辛さの相談がしやすいのは、スープや調味を注文ごとに仕上げるタイプの料理です。反対に、チャジャン麺のようにソースをまとめて仕込んでおくタイプの料理は、そもそも辛くないことが多く、辛さの相談自体があまり発生しません。量については、麺料理は大きく2つの頼み方に分かれます。最初の一杯を大盛りにする곱빼기と、スープ・鍋はそのままで麺だけを後から足す사리 추가です。追加料金の有無や金額は店ごとに差が大きいため、この記事では金額を断定せず、店頭で確認する動き方を中心に書いています。
「これ、辛さ弱めにできますか?」「麺だけ足せますか?」、韓国の食堂でメニューを前にして、聞いていいのか迷ったことがある人は多いはずです。カルグクスもチャジャン麺も冷麺もプデチゲのラーメンも、見た目は似ていても「辛さの相談がしやすい料理」と「そもそも相談の対象になりにくい料理」があります。この記事では、麺料理ごとに辛さと量の調整がどこまで頼めるのか、そして곱빼기(コッペギ=大盛り)と사리 추가(サリ チュガ=麺追加)という2つの言葉の違いを中心に整理します。
結論から:麺の辛さと量、調整できるかの全体像
韓国の麺料理を注文するとき、まず頭に入れておきたいのは「辛さを弱められるかどうか」と「量を増やせるかどうか」は、まったく別の話だということです。辛さの調整は、そのスープや味付けが注文を受けてから仕上げられているかどうかに左右されます。鍋やスープの状態で出てくる料理は、店員に伝えれば唐辛子だれを控えめにしてもらえることがあります。一方、あらかじめ大量に仕込んで小分けにしておくタイプのソースは、1人前だけ辛さを変えるのが構造的に難しく、そもそも相談の余地が小さくなります。
量については、韓国語で2つの言葉を覚えておくと迷いにくくなります。ひとつは곱빼기で、これは最初に頼む一杯自体を大盛りにする注文です。もうひとつは사리 추가で、鍋やスープはそのままに、麺だけを途中から追加する頼み方です。プデチゲやチゲ系の料理でよく使われる言い方で、カルグクスのような麺料理単体でも使われることがあります。この2つを混同すると、店員に意図が伝わりにくくなるので、まずは言葉の役割の違いを押さえておくと安心です。
辛さを調整できる料理・できない料理の見分け方
辛さを弱められるかどうかを見分けるいちばん簡単な目安は、「そのスープや味付けは、注文のたびに仕上げられているか」という点です。鍋や麺料理のスープを、あらかじめ大鍋で作り置きしているタイプは、1人前だけ辛さを変えることが構造的に難しくなります。反対に、注文を受けてからだしを取ったり、薬味を後乗せするタイプの料理は、辛さの調整がしやすい傾向があります。
もうひとつの目安は、辛さの由来がどこにあるかです。唐辛子粉やコチュジャンをスープ自体に溶かし込んでいる料理は、後から辛さを抜くことができません。一方、辛い薬味やタレが「別添え」もしくは「後のせ」になっている料理であれば、量を加減してもらいやすくなります。この記事で扱うカルグクス・チャジャン麺・冷麺・プデチゲのラーメンは、この2つの軸で見ると特徴がはっきり分かれます。カルグクスとプデチゲのラーメンは仕上げの自由度が比較的高く、チャジャン麺と비빔냉면(ビビン冷麺)は作り置きのソース・タレに依存する部分が大きい、という違いです。
「辛さを弱めてほしい」と伝えても、店によっては仕込みの都合で対応できないことがあります。断られた場合は、無理に交渉せず、辛くない別の料理に切り替えるのもひとつの方法です。辛くない韓国料理の選び方は、別記事の辛いのが苦手でも食べられる韓国料理の記事にまとめているので、あわせて確認してみてください。
カルグクス(칼국수):辛さの相談と麺追加(사리)の頼み方
칼국수(カルグクス)は、包丁(칼)で切った(국수)手打ち風の麺料理で、鶏だしや煮干しだしのあっさりしたスープが基本形です。もともと辛い料理として作られていないことが多いため、「辛さを弱めてほしい」という相談自体が発生しにくいのが特徴です。ただし店によっては얼큰칼국수(オルクンカルグクス=辛味仕立てのカルグクス)のような辛い系統のメニューを別に用意していることがあり、その場合は注文時に辛さの希望を伝えられる余地があります。
量の面では、カルグクスは鍋やスープの状態で提供される料理なので、사리 추가(麺追加)の相談がしやすい料理のひとつです。スープが残っている状態で「麺、追加できますか?」と聞けば、麺だけを追加でゆでて足してもらえることがあります。カルグクス専門店の中には、麺の量に幅を持たせている店もあるため、最初から多めに食べたい人は、注文時に「量を多めにできますか」と聞いてみるのも手です。カルグクスの基本情報や、日本で味を再現する方法についてはカルグクスとうどんの違いを整理した記事で詳しく扱っています。
チャジャン麺(짜장면):大盛り(곱빼기)が中心、辛さの相談は対象外
짜장면(チャジャン麺)は、춘장(チュンジャン)という黒みそベースのソースを、店の厨房でまとめて仕込んでおくタイプの料理です。ソースそのものに辛味を持たせているわけではないので、そもそも「辛さを弱めてほしい」という相談の対象にはなりにくい料理といえます。もし辛さのある中華麺を食べたいなら、チャジャン麺ではなく짬뽕(チャンポン)を選ぶほうが、辛さの相談自体は成立しやすくなります。
その代わり、チャジャン麺でよく使われるのが곱빼기(コッペギ)という大盛りの頼み方です。最初の注文時に「곱빼기で」と伝えるか、メニュー表に곱빼기の項目があれば選ぶだけで、麺の量を増やした状態で提供してもらえます。これは사리 추가とは違い、鍋やスープが残っている状態で後から追加するのではなく、最初の一杯自体を大盛りで注文する形です。値段は店によって差があるため、メニュー表に곱빼기の記載があるかを確認するか、注文時に店員に聞いておくと安心です。チャジャン麺の店ごとの選び方や、韓国式中華の定番の組み合わせ方はチャジャンミョンの頼み方と店の選び方の記事で詳しく整理しています。
冷麺(냉면):물냉면と비빔냉면、大盛りの頼み方
冷麺は大きく2種類の頼み方があります。물냉면(ムル ネンミョン=水冷麺)は、酸味のあるだしにつかった状態で提供され、辛さはほとんどありません。もう一方の비빔냉면(ビビン ネンミョン)は、コチュジャンベースの薬味だれをあらかじめ麺に絡めて提供するスタイルが多く、チャジャン麺と同じように「作り置きのタレを絡めてから出す」料理にあたります。そのため비빔냉면は、注文後に辛さを弱めてほしいと伝えても、店によっては対応が難しいことがあります。辛さを避けたい場合は、最初から물냉면を選ぶほうが確実です。
量については、冷麺も곱빼기という言い方が使われます。麺の量を多めにしてほしいときは、注文時に「곱빼기で」と伝えるのが基本の形です。店によっては「양많이(ヤン マニ=量を多めに)」のような言い方が使われることもあるようですが、共通して通じやすいのは곱빼기です。물냉면と비빔냉면を両方食べたい人向けに、器を分けて両方を少しずつ楽しむ注文の仕方を用意している店もあります。冷麺の老舗の違いや、注文で使う韓国語の細かい言い回しはソウル冷麺の記事で扱っているので、店選びから知りたい人はそちらもあわせて読んでみてください。
| 言葉 | 意味 | 使う場面の例 |
|---|---|---|
| 곱빼기(コッペギ) | 最初の一杯を大盛りで注文する | チャジャン麺・冷麺・カルグクスなど |
| 사리 추가(サリ チュガ) | スープ・鍋はそのままで麺だけ後から追加 | プデチゲ・鍋物・カルグクスなど |
| 덜 맵게 해 주세요(トル メプケ ヘジュセヨ) | 辛さを弱めにしてほしいと伝える | 注文ごとに仕上げるスープ系の料理 |
プデチゲ(부대찌개)とラーメン:ラミョンサリ(라면사리)の追加の頼み方
부대찌개(プデチゲ)は、ハムやソーセージ、キムチなどを一緒に煮込む鍋料理で、多くの店で라면사리(ラーメンサリ)という即席麺の追加が定番の注文になっています。鍋が卓上のコンロにかかっている状態で提供されることが多いため、途中で「라면사리 추가해 주세요(ラーメン、追加してください)」と伝えれば、追加のラーメンを鍋に入れてもらえる店が一般的です。ラーメン以外にも、餅やチーズなど、鍋に足せる具材を別料金で用意している店もあります。
一方で辛さについては、プデチゲは鍋全体の味付けがすでに決まった状態で提供されるため、1人前だけ辛さを弱めてもらうのは難しい料理です。複数人で1つの鍋を囲むスタイルが多いことも、個別の辛さ調整がしにくい理由のひとつです。どうしても辛さが心配な場合は、注文前に店員へ辛さの程度を確認しておくか、辛くない別の鍋料理を選ぶほうが確実です。プデチゲを1人前から頼める店・2人前から必要な店の違いや、注文の実際の流れについてはプデチゲの記事にまとめています。
「덜 맵게 해 주세요」を使うコツと限界
辛さを弱めてほしいときの基本フレーズは덜 맵게 해 주세요(トル メプケ ヘジュセヨ)です。直訳すると「もっと少なく辛くしてください」という意味で、注文時にひとこと添えるだけで伝わります。より丁寧に聞きたい場合は「덜 맵게 해 주실 수 있나요?(トル メプケ ヘジュシル ス イッナヨ)」のように、疑問形で頼む言い方もあります。発音に自信がなければ、スマートフォンの翻訳アプリの画面を見せたり、メニュー表を指さしながら伝えるだけでも十分に通じます。
ただし、このフレーズが効くのは、注文を受けてから仕上げるタイプの料理に限られます。この記事で見てきたように、チャジャン麺や비빔냉면のようにソース・タレをあらかじめ仕込んでおくタイプの料理では、店側が個別に辛さを変える工程を持っていないことが多く、頼んでも「これはできません」と断られることがあります。断られたこと自体は珍しいことではないので、その場合は無理に交渉せず、次の一手として辛くない料理に切り替える判断をするのがスムーズです。韓国の食堂での注文全般に使える基本フレーズは韓国の食堂の注文フレーズの記事にまとめているので、辛さ・量以外の場面ではそちらを参考にしてください。
追加料金はいくら増える?店で確認する動き方
곱빼기や사리 추가をすると、多くの店で追加料金がかかります。ただし金額は店ごとの差が大きく、大手チェーンであっても公式サイトの案内だけでは確認しきれない場合があります。この記事では、特定の店名をあげて「〇〇円(2026年9月確認)」というかたちで金額を断定することは避けています。時期や店舗によって値上げ・改定が起きやすい部分だからです。
現実的な動き方としては、まずメニュー表に곱빼기や사리 추가の項目と金額が書かれているかを確認し、書かれていなければ注文時に「곱빼기하면 얼마예요?(コッペギ ハミョン オルマエヨ=大盛りにするといくらですか)」と一言聞いてしまうのが確実です。無料でお代わりできる店もあれば、追加料金が発生する店もあり、この差は同じ料理のジャンルの中でも店ごとに大きく分かれます。金額を先に聞いておけば、会計時に想定と違って戸惑うことも防げます。なお、パンチャン(おかず)のおかわりは、麺やスープの追加とはまた別の仕組みで、無料が原則という店が多い分野です。詳しくは韓国のおかず(パンチャン)はおかわり無料?の記事で扱っています。
- 곱빼기・사리 추가の金額はメニュー表を先に確認する
- 書かれていなければ「〇〇하면 얼마예요?」と注文時に聞く
- 無料お代わりの店・有料の店、どちらもあると考えておく
- 一人で行く場合は、量より先に「1인분(1人前)で頼めるか」を確認する
一人で食事をする場合、量の相談の前に、そもそも1人前で注文できるかどうかが問題になる店もあります。カルグクスやクッパのように1人前でも入りやすい業態もあれば、鍋物のように複数人前からしか頼めない店もあります。一人ご飯で入りやすい店の見分け方はソウルで一人ご飯、断られない店の見分け方の記事にまとめているので、一人旅の人はあわせて確認しておくと安心です。
辛さの変更と大盛り麺追加の違い
辛さと量は料理の作り方で変わる

韓国の麺料理は、辛さと量のどちらも「相談すればどうにかなる」わけではありません。スープや味付けを注文ごとに仕上げる料理(カルグクス・プデチゲのラーメンなど)は辛さの相談がしやすく、ソースをまとめて仕込んでおく料理(チャジャン麺・비빔냉면)は、そもそも辛くないか、辛さの後調整がしにくい構造になっています。量については、곱빼기(最初から大盛り)と사리 추가(後から麺だけ追加)という2つの言葉を使い分けられれば、迷わず注文できるはずです。
- 辛さの相談は、注文ごとに仕上げるスープ系の料理で通りやすい
- チャジャン麺や비빔냉면は、そもそも辛さの相談自体が発生しにくい
- 곱빼기=最初から大盛り、사리 추가=後から麺だけ追加、という役割の違いを覚えておく
- 追加料金の有無・金額は店ごとに差が大きいため、注文時に確認する
- 一人で行く場合は、量の前に1人前で頼めるかどうかを確認する
迷ったときは、無理に韓国語のフレーズを完璧に覚えようとしなくても、メニュー表を指さしながら「곱빼기?」「사리 추가?」と一言添えるだけで、店員に意図は伝わります。辛さについても、断られることを前提に、まずは聞いてみるくらいの気持ちでいると、当日の注文がスムーズになるはずです。
参考・出典
- 本記事は麺料理の作り方・提供スタイルに関する一般的な情報と、韓国語の基本フレーズの用法をもとに整理しています。곱빼기・사리 추가の具体的な金額は店舗・時期によって差が大きいため、本文では店名を固定した金額の記載を避けています
- 最新の곱빼기・사리 추가の可否・金額は、各店舗の店頭メニュー表、または訪問前の電話・公式SNSでの確認をおすすめします
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