韓国ドラマの食卓シーンで、ぐつぐつ煮えた赤い鍋を箸でつつくシーンを見て、次の渡韓では絶対キムチチゲを食べようと決めたのに、いざ「ソウル 김치찌개 맛집」で調べ始めると情報が古かったり、店名だけでどこにあるのか分からなかったりして、結局プデチゲやサムギョプサルの店に流れてしまったこと、ありませんか。実はキムチチゲは韓国の食堂の看板メニューの一つで、乙支路の老舗から江南のオフィス街まで、いま実際に営業している店がちゃんとあります。1人前から頼める店と、時間帯によって注文できる店が分かれているのも、事前に知っておきたいポイントです。
今回、乙支路の은주정(ウンジュジョン)、明洞の김삼보(キムサンボ)明洞店、冠岳区の全国チェーン백채김치찌개(ペクチェキムチチゲ)本店、江南・宣陵の마찌삼(マッチサム)宣陵本店の4店で営業を確認できました。1人前から終日注文できるのは김삼보。은주정は昼13:30以降に限られます。値段は1人前8,000〜12,000ウォン程度のレンジで確認でき、すべて2026年8月27日時点の確認情報です。
キムチチゲの種類——豚肉・ツナ・スパムと、プデチゲとの違い
김치찌개と一口に言っても、韓国の食堂では中に入れる具でいくつかのタイプに分かれます。もっとも基本的なのが돼지고기 김치찌개(豚肉キムチチゲ)で、豚肉の脂がスープに溶け出し、濃厚でコクのある味わいになるのが特徴です。次に多いのが참치 김치찌개(ツナキムチチゲ)で、缶詰のツナを使うぶん、豚肉タイプよりさっぱりした後味になります。調理時間が短く済むため、家庭料理としても定番の組み合わせです。加工肉の스팸(スパム)を使うタイプもありますが、専門店での扱いは豚肉・ツナに比べるとやや少なめでした。
「プデチゲ(부대찌개)と何が違うの?」と聞かれることも多いのですが、答えはシンプルです。プデチゲはハムやソーセージといった洋風の加工肉を使い、朝鮮戦争後の食料事情から生まれた料理。一方のキムチチゲは加工肉を使わず、発酵したキムチそのものの酸味と辛さが主役になる、より伝統的な家庭の味という位置づけです。プデチゲのソウルの店についてはプデチゲの記事で詳しく整理しているので、この記事ではキムチチゲだけに絞って進めます。
エリア別に見る、キムチチゲが食べられる街
今回の調査で営業を確認できたのは、乙支路4街・方山市場、明洞、冠岳区(서울大入口駅そば)、江南・宣陵の4エリアです。乙支路は市場の中に老舗が点在するエリアで、観光客だけでなく地元客も多いのが特徴。明洞は買い物のついでに立ち寄りやすい立地で、朝から営業している店もあります。冠岳区は大学が近く、価格帯が手頃なチェーン店が育ちやすい土地柄。江南・宣陵はオフィスビルが並ぶエリアで、平日の昼どきは近隣で働く会社員の利用が多いと複数の口コミで言及されていました。
次の見出しから、営業を確認できた4店を住所・営業時間つきで紹介します。地図はすべてGoogleマップとNAVER地図の両方を載せているので、訪問前にあわせて確認してみてください。
営業を確認できた4店——住所・時間・地図
店選びでは、飲食店情報サイトの店舗ページに表示される営業ステータスと、公式サイト・直近の投稿日が入ったブログやSNSを組み合わせて、2026年8月27日時点で営業を確認できた店を4エリアから1軒ずつ選びました。日付の古いままの情報だけを鵜呑みにせず、更新日が新しいものを優先しています。
은주정(ウンジュジョン)は乙支路4街・方山市場にある老舗で、住所は서울特別市중구주교동43-23、電話は0507-1406-4669です。営業時間は資料により差があり、公式の観光情報サイトでは11:30〜22:00・日曜定休、直近のブログでは月〜土10:00〜22:00・日曜定休(ラストオーダー21:30)とされています。開店時刻には情報源による幅があるものの、日曜定休である点は一致していました。メニューは昼が쌈 싸먹는 김치찌개(サムに包んで食べるキムチチゲ)、夜は삼겹살+김치찌개のセットのみという構成で、1人前の注文ができるのは昼の13:30以降に限られます。「서울 3대 김치찌개(ソウル3大キムチチゲ)」という通称で紹介されることが多い店で、2026年4月19日付のグルメメディアの記事でも、昼どきは行列ができる様子が報じられていました。
은주정(NAVER地図で見る): 은주정をNAVER地図で開く
김삼보(キムサンボ)明洞店は住所 서울 중구 명동8나길 49、電話02-318-8257。営業時間は月〜土07:00〜22:00、ブレイクタイム15:00〜17:00、ラストオーダー21:30です(2026年3月時点のブログ情報)。店舗情報サイトでは2026年8月20日木曜時点の営業ステータスも「営業中」と表示されており、直近まで営業が続いていることを確認できました。돌솥밥(釜飯タイプのご飯)が付くのが特徴で、1人前の鍋(1인 전골)でも注文可能です。系列店として을지로3가店・신촌店もあり、을지로3가店のメニューでは돼지김치찌개(豚肉)・참치김치찌개(ツナ)がいずれも8,000ウォンで確認できました。明洞店と同一価格とは限らない点は留意してください。
김삼보 명동점(NAVER地図で見る): 김삼보 명동점をNAVER地図で開く
백채김치찌개(ペクチェキムチチゲ)本店は冠岳区にあり、住所は서울 관악구 청룡1길 25、地下鉄2号線 서울대입구駅(ソウル大入口)4番出口から徒歩約450mです。電話は0507-1437-3237。営業時間は情報源により11:00〜21:00(ラストオーダー20:00)と11:00〜22:00の両方が確認でき、閉店時刻には幅があります。メニューは돼지 김치찌개10,000ウォン、돼지김치구이12,000ウォン、追加のラーメンサリ1,000ウォン、豆腐サリ2,000ウォンという構成でした。運営会社は自社を「キムチチゲ専門チェーンの中心的存在」と位置づけており、公式サイトでは2026年1月30日付で全国300号店のオープンを発表。2025年12月には食品医薬品安全処からの表彰も受けたと公式に掲載されています。
백채김치찌개 본점(NAVER地図で見る): 백채김치찌개 본점をNAVER地図で開く
마찌삼(マッチサム)宣陵本店は江南区にあり、住所 서울 강남구 언주로98길 16 지하1층、선릉駅5番出口方面の徒歩圏です。営業時間は毎日11:00〜22:00、ラストオーダー21:00で、2026年8月4日付のブログでは「年中無休」と紹介されている一方、2025年12月のブログでは「毎週日曜定休」との記載もあり、休みの有無は情報が割れています。24時間以上低温熟成させた묵은지(熟成キムチ)を使うのが売りで、近隣オフィスワーカーの利用が多いと複数の投稿で言及されていました。値段は고기듬뿍숙성김치찌개(肉たっぷり熟成キムチチゲ)10,000ウォンで、店舗情報サイトと現地レポートのブログの両方で一致していました。
마찌삼 선릉본점(NAVER地図で見る): 마찌삼 선릉본점をNAVER地図で開く
確認できなかった店・情報が古かった店
今回の調査では、聖水(성수)エリアの직장인向けの店や、上水洞の家庭料理系の店、성북구のテレビ番組で紹介された店なども名前は挙がりました。ただ、住所・営業時間・現在の営業状況を複数の情報源で裏付けるところまでは到達できませんでした。単発の投稿だけでは「いま営業しているか」の確証にならないため、今回は固有名詞としての掲載を見送っています。
店名だけを頼りに訪問すると、移転・閉店に気づかず現地で困ることがあります。今回掲載を見送った店に興味がある場合は、訪問前にNAVER地図やInstagramの最新投稿で必ず営業状況を確認してください。
逆にいえば、今回本文で紹介した4店は、店舗情報サイトの直近ステータス・公式サイトのニュース・日付入りの現地ブログという、複数の独立した情報源を突き合わせたうえで掲載した店に絞り込んだ結果です。数を絞ったぶん、確認の精度を優先しました。
値段の相場——1人前はいくらぐらいか
今回確認できた4店の値段を並べると、김삼보(을지로3가店)の8,000ウォンから、백채김치찌개・마찌삼の10,000ウォン、은주정の直近報告で12,000ウォン前後というレンジに収まりました。感覚としては、日本のコンビニでコーヒーを1杯買うのと同じか、少し高いくらいの金額です。ラーメンサリや豆腐サリといった追加トッピングは、店によって1,000〜2,000ウォンほど別料金がかかるケースがあるため、「1人前の本体価格+トッピング代」で考えておくと予算が立てやすくなります。
価格は変動しやすい情報です。今回列挙した金額はいずれも2026年8月27日時点で確認できた範囲のものであり、은주정のように情報源によって8,000ウォンから12,000ウォンまで差が出た店もありました。訪問直前に店頭のメニュー表や公式SNSで最新価格を確認するのが確実です。
ひとりで頼めるか——1人前OKの店とタイミング
1人旅・혼밥(ホンバプ/ひとりご飯)でも入りやすいかという観点では、김삼보明洞店が終日1人前の注文が可能で、いちばん気軽に使えます。은주정は昼13:30以降であれば1人前で注文できますが、それより前の時間帯や夜は基本的に2人前からの삼겹살+김치찌개セットのみという構成です。백채김치찌개・마찌삼はメニュー表がもともと1人前単位の価格表記になっており、プデチゲの記事で見られたような「2人前以上」という注記は今回の調査では見当たりませんでした。とはいえ、公式に「혼밥可能」と明言されているのは김삼보のみで、他の2店は1人前の価格表記はあるものの、혼밥の可否そのものを明言する情報までは確認できなかったというのが正確なところです。
1人旅でソウルの食堂を選ぶコツをもっと広く知りたい人は、断られない店の見分け方をまとめた記事もあわせて参考にしてみてください。
辛さの目安と、辛さを抑える頼み方
キムチチゲの辛さは、使うキムチの熟成度合いや店のレシピによってかなり幅があります。묵은지(熟成キムチ)を使う店は、辛さよりも酸味とコクが強く出る傾向があり、마찌삼のように熟成キムチを看板にしている店はこのタイプに当てはまります。一方、辛さそのものを店側が個別に調整してくれるとは限らないため、辛さが苦手な人は事前の一言が頼りになるかもしれません。
注文時に使えるのが덜 맵게 해주세요(トル メプケ ヘジュセヨ/辛さ控えめでお願いします)というフレーズです。ただし、これで必ず辛さが変わるとは限らないのが実際のところ。現実的な対処法としては、卓上の물(水)や공기밥(ご飯)でスープを中和する、レンゲでスープをすくって少しずつ食べる、といった食べ方の工夫のほうが確実です。食堂での注文フレーズをもっと幅広く知っておきたい人は、注文フレーズ集の記事も役立つはず。アレルギーがある場合の伝え方は、アレルギーの伝え方をまとめた記事を参考にしてください。
パンチャンとおかわり、締めの一品
韓国の食堂では、キムチチゲにも반찬(パンチャン、副菜)が数皿付いてくるのが一般的です。今回確認した店の情報でも、공기밥(ご飯)やラーメンサリの扱いに違いがあり、백채김치찌개では追加のラーメンサリが1,000ウォン、豆腐サリが2,000ウォンという別料金でした。一方、마찌삼では昼のメニューに限って공기밥が無料という情報もあり、店・時間帯によって何が無料で何が有料かが変わる点は覚えておくとよさそうです。
締めの一品としては、プデチゲの店でよく見られる볶음밥(炒めご飯)がキムチチゲの店にもあることがありますが、今回確認した4店のメニュー情報の中では、締めの볶음밥を明確に案内している店は確認できませんでした。気になる場合は、注文時にお店の人へ直接確認するのが早道です。
ランチとディナーで何が違うか
은주정のように、昼と夜でメニュー自体が変わる店があるのはキムチチゲならではの特徴です。昼は쌈 싸먹는 김치찌개という単品、夜は삼겹살+김치찌개のセットのみという構成で、「昼だけ1人前OK」という制約もこのメニュー切り替えに由来しています。마찌삼でも昼は김치찌개・김치찜といった食事メニュー中心、夜は삼겹살などの焼き肉メニューが加わる構成になっていると複数のブログで紹介されていました。
オフィス街に近い店ほど、平日の昼どきは近隣で働く会社員の利用で混みやすい傾向も見えてきました。은주정は식신の記事で昼の行列が報じられており、마찌삼も宣陵駅周辺のオフィスワーカーの利用が多いとされています。ランチタイムの韓国の食堂全般の値段感や選び方については、韓国の昼ごはん記事で詳しく整理しているので、あわせてチェックしてみてください。
日本のキムチチゲ(キムチ鍋)との違いと、この記事が当てはまらないケース
日本でも「キムチ鍋」は定番の家庭料理ですが、スープの系統が韓国のキムチチゲとは異なります。日本のキムチ鍋はかつお節や昆布の出汁がベースになることが多く、韓国のキムチチゲのように発酵したキムチの酸味そのものがスープの主役になる作り方とは違う系統だと整理されています。日本国内で流通するキムチは、本場の発酵キムチに比べて発酵期間が短く、甘め・辛さ控えめに仕上げられている傾向があるとも言われており、これがそのまま鍋の味の違いにつながっているようです。日本の味に慣れていると、現地のキムチチゲの酸味と辛さに驚くかもしれません。

最後に、この記事が当てはまらないケースにも触れておきます。プデチゲやヘジャンクッ(酔い覚ましスープ)を探している人には、この記事の情報は当てはまりません。プデチゲはプデチゲの記事、朝から食べられるヘジャンククはヘジャンクッの記事をそれぞれ参考にしてください。また、家で作る用にスーパーで묵은지や調味料を探している人には、韓国スーパーの記事のほうが役立つはずです。
- 営業を確認できたのは乙支路の은주정、明洞の김삼보、冠岳区の백채김치찌개、江南・宣陵の마찌삼の4店(2026年8月27日確認)
- 1人前から終日注文できるのは김삼보のみ。은주정は昼13:30以降に限られる
- 値段は1人前8,000〜12,000ウォン程度のレンジで確認。追加のラーメンサリ・豆腐サリは店により別料金
- 辛さは店側の個別調整に頼らず、水やご飯での中和、レンゲでの調整が現実的な対処法
- 聖水・上水洞・성북구で名前が挙がった店は、今回は営業状況を裏付けきれず掲載を見送った
キムチチゲは、プデチゲのように発祥の地までこだわらなくても、ソウル市内のいろいろなエリアで気軽に楽しめる料理だということが今回の調査で見えてきました。オフィス街のランチ利用も多いぶん、平日の昼どきは混みやすい点だけ頭に入れて、時間帯を選んで訪ねてみてください。
参考・出典
- 서울관광정보(Visit Seoul公式)「은주정」ページ https://korean.visitseoul.net (2026年8月27日確認)
- 식신「을지로 ‘은주정’ 한국인의 소울푸드 김치찌개」(2026年4月19日付) https://www.siksinhot.com (2026年8月27日確認)
- Naverブログ「종로 을지로 김치찌개 맛집 은주정」(2026年1月18日付) https://blog.naver.com/jgj93152 (2026年8月27日確認)
- diningcode「김삼보 김치찌개 명동점」店舗ページ https://www.diningcode.com (2026年8月27日確認)
- Naverブログ「명동 김치찌개 혼밥 혼술 김삼보 명동역점」(2026年3月30日付) https://blog.naver.com/divelight (2026年8月27日確認)
- 백채김치찌개 公式サイト https://100chae.co.kr (2026年8月27日確認)
- Naverブログ「[봉천동, 서울대입구역] 백채김치찌개 본점」(2025年11月30日付) https://blog.naver.com (2026年8月27日確認)
- Naverブログ「강남 김치찌개 맛집 마찌삼 본점」(2026年8月4日付) https://blog.naver.com (2026年8月27日確認)
- diningcode「마찌삼 선릉본점」店舗ページ https://www.diningcode.com (2026年8月27日確認)

