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韓国の食堂に入って席に着いた瞬間、頼んでもいないのに小皿がずらりと並んで戸惑った経験はありませんか。キムチにナムル、卵焼きらしきもの……メニューにも書かれていないのに当たり前のように出てきて、「これ勝手に頼んだことになって追加料金を取られるのでは」と身構えてしまう人も多いはずです。この小皿の正体が반찬(パンチャン)、日本語で言う「おかず」にあたるものです。この記事では、パンチャンが無条件で出てくる理由から、おかわりは本当に無料なのか、頼み方の一言、業態ごとの違い、残したときの扱い、衛生面の制度、日本でパンチャンに近いものを買う方法まで、2026年9月2日確認の一次情報をもとに整理しました。
パンチャンは注文していなくても主菜と一緒に出てくるのが韓国の食文化の基本セットで、追加料金は原則かかりません。おかわりも多くの店で無料ですが、「店による」が現在地です。野菜の価格上昇を理由に一部の店で有料化や個数制限を検討する動きがあり、2026年2月の調査では回答者の64.8%がおかわり有料化に否定的でした。頼み方はシンプルな一言で通じ、店に셀프바(セルフバー)があれば自分で取りに行く方式もあります。
頼んでいないのに出てくる理由——パンチャンは主菜とセットの基本構成
韓国の食堂で主菜(밥(ご飯)やチゲ、麺類など)を注文すると、キムチや和え物などの小皿が自動的についてくるのは、それがメニューの一部だからです。日本の定食で漬物や味噌汁が単品扱いにならないのと同じ発想に近く、パンチャンは主菜の価格にすでに含まれています。だから会計時に「小皿◯品」として別途請求されることは基本的にありません。
この仕組みは焼肉店でも定食屋でも麺料理店でも共通していて、注文の口頭確認の際にパンチャンの希望を聞かれることはまずないと考えてよいものです。韓国語での注文の基本フレーズや「これは頼んでいないのに出てきたけれど大丈夫か」という不安の解消のしかたは、韓国語での注文の基本をまとめた記事でも扱っています。初めて韓国の食堂に入る人ほど、この「セットが標準装備」という前提を知っておくと、会計時の思わぬ誤解を避けやすくなります。
おかわりは無料?——原則無料だが「店による」が現在地
結論から言うと、パンチャンのおかわりは多くの店で今も無料ですが、断定はできません。ソウル新聞などの報道によれば、野菜価格の高騰を理由に、追加のパンチャンに500ウォン程度の料金を検討する店主の声が出ており、この話題は「値上げの是非」として議論になっています。マーケティング調査会社エンブレイン・トレンドモニターが2026年2月24〜27日に全国の19〜69歳の成人1,000人を対象に行った調査では、おかわり有料化に64.8%が否定的で、42.3%は「行きつけの店が有料化したら行かなくなる」と回答しています(2026年9月2日確認)。
反対の理由としては「主菜の価格にすでに含まれているはず」が55.4%、「外食費の負担がさらに増える」が51.5%、「情がない」が44.3%でした。一方で53.3%は「基本のパンチャンは無料のまま、上位グレードの品だけ有料にする」という部分導入なら受け入れられると答えています。つまり韓国国内でも「全面有料化」への賛成は少数派ですが、値上げの動き自体はゼロではないというのが実情です。
「韓国のおかずは無料でおかわりできる」という前提だけで動かず、テーブルに料金表や案内が貼られていないか、会計時に追加分の扱いを確認しておくと安心です。特に案内が見当たらない店では、店員に一言確認してから追加を頼むのが無難です。

どう頼むか——韓国語の一言とセルフバー(셀프바)の探し方
店員を呼んでお願いする場合の一言は「이 반찬 더 주세요(イ パンチャン ト ジュセヨ/このパンチャンをもっとください)」で通じます。指差しでも十分伝わるので、発音に自信がなくても小皿を軽く持ち上げて店員に見せるだけでもおかわりをお願いできます。店員を呼ぶときは手を軽く上げて「저기요(チョギヨ/すみません)」と声をかけるのが一般的で、年配の女性店員には「이모님(イモニム/おばちゃん、の親しみを込めた呼び方)」と呼びかける光景もよく見られます。
もう一つの方式が셀프바(セルフバー)です。店の一角に水・キムチ・たくあん・薬味などが並ぶセルフコーナーが設けられている店では、店員を呼ばずに自分で好きな分だけ取りに行けます。特に麺料理店や食堂チェーンで多く見られる方式で、見当たらないときは入口付近や壁際、レジの近くを探すと見つかりやすいものです。セルフバーがある店かどうかは入店時に一度見渡しておくと、食事中に何度も店員を呼ぶ手間を減らせます。
定番のパンチャンと辛くないもの
定番として出てくることが多いのは、キムチ類(白菜キムチ、大根の角切りキムチなど)、もやしのナムル、ほうれん草のナムル、切干大根の和え物、練り物の炒め物、卵焼きあたりです。店の規模や地域によって品数や種類は変わりますが、この6品はどれか複数が出てくる確率が高い顔ぶれと言えます。
辛いものが苦手な人がまず頼りにできるのは、卵焼き、じゃがいもの炒め物、もやしのナムル、ひじきの和え物です。キムチ以外の品は辛くないものが多いので、キムチだけ残して他を食べる、という選び方もできます。辛さを避けたいメニュー選びそのものについては、韓国の辛くない料理をまとめた記事もあわせて参考にしてください。
| パンチャンの例 | 辛さ | よく出る業態 |
|---|---|---|
| 白菜キムチ | 辛い | ほぼ全業態 |
| もやしのナムル | 辛くない | 定食屋・食堂 |
| ほうれん草のナムル | 辛くない | 定食屋・食堂 |
| 切干大根の和え物 | やや辛い | 定食屋・チェーン店 |
| 練り物の炒め物 | 辛くない | 定食屋・弁当店 |
| 卵焼き | 辛くない | 焼肉店・定食屋 |
業態で変わる——焼肉店・クッパ店・백반집(定食屋)・チェーン店
焼肉店では、レタスやサンチュ、ニンニク、青唐辛子、サムジャンなどを自分で取りに行く셀프바(セルフバー)方式が一般的で、時間制の食べ放題プランでは制限時間内なら追加が自由なことが多いものです。焼肉の注文の流れやおかわりの作法はサムギョプサルの基本ガイドで詳しく扱っています。
一方、설렁탕(ソルロンタン)や국밥(クッパ)を出す店では、パンチャンの品数自体が少なめで、キムチと大根の角切りキムチが中心になることが多く、おかわりは店員に声をかける方式が主流です。この業態の店の探し方や注文の流れはソルロンタン店の記事で扱っています。백반집(ペッパンジプ/定食屋)は逆に品数が多いのが売りで、小鉢が5〜8品並ぶことも珍しくなく、定額料金で品数の多さを楽しめる業態です。定食屋のランチ相場については韓国のランチ事情をまとめた記事も参考になります。全国チェーンの食堂では、品数を絞って提供コストを抑えている店もあり、個人経営の店に比べるとパンチャンの種類は控えめな傾向です。김치찌개(キムチチゲ)を看板にする食堂も定食屋に近い品数で出す店が多く、こちらの探し方はソウルのキムチチゲ店の記事で扱っています。
残すとどうなるか——食品ロスとして議論されていること
パンチャンを食べきれずに残す行為そのものに罰則はありませんが、韓国国内では食品ロスの観点から議論の対象になっています。環境部(日本の環境省にあたる機関)の集計では、全国の食品廃棄物の1日あたりの排出量が1万トンを超える水準で推移しており、処理コストも1トンあたり10万ウォンから、地域によっては20万〜30万ウォンまで上昇していると報じられています(2026年9月2日確認)。この処理費用の負担をめぐって、一部の店が客に「環境負担金」を求める動きも出ましたが、法的な強制力はなく、自治体側も「業者の自主的な判断に委ねるしかない」という立場です。
配達アプリ側でも、注文時に「#반찬 안 받기(パンチャンを受け取らない)」というハッシュタグを添えて不要なおかずを断れるキャンペーンが行われています。食堂で食事をする場合も、最初から食べきれる分だけ頼む、辛いものが苦手なら該当のパンチャンを断るといった工夫が、食品ロスを減らす現実的な手段として紹介されています。
衛生の話——使い回しは制度上どうなっているか
「一度出したパンチャンを次の客に回しているのでは」という不安を持つ人もいますが、この点は韓国の식품위생법(食品衛生法)で扱いが整理されています。식품의약품안전처(食品医薬品安全処)が2019年に示した基準では、客に提供済みの食品を再利用することは原則として認められていません。ただし例外として、管理を徹底すれば再利用が認められる品目が定められており、レタスやエゴマの葉、丸のままの唐辛子・ニンニク、プチトマトなどの野菜類、バナナやみかん・ぶどうなどの果物類、ピーナッツやくるみなどのナッツ類、菓子・チョコレート・パンなど客が自分で取り分ける形で陳列された乾燥加工食品、塩や香辛料・こしょうなどの調味料類、そして白菜キムチを含むキムチ類が挙げられています(2026年9月2日確認)。
逆に言えば、この例外リストに入っていない調理済みの汁物やご飯、加熱調理したおかずなどは、一度提供したものを別の客に回すことは想定されていません。この基準に違反した場合、該当する食品の廃棄に加えて、営業停止や営業所閉鎖処分、過怠金の対象になると定められています。パンチャンのうちキムチが「例外的に再利用が認められる品目」に入っているのは意外に感じるかもしれませんが、これは管理を徹底すれば衛生上問題がないという判断に基づくものです。
持ち帰りはできるか
食べきれなかったパンチャンを持ち帰りたいと考える人もいますが、これを客の権利として保証する規定は確認できませんでした。持ち帰りを認めるかどうかは店の判断に委ねられているのが実情で、応じてくれる店もあれば、衛生管理や容器の準備を理由に断る店もあります。持ち帰りたい場合は、会計前に「포장 가능해요?(ポジャン カヌンヘヨ/持ち帰りできますか)」と一言確認するのが確実です。
チェーン店や弁当店のように、そもそも持ち帰り用の容器を常備している業態では応じてもらいやすい一方、個人経営の食堂では断られても不思議ではありません。無理に頼み込むより、最初から食べきれる量だけおかわりする、あるいは残りそうな品は早めに断っておくほうが、店とのやり取りもスムーズです。確認できなかった細かい可否は、訪問時に店に直接聞くのが一番確実な方法になります。
日本でパンチャンに近いものを買えるか
韓国に行けなくてもパンチャンの味を楽しみたいという人には、日本国内の通販でキムチ系の商品を選ぶのが手っ取り早い入り口になります。日本でパンチャンに近いものを揃えるならキムチ系が入口になるので、通販で買える種類を知っておくと再現しやすいはずです。韓国産トラジキムチ200gと韓国産切干大根キムチ200gは、まさに食堂で出てくるパンチャンそのものに近いラインナップで、白菜キムチとは違う辛さ・食感の違いを自宅で試せます。
運営元は株式会社高麗貿易ジャパンで、送料は全国一律1,000円、8,000円以上の注文で送料無料になります(2026年8月20日確認)。キムチ以外にも水冷麺やビビム麺、スンドゥブチゲ、ユッケジャンなど食堂の定番メニューに近い商品が並んでいるので、旅行の予定が無い時期でも「あの食堂の味」を思い出すきっかけになります。参鶏湯やカンジャンケジャンは取り扱いはあるものの、確認時点で売り切れ中だったため、今すぐ買える商品としては挙げていません。気になる人は公式サイトで在庫状況を確認してみてください。
日本の食堂との違い
日本の定食屋でも味噌汁や漬物が主菜に付いてくることはありますが、品数は1〜2品にとどまることが多く、韓国のパンチャンのように4〜6品が並ぶことはあまり一般的ではありません。また日本の居酒屋文化では、注文していなくても小鉢が出てきて後から代金を請求される「お通し」のような仕組みが広く知られていますが、韓国のパンチャンは主菜の価格にあらかじめ含まれている点が大きな違いです。
この「頼んでいないのに代金が発生するかどうか」という一点が、日本から来た旅行者が最初に戸惑いやすいポイントです。パンチャンは基本的に追加請求の対象ではない、という前提さえ知っておけば、会計時に身構える必要はなくなります。逆に、おかわりが有料化されつつある店が一部にあるという現在地も、あわせて知っておくと安心材料になります。
よくある質問
まとめ
- 反찬(パンチャン)は主菜の注文と同時に自動で出てくる基本セットで、追加料金は原則かからない
- おかわりは多くの店で無料だが、野菜価格の高騰を理由に一部で有料化の動きもあり「店による」が現在地
- 頼み方は「이 반찬 더 주세요」の一言か、셀프바(セルフバー)があれば自分で取りに行く方式
- 定番はキムチ・もやし・ほうれん草・切干大根・練り物・卵焼きあたり。辛くないものも複数ある
- 焼肉店・クッパ店・백반집(定食屋)・チェーン店で品数と方式が変わる
- 残す行為への罰則はないが、食品ロスとして環境負担の議論があり、環境負担金を求める店の法的根拠はない
- 衛生面は식품위생법の基準で整理されており、キムチなど一部品目のみ管理条件つきで再利用が認められている
- 持ち帰りできるかは店の判断次第。確実に知りたいときは会計前に確認する
パンチャンのおかわりは「無料が基本、ただし店によっては例外がある」という前提で臨むと、会計時の思わぬ戸惑いを避けやすくなります。頼み方の一言とセルフバーの探し方さえ覚えておけば、初めての食堂でも困る場面はぐっと減るはずです。この記事で確認しきれなかった個別の店の対応は、現地で直接確認することをおすすめします。
参考・出典
- 머니투데이(マネートゥデイ)反찬 리필 유료화에 관한 엠브레인 트렌드모니터 조사 報道 https://www.mt.co.kr/society/2026/03/25/2026032510160140271 (2026年9月2日確認)
- 서울신문(ソウル新聞)채솟값 급등과 반찬 리필 유료화 논쟁 報道 https://www.seoul.co.kr/news/newsView.php?id=20260129008008 (2026年9月2日確認)
- 데일리안(デイリアン)식약처 2019年 음식 재사용 기준 整理記事 https://www.dailian.co.kr/news/view/1047679/ (2026年9月2日確認)
- 국가법령정보센터 찾기쉬운 생활법령정보(易しい生活法令情報)식품 등의 위생적 취급의무 https://www.easylaw.go.kr/CSP/CnpClsMain.laf?popMenu=ov&csmSeq=302&ccfNo=4&cciNo=2&cnpClsNo=2 (2026年9月2日確認)
- 경향신문(京郷新聞)배달의민족 음식물쓰레기 줄이기 캠페인 報道 https://www.khan.co.kr/article/202109061035001 (2026年9月2日確認)
- 서울신문(ソウル新聞)식당 환경부담금의 법적 근거 관련 報道 https://www.seoul.co.kr/news/society/2018/08/31/20180831500200 (2026年9月2日確認)

