエリアで育ってきた業態とされ、銘柄の幅広さが持ち味です。4つ目はコンビニで買える韓国産クラフト缶。CU・セブンイレブンなどの棚に並ぶ缶ビールで、外食よりも気軽に「とりあえず1本」を試せる選択肢です。この記事では、このあと梨泰院・乙支路・延南洞(ヨンナムドン)・聖水(ソンス)という4エリアの傾向と、コンビニ缶の実例を順番に見ていきます。
店の業態は同じ名前のブランドでも店舗ごとに違うことがあり、SNSや地図アプリの表示が古いまま更新されていないケースもあります。「ブルーパブだと思って行ったらタップルームだった」ということも起こり得るので、訪問前に公式の案内で最新の営業形態を確認しておくと安心です。
梨泰院(イテウォン)——クラフトビール文化が生まれた街
ソウルのクラフトビール文化を語るうえで欠かせないのが梨泰院(イテウォン)です。韓国を代表するクラフトビールブランドの맥파이(マッチュ)と더부스(ザ・ブース)は、いずれも2012年から2013年にかけて、梨泰院の경리단길(キョンニダンギル)で創業したとされています。もともと外国人居住者や在韓外国人コミュニティが多いエリアで、洋食やバー文化が根づいていたことも、クラフトビールが最初に広がる土壌になったと考えられています。
ただし、創業から10年以上が経ち、当時の1号店がそのままの形で営業しているとは限りません。今回の調査では、経理団길の老舗のうち一部について「フード提供部分が営業を終了した」「乙支路など別エリアの店舗が主力になっている」といった変化の兆しは見つかったものの、現在の正確な営業形態を一次情報で確認しきれませんでした。梨泰院で探すなら、老舗の名前だけを頼りに向かうのではなく、訪問直前にSNSや地図アプリで営業中の表示を確認するのが安全です。梨泰院エリア全体の歩き方は梨泰院エリアガイドにまとめているので、あわせてチェックしておくと動きやすいはずです。
乙支路(ウルチロ)——【確認済み】맥파이で分かる乙支路の今
梨泰院で生まれたクラフトビール文化のいま最も分かりやすい姿は、乙支路(ウルチロ)にあります。乙支路3街(을지로3가)にある맥파이 을지로점(マッチュ乙支路店)は、2026年8月30日にダイニングコード(다이닝코드)の店舗プロフィールで「영업중(営業中)」の表示を確認しました。住所は서울특별시 중구 을지로 127(4階)。営業時間は毎日17:00〜翌1:00で、定休日は設定されていません。
下の地図は住所ベースのものです。店名検索だと別地点に飛ぶことがあるため、住所を直接埋め込んでいます。
住所は集計サイト(다이닝코드)の店舗プロフィールで2026年8月30日に確認したものです(訪問前に最新の営業状況もあわせて確認してください)。NAVER地図で맥파이 을지로점を見る
元は工場や印刷所が並んでいた乙支路のビルの一角に入っていて、インダストリアルな内装でDJイベントが開かれることもあるとされています。メニューはピザとビールが中心で、確認できた価格は감자튀김(フライドポテト)12,000ウォン、페퍼로니 피자(ペパロニピザ)21,000ウォン、클래식 마르게리타 피자(マルゲリータピザ)21,000ウォン、바싹불고기 피자(プルコギピザ)26,000ウォンなど。ビールは7,000ウォン台からとなっています(いずれも2026年8月30日確認)。乙支路エリアはレトロなビルの再活用スポットとしても知られるエリアで、周辺の歩き方は乙支路エリアガイドで詳しく紹介しています。
延南洞(ヨンナムドン)と聖水(ソンス)——路地裏と倉庫改装の今
梨泰院・乙支路のほかにも、延南洞(ヨンナムドン)と聖水(ソンス)はクラフトビールの店が集まるエリアとして名前が挙がることがあります。延南洞は弘大(ホンデ)から少し離れた住宅街の路地に個性的なパブが点在するエリアで、青いネオンの照明など雰囲気重視の内装が話題になる店もあるとされています。ただし住宅街の路地にある店は入れ替わりも早く、今回の調査では具体的な店の現在の営業状況を一次情報で確認するところまでは至りませんでした。
聖水は倉庫や工場をリノベーションしたカフェ・ブルワリーが集まるエリアとして知られていますが、注意も必要です。聖水にあったブルワリー併設店の一つは、公表されている情報によると2025年12月14日をもって営業を終了したとみられます。「聖水にはブルワリーが多い」という評判だけを頼りに具体的な店名を検索して向かうと、閉店した店の情報にたどり着いてしまう可能性があるということです。エリアの評判が育つスピードよりも、個々の店の入れ替わりのほうが速いことがある、というのがこの2エリアから見えてくる教訓かもしれません。
延南洞・聖水でクラフトビールの店を探す場合は、ブログやまとめサイトの「おすすめ」情報をそのまま信じず、訪問直前に地図アプリの営業中表示やSNSの最新投稿を確認することを強くおすすめします。特に聖水は数年で店の顔ぶれが変わりやすいエリアです。
コンビニで買える韓国産クラフト缶——名前が変わることもある
店に入るハードルを感じるなら、コンビニのクラフト缶という選択肢もあります。代表例が대동강페일에일(テドンガンペールエール)です。梨泰院発のブランド더부스(ザ・ブース)と、デンマークのブルワリー미켈러(ミッケラー)がコラボしたペールエールで、缶製品は韓国のカブルー(카브루)が受託製造しています。2022年12月からCU(シーユー)とセブンイレブンで全国販売されているとされ、店頭で瓶・生ビールを飲むほどの本格感は無くても、味の傾向だけ気軽に試せるのが利点です。
一方で、コンビニクラフト缶の世界には「名前が変わる」という落とし穴もあります。2020年に登場して大ヒットした곰표 밀맥주(コムピョ小麦ビール)は、製造元のセブンブロイ(세븐브로이)(セブンブロイ)と大韓製粉(대한제분)のブランド使用契約が終了したことで生産を終了し、同じレシピを引き継いだ後継商品として再出発したと報じられています。つまり、数年前にブログで見た「コンビニクラフトビールのおすすめ」記事の商品名を頼りに探しても、パッケージの名前ごと変わっていて見つからないことがあるということです。買う直前に、コンビニの棚で実際のパッケージを確認するのが一番確実だと言えそうです。
値段はどれくらい?1皿・1杯の相場感
今回営業を確認できた乙支路の맥파이(マッチュ)を例にすると、ピザ1枚が21,000〜26,000ウォン、フライドポテトなどのつまみが12,000ウォン前後、ビールは7,000ウォン台からという価格帯でした(2026年8月30日確認)。1ウォン=0.1162円(2026年8月30日時点)で換算すると、ビール7,000ウォンはおよそ813円、ピザ21,000ウォンはおよそ2,440円の感覚になります。日本の高級居酒屋のクラフトビール1杯とそう変わらない価格帯というイメージを持っておくと、現地での予算感がつかみやすいはずです。
体感で言うと、フライドポテト1皿12,000ウォンはコンビニのおにぎり3個分くらい、ピザ1枚26,000ウォンはちょっとしたランチセット1〜2人分くらいの感覚と考えると分かりやすいかもしれません。ブルーパブやタップルームでは、ビール単品よりもフード込みでの利用が前提になっている店も多く、1人で軽く飲むだけのつもりで入ると、割高に感じることもありそうです。逆にコンビニのクラフト缶なら数百円台から試せるので、まず味の傾向をつかみたい人には手軽な入り口になります。
1人で入りやすいか?注文の実務を知っておく
「1人でもふらっと入れるかどうか」は店によって差が大きく、今回の調査では店舗ごとのカウンター席の有無まで一律に確認することはできませんでした。目安としては、ピザなどのフードをメインに据えたブルーパブ・タップルームは、複数人でのシェア利用を想定した造りになっていることが多く、1人客がふらっと立ち寄るにはやや心理的なハードルを感じるかもしれません。一方でコンビニのクラフト缶は、買って宿泊先で飲むという選択肢もあるので、1人旅でも気負わずに楽しめます。ソウルでの1人飲みの業態全体についてはソウルの一人飲みガイドで幅広く扱っているので、クラフトビール以外の選択肢も含めて検討したい人はそちらもあわせてどうぞ。
注文の実務としては、多くの店でビールのサイズ表記に「하프파인트(ハーフパイント)」「파인트(パイント)」のような英語由来のカタカナ表記が使われている点を覚えておくと戸惑いにくくなります。数種類のビールを少しずつ飲み比べたい場合は、「샘플러(サンプラー)」と呼ばれる飲み比べセットを用意している店もあるので、メニューにその表記があるか探してみるとよさそうです。韓国語に自信が無くても、メニュー表を指差しながら店員さんに聞けば、たいてい丁寧に説明してもらえます。伝統酒のマッコリを飲み比べたい人にはマッコリバーガイドも別記事で扱っているので、クラフトビールと合わせて選択肢に入れておくのもよいかもしれません。
飲酒にまつわる制度は公的機関の案内の範囲で
クラフトビールを楽しむ前提として、韓国の飲酒に関する年齢制限も押さえておきたいところです。韓国の청소년보호법(青少年保護法)上、酒類の購入・提供が制限される「청소년(青少年)」は満19歳未満の人を指しますが、その年に満19歳になる人は、誕生日を待たずにその年の1月1日から対象外になるという運用がされているとされています。つまり、日本の「20歳の誕生日から」という感覚とは区切り方が少し違う制度だということです。
なお、外国人観光客に対する特別な例外規定については、今回の調査範囲では見つけられませんでした。年齢確認の運用や、旅行者にとって実務上どのような影響があるかは店舗や状況によって変わり得るため、飲酒が可能かどうかの最終的な判断は、本人の年齢と韓国の公的機関が示す最新の案内に沿って行うようにしてください。この記事はあくまで一般的な情報整理であり、健康や安全に関わる飲酒量の判断についても、無理のない範囲を本人が見極めることが前提になります。
飲酒に関する制度は改正される可能性があります。年齢確認や購入条件について不明な点があれば、韓国観光公社や在韓日本大使館など公的機関の案内で最新情報を確認してください。

建大(コンデ)など他のエリアも視野に入れるなら
この記事では梨泰院・乙支路・延南洞・聖水の4エリアを中心に扱いましたが、ソウルには大学街を中心にクラフトビールを扱う店が点在するエリアもほかにもあります。たとえば建大(コンデ、건대)入口駅の周辺は学生街ならではの賑やかな飲食店街として知られ、クラフトビールを扱う店が出てくることもあるエリアです。今回の記事では建大エリアの店を個別に検証するところまでは範囲に含めていませんが、周辺の歩き方は建大エリアガイドにまとめているので、行動範囲を広げたい人は参考にしてみてください。
また、深夜まで飲んだあとの締めのご飯を探している人向けに、24時間営業の食堂情報をソウルの24時間営業食堂ガイドにまとめています。乙支路の맥파이(マッチュ)のように深夜1時まで営業している店で飲んだあと、小腹が空いたときの選択肢として覚えておくと便利です。
日本に帰ってからもクラフトビール気分を続けたいなら
現地でクラフトビールの味を知ると、日本に帰ってからも似た体験を再現したくなる人もいるはずです。대동강페일에일(テドンガンペールエール)のような缶ビールは基本的に韓国国内での流通が前提のため、日本のスーパーやコンビニで同じ銘柄を見つけるのは難しいのが実情です。ただし、韓国のお酒全般を日本で楽しむという切り口では、焼酎(소주・ソジュ)を日本で買う方法をまとめた韓国焼酎を日本で買う方法ガイドもあるので、クラフトビールと合わせて韓国のお酒文化を持ち帰りたい人は参考にしてみてください。
韓国のクラフトビール専用の輸入代理店やオンラインショップも一部存在するとされていますが、取り扱い銘柄や価格は流動的で、今回の調査範囲では具体的な確認までは行っていません。気になる銘柄があれば、その都度、輸入代理店やオンラインストアの最新の取り扱い状況を確認することをおすすめします。旅の思い出としてビールそのものを持ち帰るよりも、現地で飲んだ記憶を焼酎やマッコリなど持ち帰りやすいお酒で振り返る、という楽しみ方も選択肢の一つです。
よくある質問
まとめ
- ソウルのクラフトビールは、ブルーパブ・タップルーム・輸入ビールバー・コンビニ缶の4系統で整理すると分かりやすい
- 梨泰院はこの文化が生まれた街だが、老舗の現在の営業形態は要確認。乙支路の맥파이(マッチュ)は2026年8月30日時点で営業確認済み
- 延南洞・聖水は店の入れ替わりが速いエリア。評判だけを頼りに向かわず、訪問直前の確認を
- 대동강페일에일のようなコンビニ缶は手軽だが、곰표 밀맥주のように商品名ごと変わることもある
- 飲酒の年齢制限は満19歳が基準(その年の1月1日から対象外)。判断は公的機関の最新案内に沿って行う
クラフトビールというジャンルは、有名な店の名前ほど情報が古くなりやすいという少し厄介な性質を持っています。だからこそ、「この店に行けば間違いない」という決め打ちよりも、系統とエリアの傾向をつかんだうえで、訪問直前に営業状況を確認するという動き方が、結果的に一番失敗が少ないやり方だと言えそうです。梨泰院の街歩きや乙支路の再開発エリアの雰囲気そのものを楽しみながら、気になる店をその場で見つけるくらいの余裕を持って臨んでみてください。
参考・出典
- 맥파이 을지로점 店舗プロフィール(다이닝코드) https://www.diningcode.com/profile.php?rid=XGBFl4Ziz83H (住所・営業時間・営業状態・メニュー価格を確認、2026年8月30日確認)
- 중구통신「중구 을지로에 수제맥주펍 『MAGPIE 을지로점(맥파이)』이 오픈했대」 https://junggutongsin.com/archives/22429 (乙支路店の位置づけを確認、2026年8月30日確認)
- 나무위키「대동강 페일에일」 https://namu.wiki/w/%EB%8C%80%EB%8F%99%EA%B0%95%20%ED%8E%98%EC%9D%BC%EC%97%90%EC%9D%BC (더부스×미켈러のコラボ・카브루受託製造・CU/세븐일레븐での販売開始時期を確認、2026年8月30日確認)
- EBN「’곰표밀’ 맥주는 사라져도…상표 마케팅은 계속」 https://www.ebn.co.kr/news/articleView.html?idxno=1573060 (곰표 밀맥주の商標契約終了・生産終了の経緯を確認、2026年8月30日確認)
- 大韓民国政府 korea.kr「’만 나이’ 시행…술·담배 구매 연령은 어떻게?」 https://www.korea.kr/multi/visualNewsView.do?newsId=148916909 (飲酒可能年齢の制度を確認、2026年8月30日確認)
- yenconverter.jp(本日のウォン円相場) https://yenconverter.jp/won/ (1ウォン=0.1162円のレートを確認、2026年8月30日確認)

