「免税店で買えば、韓国でも日本でも同じくらい安いはず」——なんとなくそう思っていませんか。実は「免税店」と「事後免税(タックスリファンド)」はそもそも別の制度で、しかもその中身は韓国と日本でかなり違います。この記事では、酒・たばこ・コスメについて「日韓どちらの免税店が安くなりやすいか」を、具体的な商品価格ではなく、為替や購入条件から整理します。
- 免税店(Duty Free)と事後免税(Tax Refund)は別物。韓国にも日本にも両方あるが、仕組みは国ごとに違う
- 具体的な商品価格の比較はしない。為替(ウォン・円)とその店が扱うブランドの構成で有利不利は簡単に入れ替わる
- 日本は2026年11月から、免税の受け取り方が「レジで税抜き」から「あとで還付」へ変わる予定(この記事の執筆時点ではまだ施行前)
- 韓国は市内免税店・オンライン購入分が出国する空港の引渡場でしか受け取れないという制約がある
- 酒・たばこ・コスメは「どちらの国が作ったブランドか」で有利な側が変わりやすいカテゴリ
「免税店」と「事後免税(タックスリファンド)」は別物——まず切り分ける
韓国旅行の情報でも、日本にいる外国人観光客向けの情報でも、「免税」という言葉はだいたい2つの意味で使われています。ひとつは免税店(Duty Free)——最初から税金の入っていない価格で売る店。もうひとつは事後免税(Tax Refund)——いったん税込みで払い、あとで税金分を返してもらう仕組みです。사후면세점(サフミョンセジョム)と呼ばれる韓国の事後免税店は、この2番目にあたります。
韓国側の免税店と事後免税の細かい手続き(受け取り場所・還付の条件・締切の目安など)は、すでに免税店と事後免税の違いをまとめた記事で詳しく整理しています。本記事はそこを土台にして、「日本の免税店とはどこが違うのか」「酒・たばこ・コスメはどちらで買うのが条件的に有利になりやすいか」という比較に絞ります。お土産の具体的な品目や店選びは韓国のお土産の選び方の記事に譲ります。
日本の「免税店」はどんな仕組み?——空港型と市中の消費税免税
日本の免税にも2つの系統があります。ひとつは成田・羽田などの空港の出国エリアにある免税店。保安検査を通過したあとの制限区域にあり、酒税・たばこ税・消費税などが免除された価格で販売されています。出国する人が対象で、購入した酒・たばこはそのまま国外へ持ち出す前提の商品です。年齢確認のため身分証の提示を求められることがあり、20歳未満には酒・たばこを販売していません(2026年9月13日確認)。
もうひとつが、街なかの消費税免税店。こちらは制度としてはっきり条件が決まっています。対象になるのは、入国後6か月未満の外国籍の非居住者、または海外に2年以上住んでいて一時帰国した日本国籍者(在留証明などの証明書類が必要)。購入額は一般物品が同一店舗・同日で税抜5,000円以上(上限なし)、消耗品は税抜5,000円以上50万円以下という下限・上限があります(2026年9月13日確認)。5,000円というと、コスメを2〜3点まとめて買えば届く水準です。
消耗品(化粧品・食品など)は指定の方法で梱包され、国内で開封すると消費税を徴収されることがある点も要注意。一般物品を国内で使わない梱包にすれば、消耗品と合算して扱ってもらうこともできます。購入のたびにパスポートを提示し、氏名・国籍・在留資格などが購入記録情報として残る仕組みです。
韓国の「免税店」はどんな仕組み?——買ってから空港で受け取る
韓国側にも同じく2系統あります。空港の出国エリアにある空港型免税店(仁川・金浦など)は、日本の空港免税店と同じ感覚で、その場で受け取ってそのまま搭乗できます。一方、明洞や龍山などにある市内免税店、そしてロッテ・新羅などが運営するオンライン免税店は、日本の消費税免税店とは受け取り方がまったく違います。
市内免税店・オンライン免税店で買った商品は、出国する空港・港の引渡場(인도장)でしか受け取れません。買ったその場で持ち帰ることはできず、パスポート・搭乗券・引換券の3点を提示して受け取る流れです。目安として、出発の1〜2時間前までに受け取りを済ませておく必要があります(店舗・空港により差がある目安・既存記事で2026年8月確認)。仁川空港の場合の引渡場の位置や締切は仁川空港の免税品受け取り方の記事、金浦空港の場合は金浦空港の免税店ガイドで個別に確認できます。
韓国の事後免税(タックスリファンド)は、レジ周りに「TAX FREE」表示のある一般店が対象で、日本の消費税免税店より対象になる店の幅が広いのが特徴。仁川空港のタックスリファンド窓口の場所は仁川空港タックスリファンドの記事にまとめています。「免税店で買った」「事後免税で戻ってきた」のどちらも、日本帰国時の免税枠とは別勘定になる点は共通です。

2026年11月、日本の免税制度が「その場で引く」から「あとで返す」へ変わる
ここは韓国と日本を比べるうえで見逃せない動きです。日本の消費税免税店の制度は、2026年11月1日からリファンド方式へ切り替わる予定(2026年9月13日時点ではまだ施行前・制度改正自体はすでに決定済み)。これまでのように店頭で消費税を差し引いて販売する方式は廃止され、いったん税込み価格で販売→購入記録情報を送信→出国時に税関の確認を受ける→店舗が確認情報を取得したうえで消費税相当額を返金という流れに一斉に変わります。背景には、免税で買った物品が国内で転売される不正が長年続いていた事情があるとされています。
この改正で日本の「消費税免税店」は、仕組みのうえでは韓国の「事後免税(タックスリファンド)」にかなり近づくことになります。裏を返せば、これまで日本のほうが「その場で安くなる」という手間の少なさで勝っていた場面が、2026年11月以降は薄れる可能性があるということ。ただし還付の方法や日数など、施行後の実際の運用がどうなるかは今の時点では確認できません。渡航直前に各店舗・観光庁の案内で最新の状況を確認するのが安全です。
この改正は街なかの消費税免税店の制度で、成田・羽田など空港の出国エリアにある酒・たばこの免税店とは別物です。「空港の免税店も11月から変わる」と混同しないよう、記事内でも分けて書いています。
お酒はどっちが安くなりやすい?——為替とブランドの生産国で条件が変わる
お酒は「どちらの国が作ったものか」で有利な側がはっきり分かれやすいカテゴリです。韓国焼酎や韓国産の伝統酒(マッコリなど)は、韓国の免税店・一般店ともに国内生産のぶん、輸入コストが乗らない価格で並びます。日本酒や日本の焼酎も同じ理屈で、日本の空港免税店のほうが品ぞろえも価格の土台も有利になりやすいのが自然な流れです。
問題はウイスキーやワインなど海外ブランドの輸入酒。こちらは各国の酒税・関税の仕組みに加えて、そのときのウォンと円の為替が価格に直結します。円が対ドルで弱いときは日本の免税店の値付けが相対的に割高に見えやすく、逆にウォンが強いタイミングでは韓国側が割高に見えることもあります。「いつ見たか」で結論が変わりやすいので、この記事では特定の銘柄・金額での比較はしません。日本に持ち帰れる酒の本数(3本・760ml換算)は韓国持ち込みと日本帰国の酒・たばこ本数の記事で確認してください。
たばこはどっちが安くなりやすい?——本数の上限も国で違う
たばこは酒よりも「その国の税率」に価格が引っ張られやすい品目です。免税店で買う場合でも、たばこ税の水準は国ごとの制度で決まっているため、どちらが安くなりやすいかは為替だけでなく各国のたばこ税の改定にも左右されます。日本は2021年10月にたばこの免税数量を半減させる改定を行っており、紙巻たばこなら200本が持ち帰りの上限です。韓国から日本へ持ち帰る場合の本数の考え方は、酒とあわせて韓国持ち込みと日本帰国の酒・たばこ本数の記事で整理しています。
免税店で「安いから」とまとめ買いしても、日本帰国時の免税枠を超えた分には課税されます。紙巻たばこ200本・加熱式たばこは個装等10個(紙巻200本相当)・葉巻50本・その他のたばこ250gという枠を超えた場合の扱いは、韓国から日本へ持ち帰るときの税関の記事にまとめています。「免税店の値段」と「持ち帰れる本数」は別の話なので、まとめ買い前にセットで確認しておくのが安全です。
コスメはどっちが安くなりやすい?——韓国製と海外ブランドで条件が逆になる
コスメも酒と同じ理屈が働きます。韓国ブランドのスキンケア・メイクは、韓国の免税店でも街の事後免税店でも、輸入コストが乗らないぶん条件的に有利になりやすいカテゴリ。一方、フランスなど海外ブランドの化粧品は、円が弱いタイミングでは日本の消費税免税店で買うほうが条件的に有利になる場面もあれば、逆になる場面もあります。ブランドの生産国を先に見るのが、価格そのものより確実な判断材料です。
購入の条件面でも違いがあります。日本の消費税免税店は1店舗・同日の合計が税抜5,000円以上という下限があり、韓国の免税店には同様の購入下限はありません(韓国の事後免税は1店舗・同日15,000ウォン以上が対象)。コスメを少量だけ買いたい人にとっては、この下限の有無も選ぶ材料になります。液体コスメを持ち帰る際の機内持ち込みルールは、免税店で密封されたものも含めて機内持ち込み液体化粧品のルールの記事で確認しておくと安心です。
買い方の手間で選ぶ——「その場で持ち帰れる」日本と「空港受け取り」の韓国
価格の条件だけでなく、買い方そのものの手間も日韓で違います。日本の空港免税店・消費税免税店は、いまのところ買ったその場で商品を受け取れます(2026年11月からは支払い方だけが変わり、商品自体はその場で受け取れる想定です)。滞在中に「ここで買う」と決めれば、それ以上の段取りはほぼ要りません。
韓国の場合、空港免税店ならその場で受け取れますが、市内免税店・オンライン免税店は買ったその後に空港での受け取りという工程が1回増えます。搭乗券の準備や、出発1〜2時間前までの受け取りという締切を意識する必要がある分、旅程に慣れていない人ほど段取りの手間を感じやすいはずです。逆に言えば、市内でゆっくり品ぞろえを見比べたい人には向いている仕組みでもあります。
- 買ったブランドの生産国は韓国製か海外製か——生産国側の免税店が条件的に有利になりやすい
- 受け取りの手間を避けたいなら、韓国は市内免税店より空港免税店を優先
- ウォン・円の為替をその場で見比べる。特定の銘柄を「いつでも韓国のほうが安い」と思い込まない
- 日本帰国時の免税枠(酒3本・たばこ200本・その他20万円)を超えないか計算しておく
よくある質問
まとめ
- 「免税店(Duty Free)」と「事後免税(Tax Refund)」は別物。韓国にも日本にも両方あるが仕組みは違う
- 日本は2026年11月から免税店の受け取り方が「その場で税抜き」から「あとで還付」へ変わる予定(執筆時点で施行前)
- 韓国の市内免税店・オンライン免税店は出国する空港の引渡場でしか受け取れない。空港免税店はその場で受け取り可能
- お酒・コスメは「どちらの国のブランドか」で有利な側が変わりやすく、輸入品は為替次第で入れ替わる
- たばこは各国の税制の影響が大きく、免税店の値段と持ち帰れる本数は別の話として管理する
- 受け取りの手間まで含めて、自分の旅程に合う店を選ぶのが現実的
仁川・金浦それぞれの免税品受け取りの流れも、あわせて確認しておくと当日困りません
韓国の免税店と事後免税の使い分けを見る受け取り場所・還付の条件をまとめて確認
参考・出典
- 観光庁(日本)消費税免税店サイト(対象者・購入下限額・上限額・パスポート提示の要件)/mlit.go.jp(2026年9月13日確認)
- ビジコム「免税制度改正を解説!リファンド方式への変更点」(2026年11月施行の制度改正の内容)/busicom.co.jp(2026年9月13日確認)
- 道濟会計事務所「リファンド方式 2026年11月施行」/dosai.jp(2026年9月13日確認)
- 成田国際空港 店舗詳細(出国エリア免税店の位置づけ・酒たばこの年齢確認)/narita-airport.jp(2026年9月13日確認)
- 財務省税関「海外旅行者の携帯品の免税範囲」(酒・たばこ・香水・20万円枠)/customs.go.jp(既存記事で2026年8月7日確認・再利用)
- 韓国 찾기쉬운 생활법령정보(免税店の区分・引渡場での受け取り)/easylaw.go.kr(既存記事で2026年8月4日確認・再利用)

