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チムジルバンには何度も行ったことがあるのに、「韓国の温泉」と聞かれると具体的な場所が浮かばない。そんな人、意外と多いのではないでしょうか。実は韓国にも源泉を持つ本格的な温泉地があり、チムジルバンとは成り立ちも過ごし方も違います。
韓国の温泉(オンチョン)は、源泉そのものが価値になる入浴施設で、複合休憩施設であるチムジルバンとは別物です。代表的な温泉地は温陽温泉(オニャンオンチョン)・水安堡温泉(スアンボオンチョン)・釜谷温泉(ブゴクオンチョン)・徳邱温泉(トックオンチョン)の4つ。ソウルから日帰りできる施設もあり、入浴スタイルは「男女別の伝統浴場」と「水着着用のプール型」の2種類に分かれます。
韓国の温泉「オンチョン」とチムジルバンの違い
韓国語で温泉は「온천(オンチョン)」と呼びます。地下から湧き出る温泉水そのものが主役で、泉質や湧出量が施設の価値を決めます。一方でチムジルバン(찜질방)は、大衆浴場に高温の低温サウナ室を組み合わせた韓国独自の複合休憩施設です。温度帯はおおむね50〜90度で、仮眠・食事・娯楽まで一体化していることが多く、泉質そのものより「過ごし方」が価値の中心になります。
さらにややこしいのが「한증막(ハンジュンマク)」です。これはチムジルバンの中核をなす発汗用の蒸し部屋そのものを指す言葉で、現在は独立した施設としてより、チムジルバンの一室として組み込まれているケースが大半です。ハンジュンマクの詳しい入り方や注意点は、ソウルのハンジュンマク施設ガイドで個別にまとめているので、そちらを参照してください。
整理すると、温泉は「源泉のある入浴施設」、チムジルバンは「サウナ+休憩の複合施設」というのが編集部の整理です。実際には温泉地のホテルがチムジルバンを併設していることも多く、両者は排他的な関係ではありません。チムジルバン全体の型や選び方はチムジルバンの基本ガイドで扱っているので、この記事では「温泉」に主語を絞って書きます。

代表的な温泉地① 温陽温泉(オニャンオンチョン)
忠清南道・牙山(アサン)市にある温陽温泉は、三国時代から使われてきたとされる韓国屈指の歴史ある温泉地です。朝鮮王朝時代には歴代の王が療養のために訪れたと伝えられており、単なる観光地ではなく「王室の湯治場」としての顔も持つ土地。
アクセスの良さも強みで、2004年に京釜高速鉄道の天安牙山(温陽温泉)駅、2008年には首都圏電鉄1号線の温陽温泉駅が開業しました。ソウルから鉄道1本で温泉街の目の前まで行けるのは、他の地方温泉地にはない強みかもしれません。温泉街には宿泊施設や飲食店が集積し、日帰りでも宿泊でも選択肢が持てます。
ただし今回の調査では、牙山市の公式観光サイトに直接アクセスできず(2026年9月8日時点でセキュリティ制限により閲覧不可)、施設数や現在の営業状況の一次確認までは行えませんでした。施設の営業状況は、訪問前に牙山市の観光窓口や現地の最新情報での確認が必須です。
- 歴史: 三国時代から使われてきたとされ、朝鮮王朝の王も療養に訪れた記録がある
- アクセス: ソウルから京釜高速鉄道・首都圏電鉄で温泉街の駅に直結
- 確認できていないこと: 牙山市公式サイト未到達のため、現在の施設数・営業状況は要現地確認
代表的な温泉地② 水安堡温泉(スアンボオンチョン)
忠清北道・忠州(チュンジュ)市の水安堡温泉は、韓国で唯一「中央集中管理方式」を採用している温泉地です。忠州市が温泉水を直接管理しており、地域内のどの浴場でも同じ水質の温泉に入れるのが特徴。水温は53度、弱アルカリ性(pH8.3)で、約3万年前から湧き続けているとされています。
忠州市の公式観光ページによると、朝鮮王朝の太祖・李成桂(イ・ソンゲ)が皮膚の治療のためにこの温泉を訪れたという伝承も残っています。史実としての検証は難しいものの、「治療のための湯」として語り継がれてきた土地であることは確かでしょう。
宿泊施設としては露天風呂を備えた大型リゾートホテルや、街なかの温泉ホテルが確認できています。温泉街全体では宿泊・飲食・民宿を合わせて数百カ所規模の施設が集まっているとされますが、正確な最新の軒数までは一次情報で追い切れていません。「大きな温泉街がある」という規模感で捉えてください。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 管理方式 | 忠州市による中央集中管理(韓国内で唯一) |
| 泉質 | 弱アルカリ性、水温53度 |
| 確認できた宿泊施設 | 露天風呂付きの大型リゾート、街なかの温泉ホテル |
代表的な温泉地③ 釜谷温泉(ブゴクオンチョン) — 廃業と再生のいま
慶尚南道・昌寧(チャンニョン)郡の釜谷温泉は、少し複雑な事情を持つ温泉地です。かつて中核施設だった大型リゾート「釜谷ハワイ」は、経営悪化により2017年5月28日に閉業しました。建物は現在も廃墟として残っており、この一点だけを見ると「もう終わった温泉地」に見えてしまいます。
「釜谷ハワイ」という施設名と「釜谷温泉」という地域名は別物です。施設は閉業していますが、温泉地としての釜谷温泉そのものは営業を続けています。混同しないよう注意してください。
2026年2月18日付の地元紙報道(釜山日報)によると、釜谷温泉は老朽化した大衆浴場を子供連れ向けの「キッズホテル」へリニューアルする動きが進み、30〜40代の若い夫婦の利用が増えています。同時点で24の温泉・宿泊事業者が約1,500室規模を運営しており、前年の年間来訪者数は300万人を超え、8年ぶりに300万人台を回復したとのこと。光の道や黄土の道といった新しい散策スポットも整備されました。
- 確認できたこと: 「釜谷ハワイ」は2017年5月に閉業。建物は現在も廃墟
- 確認できたこと: 温泉地としての釜谷温泉は再生中。2026年2月時点で24事業者・約1,500室が営業
- 確認できていないこと: 個々の宿泊施設の最新の営業時間・料金は施設ごとに要確認
代表的な温泉地④ 徳邱温泉(トックオンチョン)
慶尚北道・蔚珍(ウルジン)郡の徳邱温泉は、行政自治部が認定した「慶尚北道1号 国民保養温泉」です。応鳳山(ウンボンサン)の中腹から自然湧出する温泉水を使っており、加温や地下水との混合をしていない42.4度・弱アルカリ性の湯という点が最大の特徴です。
施設公式サイトによると、1日あたり約2,000トンが自然に湧き出ており、夜間は使い切れない温泉水を流してしまうほど湧出量に余裕があるといいます。年中無休で営業しており、露天温泉やジャスミン湯、原木を使った浴槽、子供用プールなど複数の湯船を備えています。
山あいに一軒宿として建つロケーションのため、ソウルからの公共交通のアクセスは決して良くありません。公式サイトにも交通情報の記載がなく、問い合わせは電話(054-782-0677)が案内されています。日帰りというよりは、1〜2泊してじっくり湯につかる温泉地と捉えるのが実情に合っています。
ソウル近郊で日帰りできる温泉施設
ここまでの4つの温泉地は、いずれもソウルから電車や車で数時間かかる地方都市です。もっと手軽に日帰りで温泉気分を味わいたいなら、京畿道エリアの施設が候補になります。代表例として名前が挙がるのは、利川(イチョン)のドイツ式温浴施設や、抱川(ポチョン)・華城(ファソン)の老舗温泉サウナです。
ただし今回の調査では、これらの施設の公式サイトに直接到達できず、営業時間や料金の一次確認は完了していません。旅行メディアの紹介では「ソウルから車で1時間前後」という記述が複数見られますが、季節や曜日で営業時間が変わり、悪天候時は臨時休業もあると案内されています。訪問前に必ず施設の公式サイトで最新情報を確認してください。
日帰り温泉と合わせて、ソウル市内の観光もまとめて計画したい人には、市内観光チケットをまとめて比較できるサービスを使う手もあります。個別の温泉施設のチケットではありませんが、移動や周辺観光の予約をまとめておくと、日帰りの限られた時間を有効に使えます。
Klookのソウル観光チケット一覧では、市内の観光スポットや移動手段のチケットをまとめて比較できます。日帰り温泉と組み合わせて周辺観光の予定を立てたい人は、出発前にチェックしておくと計画が立てやすくなります。
プールのように泳いで楽しむタイプの温浴施設が気になる人は、ソウルのプール・ウォーターパーク特集もあわせてチェックしてみてください。温泉との違いが分かると、行き先選びがぐっと楽になります。
入浴の作法 — かけ湯・タオル・水着・入れ墨
韓国の温泉施設は、大きく2つのタイプに分かれます。ひとつは男女別で裸のまま入る「伝統浴場型(대욕장)」。もうひとつは男女混浴が基本で、水着とスイムキャップの着用が必須の「温泉プール型」です。同じ「温泉」という言葉でも中身がまったく違うので、予約の前にどちらのタイプか確認するのが失敗しないコツです。
水着着用に関する具体的な案内としては、江原道の複合リゾート施設が公式サイトで「清潔な水質管理のため、入水時は水着と水泳帽(キャップ)を着用してください」と案内している例があります。これは個別の施設の案内であり、韓国全体の統一ルールではありませんが、「プール型は水着必須」という傾向をつかむ参考にはなります。
入れ墨(タトゥー)の可否は、施設ごとに基準がばらばらというのが実情です。露出しないようラッシュガードなどで覆うことを条件に入場を認める施設がある一方、全国共通のルールは存在しません。入れ墨がある人は、断定的な情報を鵜呑みにせず、訪問前に施設へ直接確認するのが一番確実です。
タオルの扱いは施設によって異なります。徳丘(トック)温泉の公式利用案内では、ビーチタオルの貸出料金が2,000ウォン、紛失時の弁償料金が7,000ウォンと明記されています。雪海院(ソレウォン)温泉の公式案内でも、温泉サウナ料金にタオル・ベッドタオルが含まれるプランがあります(いずれも2026年9月8日確認)。ただし、かけ湯の作法については自治体・施設の公式な一次情報で明文化されたものを見つけられませんでした。一般的な韓国の大衆浴場(モギョクタン)文化として、浴槽に入る前にシャワーで体を流す慣行があるとよく紹介されますが、これは編集部が複数の紹介記事から拾った傾向であり、断定はできません。不安な人は現地でまわりの様子を見てから合わせるのが無難です。
- 伝統浴場型: 男女別・水着なしが基本。日本の温泉に近い感覚
- 温泉プール型: 男女混浴が多く、水着とスイムキャップが必須
- 入れ墨: 全国共通ルールなし。施設ごとに要確認
- かけ湯・タオルの扱い: 一次情報での明文化は未確認。現地の様子を見て合わせるのが安全
料金の目安・家族湯・秋冬に行く価値・日本の温泉との使い分け
料金は施設・時間帯・季節で変わるため、この記事では具体的な金額を断定しません。体感としては、日帰り温浴施設の入場料は都市部のチムジルバンとだいたい同じレンジで、シートマスク数枚分くらいの出費感覚と捉えておくと予算が立てやすいはずです。正確な金額は必ず訪問直前に公式サイトで確認してください。
家族湯や個室風呂については、水安堡温泉のリゾートホテルで露天風呂を備えた施設や、家族湯を掲げるホテルの存在を確認しています。ただし部屋数や予約の可否まではホテルごとに差があるため、家族連れで検討している場合は事前に施設へ直接問い合わせるのが確実です。
秋冬に行く価値については、明確な統計での裏付けまでは確認できませんでしたが、複数の旅行メディアが「寒い季節ほど温泉のありがたみが増す」という切り口で秋冬の温泉特集を組んでいます。屋外の露天風呂がある温泉地では、外気との温度差を楽しめる季節という点は感覚的にも納得しやすいところです。防寒対策を含めた韓国旅行の服装選びは季節別の服装ガイドで詳しく扱っています。
マッサージやエステ系のスパで疲れを取りたい派の人には、温泉とはまた違う選択肢になります。施術メインで探しているならソウルのマッサージ・スパ特集のほうが目的に近いはずです。何度も韓国に行っていて定番スポット以外を探している人は、3回目以降の韓国旅行コースで温泉地を組み込んだプラン例も紹介しています。
よくある質問
まとめ
- 韓国の温泉(オンチョン)は源泉が主役の施設で、チムジルバンとは別物
- 代表的な温泉地は温陽・水安堡・釜谷・徳邱の4カ所。釜谷は旧施設の閉業と地域の再生を分けて理解する
- 入浴スタイルは「伝統浴場型(水着なし)」と「温泉プール型(水着必須)」の2種類
- 入れ墨の可否・料金・営業時間は施設ごとに差があり、断定情報は訪問前に公式サイトで確認する
- ソウル近郊の日帰り施設も選択肢になるが、公式情報での最終確認は現地直前に行う
気になる温泉地が決まったら、まずは公式サイトや電話で当日の営業状況を確認してから予定を組んでみてください。旅の安全面が気になる人は韓国旅行の安全ガイドも合わせて読んでおくと安心です。
参考・出典
- 忠州市公式観光ページ(水安堡温泉) https://www.chungju.go.kr/tour/contents.do?key=2758
- 徳邱温泉スパワールド公式サイト https://www.dukgu.com/dg/hotnspa/spa_info
- 国際新聞(釜山日報)2026年2月18日配信「釜谷温泉が復活」 https://v.daum.net/v/20260218182332288
- ナムウィキ「釜谷ハワイ」 https://ko.wikipedia.org/wiki/%EB%B6%80%EA%B3%A1%ED%95%98%EC%99%80%EC%9D%B4
- 設海苑(江原道)公式サイト 温泉プール案内 https://www.seolhaeone.com/hotspring/pool.do
- 韓国観光公社 訪韓観光情報サイト(温陽温泉紹介) https://korean.visitkorea.or.kr/detail/ms_detail.do?cotid=55c3ae31-7d81-4e52-864c-b8cead09376f

