カンナム(江南)で美容クリニックに通うために宿を取る——このとき、予約サイトを開く前に決めておくと迷いが減ることがあります。そしてもうひとつ、宿のほうには税金が戻る制度が残っています。美容医療の還付が2025年末で終わったのとは対照的です。ただし「どのホテルでも」ではありません。
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本記事は公的情報・公式情報をもとにした情報提供であり、特定の施術や医療機関を勧めるものではありません。医療上の判断は必ず医師にご相談ください。税務上の取り扱いは個別の事情で変わります。
①クリニック通いの宿は、駅を選ぶ前に「1日に何回そこへ戻るか」を決めると絞りやすくなります。②外国人観光客の宿泊に対する付加価値税の還付は、2028年12月31日まで有効です(租税特例制限法第107条の2)。美容医療の還付は2025年末で切れたので、いまは宿だけが残っている状態です。③🚨ただし対象は「ホテル業」と「休養コンドミニアム業」の施設で、しかも文化体育観光部長官が告示した施設に限られます。④対象は30日以下の宿泊。⑤対象施設の一覧は文化体育観光部が四半期ごとに公告していて、時期によって入れ替わります。⑥還付は原則、出国港の保税区域内で受けます。満額とは限りません(承認された諸費用が控除されます)。
駅を選ぶ前に決めること
カンナムの宿は、駅ごとに性格がはっきり違います。路線と乗り換えの要否で選び分ける話は江南のホテルを駅で選び分ける記事にまとめてあるので、そちらが土台になります。この記事はその上に「クリニックに通う」という目的で乗る条件だけを足します。
効くのはこの一点です。
1日に何回、宿に戻るか
戻らない(朝出て夜帰る) … 駅の便利さより、夜に静かかどうかで選べます。範囲は広く取れます
1回戻る(施術のあと休んでから出直す) … クリニックから徒歩か1駅が効いてきます。ここで範囲が一気に狭まります
ほぼ滞在する … 部屋の設備(冷蔵庫・湯沸かし・洗面台の広さ)と、近くにコンビニや薬局があるかのほうが効きます
予約サイトで先にホテルを見てしまうと、この判断が後回しになります。先に決めてから絞ると、候補が現実的な数になります。
江南区のホテルの空室と料金を見るTrip.com・日本語/江南区で絞り込み済み
エリアの雰囲気そのものは狎鴎亭・清潭洞の街を歩いた記事のほうが詳しいです。

宿の税還付は、まだ生きている
ここからが制度の話です。韓国には外国人観光客の宿泊に対して付加価値税を還付する特例があります。租税特例制限法第107条の2です。
租税特例制限法 第107条の2 第1項(抜粋・訳)
外国人観光客等が2018年1月1日から2028年12月31日まで、「観光振興法」第3条第1項第2号および同項第3号ロ目による施設であって政令で定める要件を備えた観光宿泊施設(特例適用観光宿泊施設)で30日以下の宿泊役務の供給を受けた場合には、政令で定めるところにより、その宿泊役務に対する付加価値税額の還付を受けることができる
🚨 期限は2028年12月31日です。美容医療の付加価値税還付(第107条の3)が2025年12月31日で切れたのと対照的で、宿のほうは条文の隣にありながら生きています。しかも同じ2025年12月23日の改正で、宿泊の条文だけが改正されました。この経緯は美容医療の還付特例の終了を整理した記事にまとめてあります。
ただし「どのホテルでも」ではない
ここが読者にとっていちばん大事なところです。対象になる施設は、政令で三重に絞られています。
租税特例制限法施行令 第109条の2 第2項(抜粋・訳)
「政令で定める要件を備えた観光宿泊施設」とは、次の各号の要件をすべて備えた観光宿泊施設であって、文化体育観光部長官が定めて告示した観光宿泊施設をいう
1.「観光振興法」第3条第1項第2号イ目によるホテル業および同号ロ目による休養コンドミニアム業の施設
2. その観光宿泊施設の外国人観光客等に対する宿泊役務の客室種類別の供給価額の平均が、前年または前々年の同じ期間の平均の100分の110(=110%)より高く供給していない観光宿泊施設
3つに分けて読みます。
- 業種で絞られる … 観光振興法のホテル業と休養コンドミニアム業です。観光振興法第3条第1項第2号は、ホテル業を「観光客の宿泊に適した施設を備えてこれを観光客に提供する…業」、休養コンドミニアム業を「観光客の宿泊と炊事に適した施設を備え…会員や所有者等、その他の観光客に提供する…業」と定めています。これらは観光振興法第4条により登録が必要な事業です
- 値上げで外れる … 第2号の110%要件は、前年・前々年の同期と比べて客室種類別の平均供給価額を1.1倍より高くしていないこと。還付を目当てに値上げする動きを抑える作りです
- 最後に告示で決まる … 上の2つを満たしたうえで文化体育観光部長官が告示した施設だけが対象になります。条件を満たせば自動的に対象、ではありません
🚨 つまり予約前に、そのホテルが対象かどうかを自分で確かめる必要があります。「江南のホテルだから」「4つ星だから」では決まりません。予約前に施設へ直接聞くのが確実です。
対象施設の一覧は、四半期ごとに公告されている
では「告示された施設」はどこで分かるのか。文化体育観光部が、四半期ごとに公告を出しています。
文化体育観光部の公告(2026年9月1日確認)
「‘26.3分期 外国人観光客に対する宿泊役務 付加価値税還付 特例適用観光宿泊施設 指定公告」
添付:「(公告) 2026 3分期 特例適用観光宿泊施設 指定申請結果(110件)」(xlsx)
「‘26.3分期 付加価値税還付 特例適用観光ホテル 指定変更公告」
添付:「(公告) 2026 3分期 特例適用観光宿泊施設 指定申請結果(109件)」(xlsx)
🚨 一覧は表計算ファイルで添付されています。そして四半期ごとに出し直され、途中で変更公告も出ます——2026年第3四半期は当初110件、変更公告の時点で109件でした。「去年は対象だった」は根拠になりません。泊まる時期の公告を見てください。
もうひとつ、施設の側にも表示の義務があります。この制度の細目を定めた文化体育観光部告示(第2026-31号)の第4条は、特例適用観光宿泊施設の事業者に対して、フロント(接客台)やインターネットのホームページなどに、還付特例の適用対象施設であることを表示するよう求めています。同条は、事業者が付加価値税額を含んだ価額で供給し、旅券などで本人を確認したうえで、還付の手続きを案内しなければならないことも定めています。
つまり読者が確かめる道は2つあります。①泊まる時期の公告に添付された一覧を見る ②予約サイトや施設のページ、フロントでの表示を見る。それでも分からなければ施設に直接聞くのが確実です。
「ホテル業」には7つの区分がある——医療観光ホテル業も
還付の対象が「ホテル業」だと聞くと、いわゆるシティホテルだけを思い浮かべます。ところが観光振興法施行令は、ホテル業を7つに細分しています。
観光振興法施行令 第2条第1項第2号「ホテル業の種類」(訳)
イ 観光ホテル業/ロ 水上観光ホテル業/ハ 韓国伝統ホテル業/ニ 家族ホテル業/ホ ホステル業/ヘ 小型ホテル業/ト 医療観光ホテル業
🚨 「医療観光ホテル業」という区分が、法令にあります。施行令はこう定義しています——「医療観光客の宿泊に適した施設および炊事道具を備えるか、宿泊にともなう飲食・運動または休養に適した施設を併せ備えて、主に外国人観光客に利用させる業」。渡韓して医療を受ける人が泊まることを想定した業種区分が、制度の側に用意されているということです。
読み方として大事なのは、これらがすべて「ホテル業」に含まれるという点です。還付の要件は「ホテル業および休養コンドミニアム業の施設」なので、ホステル業や小型ホテル業、医療観光ホテル業も、条文の上では入り口に立てます。そのうえで110%の要件と告示という関門が残る、という順番になります。
逆に言うと、観光振興法の登録を受けていない宿は入り口に立てません。同法第4条第1項は、観光宿泊業などを経営しようとする者は特別自治市長・特別自治道知事・市長・郡守・区庁長に登録しなければならないとしています。なお、いわゆる民泊にあたる外国人観光都市民泊業は、施行令上ホテル業ではなく観光客利用施設業のほうに分類されています。

「外国人観光客」は国籍ではなく、居住しているかで決まる
もうひとつ、見落とされやすい定義があります。誰が「外国人観光客」なのかです。
施行令第109条の2第1項は、この特例でいう外国人観光客等を「外国人観光客等に対する付加価値税および個別消費税特例規定」第2条第1項による外国人観光客としています。そしてその第2条第1項はこう定めています。
外国人観光客等に対する付加価値税および個別消費税特例規定 第2条第1項(抜粋・訳)
外国人観光客等の範囲は「外国為替取引法」による非居住者とする。ただし次の者を除く
1. 法人
2. 国内に駐在する外交官(これに準ずる外国公館員を含む)
3. 国内に駐在する国際連合軍および米軍の将兵ならびに軍務員
🚨 基準は国籍ではなく「非居住者かどうか」です。日本から旅行で行く人は非居住者に当たりますが、韓国に住んでいる日本人は、日本国籍でも「外国人観光客」に当たらない可能性があります。留学や駐在で滞在している場合は、この定義に照らして考える必要があります。
「非居住者」の判定そのものは外国為替取引法の話で、滞在期間や生活の本拠がどこかで決まります。個別の当てはめまでは、この記事では確認していません。
手続きはどう動くのか
施行令には手続きも書かれています。読者側から見えるのは主に1つ目です。
- 宿泊役務供給確認書 … 特例適用観光宿泊施設の事業者は、宿泊役務を供給したときに、その事実を証明する書類を2部交付します。ただし還付窓口運営事業者へ電子的な方式で送信した場合は、交付しないことができます(第109条の2第3項)
- 還付を受ける相手 … 外国人観光客は、特例適用観光宿泊施設で宿泊役務の供給を受けた場合、還付窓口運営事業者から付加価値税額の還付を受けられます(同第4項)。空港や市中の免税払戻カウンターと同じ枠組みの規定を準用する作りです
- 3か月 … 施設の側は、宿泊役務の供給日から3か月以内に還付の事実が確認されると、その税額の控除を受けられます(同第6項)
- 不正には歯止め … 110%の要件を満たさなかった場合や、確認書を虚偽に記載して交付した場合は、施設側は控除を受けられません(同第8項)
- 還付窓口運営事業者も指定制 … 施行令第109条の2は、この事業者を特例規定第5条の2を準用して指定した者と定義しています。その第5条の2では管轄地方国税庁長が指定します。指定の要件は、その事業に必要な資力および信用があること、還付に必要な人員および施設を備えることなど。申請日から30日以内に指定の可否が決定され、指定されると指定証が交付されます
🚨 満額が戻るとは限りません。同じ告示の第4条は、還付窓口運営事業者が税額相当額を還付するときに、還付にともなう諸費用として国税庁長の承認を得た金額を控除できるとしています。手数料の具体額までは確認していませんが、受け取る額は付加価値税額そのものとは限らないと考えておいてください。
🚨 受け取る場所にも条件があります。告示第7条は、還付窓口運営事業者が出国港に所在する関税法第154条による保税区域の中で還付できると定めています。ただし外国人観光客の出国の有無を確認できる場合は、保税区域の外でも還付できるという但し書きが付いています。基本は空港の出国手続きを済ませたあとの区域だと考えておくと、予定が立てやすくなります。
もうひとつ、条文には出入国の記録が出てきます。文化体育観光部長官は、還付のために必要な場合、出入国管理法第28条による外国人観光客の出国記録を法務部長官に要請できるとされていて、要請を受けた法務部長官は正当な理由がなければ従わなければなりません(同第11項)。実際に出国したかを裏で照合できる建て付けだということです。
医療の側から、宿に効いてくること
宿の話に医療の制度が絡む部分もあります。
韓国で外国人患者を誘致しようとする医療機関には登録の仕組みがあり、登録された医療機関は公式に検索できます。通う先の所在地が先に決まれば、宿の範囲もそこで決まります。登録の確認方法は登録医療機関の調べ方をまとめた記事にあります。
あわせて、支払いと契約の段取りは先に押さえておくと宿の予算も立てやすくなります。表示価格に乗る10%の付加価値税は還付特例の終了を整理した記事、カード払いと現金の決まりは支払いの法律を整理した記事、まとめ払いのパッケージは前払いと返金を整理した記事にまとめてあります。
宿を決めるときに見る4点
- 1日に何回戻るか … これを先に決める。決まると駅の候補が絞れます
- 付加価値税の還付に対応しているか … 対象は告示された施設だけです。泊まる時期の公告に添付された一覧と、施設のフロントやホームページの表示で確かめられます。それでも分からなければ予約前に施設へ聞くのが確実です
- 連泊の区切り … 還付の対象は30日以下の宿泊です。長期滞在を考えている場合は条件から外れる可能性があります
- 領収書と確認書 … 還付を受けるなら書類が要ります。チェックアウト時に何が出るかを確認しておく
リスクをどう考えるか
この記事は宿の選び方と税の制度だけを扱うので、施術そのものの効果・安全性・回復にかかる日数は評価しません。「何泊すれば足りるか」は施術と個人によって変わるもので、この記事では判断材料を示せません。医師に確認してください。施術に関するリスクの考え方は韓国の美容医療の確認順序をまとめた記事にあります。
- 還付を前提に予算を組まない … 対象施設かどうかは事前に確認しないと分かりません。還付されない前提で比べて、戻ったら得をした、と考えるほうが安全です
- 古い情報が混ざりやすい … 美容医療の還付は2025年末で終わりました。「韓国は美容も宿も税還付がある」と書かれた記事は、いま前半だけが古くなっていることになります
- 宿の近さと医療の質は別 … 動線がよいことと、医療機関の選択は別の判断です。宿から近いという理由で通う先を決める話ではありません
この記事で答えられないこと
- 一覧に載っている個々の施設名。公告に添付された表計算ファイルの中身までは開いていません。件数(2026年第3四半期は当初110件・変更後109件)とファイル名までを確認しています
- 実際にいくら戻るか。告示は「国税庁長の承認を得た諸費用を控除できる」としていますが、その金額までは確認していません
- 何泊すればよいか。施術と個人によります。医師に確認してください
- 特定のホテルが対象かどうか。この記事では個別の施設名を挙げません
よくある質問
まとめ
- クリニック通いの宿は「1日に何回戻るか」を先に決めると候補が絞れる。駅ごとの性格は江南のホテル記事に譲る
- 外国人観光客の宿泊に対する付加価値税の還付は2028年12月31日まで(租税特例制限法第107条の2)。対象は30日以下の宿泊
- 🚨 対象施設は三重に絞られる。①ホテル業・休養コンドミニアム業 ②客室種類別の平均供給価額が前年・前々年同期の平均の110%を超えていない ③文化体育観光部長官が告示した施設
- 条件を満たせば自動的に対象ではない。予約前に施設へ確認するのが確実
- 施設は宿泊役務供給確認書を2部交付する(還付窓口運営事業者へ電子的な方式で送信した場合は交付しないことができる)。還付は還付窓口運営事業者から受ける
- 美容医療の還付は2025年末で終わった。いまは宿だけが残っている
- 「ホテル業」は施行令で7区分。医療観光ホテル業という区分もあり、ホステル業・小型ホテル業も条文上は入り口に立てる
- 🚨 「外国人観光客」は国籍ではなく「非居住者」で決まる(法人・国内駐在の外交官などは除外)。韓国在住だと当たらない可能性がある
- 🚨 対象施設の一覧は文化体育観光部が四半期ごとに公告している(2026年第3四半期は当初110件・変更公告で109件)。時期によって入れ替わる
- 施設側にはフロントやホームページに対象施設であることを表示する義務がある(文化体育観光部告示第2026-31号 第4条)。ここでも見分けられる
- 🚨 満額が戻るとは限らない(承認された諸費用が控除される)。受け取る場所は原則、出国港の保税区域内(同告示第7条)
還付は「戻ったら得をした」くらいに置いておくのが安全です。先に決めるのは、やはり1日に何回宿へ戻るかのほうだと思います。
この記事の情報源と確認日
- 国家法令情報センター「조세특례제한법」[시행 2026. 7. 1.] 법률 제21223호(第107条の2・第107条の3) https://www.law.go.kr/법령/조세특례제한법 (2026年9月1日確認)
- 国家法令情報センター「조세특례제한법 시행령」[시행 2026. 7. 1.] 대통령령 제36423호(第109条の2第1項〜第11項) https://www.law.go.kr/법령/조세특례제한법시행령 (2026年9月1日確認)
- 国家法令情報センター「관광진흥법」[시행 2026. 5. 12.] 법률 제21087호(第3条第1項第2号・第4条第1項) https://www.law.go.kr/법령/관광진흥법 (2026年9月1日確認)
- 国家法令情報センター「관광진흥법 시행령」[시행 2026. 8. 4.] 대통령령 제36554호(第2条第1項第2号「ホテル業の種類」) https://www.law.go.kr/법령/관광진흥법시행령 (2026年9月1日確認)
- 国家法令情報センター「외국인관광객 등에 대한 부가가치세 및 개별소비세 특례규정」[시행 2026. 1. 2.] 대통령령 제35947호(第2条第1項・第5条の2) https://www.law.go.kr/법령/외국인관광객등에대한부가가치세및개별소비세특례규정 (2026年9月1日確認)
- 文化体育観光部告示 제2026-31호[시행 2026. 7. 1.]「외국인 관광객에 대한 숙박용역 부가가치세 환급 특례 관련 고시」(第4条・第5条・第7条) https://www.law.go.kr/LSW/admRulInfoR.do?admRulSeq=2100000281494 (2026年9月1日確認)
- 文化体育観光部 公告「‘26.3분기 외국인 관광객에 대한 숙박용역 부가세 환급 특례적용관광숙박시설 지정 공고」(添付:指定申請結果110件) https://www.mcst.go.kr/site/s_notice/notice/noticeView.jsp?pSeq=19356 (2026年9月1日確認)
- 文化体育観光部 公告「‘26.3분기 부가세 환급 특례적용관광호텔 지정 변경 공고」(添付:指定申請結果109件) https://www.mcst.go.kr/site/s_notice/notice/noticeView.jsp?pSeq=19452 (2026年9月1日確認)

