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本屋の韓国語コーナーやAmazonの検索結果を開くと、入門書・総合テキスト・単語集・文法辞典・TOPIK対策本がずらりと並んでいて、「結局どれから買えばいいの」と手が止まった経験がある人は多いはず。レビューの評判だけを頼りに1冊買ってみたら、開いたページの説明が難しすぎた、あるいは簡単すぎた、ということもありますよね。
選択肢が多く見えるのは、実は「今どの段階にいるか」を決めていないから。韓国語能力試験TOPIKと韓国の国立国語院が示す「初級・中級・高級」という段階区分に自分を当てはめれば、買うべき本の種類はかなり絞り込めます。この記事では、出版社の書誌情報で確認できたテキストだけを使い、入門から中級までの段階ごとに1冊ずつ整理しました。
最初の1冊で迷うのは、選択肢が多いからではなく「順番」が分からないから
韓国語の学習本コーナーは、実はジャンルがはっきり分かれています。「ハングルを読めるようにする入門書」「文法・単語・会話をまとめた総合テキスト」「単語だけを集めた単語集」「文法を確認するための辞典」「試験対策の問題集」。この5つが書店の棚でもオンライン書店の検索結果でも混在して表示されるため、初めて韓国語を学ぶ人ほど「全部そろえないといけない気がする」と感じてしまいます。
実際には、この5種類を同時に読む必要はありません。ハングルが読めない段階で文法辞典を開いても意味を成しにくいですし、TOPIK対策本は基礎の語彙が入っていないと問題文自体が読みにくくなります。段階を無視して評判の良さそうな本を買い集めると、本棚に未読のテキストが積み上がるだけになりがちです。
大事なのは「今の自分がどの段階か」を先に決めること。「何時間くらいで話せるようになるのか」という学習ペース全体の目安は韓国語の学習時間の目安をまとめた記事で扱っているので、ここでは段階ごとの本選びに絞って見ていきます。
独学の順番を決める、2つの公的な物差し
「発音→文法→単語→会話の順で学ぶべき」というような、単一の学習順序を公的機関が明文化した資料は見当たりませんでした。その代わりに使えるのが、試験制度と言語政策機関がそれぞれ示している段階区分です。1つ目はTOPIK(韓国語能力試験)の区分。TOPIK Iは1〜2級(聴解・読解のみ)、TOPIK IIは3〜6級(聴解・読解・作文)という2区分・6段階が公式に定義されています。
2つ目は、韓国の国立国語院(言語政策を担う国の機関)が策定した「国際通用韓国語標準教育課程」です。習熟度を「初級・中級・高級」の3段階に分け、各段階で「主題・語彙・文法・発音・機能」といった教育内容の領域を設定しています。この枠組みは、韓国政府系の韓国語教育機関である世宗学堂の標準教材づくりの基礎にもなっています。
| 段階 | TOPIKでの目安 | 本の種類 |
|---|---|---|
| 入門 | TOPIK受験前 | ハングルが読める総合テキスト |
| 初級 | TOPIK I(1〜2級) | 初級の総合テキスト+単語集 |
| 初中級〜中級 | TOPIK II(3〜4級) | 中級の総合テキスト+文法辞典 |

延世大学・ソウル大学などの大学付属の語学堂が原版を出している教材は、韓国語教材専門店で扱われていますが、出版社(大学出版部)の公式サイトで書誌情報を確認できなかったため、この記事の比較には含めていません。NHKの「まいにちハングル講座」のような通信・放送テキストも、号ごとに内容が変わる講座教材のため、同じ理由で対象外にしています。
この2つの物差しを使えば、「自分は今どこにいて、次に何を買えばいいか」を大まかに位置づけられます。次の見出しから、段階ごとに具体的な1冊を見ていきます。
入門(ハングルを読む)の段階で手に取る本
入門段階でまず必要なのは、한글(ハングル)を読めるようにしながら、あいさつや簡単な文型も並行して学べる総合テキストです。出版社の教材紹介では、この段階の教材を「まずハングルを読めるようになる本」と「本格的に総合学習する本」の2つに分けて紹介しているケースがあり、多くの入門〜初級の総合テキストは両方の要素を1冊に含む構成になっています。
書誌情報で確認できた1冊が、《新装版》できる韓国語 初級Ⅰです。新大久保語学院と李志暎氏の共著で、発行元はDEKIRU出版(発売元アスク出版)。対象は入門・初級で、本冊208ページ・別冊20ページ、2023年9月刊。音声はCDではなくダウンロード配信に切り替わっています。
このタイミングで名前をハングルでどう書くか気になった人は名前のハングル表記をまとめた記事、数字の読み方が気になる人は韓国語の数字の数え方の記事も、テキストと並行して確認すると理解が早まりやすい範囲です。
初級の総合テキストを選ぶ
入門段階のテキストを終えた後は、初級の総合テキストに進みます。《新装版》できる韓国語 初級Ⅱは、初級Ⅰの続きとして著者・発行元が同じ構成のシリーズで、本冊208ページ・別冊32ページ、2024年1月刊。音声はダウンロード配信(Zip形式)です。シリーズを通して学びたい場合、この2冊が初級の中心になります。
一方で、シリーズものではなく1冊で初級を通しで学びたい人向けの選択肢もあります。白水社の「基本が身につく みんなの韓国語 初級」は144ページとコンパクトで、会話スキットの音声が自然速度と低速の2種類でダウンロード配信されているのが特徴です。2024年5月刊で、できる韓国語シリーズとは出版社も構成も異なります。
| 書名 | 出版社 | ページ数 | 音声 |
|---|---|---|---|
| 《新装版》できる韓国語 初級Ⅱ | DEKIRU出版 | 本冊208p・別冊32p | ダウンロード配信(Zip) |
| 基本が身につく みんなの韓国語 初級 | 白水社 | 144p | ダウンロード配信(2種類の速度) |
シリーズを通しで積み上げたいか、1冊で完結させたいか。ここが2冊の分かれ目になります。
文法をひく本と、単語を覚える本は役割が違う
初級〜初中級のあたりから、総合テキストとは別に「文法をひく本」と「単語を覚える本」を分けて持つ人が増えます。役割がそもそも違うためです。文法辞典は最初から最後まで読み進めるものではなく、作文や会話で迷ったときに該当項目を調べる「ひく」使い方をする本。単語集は逆に、コツコツ覚えていく「積み上げる」使い方をする本です。
文法をひく本の定番として書誌情報を確認できたのが、三修社の「新装版 韓国語文法辞典」です。著者は白峰子氏(訳:大井秀明、監修:野間秀樹)で、556ページというボリューム。2004年刊行版をソフトカバー化した新装版で、2019年7月刊。内容自体は元版と同一とされています。
単語を覚える本としては、HANA出版の「改訂2版 hanaの韓国語単語〈入門・初級編〉」があります。対象はハン検(ハングル能力検定試験)4・5級レベルで、320ページ、音声はダウンロード配信(複数パターン)。2026年3月30日刊行の最新版で、2026年度のハン検はこの改訂2版の語彙リストに基づいて実施される予定です。
TOPIK対策の本はいつから買うか
TOPIK対策の本は、初級の総合テキストを一通り終えて、ある程度の語彙が身についてからのほうが取り組みやすい構成になっています。TOPIK Iは1〜2級(聴解・読解のみ、初級相当)、TOPIK IIは3〜6級(聴解・読解・作文、中級・高級相当)という区分なので、まずはTOPIK Iを目指す前提で対策本を選ぶ人が多い段階です。
書誌情報を確認できたのが、KADOKAWAの「はじめてのTOPIK I 公式ガイドブック」です。著者は李東俊氏、200ページ、音声はダウンロード配信のほか学習アプリ「abceed」にも対応しています。対象はTOPIK I(初級)向けで、2025年刊。
なお「公式」という言葉には注意が必要です。TOPIKそのものを主管しているのは韓国の国立国際教育院(NIIED)で、韓国語の原著問題集はNIIEDが発行しています。日本国内の出版社が付ける「公式ガイドブック」という名称は出版社側の呼び方であり、NIIEDが編集に関与した教材という意味ではありません。進学・就労で必要になるTOPIKの級数は制度ごとに個別に定められているため、その条件は必ず志望先・応募先の公式要項で確認してください。
音声がどう付いてくるかで、続くかどうかが変わる
本を選ぶときに書名やレベルと同じくらい見落とせないのが、音声の提供方法です。ここで紹介したできる韓国語シリーズ(初級Ⅰ・Ⅱ、中級Ⅰ・Ⅱなど)は、現行の「新装版」「改訂版」がすべてCDからダウンロード配信(Zip形式)に切り替わっています。ただし同じタイトルでも旧版にはCD付きのものが並行して流通しているため、「新装版」「改訂版」の表記があるかどうかを購入前に確認する必要があります。
できる韓国語シリーズは、初級Ⅰだけでも「旧版」「新装版(CD付き)」「新装版(音声配信版)」の3種類のISBNが並行して流通していることが書店横断検索で確認できています。この記事で紹介しているのは、いずれも現行の音声配信版・最新版のみです。中古で購入する場合は特に、版の表記をよく見てから選んでください。
単語集・文法辞典・TOPIK対策本も同様で、hanaの韓国語単語は複数パターンの音声がダウンロード配信、みんなの韓国語初級は自然速度と低速の2種類、はじめてのTOPIK I公式ガイドブックはabceedアプリ対応と、それぞれ提供形式が異なります。紙の本だけで完結させるのか、音声アプリと組み合わせて使うのかも、買う前に決めておくと迷いにくいポイントです。音声アプリと合わせてスマホでハングルを入力する場面が増えてきたら、ハングル入力の設定方法をまとめた記事も参考にしてみてください。
本だけで足りないと感じたときの選択肢
ここまで紹介した本を一通り進めても、「独学だけだと発音の確認がしづらい」「文法は分かるのに会話になると詰まる」と感じる段階が来ることがあります。テキストで積み上げた知識を、実際にアウトプットする機会に変えたいというタイミングです。
ここで紹介した「できる韓国語」シリーズは、新大久保語学院が制作したオリジナル教材で、発行元DEKIRU出版・発売元アスク出版というかたちで刊行されています。同じ新大久保語学院が運営するオンライン講座「できる韓国語オンライン」でも、この「できる韓国語」シリーズが使用テキストに指定されています。同じテキストを使って授業が受けられるので、独学で買った本を無駄にせずに続けられるのが特徴です。
できる韓国語オンラインアプリでスキマ時間に補いたい人は韓国語勉強アプリのおすすめ比較記事、講座を月額で比較したい人はオンラインレッスンの月額比較記事もあわせて確認すると、自分に合う組み合わせが見つけやすくなります。
1冊を終わらせる、という考え方
テキスト選びの記事なのに矛盾するようですが、独学でつまずきやすいのは「本を選ぶこと」よりも「1冊を最後まで終わらせること」だったりします。書店やSNSで新しい教材を見かけるたびに気になって買い足し、結果として複数の入門書を並行して少しずつ進める、という状態になっている人は少なくありません。
段階区分の枠組みで見ると、入門〜初級の総合テキストは、そのレベルで扱うべき文法・語彙・会話表現がひととおり収録されるように作られています。途中で別の入門書に乗り換えると、同じ範囲を初めからやり直すことになり、結果的に進みが遅くなりやすい、という設計上の性質があります。
もちろん、合わなければ別のテキストに変える判断自体は間違いではありません。ただ「合わないから変える」のか「新しいものが気になったから変える」のかは、区別しておいたほうがよさそうです。「終わらせた」の基準も本の種類で変わります。できる韓国語 初級Ⅰ・Ⅱのように本冊と別冊がセットになっている構成では、両方に一通り目を通した状態を1つの区切りにしやすい一方、単語集のように反復して使うタイプの本は、1回で終わらせるものではなく、総合テキストと並行して繰り返し開く前提で作られています。本の種類によって「終わらせる」の意味が違う、という点も覚えておくとよさそうです。
文法辞典・単語帳は最初に買わなくていい
入門〜初級の段階では、総合テキストと合わせて文法辞典・単語集まで買いそろえる必要はありません。できる韓国語 初級Ⅰ・Ⅱのような総合テキストには、本冊とは別に別冊(初級Ⅰは20ページ、初級Ⅱは32ページ)が付属しており、その回で扱う文法・単語の要点はすでにそこに収録されています。入門〜初級でつまずくポイントの多くは、総合テキスト1冊の範囲でカバーされている、というのが書誌情報から見える構成です。
文法辞典・単語集を追加するタイミングの目安になるのが、「総合テキストの説明だけでは足りないと感じたとき」です。三修社の韓国語文法辞典は556ページというボリュームがあり、体系的に調べる用途を想定した作りです。総合テキストを一通り終え、自分で文を組み立てる場面で「この文法、テキストのどこに書いてあったか思い出せない」となったタイミングで手に取ると、辞典としての役割を発揮しやすくなります。
単語集も同様で、hanaの韓国語単語のように語彙数を絞って収録するタイプの本は、総合テキストの語彙を一通り覚えた後の「上乗せ」として使うと重複が少なくなります。オッパ・オンニのような呼び方の使い分けなど、単語集だけでは説明しきれない文化的なニュアンスが気になってきたら、オッパ・オンニの使い分けをまとめた記事もあわせて確認してみてください。
よくある質問
まとめ
- 本選びで迷うのは選択肢が多いからではなく、自分の段階が決まっていないから
- TOPIK(1〜2級/3〜6級)と国立国語院の「初級・中級・高級」区分が、段階を決める公式の目安になる
- 入門〜初級はできる韓国語 初級Ⅰ・Ⅱ、あるいはみんなの韓国語 初級のような総合テキストから
- 文法辞典は「ひく」本、単語集は「覚える」本。役割が違うので両方を並行して持つ人が多い
- TOPIK対策本は初級を終えてから。「公式」の名称は出版社側の呼称である点も押さえておく
- できる韓国語シリーズは現行版がすべて音声配信。買う前に「新装版」「改訂版」の表記を確認する
旅行までにあいさつだけでも身につけたい人は、旅行で使える韓国語フレーズの記事もあわせてどうぞ。テキストと組み合わせて、自分に合ったペースで進めてみてください。
参考・出典
- アスク出版:できる韓国語 初級Ⅰ・初級Ⅱ 書誌情報 https://www.ask-books.com/book-details/?slug=9784866396798 (2026年8月20日確認)
- 三修社:新装版 韓国語文法辞典 書誌情報 https://www.sanshusha.co.jp/np/isbn/9784384054996/ (2026年8月20日確認)
- KADOKAWA:はじめてのTOPIK I 公式ガイドブック 書誌情報 https://www.kadokawa.co.jp/product/322411000927/ (2026年8月20日確認)
- HANA:改訂2版 hanaの韓国語単語〈入門・初級編〉紹介記事 https://www.hanapress.com/archives/22633 (2026年8月20日確認)
- 白水社:基本が身につく みんなの韓国語 初級 書誌情報 https://www.hakusuisha.co.jp/book/b664164.html (2026年8月20日確認)
- 新大久保語学院:できる韓国語オンライン 使用テキスト案内 https://www.dekirukorean.com/wte/text (2026年8月20日確認)
- TOPIK公式(国立国際教育院):試験区分・評価の説明 https://www.niied.go.kr/web/niied/contents/niied_topik (2026年8月20日確認)
- 国立国語院:国際通用韓国語標準教育課程 https://www.korean.go.kr/nkview/nklife/2018_2/28_0203.pdf (2026年8月20日確認)

